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2015年12月19日

【イニシエーションラブ】出演者・感想・完全ネタバレ


【イニエーションラブ】
イニシエーション・ラブ.jpg

【出演者】
鈴木:松田翔太・森田甘路
成岡繭子(マユ):前田敦子
石丸美弥子:木村文乃
海藤(同僚):三浦貴大
梵ちゃん(同僚):前野朋哉
和美(成岡の友人):八重垣琴美
桑島課長:山西惇
静岡支店部長:木梨憲武
石丸詩穂(美弥子の母):手塚理美
石丸広輝(美弥子の父):片岡鶴太郎

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【感想】
裏切られたといえば裏切られました。
皆さんは気がつくかな〜
確かにここで書くと分かってしまうので、
感想ではネタバレにかかわる事は書きません。
知りたい方は「あらすじ」読んでください。

でも・・・
僕は何となく気がつきましたよ。
少なくても最初から違和感ありました。
でもここまで作るとは〜
ある意味感心しました。
しっかり作られた映画ですね〜

くりぃむしちゅーの有田哲平が、
最高傑作のミステリーと言っただけの事はある。
ストーリーだけとるとあまり面白いとは・・・
しかし最後まで見ると!!!
そんな映画なんです。一度見てください。
そして皆さんはどこで気がつきますか?


【あらすじ】(ネタバレあり)
〜 1987年7月10日静岡市 〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あの日かかってきた電話に、
僕は感謝しなければならない。
あの電話のおかげで僕は、
彼女と出会うことが出来たのだから。
それは人数あわせで誘われて、
たまたま行ったコンパだった。
僕みたいにデブで朴訥とした顔をした人間が、
コンパに誘われるなんて、
よっぽど誘う人がいなかったに違いない。
これが彼女のまなざしを受けた最初の瞬間だった。
それ以来僕は彼女の眼差しが忘れられなくなっていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
成岡繭子と初めてあったコンパ。
成岡は歯科助手。
鈴木は理学部数学課の学生。
富士通に内定が決まっていた。

成岡は薬指にルビーの指輪をしており、
彼氏から貰ったのか?と友人は聞いた。
しかし成岡は答えた。
「先週誕生日だったから自分で買ったんです。」

〜 8月2日 〜
以前のコンパメンバーで海に誘われた鈴木。
もちろん鈴木の目はずっと成岡を見ていた。
そんな鈴木に成岡は声をかけた。
「タバコ一本いただけますか?」
「友達の前でも吸わないし、
 今日も吸わないつもりだったんですけど。」
「やっぱりタバコ吸う女って嫌いですか?」
そう言ってタバコを吸った成岡は、
「やっぱりこれきつい。」
「カプリっていうやつ吸ってるんですけど、
  これの半分くらいの細さだから、
    いつもの倍煙吸っているって事か?」
それに対して理学部数学課の鈴木は、
「いや。」
「断面積は1/4になるから、
 4倍の煙吸っているって事になるんじゃない?」
すごい。と褒めた成岡は聞いた。
「じゃあ数字を覚えるのも得意ですか?」
そう言って紙に数字を書き鈴木に見せた。
「覚えられましたか?」
「それ忘れないで下さい。」
「家の電話番号ですから。」

〜 8月9日 〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
何度も電話しようと試みるが挫折する毎日。
僕なんか電話したとこで何かがある訳じゃないんだ。
何を期待しているんだ僕は。
勇気を出せ。鈴木夕樹。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そしてやっと電話した鈴木に成岡は言う。
「ずっと待ってたんですよ。」
「もう諦めてました。」
「実は鈴木さんに食事に誘ってもらいたくて。」
驚き鈴木は答えた。
「僕なんかじゃ。」
「女の人と付き合ったこともないし・・・」
成岡は言った。
「真面目で不器用だけど、
 嘘なんてつけないような人がいいなって・・・
                  前から思ってた。」
それを聞いて鈴木は言う。
「僕と食事していただけませんか?」

〜 8月14日 〜
スーツを着て行った鈴木。
おしゃれなバーで小説の話をして盛り上がった。
帰り際に鈴木に聞く成岡。
「そういえば免許なんて、持ってないですか?」
「車があれば・・・」
聞き取れず聞き返す鈴木に成岡は言う。
「次は来週の金曜日でいいですか?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こうして僕にとって金曜日が特別なものになっていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

