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この患者さんの薬は、一包化あり、いくつもの別包の頓服薬あり、外用あり、・・・・などなど、
特別手間がかかるので、前もってあらかじめ用意するほどなのですが、
部外者にはその大変さは分るわけもありません。
押し問答する時間も、もったいないので、
「 約束をたがえたのだから持って来い
」と言いたげな気持ちを察して、
午後から配達するとその場を切り抜けました。
でもすぐに、その人の勢いに負けて、その人だけ特別扱いした自分に腹が立ってきました。
頑張っているのは、このヘルパーさんだけでないこと、
いくら言われても、順番は変えられず、他の患者さんは、ちゃんと待ってくださること、
我々も、それ以上の事はできないこと、
つまり、三者の中で、自分の勝手を通したのは、彼女だけであること、
これからは、こんな事はできないことを、にじみ出てしまう怒りを抑えながら言いました。
そこの事務室のトップの人は、謝って、「 うちの悪い印象(を世間に)あたえてしまいましたね。 」と言いました。
担当のヘルパーさんに、薬の説明をし始めたら、ひょっこりとおばあさんが一人、帰ってきました。
このヘルパーさんにいきなり、
「 何してたん、連絡しんと。
」と叱責され、おばあさん怯えて固まってしまいました。
なおも攻撃が続きます。私はあっけにとられていましたが、
トップの人が、
私の説明を続けて聞くようにと指示し、おばあさんを引き受けました。
「老人ホーム」が、どこもこんなではないでしょうが、悪印象は最上級に達しました。
帰り道、車のそばまで迫っている田んぼには、緑の葉の中に、鮮やかな黄金色に実った稲の穂が、重い頭を垂れていました。
どんなに夏の熱い風が吹いてきても、文句も言わずに、ユラユラ揺れています。
窓を開けて、空気を胸いっぱい吸い込んで、午後からは、にっこり笑って、がんばろうと、へとへとの身体に、鞭を打ちました。
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