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2016年03月31日
水分補給が無酸素性運動に及ぼす影響(3%の体重減少によって、上下肢の無酸素性パワー発揮能力が低下、運動中の心拍数上昇、主観的運動強度の上昇、およびレップ数の低下がみられた)
水分補給が無酸素性運動に及ぼす影響
水分補給が無酸素性運動に及ぼす影響については、1~3%余りの体重減少を生じさせる水分欠乏によって、無酸素性パフォーマンスが低下したことが一部研究で明らかになりました。
その中には、水分欠乏によって、バスケットボールとサッカーのスキルパフォーマンスが低下したとする研究もあり、また、筋力とパワーが脱水の悪影響を受けたとする研究もあります。
パフォーマンスに影響を与える因子
Hayes&Morseは、垂直跳びと120°/秒の等速性レッグエクステンションには脱水の影響はみられませんが、等尺性および30°/秒レッグエクステンションは脱水によってパフォーマンスが低下したことを明らかにしています。
Jonesらは、約3%の体重減少によって、、上下肢の無酸素性パワー発揮能力が低下したことを、Kraftらは、同じく3%の体重減少によって、レジスタンスエクササイズのパフォーマンスが有意に低下し、運動中の心拍数上昇、主観的運動強度(RPE)の上昇、およびレップ数の低下がみられたことを報告しています。
このようなパフォーマンス低下のいくつかは、気分の乱れや認知能力の低下も影響している可能性が考えられており、様々なレベルの脱水に関して、気分の乱れ、集中力の低下、および認知能力の低下が生じることが明らかになっています。
したがって、脱水による生理学的、心理学的な筋力低下が組み合わさって、パフォーマンスの低下をもたらしていると考えられています。
引用・索引Armstrong LE,Ganio MS Casa DJ,Lee EC,McDermott BP,Klau JF,JimenezL,Le Bellego L,Chevillotte E,and Lieberman HR Mild dehydration affects mood in healthy young women,J Nutr142:382-388.2012
2016年03月29日
水分補給と環境条件による競技パフォーマンス(暑熱環境下においては、水分欠乏に加えてかなりの暑熱負荷がかかることが予想されるため、自分のペースで運動できることは非常に重要になる)
体重減少と競技パフォーマンス
パフォーマンス低下を防ぐために、2%以上の体重減少を避けることを推奨していますが、その一方で、近年のメタ分析は、体重減少がかえって自転車タイムトライアルの結果を向上させた可能性があると結論づけています。
ただし、これらの自転車タイムトライアルは、温和な環境条件下(気温26℃)で行われた点に注意しなければならず、2%以上の体重減少を避けることは、複数の研究においては、これを支持する結果が出ています。
水分補給と環境条件
最近の2つのフィールド研究では、トレイルランニング選手を同一の運動強度で走らせたところ、水分補給状態で走る場合に比べて走行速度が有意に遅く、心拍数が高くなりました。
最近の論説記事は、このような研究結果の不一致が生じる原因として、コントロールされた実験室研究において疲労困憊まで運動を行う場合と、「できる限り長く」ではなく「できる限り速く」運動する実際の競技イベントとでは、状況が異なることを指摘しています。
さらに、実験室研究では固定強度で運動が行われることが多いのに対し、実際の競技ではアスリートが自分のペースで運動できるという点にも注意しなければなりません。
暑熱環境下においては、水分欠乏に加えてかなりの暑熱負荷がかかることが予想されるため、自分のペースで運動できることは非常に重要になります。
ほとんどの人は、暑熱環境に対応しようと自然に運動強度を下げるため、タイムは遅くなり、パフォーマンスは低下することが多く、例として、通常より高温の環境下でのマラソンを走ったことがある人なら、レースが始まっていない段階で、今回はベストタイムを出せそうもないと早々に見通しをつけます。
引用・索引Armstrong LE,Ganio MS Casa DJ,Lee EC,McDermott BP,Klau JF,JimenezL,Le Bellego L,Chevillotte E,and Lieberman HR Mild dehydration affects mood in healthy young women,J Nutr142:382-388.2012