床らしきものができて
壁も片面だけでき
背もたれができる形になった
誰にもいたずらされないのは
「さわったらコロス!!」と
リトルの書いた貼り紙の効果だろう
先日、先生に見つかったかなと
思ってあわててたけど
先生は目が悪いらしく
何もいってこない
「これ、ワッキーんとこもっていったってくれ」
先生が補習の帰りに
養護ノートと配布物を手渡した
リトルは何回かワッキーの家に
遊びに行ったことがあるらしい
「ずーっと休んでるみたいやなぁ、あいつ」
「病気なんか?」
「んなわけないやろ!どんな寒くても半そでやのに」
リトルはひょいと
えらいキレイなマンションに入っていった
また、なんか拾ったんか?
「おい!」手招きをするリトル
え?ええええ????
ここがワッキーん家か???
高級住宅ってやつか??
インターホンをピポピポ押して
中に入っていった
扉の向こうに
頭がボサボサのワッキーが
立っていた
さらに顔もボサボサだ
「あがるぞ」
部屋の中は
どれもおかんの見てる雑誌の中の世界だ
いいにおいがする
ワッキーの部屋がちらりと見える
参考書がずらりと並んでいる
手をつけていないのは
一目瞭然で、本屋に並んでるように
キレイだ
赤い大きなソファーで
ゴロンとしてるワッキーだけが
この家で異物に見える
「ほい、これ先生から。
お前、熱やったんか?」
ワッキーの目が横を向くときは
ノーだ
「ほなら、どないしてん」
ワッキーは立ち上がって
パソコンをいじり出した
「なぁ、学校にこんでええから公園にこいや」
「せや、今から行こうや!なっ!!
携帯もってんねんやろ、ほならええやん」
のそのそ
どすどす
ワッキーが玄関をでるまで
オレは漫画一冊を読み終えるのと
ちょうどだった
部屋の壁に
色んなことを書いた紙がある
お母さんらしき写真の横に
これまた異物のワッキーがいる
ここに
ワッキーの居場所って
ないんじゃないか
奴はそれに
うすうす気がついてきている
見た目が馬鹿でも
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