そもそも このメンバーで
待ち合わせするってのが
ややこしい
別に正門前でなくっても
同じ基礎教室で
補習うけんねんから
「ワッキー遅いなぁ」
先生にもニックネームで呼ばれている
「先生、ワッキーのクラス見にいってくるから
このプリントやっとけよ」
三人クラス別々だから
先生がこうやって見に行くのはしょっちゅうだ
先生が出て行ったのを確かめると
リトルはそそくさと
ソファーに寝転がった
「こっこ、お前なんちゅう障害やったっけ?」
「おれ?アスペルガーやて」
「ふぅん、よう名前覚えたな~」
基礎教室は
団欒できるように
漫画やおもちゃ
ソファーに他の教室とは
だんぜん違う
そもそも
クラスも小学校も違う俺らが
知り合いになったのは
養護籍に入ったのがきっかけだ
そうでもなきゃ
10クラスもある中
知り合うわけもない
どすどす
ワッキーの足音だ
あわててリトルもオレも
机に戻った
「補習長くて今日はやめとこか」
「おなかすいたしな」
心なしか
無表情のワッキーが
残念そうに見えた
「そうや
ダンボール捕られてへんか見に行こうや」
公園は中学の近所にある
遠めからでも
ダンボールが見えた
「もし雨が降ったらいややから
ベンチの下に置いとこうや」
ダンボールの数は減ってなかった
足でダンボールをけって
屋根のあるベンチまでけっていった
「ほんなら、かえろ・・・・」
と
いった瞬間と同時に
オレの頭に星がよぎった
あまりの一瞬で
よくわからなかったが
黒い制服の上にでもわかるくらい
ぽつぽつと赤いのがしたたり落ちた
「ワッキー!!!!!」
リトルがワッキーを押さえかかった
「うう~~~」
低くうなって
オレを見下ろしていた
「あかんて、このダンボール
ワッキーの大事なダンボールやねんって
この柄のは蹴ったらアカンて」
「そんなん、はよゆうてくれや~~」
鼻血を片方の袖で
押さえながらいった
「な、ワッキー
明日作るねんから、な」
堅いワッキーの肩をほぐすように
まとわりついてリトルはなぐさめた
こういう時のワッキーには
大人しくするのが一番だってことは
おれもわかっている
「ごめん、なっ」
帰ろうとしても立ち尽くすワッキーを
気にしつつも
おれとリトルは公園を出た
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