おしゃれをしてメガネからコンタクトにした。
そして美容室に行って髪型も変えた。

〜 8月21日 〜
成岡は鈴木の容姿を見て言った。
「一週間で凄い変わりましたね。」
「そのほうがいいと思う。」
「私は好き。」
そしてお互いの好きな小説を貸し合う2人。
鈴木は成岡に言う。
「そういえば報告があって。」
「教習所に通い始めたんだ。」
そんな鈴木の行動に喜ぶ成岡。
成岡は鈴木を夕樹の夕から「タックン」。
鈴木は長岡を「マユちゃん」と呼んだ。

〜 9月15日 〜
みんなでテニスに行くことになった。
鈴木と成岡はペアではなかった・・・
成岡は北原とペアで楽しそうであった。
一方鈴木に付きまとう和美。

落ち込み家に帰った鈴木。
すると電話が鳴りった。相手は成岡だった。
「タックン今日不機嫌じゃなかった?」
「タックンは、和美のこと好きなの?」
それを聞いた鈴木は逆に質問した。
「マユちゃんも北原の事どう思ってるの?」
成岡は言った。
「もしかして・・・
 お互い意味の無い嫉妬心燃やしてたのかな?」
「嫉妬するって事は大丈夫だよね?」
「それだけ好きだって事の現われだと思うし。」

それを聞いて自分の嫉妬だった事が分かった鈴木。
「マユちゃん。僕はあなたのことが好きです。」
「愛しています。」
それに対して成岡も言う。
「ありがとう。タックン。私もタックンが好きです。」
電話を切り鈴木は成岡の家に向かった。
そして成岡の顔を見て再度言った。
「マユちゃんのことが好きです。」
そして成岡を押し倒した鈴木。
成岡は言う。
「私もタックンのことが好きです。」
「初めての相手がタックンでよかった。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こうして僕たちは正式に恋人同士になった。
今までのうだつの上がらない人生の
帳尻をあわせるかのように、
僕の人生は急速に方向転換を始めた。
僕はまるでドラマの主人公になったような気持ちで、
毎日毎日マユちゃんのことを
考えられる幸せを感じていた。
変わったことといえば10月から始まった
「男女七人秋物語」が金曜日に放送されるため、
会うのが木曜日に変わったくらい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 10月14日 〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
月日が流れ無事に免許を取得。
僕は中古車を買った。
今まで経験したことの無い時間に、
僕は何でもできるような気がしていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
クリスマスの計画を鈴木に話す成岡。
ホテルでの食事を希望するが、
満室でホテルがとれない・・・
と思っていたがタイミングよく先客から
キャンセルが入って予約が出来た。

〜 12月24日 〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして初めて女の子と過ごす、
クリスマスイヴがやって来た。
半年前まではまさか僕が女の子と一緒に、
こんなお洒落な場所にいるなんて
想像もしていなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ホテルでのディナーを食べた2人。
成岡がしていたルビーの指輪はなく、
なくしてしまったと話す成岡。
来年のプレゼントはルビーの指輪を買う約束をし、
今年のプレゼントはネックレスをあげた鈴木。
一方成岡のプレゼントはバスケットシューズ。
「私男の子にプレゼントしたことが無いから、
       何を買ったらいいのかわからなくて。」
鈴木は幸せな時間を過ごし、成岡に言う。
「来年も再来年も、
  ずっとこんなクリスマスが過ごせたらいいね。」

ディナーの帰り道、
鈴木と成岡を見て通りかかったカップルは、
釣り合ってないと話していた。
それが聞こえて鈴木は成岡に言う。
「マユちゃんに恥じかかせちゃって・・・」
成岡は答えた。
「今でもかっこいいよ。」
「少しぽっちゃりしてるけど。」
「やせたら凄くハンサムかもね?」
応えるように鈴木は言う。
「僕マユちゃんのために痩せるよ。」
「マユちゃんのために、
     もっとかっこいい男にならなきゃ。」
「これは僕の決意表明だから。」
「マユちゃんを幸せにするための・・・」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この子と廻り合ったことで僕の人生は180度変わった。
そう、まるでカセットテープが、
A面からB面に変わったかように、
僕の新たな人生が始まったんだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 6月19日 〜
成岡から貰ったバスケットシューズを履いて、
一生懸命ランニングをする鈴木。
鈴木の体系も変わっていた。

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【SIDE−B】

仕事の評価が認められて、
静岡から東京への転勤を命じられたタッ君。
その話を成岡にすると、
「ようするにタッ君が認められたってことだよね?」
寂しがる成岡にタッ君は言う。
「静岡くらいなら直ぐに飛んでこれるよ。」
成岡はそれに答えた。
「ありがとう。でもそんなワガママ言わない。」
「都会の絵の具に染まらないで帰ってね。」

