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ミューンの森~Forest of Mune~
若葉の頃
『 若葉の頃 』 ・・・1
五月って、一年の中で一番のんびりしてる季節だよなあ...。
連休明けの登校日。
私はこみ上げてくるあくびを飲み込みながら、今日最後の授業を続ける先生の目を盗みつつ控えめに窓の外を伺った。
半分開いている窓から新緑の瑞々しい若葉の香りが漂ってくる。熱くもなく寒くもなく、しかも私の席は窓際の一番後ろと来ている。
これでは授業に集中していろという方が無茶という物だ。
街の高台に建つこの高校は歴史も古く、三年の私の教室は最上階で窓からは遠くに城山も見える。小さい田舎町だけに緑も豊かで、私はこの景色がとても気に入っていた。
拷問の様な長かった6限目の終わりを告げるチャイムが、朦朧とした頭に響いた。
「高市美耶胡(たかいち みやこ)さ~ん、お客さんだよ~。」
チャイムが鳴ってから程なくして、親友の青木薫子(あおき かおるこ)が何故かフルネームで私を呼ぶ声が教室に響いた。
のろのろと声の方に顔を向けると、半分程開いたドアに片手を添えて恥ずかしそうに佇む、一年後輩の飯田千佳の姿が目に入った。その横で机の上に鞄を乗っけて帰り支度をしながら、薫子がにやにやと私を見ていた。
ああ、今日もか。
あたしはバレない様に小さく溜息をついてから、ちょっと待ってて、という様に千佳に向かって片手を小さく上げて愛想笑いを浮かべた。
のろのろと帰り支度をする私の所へ、さっさと支度を済ませた薫子がやって来た。
「此処の所ずっとだね。お出迎え。」
小声で私の耳元で囁くその声は、あからさまにこの私の状況を面白がっている。
青木薫子は、顎の線で切りそろえられた今時珍しい漆黒の髪をしている美少女だ。身長は自称153センチだそうだが、本当はもっと小さい事を私は知っている。彼女とは小学校の高学年からの付き合いになる。そして私にはこの薫子以外に、高校に入学した当初から腐れ縁の様に付き合っている悪友が二人いる。その一人である仰木総一郎(おおぎ そういちろう)の最新の彼女である千佳ちゃんは、どういう訳か私を慕ってくれているらしく、放課後部活に行くだけのほんの一時の為だけにこうしてお迎えに来てくれるのである。
「でも何かよく判んないよね。千佳ちゃんも私じゃなく総くんを迎えに行きゃいいのにさー、何であたしんとこにくる訳?」
「あらあら、そう言う美耶胡だって、結構満更でもないくせにぃ。『おねえさま♪』なんて呼ばれてさあ、いつもへらへら笑ってるじゃない。」
薫子の台詞に自分の八方美人ぶりを指摘されて、あたしは言葉に詰まってしまった。
まったく。
私とは小学校からの腐れ縁の薫子は、見た目はドアの所ではにかんでいる飯田千佳と同様にちっちゃくて可愛い。それなのに性格はまるで正反対だ。
可愛い、なんてとんでもない。勉強も出来るしハキハキとして、私についておいで!の姉御肌タイプ。
それに比べて私はと言うと、薫子より15センチも大きい168センチの大女。都会なら是位の背の女の子は五万といるのかもしれないが、なんせ田舎のこの辺りにはそういる物ではない。
背の高さだけでなく、きっと見た目が男らしいとか、なにか理由があるのだろうが、嬉しくもないのに昔から女の子にだけはモテる。だけど性格はうじうじしていて何でも考え込んでしまう傾向にあるから我ながらやっかいだ。優しい訳じゃなく、他人の顔色を伺ってしまうせいで嫌な事もいやとは言えず、いつも薫子に怒られているのだ。
私達と余り親しくない友人は、見た目のまんまで私を薫子の彼氏の様に言ってからかうけれど、本当は薫子の方が私を護っている彼氏の様だった。
やっと帰りの支度を終えて、私は薫子と共にドアに向かった。
「美耶おねえさま。」
「いや、だから『おねえさま』は止めようよ...。」
それこそ語尾にハートマークでも付いていそうな甘えた声で、千佳が私を見上げていつもの台詞を口にした。
宝塚か女子校でもあるまいし、おねえさま、なんて女の子に呼ばれて嬉しい訳が無い。
何度言ってもその呼び方を変えない後輩に唸る私に、薫子が「さあ、部活に行きましょ、おねえさま。」と嫌みを言った。
私たちは三人そろって階段を下り、音楽室のある西校舎へと向かった。
