流通業界2強のイオンとセブン&アイ・ホールディングス(HD)の2014年8月中間連結決算が3日、出そろった。セブンはコンビニエンスストアが好調で過去最高益を更新する一方、イオンは主力の総合スーパーが不振で、最終(当期)利益は前年同期比9割減と明暗が分かれた。だが、スーパーの低迷はセブンも同じで、根本的な改革を迫られている。
「消費増税後の対応が不十分、稚拙だった。現場の反応が遅かったり、本部の能力が不足していたりして、競争力が落ちている」。イオンの岡田元也社長は3日の決算記者会見で、反省を口にした。イオンは4月の増税に合わせ、5000品目のプライベートブランド(PB)の税込み価格据え置きを実施。その後も野菜の安売りセールなどを実施したが、さらに安値で販売する競合に顧客を奪われ、総合スーパー事業は131億円の営業赤字だった。夏場の天候不順も響いた。
一方、セブンは、PB「セブンプレミアム」の約8割を刷新したほか、セブン−イレブンのいれたてコーヒーが好調を維持し、営業、最終各利益とも過去最高を更新。村田紀敏社長は「商品やサービスの質を追求し、新しさを打ち出すことで体質を強化した結果だ」と振り返った。
コンビニ中心のセブンと、スーパー中心のイオンで明暗を分けた格好だ。だがセブンもスーパー事業の営業利益は前年同期比22%減と不振の構図に変わりはなく「いままでのやり方を根本的に変えないといけない」(村田社長)と危機感を募らせる。
セブンは一律の商品を大量発注して安値販売する従来型手法を徐々に改め、地域のニーズに合わせて店舗ごとに発注する割合を増やす。単なる安売りではなく、高くても良い物を求めるニーズに応える。
イオンは、来年1月に完全子会社化する予定のダイエーとの一体改革を進める。今月、大規模な合同セールを開催するほか、家族向け、50代向け、都市居住者向けなどターゲットを絞った店舗作りを行う。また建設費の上昇を受け、15年度から約20店舗の大型ショッピングセンターへの建設投資をしばらく凍結し、グループ内再編を優先する考えも明らかにした。
来年10月に予定される消費税率の再引き上げについては、見方が分かれている。村田社長は「少し先延ばしするのが良いのでは」と話す一方、岡田社長は「先送りすべきだとは思わない。ただ価格競争は激しくなる」と指摘した。
◇総合スーパー(GMS)
食品だけでなく、衣料品や住居関連の商品などを幅広く取りそろえた大規模な小売店。経済産業省は「衣食住の各商品を小売りし、そのいずれも小売販売額の10%以上70%未満にある事業所で従業員50人以上」と定義している。米国で発展した形態で、日本では1960年代後半から大型店の出店を始めたダイエーが先駆けとされる。大量仕入れ、大量販売が特徴。安値路線が消費者に支持され、小売業界の主役となった。ところが90年代後半以降、衣料品のユニクロをはじめとする専門店が台頭し、低迷が続いている。業界ではGMS(General Merchandise Store)と呼ばれる。これに対し、食品比率が70%以上の小売店を食品スーパーという
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