〜 7月1日 〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺はマユを置いて東京へと向かった。
このときは俺はマユのためなら、
何でもできると思ってた。
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明日は成岡の誕生日。
タッ君は成岡に電話して静岡に帰る約束をした。
電話を切ると同僚の海道が部屋へ遊びに来て、
タッ君の昔の写真を見て言う。
「これ高校時代のスーさん?」
「スマートだね〜」

〜 7月2日 〜
同僚と銀座に行った鈴木。
「俺時間無いから別行動するわ。」
そう言って銀座でルビーの指輪を買って、
成岡のいる静岡に向ったタッ君。
長岡に指輪を渡して言った。
「俺はいつもマユのこと思っているよって言う
      気持ちがそこにはこもっているから。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俗に言う遠距離恋愛と言うものになってしまったけれど
俺とマユの間に東京と静岡の距離なんて関係ない。
俺が車を飛ばせば済むことだ。
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〜 7月6日 〜
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なれない東京での仕事は確かに辛い。
だけど仕事と恋愛を両立させる。
俺がしっかりすればいいだけのことだ。
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会社に行くと、
「あっ鈴木さんですか?」
と声をかけたのは石丸。
「私も新入社員なんですよ。」
「同じ新入社員同士頑張りましょう。」
とても綺麗な女性だった。

〜 7月10日 〜
会社の飲み会。
パワハラ・セクハラ・アルハラ当たり前の桑島課長。
石丸に絡んだでいる桑島をみて、助けるタッ君。

〜 7月11日 〜
静岡に帰ったタッ君は長岡に言う。
「早く静岡帰って来たい。」
「帰ってマユと一緒に暮らしたい。」

〜 7月13日 〜
パソコンを使えない石丸。
タッ君は助けてデータ入力を手伝った。
「ありがとう。鈴木君のおかげで助かったよ。」
「良かったら、軽くご飯行きません?」
こうしてご飯を食べに行った2人。

家に帰るとすぐに成岡に電話した。
「ごめん。残業だったんだ。」
成岡は言う。
「新しい水着買ったんだ〜。ハイレグ。」
「だから今度海行こうよ。」
こうして海に行く約束をしたタッ君。

〜 7月14日 〜
石丸が大学に所属していた劇団サークル。
その劇団の公演に誘われたタッ君。
同期の海道と梵ちゃんも行くとのことで、
断る事できずに行くことにしたタッ君。
しかし公演日は長岡と海へ行く約束した日。

〜 7月16日 〜
長岡に海に行く約束を断ったタッ君。

〜 7月18日 〜
劇団の公演を見に行った。
そこで石丸の元彼で演出家である男性をみた。

〜 8月8日 〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それからなかなか都合が合わず、
マユに会いにいけたのは3週間後の土曜日だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

マユの肌は焼けており、指摘したタッ君。
「お前焼けてない?」
成岡は友達と海に行ったと話すが、
タッ君と一緒に海に行くために買った水着は、
まだ着てないと話した。

〜 8月9日 〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
次の日俺は運転の疲れから、
かかなり寝坊してしまった。
海に向かうも大渋滞で、行くことを諦めた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その車の中で成岡は言う。
「ずっと言おうと思ってたんだけど、
    ここしばらくアレが来てないの・・・」
驚いたタッ君の顔を見て続ける。
「心配かけてもあれだから、
   でもいつまでたっても来ないから。」
タッ君は答えた。
「もし子供できてたら、するか?結婚。」
その言葉を聞いて長岡は言う。
「妊娠したから結婚するって・・・」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺は根拠も無く大丈夫と
声をかけるしか出来なかった。
それから俺とマユは
電話で連絡を取り合うだけとなっていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 8月10日 〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
世間は夏休みに突入していたが、
俺のいた商品開発部にそれは関係なかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

