両者は何が違うのか。
結論は一緒である。学者が勝手に変えたと思っておけばよいであろう。
なぜ変わったかと推測すると、従来より議決権ベースでの持分比率よりも影響力・支配力をベースとして連結の範囲は捉えるべきという考え方が浸透してきたが、この考え方が根底にある。
究極に言えば、ゼロ連結もあり得るだろう。
そうした場合に、連結親会社は持分ゼロ、持分でいえば少数になるのである。この場合は残り100%が少数株主となる。確かに字面だけでいえばおかしな話である。英語で考えても100%がMinorityというのはおかしい。
ということで支配力を持っていない権利部分ということでNon-controlling interestという勘定になったと推察する。
IFRSでは2008年にIFRS3号でこの定義を見直したが、日本では2013年に見直した。
米国基準でもIFRSとの共同作業のもと2008年より適用を開始したとなっている。ドコモのSEC基準のForm20−Fによれば2009年度から変わっている。
USCPAの勉強でも当然Non-controlling interestで覚えておこう。昨年受けたプロアクティブの授業では、このあたりの変更について、まだ解説していたので録画した時期が古いのであろう(心配な方は直前講座とかを受けましょう)。
さて、みなさんはかつて少数株主持分が負債の部でも資本の部でもなくその間にあったことをご存じだろうか。私の会計士受験時代はそうであった。さらにその昔は負債の部にあったらしい。
この考え方には、財務諸表が誰のためのものかという2つの視点、親会社説(Parent company concept)と経済的単一体説(Economic unit concept)というものがある。
親会社説
会社は親会社のもの、そのため少数株主持分は資本ではない(負債でもない)。
経済的単一体説
会社は株主みんなのもの、そのためすべての株主持分は資本。
そしてIFRSは経済的単一体説にたっており、親会社説を主流の考え方としていた日本も国際的な流れに従った模様。日本はもともと親会社説に立っているので資本の部から純資産の部と名称を変えることによって、少数株主を純資産の方に入れてきた経緯もある。
とまあ、財務会計のバックグランドを日本の公認会計士は受験中学ぶが、USCPAはそんなこと学ばない。だからUSCPAは簡単だとか言われてしまうのだが、日本人にとっては十分に難しい試験である。
わが社も内部資料は未だにMinority interestという記載をしている。そちらの方が会計に詳しくないメンバーにも浸透しているワードだからだ。
結論:Non-controlling interestとMinority interestは一緒だし、どちらを用いるかによって財務諸表上の会計数値が変わるわけでもない。
IFRS解説シリーズ〈2〉連結 (IFRS解説シリーズ 2)
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あらた監査法人 第一法規株式会社 2013-06-24
ALEX
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