北朝鮮による拉致被害者らの調査を巡って、北朝鮮側と協議を行う日本政府の代表団は27日、ピョンヤンに入り、28日からの協議で、調査の現状を把握するとともに、拉致問題の解決が最優先だという立場を調査の責任者に直接伝えることにしています。
外務省の伊原アジア大洋州局長をはじめ、外務省や警察庁、拉致問題対策本部、厚生労働省の10人余りからなる政府の代表団は日本を出発し、日本時間26日夜、経由地の北京に到着しました。
代表団は、27日午後、北京空港から航空機でピョンヤンに入ることにしています。
代表団と特別調査委員会のメンバーとの協議は28日から2日間行われる予定で、伊原局長らは、北朝鮮側が「初期段階にある」としている拉致被害者らの調査の現状を把握するとともに、拉致問題の解決が最優先だという日本の立場を、調査に携わっている責任者に直接伝え、誠実な対応を迫ることにしています。
このため、政府は、28日からの協議で、特別調査委員会の委員長を務める国家安全保衛部のソ・テハ副部長や、委員会の下に設けられている4つの分科会のうち、とりわけ、拉致被害者の分科会の責任者などと面会できるよう、北朝鮮側と最終的な調整を進めています。
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ソ・テハ委員長とは
拉致被害者らの調査を行うために北朝鮮が立ち上げた特別調査委員会の委員長はソ・テハ氏です。
これまで表舞台に登場したことはありません。
北朝鮮側の説明によりますと、ソ・テハ氏は、国の最高指導機関と位置づけられている国防委員会の安全担当参事で、かつ、秘密警察である国家安全保衛部の副部長です。
国家安全保衛部は、去年、チャン・ソンテク氏の粛清を主導するなど北朝鮮国内で強力な権限を持っています。
北朝鮮指導部としては、そうした強い権限を持つ組織の高官を特別調査委員会のトップに置くことで、拉致を実行した工作機関に対して突っ込んだ調査を行う姿勢を示すねらいがあるとみられます。
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