■ 名門貴族の世界
『ある公爵夫人の生涯 The Duchess』
(2008年/110分/英=仏=伊)
(2008年/110分/英=仏=伊)
18世紀後半に生きた デヴォンシャー公爵夫妻のスキャンダラスな実話を映画化。 故ダイアナ妃の先祖にあたる デボンシャー公爵夫人ジョージアナを演じるのは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の キーラ・ナイトレイ 。裕福な冷血漢デヴォンシャー公爵を演じた レイフ・ファインズ は、ゴールデングローブ賞助演男優賞にノミネートされた。
ティータイムのシーン
華麗なる貴族の生活がふんだんに垣間見られる。長いダイニング・テーブルの端と端に座る2人だけの食事のシーンが何度も出てくるが、その距離がこの夫婦の心の距離も表しているようで切ない。
そして女性たちが集まる場所には、必ずと言っていいほどティーセットが置かれたテーブルがある。
コスチュームが素晴らしい。ファッショナブルだったデヴォンシャー公爵夫人は当時、 イギリス社交界のアイコン的存在。超ゴージャスなドレスだけでなく、マリー・アントワネットのような奇抜な髪型にも注目。
また、映画のロケでも使われている チャッツワース・ハウスは、実際のデヴォンシャー公爵の邸宅。お城のような豪華さに、デヴォンシャー公爵家がいかに裕福だったかが窺える。
スペンサー家の女たちとデヴォンシャー公爵
夫と召使いの間に生まれた子供を育てさせられたり、夫が親友に手を出しただけでなく、彼女と一緒に暮らすことまで強要されたジョージアナ。そのジョージアナとダイアナが生まれ育ったのは、 名門貴族スペンサー家。
ジョージアナの血を引くダイアナがチャールズの愛を求めて苦しんだ姿が重なる映画でもある。
また興味深いのは、レイフ・ファインズ演じるデヴォンシャー公爵。女性目線だと、横暴でどこまでも冷酷非情な権力者に見える彼だが、その本当の姿は…。最後の最後に2人が本当の夫婦になれたと感じるシーンに、私はグッときた。お気に入り俳優のレイフが演じているからかも?
『ゴスフォード・パーク Gosford Park』
(2001年/137分/米)
(2001年/137分/米)
1932年の英国、郊外にある貴族のカントリー・ハウス、ゴスフォード・パークに貴族、付き人、ハリウッドからの客たちが集う。館の中で殺人事件が起きたことで、それぞれの人物に秘められていた過去が明らかになっていく。
アカデミー賞で6部門ノミネートされた、伝説の ロバート・オルトマン監督作品。ゴールデングローブ賞では最優秀監督賞を受賞している。また、アカデミー賞とゴールデングローブ賞ドラマ部門最優秀助演女優賞に ヘレン・ミレンとマギー・スミス の2人がノミネートされた。
ティータイムのシーン
ティータイムというよりは、豪華な食事のシーンが圧倒的に多いのがこの映画。しかも貴族の晩餐だけでなく、階下の召使いや付き人たちの食事シーンまで見られちゃう。 『ダウントン・アビー』を2時間に凝縮したようなオイシイ映画。キジ狩りのために、どんだけのご馳走が用意されるんですかー?とツッコミ入れたくなる。この数日間で、相当量の紅茶が消費されたことだろう…
アカデミー賞で6部門ノミネートされた、伝説の ロバート・オルトマン監督作品。ゴールデングローブ賞では最優秀監督賞を受賞している。また、アカデミー賞とゴールデングローブ賞ドラマ部門最優秀助演女優賞に ヘレン・ミレンとマギー・スミス の2人がノミネートされた。
ティータイムのシーン
ティータイムというよりは、豪華な食事のシーンが圧倒的に多いのがこの映画。しかも貴族の晩餐だけでなく、階下の召使いや付き人たちの食事シーンまで見られちゃう。 『ダウントン・アビー』を2時間に凝縮したようなオイシイ映画。キジ狩りのために、どんだけのご馳走が用意されるんですかー?とツッコミ入れたくなる。この数日間で、相当量の紅茶が消費されたことだろう…
豪華英国俳優陣
チャールズ・ダンス、アラン・ベイツ、スティーブン・フライ、マイケル・ガンボン (ダンブルドア先生)、 リチャード・E・グラント、デレク・ジャコビ、ジェレミー・ノーサム、クライブ・オーウェン、ヘレン・ミレン、マギー・スミス、ケリー・マクドナルド、クリスティン・スコット・トーマス、エミリー・ワトソン と、 イギリスの演劇及び映画界を代表する俳優たちが集結。アメリカからは若手 ライアン・フィリップ が参戦。
この顔ぶれだけでもすごすぎる…。が、 アイリーン・アトキンス、ヘレン・ミレン マギー・スミス の三つ巴の演技合戦だけでも見なくちゃ損!
