波と戯れるように  風に揺れるように

波と戯れるように 風に揺れるように

2015年08月20日
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テーマ: 寂寞の中で(1008)
私は会社に出かける時に出来るだけ分からないように荷物を少しずつ持ち出し、

お寺の離檀と墓仕舞いは引っ越してから専門の業者に頼むことにした。

引っ越しを決行するその日はこの地域全体で集会があり一日かけての行事が執り行われる大事な日。

今では珍しいけれど家族総出で集会場に集まり全員で一日を楽しむのだ。

子供の頃は楽しくて待ち遠しい日だった。しかし、今は違う。

この日だけが誰からも見つからずに引っ越しをすることが出来る、胸が痛む日だ。

私は祈るような気持ちで当日を待った。

地域の人たちが集会場に集まる時間が来た。

当然私にも来るように誘いがあったのだけれど私は後から参加するからと誰とも一緒には出掛けなかった。



その後のことは私はよく分からなかった。

もう その家には二度と帰らないと決めていたから知ろうともしなかった。

全て母に渡されたノートに書かれている事をやり終えて

私は新しい場所で新しい家族と新しい生活が始まった。

ある日突然私の職場に親戚がやって来た。

「どうして 離れたんだ。お蔭で・・・・・」

苦渋に満ちた顔でその親戚は続けた

「お前の家には役目があったのにどうして。

お前が居なくなってその代わりを誰かがやらなくちゃならなくなった。

お願いだから戻って来てくれ」

「子供が生まれたんだって、良かった。さあ 早く戻って来てくれ」



「大丈夫だ。今まで通りお前の家族の生活はみんなが守ってくれる。だから」

私は頑固に元の家に帰る事を拒んだ。親戚はうなだれながら何かぶつぶつ言いながら帰って行った。

「お前の家のお役目は他の家で背負うしかないのか・・・

そんな事は今まで無かった、これはお前の家の役目だったのに」

親戚が会社に来てから地域の人の訃報がなぜかしら届くようになった。



その訃報が届く前の晩に見る夢があのうなされる夢だ。

親戚の人が言った「お前の家の役目」あの夢の中の大きな影も同じことを言っていた。

私の家の役目っていったい何なんだ。








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最終更新日  2015年08月20日 19時46分41秒
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