高校一年の時にちょっとした事で知り合って以来何かと吊るんでいる総一郎こと仰木総一郎(おおぎ そういちろう)は、ブラスバンド部に所属している。同じくブラスバンド部でフルートを吹いている薫子は、しっかり者に相応しく今年から副部長を務めていたりするのだが。
私はと言えば、何ともマイナーな文芸部に所属していたりする。総一郎はそのごっつい見た目からは想像出来ないが、けっこうな詩人で、唯一の男子部員であるというだけの理由で、名前だけの文芸部部長を務めてもいるのだ。
西校舎の一階にある音楽室を覗くと、数人の部員に混じって学生服の上着を脱いで、腕立て伏せをしている総一郎の姿が目に入った。
身長188センチの総一郎は、ただ縦に大きいだけではなく筋肉質の身体で、練習前の100回の腕立て伏せも軽々とこなしているように見えた。
はじめにこの光景を目にした時は、文化部なのになんで腕立て伏せ?と不思議に思った物だが、見た目以上に体力勝負のブラスバンド部は毎日、男子は腕立て腹筋、共に100回、女子はそれぞれ50回がノルマとなっている。去年まで文芸部と掛け持ちしてコーラス部にも所属していた私も、同じく毎日腹筋50回のノルマをこなしていた。
此処の所やたらと私にまとわりついてくる飯田千佳ちゃんは、この4月から総一郎が付き合い始めた女の子だ。高校に入ってからこの子で、私が知っているだけでもすでに6人目の彼女になる。こんなでかいだけの男の何処がいいのか知らないが、結構持てている様でその全てが告白されたのを受けてのお付き合いだった。
なんで私がそんなことまで知っているかというと、ひとえにこの男が思いっきり電話魔であるせいに他ならない。
総一郎は知り合ってからという物、何かと理由をつけてはうちに電話して来るようになった。付き合いが一年を越える頃には、用事が無くても定期便の様に電話してくる迄になっていた。その内容も時に人生相談になったり、彼の恋愛論を聞かされたりと様々だ。だから私は否応無しに誠に不本意ながら、仰木総一郎という男の私生活を、下手したら彼の次くらいに詳しく知る人物になってしまったのだった。
入り口で暫く佇んでいると、運動を終えた総一郎がゆっくりと立ち上がって伸びをした。
未だ5月とは云っても、一階のこの部屋は余り風通しが良くなく総一郎の額にはうっすらと汗が浮かんでいる様に見えた。
まくり上げていたシャツの袖を直しながらこちらを見た総一郎は、ぱっと明るい顔をして私に笑いかけた。
おい、私じゃなくて千佳ちゃんに笑いかけなよ、と思ってから、もしかしたら私の身体の陰に隠れて愛しの千佳ちゃんが見えなかったのかもと思い当たって後ずさった。
案の定、当の千佳ちゃんは私の背中に隠れて恥ずかしそうな様子だったが、近づいてくる彼氏に嬉しそうに微笑んでいた。
「よお、美耶胡!これから部活か?」
ドアまでやって来た総一郎は、ドアに軽く寄りかかってから、あろう事か私に声をかけた。
総一郎をチラっと見上げた薫子はふん、と一息つくとさっさと総一郎の腕の下を潜って音楽室に入って行ってしまった。
この無神経男!と心で唸っている私をにやにやして上から見下ろしながら、総一郎は私の頭をガシガシッと撫でた。
「ちょっとー!何であたしに触んのよっ。あんたの彼女は此処に居るでしょ。」
「だってお前の頭、ちょうどいい所にあるんだよな、いつも。」
総一郎はそう言ってガハハ、と笑ってから、私の隣に可愛らしく佇んでいる千佳ちゃんを優しい目で見つめた。
「かわいい千佳にこんな事なんて出来ないよなあ。壊れっちまいそうだもんな。」
その台詞にぱっと顔を赤らめる千佳ちゃん。
「あーあ、付き合ってられないわよ。じゃあ、あたしは行くわね。」
目の前で見つめ合っている二人を残して、私はいつもの事に呆れながらも校舎の奥の階段に向かってその場を後にした。
ほぼ毎日何か事が無い限り、私と薫子はお互いの部活動を終えてから、一緒に下校するのが習慣になっている。ただ最近はそこに総一郎カップルが付いてくる事が多くなって私としてはもの凄い迷惑を感じているのだが。
音楽室の正面の廊下を左に曲がると化学室があり、その突き当たりに階段がある。この校舎の三階にある図書室が文芸部の部室代わりとなっていて、私は毎日図書室で友人と殆どおしゃべりをして過ごしていた。