3回は観たい傑作
登場人物が多いということは、人間関係を把握するのも難しいということ。正直、一度では把握しきれない。
この映画、構成、脚本、演出すべてが実はものすごくよくできているので、一度目はストーリーと登場人物把握、二度目は人間関係と背後のドラマ、三度目にイギリス貴族の世界というように、見どころを絞って数回見ることをオススメします。映画好き、イギリス好きには特別な作品になるでしょう♪
■ ジェーン・オースティンの世界
イギリスを代表する女流作家、ジェーン・オースティンの作品とティータイムは切っても切れない関係、と思うのは私だけではないはず。イギリス好きの女性ならたいてい大好きな ジェーン・オースティン・ワールド!
田舎貴族の女性たちの恋の鞘当てを描いた彼女の小説は、ありがたいことに多くが映画化、TVドラマ化されています。最も有名なのは恐らく、 ミスター・ダーシーとエリザベス・ベネットが主役の 『高慢と偏見』(『プライドと偏見』)だと思われますが、今回はその他の2作品をご紹介します。
『エマ Emma』
(1996年/122分/英)
(1996年/122分/英)
ジェーン・オースティンの人気小説「エマ」を映画化。イングランドの片田舎を舞台に、恋のキューピッドを自認するおせっかいなお嬢様が巻き起こす恋の騒動を描く。
ちょっと困ったちゃん系のヒロインをキュートに演じるのは「アイアンマン」の グウィネス・パルトロウ 。「ザ・インターネット」の ジェレミー・ノーザム に、「トレインスポッティング」の ユアン・マクレガー 、「ミュリエルの結婚」の トニ・コレット 、「ROMA ローマ」の ポリー・ウォーカー など、メインキャストは全員ブレイク前後なので、何だか初々しく感じる。
ティータイムのシーン
これほどティータイムのシーンが多い映画を私は知らない。ティータイムというより、一日中常にそばに紅茶とスイーツが用意されている、という感じ。目玉は風光明媚なイギリス、ドーセット州の美しい丘陵地帯での ピクニック。ティーセットはもちろんサンドイッチやお菓子などもぎっしり詰まったバスケットを従者達が運ぶ、典型的な貴族のピクニックが堪能できる。
ちょっと困ったちゃん系のヒロインをキュートに演じるのは「アイアンマン」の グウィネス・パルトロウ 。「ザ・インターネット」の ジェレミー・ノーザム に、「トレインスポッティング」の ユアン・マクレガー 、「ミュリエルの結婚」の トニ・コレット 、「ROMA ローマ」の ポリー・ウォーカー など、メインキャストは全員ブレイク前後なので、何だか初々しく感じる。
ティータイムのシーン
これほどティータイムのシーンが多い映画を私は知らない。ティータイムというより、一日中常にそばに紅茶とスイーツが用意されている、という感じ。目玉は風光明媚なイギリス、ドーセット州の美しい丘陵地帯での ピクニック。ティーセットはもちろんサンドイッチやお菓子などもぎっしり詰まったバスケットを従者達が運ぶ、典型的な貴族のピクニックが堪能できる。
ジェーン・オースティンならではの 、田舎の中流貴族の生活が垣間見られる。ヒロイン、エマの住むお屋敷 ハートフィールドを中心とした、緑と光あふれる素朴な田舎の風景がとにかく美しい。そして、ヒロインたちが着こなすヴィクトリア時代特有の、胸の下で絞るタイプの ドレスが可愛すぎる〜 白とパステルカラーを中心にした清楚なドレスは、現代でも着られそう♪
とにかく、 あらゆるシーンにティーセットが登場する。結婚式から始まって、ちょっとしたお茶会や絵のお披露目会など室内だけでなく、綺麗に整えられたガーデンにセットされたティーポットとケーキたち。夏には木陰の、涼し気なガラス瓶に入った冷えたドリンクの置かれたテーブルで日記を書く…
田舎だからこそ、風を感じられる自然の中で過ごすことが当たり前の田舎の貴族。カントリーハウスの楽しみ方のお手本のような映画で、個人的にオースティン作品の中で一番好きな映画。
『いつか晴れた日に SENSE AND SENSIBILITY』
(1995年/136分/英=米)
(1995年/136分/英=米)
ジェーン・オースティンの原作 『分別と多感』を主演の エマ・トンプソン
自身が脚本化し、アカデミー脚色賞を受賞した恋愛ドラマ。
19世紀初頭のイギリス、ダッシュウッド家当主が亡くなったことで、貧乏な生活を強いられることになった未亡人と3人の娘たち。ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した アン・リー監督が、最下層貴族として惨めな生活に耐えながらも幸せを掴んでいく彼女たちの人生を、イングランドの美しい映像とともに情感豊かに描く。
ティータイムのシーン