昼休みに石丸はタッ君に聞いた。
「鈴木君、海道君に番号教えた?」
タッ君は返した。
「いや。教えてないけど。後輩の子達は?」
石丸は言った。
「あの子達はそんな事しないだろうし。」
「実はあの時・・・
 海道って言う人が苦手だから助けてねって
                言っておいたから。」
「ちなみに私は鈴木って言う人が好きだから
        ちょっかい出ださないでねって。」
タッ君は驚き聞き返す。
「えっ?今の何?何か・・・告白した?」
石丸は答えた。
「した。」
「サラっと言わないと言えないと思ったんだもん。」
それに対して返事をするタッ君。
「ごめん。」
「俺今君と付き合いたいと思ってないんだ。」
その返事を知ってたかのように平然と言う石丸。
「分かった。大丈夫。謝らないでいいって。」
「これからも普通に接してね。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
石丸さんはアレから
何事も無かったように普通に働いていた。
昼食を一緒にとる機会もあったけど、
別に普通通りに雑談するだけで
恋愛話が再現することは無かった。
マユの家にも言ったけど、
金の事も気になってきたから、
高速道路は使わないようにした。
マユからそのあと変化があったとか、
そういう話はなくて、俺も聞きづらくて、
なんだか気まずい時間が流れるだけだった。
俺は帰り道石丸さんのことを考えてしまっていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
東京に帰り街道と梵ちゃんと酒を飲んだタッ君。
タッ君は海道に問いただした。
部屋に勝手に入って名簿を見たと話す街道。
タッ君は怒った。
「石丸さんはお前の子と嫌ってるぞ。」
「迷惑だって。」

〜 8月23日 〜
タッ君は成岡を連れて産婦人科に来ていた。
診察から戻った成岡に聞いた。
「どうだった?」
成岡は答えた。
「3ヶ月だって・・・」
「どうしよう?」
それには答えずに家に帰った2人。

家に帰ると成岡の部屋には本が沢山あった。
それを見て怒鳴るタッ君。
「俺がおまえと会うために、
 どれだけ切り詰めているか分かっているか?」
「高速も使わずに
  5、6時間かけて運転してきているのに、
           こんな高い本買いやがって。」
「じゃあ俺もう帰るわ。」

お腹の子の話は一切せずに、
怒って帰ろうとするタッ君に成岡は言う。
「私はどうしたらいいの?」
しかし無視して成岡の家を出るタッ君。

タッ君は帰り道に公衆電話から成岡に電話した。
「逃げてごめん。」
「もう逃げないから。」
「決めた。おろそう。」
成岡は電話越しに泣き続けていた。

〜 8月30日 〜
成岡は子供をおろした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺とマユはその日から同じ罪を背負うことになった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 9月4日 〜
その日タッ君は石丸と夕食を食べていた。
石丸は言う。
「橋本さんといい海道くんといい、
 何で興味のない人には好かれるのかな〜」
「肝心な人からは、
     まったく電話はかかってこないのに。」
「さっき私のこと、
 男ならほおって置かないって言ってたけど、
 鈴木君はどうなの?鈴木君だって男でしょ?」
「私のこと放って置けないわけ?」
その質問にタッ君は答えた。
「放って置けないけど、状況にもよるって言うか?」
石丸は間髪いれずに言う。
「彼女がいるからだ?」
「どんな子なの?」
その質問にタッ君は答えた。
「普通の子。石丸さんに比べて子供だし・・・」
「石丸さんのほうが美人だよ。」
「もし俺と君が付き合ったとして、
  そんなに簡単に乗り帰るなんて
               石丸さんも嫌だろ?」
そんなタッ君の正等な答えに石丸は言う。
「分かってるよ。」
「鈴木君がいい加減な人じゃないって事。」
「でも自分がいい加減になりたくないからって
  その子と付き合っているんだとしたら、
     その子がかわいそうだと思うけどね。」
「私前の彼氏に言われたんだ。」
「お前にとって俺は
       イニシエーションだったんだって。」
「通過儀礼ってこと。」
「子供から大人になるための儀式なんだって。」
「初めての恋愛なんてそんなもんなんだって。」
「その時はこの人しかいない絶対って思っても、
    絶対なんてないって分かるときが来る。」
「それが分かって、
        初めて大人になるっていうかな?」
「それを分からせてくれる恋愛。」
「イニシエージョンラブってとこね。」
「鈴木君とその子の恋愛が
            イニシエーションラブなら、
 私にもまだチャンスはあるかな?
            なんて思っちゃったりして。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺はこのとき彼女の言葉に
何かがスーっと抜けるような感じがした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

夕食の帰り道、ラブホテルの前で足を止めた石丸。
「明日休みだからいいでしょ?」
「女に恥欠かせないでよ。行くよ。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
これをきっかけに
美弥子と俺は関係を持つようになった。
マユと会うのもいつしか隔週に変わり
東京で過ごす週末は美弥子と会うようになっていた。
美弥子は遊びの関係でいいって言っていたけど、
いつしか俺はどっちが本命かよく分からなくなっていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 10月31日 〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そんな綱渡りな日々を重ねていた10月末、
突然この生活に終わりが来た。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