化学室の前を通り過ぎようとしたその時、静かに引き戸が開いて長身の男子が顔を出した。仰木総一郎と共に、とある切っ掛けで知り合ったもう一人の悪友、神名創太(かんな そうた)である。
「おう、美耶胡。今から部活か?」
目の前に立つ創太はビックリした風に眉を上げながら私を見下ろした。長身の私は普段あまりこうして誰かに見下ろされるという事が無いせいか、この視線の関係が好きだった。
眼鏡の奥で薄い茶色の瞳が微笑んでいる。総一郎が「ガハハ」と笑うのに対して、こいつの微笑みは静かで、心持ち唇の両端が持ち上がるだけ。
創太は容姿端麗で、いわゆる美少年タイプだ。元々色素が薄いのか、ほんのり栗色の目に栗色のサラサラの髪をした、男の子にしておくのは勿体ない程の美形なのだ。だが本人はそれを言われる事をとても嫌っていた。さほど視力が悪くもないのに眼鏡をかけている辺り、なんだか彼の他人に対する距離感が表れている感じがして興味深い。
背は高い創太だが、その体つきは線が細くほっそりしていて、女の私が見ても本当に綺麗だ。当人の大人しい性格のせいで余り騒がれる事は無かったが、学校では密かなアイドル的存在になっていると薫子が教えてくれたっけ。
「つくるも部活?って云うか部活動なんてしてんの?ここ。」
私はいつも創太の事を「つくる」と呼んでいるのだが、それにはちゃんとした理由がある。
私が創太と知り合ったのは、高校に入学して間もなく、総一郎に紹介されたのが切っ掛けだった。総一郎とつくるは中学からの友人だったらしい。その時私は総一郎の事を「そうくん」と読んでいたので、初対面でもあるし同じ「そうくん」である創太を「神名君」、と名字で呼んだのだが、その時本人から「つくる」と呼んでくれないか、と言われたのである。
創太の創で「つくる」。
隣で聞いていた総一郎が「はあ?そんなん初めて聞いたぞ」と変な声を上げたのも印象的だった。
最初はなんだか変な感じで抵抗があったのたが、つい「神名君」と呼んでしまう私にいちいち「つ・く・る」と言い返す彼にいつの間にかすっかり慣れてしまって、今では創太は私に取って「つくる」でしかあり得ない存在になってしまったのだった。
「まあ、大した活動もしてないマイナーな部活なのは文芸部だって同じだろ。」
「確かに。あたしも今日はこれと云ってする事は無いんだけど、取り敢えず図書館に行こうと思ってさ。まあ、習慣の様な物で。」
我が文芸部の最大の活動は、年二回の文集出版なんだけど、その作成には未だ間があるし、部の性質上書く物さえ書いていればこれと云った活動場所を選ばないので、私はどうしても図書室に行って活動しないといけない訳ではなかった。
「じゃあさ、ちょっと寄ってけよ。お茶入れるし。」
つくるはそんな私ににこっと笑い掛けると、今出て行こうとしたドアから再び教室に身体を戻した。
「やった!つくるのいれてくれる紅茶って美味しいんだよね。」
「......ただのティーパックだぜ?」
「だっていつも美味しいよ。」
「うーん。ビーカーとアルコールランプで湯を沸かすのがミソなのかも。」
私は創太に続いて化学室に入った。
大体化学部ってのがどういう活動をしているのか私には全く想像出来ないのだが、創太は一年の時からこの化学部に籍を置いている。初めて此処でビーカーでお茶を入れてくれた時は正直ビビったが、今はもう慣れっこで、何故か此処に私専用のカップまでが置いてあったりするのだ。
「今日は未だ誰も来てないの?」
元々部員なんて居るのか居ないのかも判らない部だが今日は特にしんと静まり返っている。
「ああ。今日は先生も出張で居ないし。......俺はいつも暇だから。」
手慣れた動作で、ランプに火をつけながら創太はにっと笑った。
2004.3.16 UP
******** ******** ******** ******** ******** ******** ******** ********
「制服」の主人公 美耶胡ちゃんとつくるくんの高校時代のお話です。
本当は一年生の頃から書きたいんだけど、止めどなくなっちゃいそうで、今回は三年生になったばかりの頃のお話です。
とっても恋に不器用な、今時いるのか?って感じの高校生です。(除:総一郎)
こんな高校時代のあったな、なんて思って頂けたら嬉しいです。
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