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ミューンの森~Forest of Mune~
~秘密・前編~
『 秘密 前編 』
今回の仕事はちょっと遠出になると、出発の前いつものスラムの酒場にゼネテスを訪ねて、ラスティアは言った。
初めて海を越え、エルズ迄行くのだと言う。その後もウルカーンやアルノートゥンまで足を伸ばすつもりなので、暫くは帰って来れないだろうと、そう言っていた。
今迄あまり遠出をする事無く、ロストールにもしょっちゅう顔を見せてくれていただけに、突然のラスティアの言葉にゼネテスはすぐに次の言葉を接げなかった。
冒険者として大分経験を積んで来て、それなりに名前も知られるようになって来たラスティア達にとって、それは当然の選択であるように思えた。しかし今迄まるで妹の様にゼネテスに付いて歩いていたラスティアと、2ヶ月以上も逢わないでいる事になる事実に、ゼネテスはだんだん不機嫌になって行く自分を感じていた。
「...お嬢ちゃんには未だ荷が重いんじゃ無いかい?」
暫くの沈黙の後口を開いたゼネテスは、グラスの酒を一気に飲み干してから皮肉気味に言った。
「だって、前々からもっと冒険をしなきゃ大物には成れんぞ、ってそう言ってたのはゼネテスさんじゃないの。」
いつもと違って伏し目がちに話すラスティアの様子に違和感を覚える物の、その原因が全く思い付かないゼネテスは、彼にしては珍しくムスッとした表情を隠そうとはしなかった。
彼が不機嫌になる理由は他にもあった。
ラスティアが旅立つ少し前に仲間に加わった、あの男の存在である。
そいつは、青みがかった髪を腰迄伸ばし腹の空いた服を着た陰気な奴で、名前をセラ、と言った。
あの日、紹介したい人がいる、とラスティアに連れて行かれた宿屋であの男に初めて会った時の事を、ゼネテスは今でも昨日のように思い出す事が出来る。
それは最悪の出合いだった。
向こうはともかく、ゼネテスは今でもそう思っている。
それ迄、ラスティアの旅の仲間はルルアンタとフェティ、そしてデルガドの親っさんで、ゼネテスとしてはいろんな意味でまあ、安心出来るメンバーだと思っていた。そこにこの男が現れた。
フェティがいつもの我侭で、エルフ仲間に会いに行きたいとわめき出した頃、ちょうど知り合ったセラが仲間になってくれたのだと言う。
「セラって無口であんまり愛想がいい訳じゃ無いけど、とってもとっても強いんだよ~」
ルルアンタの無邪気な声も、ゼネテスには不愉快にしか聞こえない。
セラがもっと、歳をくった男だったら違ったのかも知れない。あんなに整った顔だちをしていなければ、違ったのかも知れない。そう思う事すら腹立たしい。
俺はフリントにこいつの事を託された。だから心配するのだ。
ゼネテスはそう、思っていた。
任された責任がある。だからいつもラスティアの事を心配するのだ、ずっとそう思っていた。
...あの日迄は。
セラと言う男の事を何も知らない癖に、とにかく不愉快に感じる自分自身をゼネテスはどうして良いか解らなかった。
こんな奴に頼らずとも、お前には俺がいるだろう.......そう言えたなら、どんなに気が楽だろう。しかし自分にはロストールを長く離れる事が出来ない事情がある。自由な旅をし、その無限のソウルを育てて行くべきラスティアと行動を共にしてやる事は今は不可能である。
内心苦々しく感じながらもそれを押し隠し、ラスティアの保護者としての自分の立場を貫くしか無い。
そう自分に言い聞かせたあの日。
あれから間もなく、ラスティアはセラを伴ってロストールを旅立って行った。
*******
「よお、お嬢ちゃん。元気だったかい?」
久しぶりに逢ったラスティアに、いつものように声を掛けながら、ゼネテスは少し眉を寄せ、控えめに微笑む少女をジッと見つめた。
会わなかったのは、ほんの3ヶ月程の事なのに、ラスティアの外見には、明らかに大きな変化が感じられた。無邪気で子供っぽかった顔は少し憂いを帯び、ただ細いだけだった手足には、女性らしい丸みが感じられるように思えた。肩にかかる金髪は夕日に輝き、ゼネテスは思わず次に言うべき言葉を忘れ、その菫色の瞳に見入った。
スラムの酒場で、いつもの席に向かい合って腰を降ろしてから、ゼネテスは、実は随分久しぶりの酒を立続けに喉に流し込んだ。その様子を懐かし気に見つめながら、ラスティアはルーマティーにゆっくりと口をつけた。
「相変わらず呑んでばかりなの?」
