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2014年10月12日

<大規模太陽光>参入凍結 経産省検討、電力量を制限



 電力会社が太陽光など再生可能エネルギーを一定価格で買い取る「固定価格買い取り制度」を巡って、九州電力など電力5社が新規受け入れを停止した問題で、経済産業省は11日、大規模な太陽光発電の新規認定を一時停止する検討に入った。既存の太陽光発電事業者の新増設も凍結するなどして、太陽光発電に集中している再生エネの供給量を制限する。15日の同省審議会で固定価格買い取り制度見直しの具体化に入り、年内に方向性をまとめる。

 福島第1原発事故を踏まえて、政府は再生エネの導入推進を掲げてきた。固定価格買い取り制度は再生エネ発電への新規参入を促す柱と位置付けられてきたが、抜本的な見直しを迫られ、制度設計の甘さを露呈した格好だ。

 経産省は、固定価格買い取り制度を2016年度から見直す方向で検討を進め、改正法案を15年度に国会に提出する方針。政府による再生エネの認定量や買い取り額に上限を設ける総量規制や、太陽光発電の買い取り価格を引き下げるなどの見直しも検討している。認定済みの再生エネ設備の稼働を優先し、小規模な住宅用の太陽光発電の認定も継続する方向だ。風力や地熱など再生エネ全体のバランスを図る狙いもある。

 「固定価格買い取り制度」が導入された12年7月から今年6月までに政府の認定を受けた再生エネ設備の出力は計7178万キロワット。うち大型の太陽光発電(出力10キロワット未満の住宅用以外)は6604万キロワットと約9割を占める。風力や地熱よりも事業開始手続きに時間がかからないため、再生エネの新規参入事業者は太陽光に集中してきた。

 新規事業者には送電網がなく、大手電力各社が買い取りを義務付けられてきた。だが、電力各社は認定された電力をすべて受け入れると、管内の全需要を上回り、需給バランスが崩れて周波数や電圧が乱れ、大規模停電や発送電設備の故障などにつながりかねないと主張。九州のほか、北海道、東北、四国、沖縄の各電力会社が再生エネの新規受け入れを停止し、再生エネの事業者に混乱が広がっている。

 【ことば】固定価格買い取り制度(FIT)

 電力大手に再生エネ発電電力の買い取りを義務づける制度。東日本大震災後、再生エネの拡大を図るため、2012年7月に導入された。政府が認定した太陽光や風力などに1キロワット時当たりの買い取り単価が設定され、電力会社が最長20年間一定価格で買い取る。単価は年度ごとに見直される。買い取り費用は電気料金に上乗せされている。
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