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2023年09月14日

みんな大好きジョニー・デップ?@ デビューから大ブレイク直前まで


ジョニー・デップの代名詞といえば、
『パイレーツ・オブ・カリビアン』の
ジャック・スパロウ船長。

編み込んだ顎髭、バンダナを巻いた頭にはビーズのアクセサリーがじゃらじゃら。数々の戦利品を身につけたファッショナブルだけど風変わり、それでいて魅力的な海賊は、ジョニーにしか作れない。

目を黒く縁取ったあの鋭い眼光に射抜かれては、生真面目なウィルとは対照的でいい加減なジャックに惹かれるエリザベスの気持ちもよく分かる。

昔から一風変わった役を好んで演じてきたジョニー・デップを高く評価する人は多かったし、根強い女性人気もあったが、大スターと呼ぶには興行的な成功作に欠けていた。
そんなハリウッドの反逆児、ジョニー・デップの歩みをデビュー作から追ってみよう。
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1984年『エルム街の悪夢』での端役。
87年に始まったTVシリーズ 『21ジャンプ・ストリート』 『クライ・ベイビー』(90)に主演し、アウトロー路線を決定付けた。
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この時のジョニーの選択についてエージェントは語る。

「彼が選んだのは普通なら右に行くところを左へ行くことだった。『僕は踏みならされていない方の道を行く。それが違いを生むんだ』と」

ロックンロールに乗って踊るリーゼントヘアのジョニーは、かなりオイシイ。あの黒く濡れた情熱的な瞳に見つめられたヒロインが、ひと目で恋に落ちたのも無理はない。
そう、ジョニー・デップの魅力は、何と言っても目にある。彼の新作を見るたびに目で殺されてきた、と言っても過言ではない。

左:若く見えるけれど、遅咲きのジョニーはこの時すでに26歳!
そんなジョニーが日本の女性を一気に夢中にさせたのが、今でもカルト的人気を誇る作品、 91年公開の
『シザーハンズ』
だ。
顔は白塗り、全身を黒レザーに包んだハサミの手を持つ人造人間エドワード。

監督のティム・バートンは言う。
「最初ジョニーの演技は抑制されていて無表情だと思ったが、ラッシュを見て驚いた。彼の目は輝き、繊細な苦痛が見事に表現されていた」

端正なマスクを奇抜なメイクで隠したにも関わらず、「目で殺す」演技でファンを魅了したのだった。
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93年『ギルバート・グレイプ』で、病んだ母と知的障害の弟がいるために田舎の町を出られない主人公の心の葛藤を見事に表現し、"深みのある感情表現ができる役者”としての評価を得る。本当の知的障害者にしか見えない演技で、鮮烈な印象を残した レオナルド・ディカプリオに食われたようにも見えるが、ジョニーは恐らくそれを承知で抑えた演技に徹したのだろう。家族を見守る主人公の目は一見静かで優しいが、実は自由になれないやり場のない怒りに燃えている。

この撮影中、彼の私生活は恋人 ウィノナ・ライダー (下右)との恋愛が取り沙汰されるなど荒れており、「心に怒りと敵意を抱いていた」とジョニーは後に語っている。

1989年ジョニーの一目惚れから始まり、友人の紹介を経て交際をスタートさせた5ヶ月後、1990年の共演作『シザーハンズ』公開の年に婚約。結婚したいという二人の意に反して、当時まだ17歳だったウィノナの両親が反対。婚約状態が続いていたが4年後の1993年、ジョニーがウィノナを振る形で交際は終りを迎えた。

ジョニーがウィノナと交際中に「Winona forever(ウィノナ・フォーエバー)」というタトゥーを彫り、破局後にそれを「Wino forever(酒飲み・フォーエバー)」に修正したことは有名だ。
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破局の理由は明らかにされていないが、『ビートルジュース』や『シザーハンズ』ですでにティーンに大人気だったウィノナとの格差恋愛と言われていただけでなく、その後ジョニーの人気が高まるにつれてマスコミからの注目度も高くなり、ハリウッドでプライベートライフを保つことはとても大変だったと、後年ジョニーは語っている。

同年ヒューマン・ラブストーリー 『妹の恋人』(下左)で、バスター・キートンに憧れる青年を演じ、ゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされた。また、翌94年にアメリカ映画史上最低と云われた映画監督を演じた 『エド・ウッド』でも同賞にノミネートされ、演技派としての評価はすでに勝ち得ていた。
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95年の 『ドン・ファン』(上右)は、自称 “愛の貴公子”という役柄だけあってジョニーの美しさを堪能したい方には必見の映画だ。男らしい骨格を持つ顔は浅黒く野性的なのに、そこはかとない優しさや憂いを湛えた黒い瞳が美しく、目をそらすことができない。

95年には 『ニック・オブ・タイム』 クリストファー・ウォーケン(下左)と、97年にはマフィアに潜入する捜査官を演じた 『フェイク』 アル・パチーノ(下右)と、大物との共演が続いた。
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97年には自ら監督・脚本・主演を務め、『ドン・ファン』で共演した 名優マーロン・ブランドを迎えて撮った 『ブレイブ』が公開される。
貧しい家族を養うため、自分の命と引き換えに大金を得るネイティブ・アメリカンの最後の一週間を描いたこの悲しい物語をジョニーが映画化したことには、彼の生い立ちが深く関わっている。


ジョニー(本名ジョン・クリストファー・デップ2世)は、1963年6月9日、アメリカのケンタッキー州オーウェンズボロで生まれた。母方の祖父がチェロキー族なので、ジョニーにもネイティブ・アメリカンの血が流れている。彼がどこかエキゾチックで日本人好みの顔立ちなのはそのせいだ。

40回近く引越を繰り返すという少年時代を送り、ドラッグに手を染めたのは11歳。15歳で両親が離婚。高校をドロップアウトしてバンド活動に夢中になるなど、貧困も重なって典型的な不良少年だった。20歳で結婚したが2年で離婚。その後も、付き合う女性ごとに婚約と破局を繰り返した。そんな、家庭に対する強烈な憧れを生むことになった彼の生い立ちが、『ブレイブ』には色濃く投影されている。
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1994年から1998年には、これまたジョニーの一目惚れから始まったモデルのケイト・モスと交際。彼女と付き合ってから、ジョニーのファッションセンスは格段に上がったと言われている。交際2年で婚約するが、個性の強い二人はぶつかりあいも激しく、大喧嘩の末に破局。とはいえ今回もケイトの方は失恋を引きずり、仕事に支障が出たことも。やっぱり「別れても、いい男」なのだ、ジョニーは。

99年は クリスティーナ・リッチ共演のゴシック・ホラー 『スリーピー・ホロウ』(下左)、 シャーリーズ・セロン共演のSFサスペンス 『ノイズ』 レナ・オリン共演、 ロマン・ポランスキー監督作の『ナインスゲート』(下右)など、有名女優との共演で多彩な役柄を演じ、主演俳優として不動の人気を獲得していった。
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『ナインスゲート』では、レナ・オリンとエマニュエル・セニエという2大セクシー女優に翻弄される本の探偵を演じている。

出演作を選べるほど引っ張りだこで、映画ファンの間では不動の人気を誇っていたジョニーだったが、世界的なセレブとしては、今ひとつ決定打に欠けていたのも事実。
しかし、その大ブレイクは目前に迫っていた。

次回はあのディズニー作品で究極のメジャー俳優に躍り出たジョニーとその後をお届けします。
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