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2014年10月21日

iPhoneのヒットが消費増税阻む? 輸入急増なら貿易赤字拡大の恐れ





 米アップル社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新型機の販売動向を、政府関係者が注視している。

 アイフォーンの輸入が急増すれば貿易赤字が拡大するためだ。安倍晋三首相が消費税率10%引き上げ判断の材料とする7〜9月期の国内総生産(GDP)成長率に影響する可能性もあり、人気スマホがアベノミクスの思わぬ障害になるかもしれない。



 アイフォーン新型機が発売された9月19日。アップルストア表参道(東京都渋谷区)では、午前8時の開店とともに来店客がなだれ込んだ。購入した会社員男性(37)は、「従来品より電池持ちがいいと聞いた」と相好を崩す。

 だがこの“狂騒曲”に、政府関係者は冷ややかな視線を投げかける。「アイフォーンが売れれば貿易赤字が膨らむ」ためだ。

 日本の貿易収支は8月までに26カ月連続の赤字が続く。主因は原子力発電所の長期停止による火力発電用燃料の輸入増だが、9月に限ってはアイフォーンが“戦犯”。中国からのスマホを含む通信機輸入は、平成24年9月が前年同月の約2.5倍、25年9月も90.8%増に膨らみ、貿易収支の足を引っ張る。

 悪影響は貿易赤字にとどまらない。政府が消費税率10%引き上げの判断材料とする7〜9月期GDP成長率は、貿易収支などの「外需」が含まれ、「アイフォーン輸入が増えるほどGDPが押し下げられる」(大手証券のエコノミスト)。

 実際、新型アイフォーンの販売は好調だ。米アップル社は発売から3日間の販売台数が1000万台を突破したと発表。8月の貿易統計では中国からの通信機輸入が33.1%減と「9月の新型機発売に伴う買い控えの動き」(財務省)も出ており実売も順調とみられる。9月上中旬の貿易収支は7682億円の赤字で赤字幅は縮小したが、アイフォーンの影響は9月下旬からで、エコノミストらからは「9月は赤字拡大の可能性が高い」と悲観的な予想が挙がっている。注目の9月貿易統計は22日に公表される予定だ。
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