2013年05月21日
利益剰余金について
投稿者 株式トレーダーM
今日ふとした瞬間に、リーマンショックの時の不思議な会話を思い出した。
T社が非正規社員の雇用削減を含む雇用調整を行うという報道があった時、
テレビでHさん(今は政治家になっている人)が、T社には 利益剰余金がいっぱい
あるのだからこれをなんとか使えないものだろうか?という話をしておられた。
これを聞いて、私は唖然としてしまいました。
利益剰余金についてHさんは全く誤解していると・・・
また、いろいろな掲示板でもこの会社は利益剰余金が、例えば100億あるのだから、
この会社の時価総額が100億を下回るのはおかしいということが書いてあるのを時々
見かけることがあります。
利益剰余金はあくまでその会社の資金調達の内訳の1つに過ぎず、利益剰
余金の金額をその会社が現預金として持っているとは限りません。
利益剰余金とその会社の企業価値の相関関係も正比例するわけではありません。
貸借対照表(バランスシート)の右側は資産の資金調達の内訳であり、左側はその
調達資金がどのようなものになっているかを示しています。
つまり利益剰余金は、仕掛品や商品や製造設備などのいろいろな資産に姿を変えている。
だから利益剰余金=その会社の現預金とはならない。
T社も利益剰余金がいっぱいあるのに、なぜ雇用調整が必要なのかと批判されたとき、
このような趣旨の説明をしている。「利益剰余金があるからといって、そのままその分の
現預金をわが社が持っているわけではない、利益剰余金は、いろんな形の資産に姿を
変えているので、誤解していただいては困る」という趣旨の反論をしていた。
まったくT社の説明は正論ですが、意外に利益剰余金について誤解している人が多い
のにびっくりしたのを思い出しました。
特にH氏の発言にはあいた口が塞がりませんでした。
もし今度、貸借対照表(バランスシート)をみる時があったら、バランスシートの右側は
資金調達の内訳、左側は資産の運用先と思って眺めてみてください。
企業は、バランスシートの右側に記載された内訳で資金調達
をして、バランスシートの左側に記載された資産に形を変えて運用し、バランスシート
に記載されていない人材やブランド力なども利用しながら売上げを上げ活動し存続し
ていると理解していただけるとうれしく思います。
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