静かに笑うラスティアの仕種は、明らかに3ヶ月前には見られなかった物だ。
「さあて、どうかね。最近は俺もなかなか忙しくてね。」
いつもの捕らえ所のない表情で笑うゼネテスの台詞に、新しいボトルを運んで来た酒場の主人が割って入る。
「そう云えば確かに、ここ最近ゼネさんを見かけなくってねえ。みんなで噂してたんだよ、実は。」
「噂?」
「そうさね。ゼネさんもとうとうどっかの女に掴まって、飲みにくる所じゃ無くなったんじゃ無いか、ってね。」
豪快に笑う主人を物凄い目で睨むゼネテスには、ハッとしたように彼を見るラスティアの表情は解らない。
「全く噂ってのは恐いね。せっかく俺が真面目にやってたって、そんな事しか言われないのかい?」
「ホントに真面目にやってりゃ、違うんだろうがね。」
軽口を叩き帰しながら、酒場の主人はカウンターの方に消えた。
「ホントなの?」
「酒を控えてたって事かい?それとも女の噂の方?」
ラスティアに顔を近付けてゼネテスは笑う。
「.......両方とも。」
ラスティアのいつに無く真面目な表情に、ゼネテスも姿勢を少し正した。
「酒を控えてたのは本当だよ。忙しかったってのも本当。...女の噂の方
は...。」
ゼネテスは フンッと自嘲するように片頬で笑った。
「...俺が掴まっちまう程のいい女はこの町には居なかったもんでね。居ない女に溺れる訳にはいかんだろう。」
ラスティアの瞳をじっと見つめて、ゆっくりとそう言った。
暫くの沈黙の後、グラスに新しいボトルの酒を注ぎながら、ゼネテスは続けた。
「ところでお前さんの方はどうだったんだい?長い旅の話だ。勿論きかせてくれるんだろう?」
ぱっと明るく顔を輝かせたラスティアは、それから長かった旅の出来事をゼネテスに語りはじめた。
*******
「すまんな、久々に呑んだせいで酔いが回ったらしい。」
初めて見る酔ったゼネテスの姿に苦笑しながら、ラスティアは肩で彼の大きな身体をを支えた。
猫屋敷でオルファウスと朝まで飲み明かした時でさえ、機嫌こそ今ひとつだったが足取りはしっかりとして、しゃべる様子もいつもと変わらなかった。それが今日は心持ちふらつく足元に、ゼネテスはラスティアの肩に腕を廻した。
その目もとも少しいつもの鋭さを欠いているように思えた。
「どうしよう?何処迄送って行けばいいの?」
「そうさなあ、幾ら何でも俺が女のあんたに送って貰うってのも何だしなあ。ちょっとそこらで酔いをさまして、それから帰るよ。」
いつもの歯切れのよい語り口が、心持ちのんびり感じられる。ゼネテスは広場の端にある花壇の方を顎でさして、ラスティアを促した。
「こんな所に腰を降ろしたら最後、すぐ眠っちゃうでしょう?駄目だよ。」
「大丈夫。心配しなさンな。」
そう言いながらも、ラスティアの肩に掛かる重さが増して行く。
危うくその場に屑折れそうになり、ラスティアはゼネテスの腰に廻した手に力を込めた。
「........。」
ふと視線を感じてラスティアが顔を向けると、ゼネテスの少し赤くなった首筋が目に入った。どぎまぎして顔を上げると、鼻が触れあわんばかりの距離でゼネテスの顔があった。
「早く帰った方がいいぞ。仲間が待っているだろう?」
囁くような声でそういいながら、『仲間』を強調する事は忘れない。
ゼネテスの息がラスティアの頬をくすぐる。
言葉とは裏腹に、ラスティアの肩に置かれていた腕がその身体に廻された。向かい合って抱き合う形になった事に気付かない程、ラスティアの間近にゼネテスの瞳があった。
ずっと会いたいと思っていた人だった。
ずっと見たいと思っていた瞳だった。
ラスティアは、長かった旅の途中、幾度となくゼネテスの事を思い浮かべた。父を亡くしてから親身になって世話をしてくれたゼネテスは、ラスティアにとって兄の様な存在、そう思っていた。
そう、3ヶ月前に、偶然あの話を聞く迄は。
ゆっくりと、ゆっくりと、互いの瞳を見つめたままゼネテスの顔が近付いてくる。
思いのほか長い睫に縁取られたゼネテスの瞳が、ゆっくりと閉じられて、微かに開いた唇がラスティアの頬をかすめた。
焼けるように熱いその唇が、ラスティアを捕らえようとしたその瞬間。
「ファ-ロス家の屋敷に送りましょうか?...それとも婚約者のお姫さまの処...?」
ラスティアが発した言葉に、ゼネテスの身体がビクッと震え、閉じかけた瞳を見開いた。
廻された腕に更に力が込められその身体が急に暑くなったように感じた。
「...何の話だ?」
