健康寿命とは、自分の力で健康的に生活できる期間のことを指す。単純に平均寿命を延ばすだけでなく、いかに健康的であるかが重要だとして2000年にWHO(世界保健機関)が提唱した。
厚生労働省が行った国民生活基礎調査によると、13年の健康寿命は男性が71.19歳。女性は74.21歳であった。つまり平均寿命と健康寿命には男性で約9歳、女性では12歳以上も差があるのだ。
この差が大きくなればなるほど医療費や介護にかかる費用は増加することになり、高齢者の生活レベルは低下するおそれが強まる。厚生労働省もいかに健康寿命を延ばすかを重要な政策課題と位置づけている。
また、各自治体も高齢者の健康推進には積極的だ。寝たきりや要介護度の高い人が増えるとその分医療・介護費用が増し、財政を圧迫するからである。健康寿命をいかに延ばすかは本人や家族だけでなく、社会全体の課題と言えよう。
長期的に健康寿命を延ばすためには30代や40代といった比較的若い年齢層の意識改革も必要だ。例えば日本人の国民病ともいえる糖尿病は腎障害や失明といった様々な合併症を引き起こす。糖尿病による自覚症状が出るまでには罹患から20年以上掛かる場合もあり、若い世代にとっても決して他人事ではない。日本人はすい臓の機能が弱い人が多く、一見すると太っては見えない人でも内臓脂肪が多ければ恒常的に血糖値が上昇してしまう。日頃の食生活や定期的な運動が将来の健康寿命に大きな影響を与えるのだ。
自治体によっては高齢者がスポーツジムを利用した際、貯まれば商品券と交換できるポイントを付与したり、スポーツイベントを多数開催したりと様々な工夫を凝らし、試行錯誤を始めている。国民が楽しみながら健康増進するための環境整備は現在急ピッチで進んでいる
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