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2023年03月21日
18歳 卒業式の朝 prologue1
救急隊員が担架に夫を乗せ、寝室を出ていくとき
夫の手が、自分のおなかあたりを?いているのが見えた。
少しは意識がある?そう思って「お父さん、今から病院へ行くからね」と
夫に声をかけた。
救急車には私は付き添い乗っていくことにした。
救急隊員が受け入れ病院に連絡を取っている間、私は娘に
先生にはすぐ帰れるようにあとで私から連絡入れておくから。」
「私も付き添わなくてもいいの?」 と娘が言った。
「今日高校最後の日だからね…私は行けないけどあんたは楽しんでおいで」
「ただ、卒業式が終わったら、できるだけ早く病院に来て」 と言い
夫の保険証などを
持って救急車に乗り込んだ。
病院へ向かうとき救急隊員が血圧・脈拍などを測定して病院と連絡とっていた。
「血圧228-162 呼吸64 意識レベル?V-2」
医療の知識がほとんどない私でも血圧228-162 という数字が尋常な数字ではないことは
すぐに分かった。
"夫に体に何が起こってるの?” と言いようのない不安が私に襲ってきた。
救急外来に到着し、夫は検査のためストレッチャーに乗せられて検査室へ入っていった。
私は…家族待合室へ案内され、不安で心細く一人で待っていた。
空が明るくなってきた6時ごろ、娘が私がいる家族待合室にあったかいお茶を持って来てくれた。
「お父さんは?」
「検査からまだ戻ってきてない…」
「卒業式は何時から?」と私が聞くと
「10時からだから大丈夫」と娘。
6時半ごろ?ドクターが呼んでいると、看護師さんが私たちの前に現れた。
診察室と書かれた個室に娘と入ると
35歳くらい? まだ若いドクターが真剣な表情で、私たちの顔を見た。
「大変申し上げにくいのですが…ご主人の状況はかなり悪く…率直に申し上げると
くも膜下出血 です。 まだ意識も回復していませんので、
このまま回復しないのであれば…」 と
言葉を濁らせた。
「意識さえ回復すれば大丈夫ということですか?」と私が尋ねると…
ドクターは「意識が戻っても重い後遺症が残る場合があります」と私たちに告げた。
「今、ご主人はICUで全身管理され懸命に闘っています。
後ほどICUにご案内しますので、もうしばらく待合室でお待ちください」
そう言われ私たちは先ほどまでいた家族待合室で待つことにした。
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