それまでの少しゆったりした、気を抜いた口調とは打って替わって、ゼネテスは感情を押し殺した様な口調で呟いた。
「誤魔化さないで。嘘は、もう嫌なの。」
真剣なラスティアの眼差しに、ゼネテスの瞳が少しだけ悲し気に見えた。
「ティアナ王女に婚約者がいる事は知ってたわ。酒飲みの放蕩息子だって、言ってたのを聞いた事があったから。でも、その時は解らなかったの。...それが、あなただとは。」
ラスティアは余りにも鋭いゼネテスの目に顔を背けて、でも動けない身体に仕方なく、はだけたままのゼネテスの胸に頬をつけた。
直接触れあった肌の感触に、お互いの身体が反応する。
「私もバカだわ。考えれば解る事なのに。
どうしてただの冒険者の貴方が、王宮の隠し扉の首飾りを持っていたのか。
どうしてその扉がティアナ王女の部屋に通じていたのか。どうして...」
頬のしたのゼネテスの胸が熱を帯びているのを感じる。下から見上げるその顔は唇を曵き結び、目はきっと前を見据えていた。押し付けた耳に聞こえてくる確かな鼓動が、その表情とは裏腹にどんどん速度を増して行くのを不思議な気持で聞く。
「あの日、ギルドに行く前に思い付いて王女を訪ねたの。そうしたら誰かお客さまがいる様子で。...引き返そうとしたその時、聞こえたの。貴方の名前が。」
その時の衝撃が再び蘇って、ラスティアは身体を震わせた。
彼女にとっては本当に晴天の霹靂だったのだ。いつも優しく見守ってくれていた冒険者ゼネテスが、実はロストールで1、2を争う貴族の嫡子でその上王女の婚約者だったとは。ただの、しかも駆け出しの冒険者でしか無い自分と、全く住む世界の違う人。
あの日、そう思った途端、ラスティアはその場を逃げるように駆け去り、ギルドへ直行した。考える余裕も無くその時あるなかで一番遠方の仕事を請け負い、旅支度を始めたのだった。
「お前さんは、誤解している。」
「一体何を?あなたはファーロス候じゃないって言うの?」
「...そうじゃない。そうじゃない。だが、お前さんが思っているような事じゃ、ないんだ。」
「何が違うって言うの?私は、..!」
尚も言葉を続けようとしたラスティアは、堪り兼ねた様なゼネテスの熱い唇に、続く言葉を飲み込まれた。
一体どれだけの時間が経ったのだろう。お互いに息を荒げて唇を離した時には、ラスティアの頬は真っ赤に上気し、その胸は苦しかった呼吸に大きく上下していた。そんなラスティアを見つめるゼネテスの胸も激しく波打ち、うちに秘めた情熱の荒々しさを感じさせた。
ラスティアの身体はガクガクとふるえ、もう立っているのもままならぬ程だった。その様子を感じ取ったゼネテスは、そっと彼女を抱き上げると、無言で歩き始めた。人通りが少ないとは言え、公衆の往来である。恥ずかしがって降りようともがくラスティアに有無を言わせず、ゼネテスはどんどんと足を進める。恥ずかしさも手伝ってラスティアは顔をゼネテスの首元に埋めた。
ゼネテスのうなじに熱い息がかかる。
拷問の様だ。
ゼネテスはそう思った。
このまま一体何処に行くのだろう。顔をうずめたラスティアがふと不安に思ったその時、ふわっと、優しくゼネテスは彼女を降ろした。
そこは、いつもロスト-ルでラスティア達が泊まる宿の前だった。
「明日、時間が取れないか?」
真面目な顔でゼネテスが訪ねる。
「今日は、俺は、酔っている。
説明したいんだ。お前さんがきちんと納得する迄。...いいな?」
嫌だ等と、とても言えない表情でそう告げると、ラスティアの返事も聞かず、ゼネテスは背を向け、歩き出した。
反射的に何か言おうと口を開けたラスティアに、上の方から聞き慣れた声が降って来たのはその時だった。
「どうした。大丈夫か?」
低い、抑揚のない、セラの声。
その声にラスティアの視線の先のゼネテスが足をとめる。振り仰ぐと、宿の2階のテラスから顔を覗かせたセラが、道の先のゼネテスを物凄い視線で根目付けているのが見えた。
見返すゼネテスのその目も、今迄ラスティアが一度も見た事が無い程鋭くぎらついているように見えた。
やがて、にらみ合っていた視線を逸らして、ゼネテスはもう一度ラスティアを振り返った。
「明日...。待っている。」
そう告げると、今度は振り返る事なく、彼は夜の闇の中に消えて行った。
ラスティアはどう処理して良いのか解らない複雑な気持ちそのままの視線で、セラを見遣ってから、大きく吐息をつき、宿のドアを開けたのだった。
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