成岡と会っていたタッ君。
つい成岡を呼ぶときに間違えた。
「おい美弥子?」
成岡は突然の言葉に聞き返した。
「タッ君。それ誰?」
「嘘でしょ?違うよね?」
自分の失敗に逆切れを始めたタッ君。
「お前は一度も来ないじゃないかよ。」
「こっちは時間をかけて何度も何度も・・・」
「俺が悪いって言うのかよ?」
そう言って成岡に手を上げようとし、
とどめたタッ君は、
「2ヶ月前のあの日。」
「終わってたんだよ。俺たち・・・」
そう言って成岡の家を出た。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1年半も続いた恋愛の、
あっけなく最悪な幕切れだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 11月4日 〜
成岡からルビーの指輪が送り返されてきた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それから俺と美弥子は正式に付き合うことになり、
マユの記憶は日を追うことに薄れていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 11月5日 〜
美弥子からクリスマスを両親と過ごそうと言われ、
成岡と行くはずだった静岡のホテルをキャンセルした。

〜 12月18日 〜
美弥子に電話したはずのタッ君。
しかし間違って長岡に電話が繋がっていた。
電話に出た成岡に対して言葉が出ないタッ君。
成岡は気がついたように言った。
「もしもし・・・タックン?」
タッ君は焦って受話器を置いた。

〜 12月24日 〜
美弥子の家で両親とご飯を食べたタッ君。
その後美弥子の部屋に行きタッ君は聞く。
「なあミヤコ?俺たち結婚するのかな?」
石丸は答えた。
「どうだろうね?」
「そんな先のこと、
  誰にも分からないんじゃないかな?」
その時タッ君は成岡との時間を思い返していた。
そして石丸に言った。
「別れた彼女にこの前間違えて電話しちゃって。」
「そしたらあいつタッ君って・・・」
「さも当然のように。」
「かなり久々に連絡したのに。」
「俺からの電話待っているような感じでさ。」
「俺あのとき、
    勝手にあいつん家、出てきちゃったから。」
「ひょっとしたら別れたとか、
     分かってないのかもしれないと思って。」
「何も知らなかったら、
    ホテルキャンセルしたこともしらないから、
 ひょっとしたら・・・
   ホテルで待っているんじゃないかと思って。」
そう言うとタッ君は家を飛び出し静岡に向かった。


〜 過去の回想 〜
 1986年
・4月25日
 成岡はコンパでタッ君と出会う。
・8月2日
 成岡とタッ君の初めての海デート

 1987年
・2月4日
 成岡はエアジョーダンをプレゼントし、
 自分の誕生日と誕生石を教えた。
・4月1日
 タッ君の入社。
・6月19日
 東京への転勤を伝えられる。
・7月2日
 タッ君は長岡にルビーの指輪をプレゼントする。
・7月10日
 成岡はコンパで鈴木と出会う。
・8月2日
 成岡と鈴木は友人たちと海へ出かけた。
・8月8日
 タッ君が長岡に会いに来て、
 焼けた肌を指摘する。
・8月9日
 鈴木は初めて長岡に電話した。
・8月14日
 成岡と鈴木の初デート。
 「タックン」とニックネームをつける。
・8月21日
 成岡と鈴木は、お互いに好きな本を交換した。
・8月23日
 妊娠が発覚して家に帰ると大量の本があり、
 タッ君は怒って帰る。
・8月26日
 鈴木と毎週会うはずの金曜日。
 体調不良で成岡はキャンセルの連絡をする。
・8月30日
 成岡はタッ君と共に子供を下ろす。
・9月4日
 成岡は鈴木とデート
 体調不良を便秘が原因と伝えた。
・9月15日
 鈴木は成岡に部屋に呼ばれる
・10月31日
 タッ君は成岡と別れた
・11月4日
 成岡はタッ君に指輪を送り返した。
・11月14日
 タッ君は静岡のホテルをキャンセルする。
 鈴木は静岡のホテルに予約を入れる。
・12月18日
 タッ君は間違えて成岡に電話する。
・12月24日
 成岡は鈴木とホテルにいた。
 タッ君は急遽静岡に向かった。

そしてホテルの前でぶつかった鈴木とタッ君。
タッ君は成岡を見て言う。
「マユ。」
倒れた男性に手を差し伸べた成岡は驚いた。
「タックン?」

(終わり)

〜〜 関 連 商 品 〜〜


〜〜RIKUのサブブログ〜〜
・RIKUの映画感想館
・「携帯・スマホゲーム」DORAKENを実際に攻略して・・・

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