「お茶にしましょう」や「マリアンヌにお茶を入れてあげて」などのセリフでわかるように、彼女たちの生活に紅茶は不可欠。
落ちつきたい時、弱っている時、カップとソーサーを持って好きな場所へ移動して飲む紅茶、絵になります。 エリノア( エマ・トンプソン )が エドワード( ヒュー・グラント )を想いながら、窓辺でティーカップを持って黄昏れるシーンが好き。
19世紀初頭のイギリス、ダッシュウッド家当主が亡くなったことで、貧乏な生活を強いられることになった未亡人と3人の娘たち。ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した アン・リー監督が、最下層貴族として惨めな生活に耐えながらも幸せを掴んでいく彼女たちの人生を、イングランドの美しい映像とともに情感豊かに描く。
ティータイムのシーン
「お茶にしましょう」や「マリアンヌにお茶を入れてあげて」などのセリフでわかるように、彼女たちの生活に紅茶は不可欠。
落ちつきたい時、弱っている時、カップとソーサーを持って好きな場所へ移動して飲む紅茶、絵になります。 エリノア( エマ・トンプソン )が エドワード( ヒュー・グラント )を想いながら、窓辺でティーカップを持って黄昏れるシーンが好き。
王道シンデレラ・ストーリー
これでもかと不幸に襲われる、冷静で忍耐強い分別のある エリノア( エマ・トンプソン )と、溌剌として情熱的で多感な マリアンヌ( ケイト・ウィンスレット )の姉妹が、最後に幸せを掴んで大団円を迎える。このジェーン・オースティン定番のシンデレラ・ストーリー、プラス随所に織り込まれた美しい英国カントリーサイドの風景がたまらない。
ナイス・キャスティング
姉妹の恋の相手役がまたいい。まだ若い ヒュー・グラント が美しく、流されがちで煮えきらない気弱な男の役がとても似合っている。また大佐役を演じた、「ハリー・ポッター」シリーズのスネイプ先生こと アラン・リックマン が、一番かっこよく見える映画でもある。
■ジェーン・オースティン作品から派生
『オースティンランド 恋するテーマパーク Austenland』
(2013年/97分/英)
(2013年/97分/英)
イギリスの人気女流作家 ジェーン・オースティンの世界を体感できるテーマパーク「オースティンランド」を舞台にしたラブコメディ。オースティンの『高慢と偏見』に出てくるダーシーの熱烈なファンである、ちょっとイタい30代のアメリカ人女性ジェーンは、オースティンランドで自分だけのダーシーを見つけられるのか?ヒロインを演じるのは「ウェイトレス おいしい人生のつくりかた」の ケリー・ラッセル
。
ティータイムのシーン
ジェーン・オースティンの小説の世界をそのまま再現したテーマパークなので、マナーハウスのドローイングルームにはいつもティーセットや色とりどりのスイーツが用意されている。パクつく友人をよそに、ジェーンは恋に気を取られて食欲はないみたいだけど…
ティータイムのシーン
ジェーン・オースティンの小説の世界をそのまま再現したテーマパークなので、マナーハウスのドローイングルームにはいつもティーセットや色とりどりのスイーツが用意されている。パクつく友人をよそに、ジェーンは恋に気を取られて食欲はないみたいだけど…
小説のヒロイン疑似体験って、ヴィクトリア時代が大好きな日本人女性にはもうそれだけでウットリですよね。当時の衣装を着て、貴族のカントリーハウスで貴族のような生活を数日間体験できる施設が本当にあったら、私も行きたい!(映画の中でも、その体験費用は高額のようですが…)
『高慢と偏見とゾンビ Pride and Prejudice and Zombies』
(2016年/108分/米)
(2016年/108分/米)
18世紀のイギリスを舞台に、きらびやかなドレスをまとってワルツを踊っていたかと思ったら、ゾンビが現れるやいなやロックをBGMに剣を振り回して バトルモードに突入する姉妹たちがカッコ良くて、笑える。
ヴィクトリア時代の貴族の世界と、ゾンビ・アクション映画の2つを一度に楽しめる稀有な映画かも?!
■ティータイムはイギリス人そのもの
『ムッソリーニとお茶を Tea with Mussolini』
(1998年/116分/米)
(1998年/116分/米)
第二次大戦前の フィレンツェで、英米の貴婦人たちと触れ合う少年の目を通して描かれる女たちの絆。監督は「ロミオとジュリエット」「ジェイン・エア」の名匠 フランコ・ゼフィレッリ。
出演はハリ・ポタ・シリーズのマクゴナガル先生 マギー・スミス 、007シリーズのMこと ジュディ・デンチ など、イギリスを代表する女優が勢揃い。そこにアメリカ人の シェール が、チャレンジする形になっている。
ティータイムのシーン
異国だろうと戦時中の監視下だろうと、とにかくどこにいてもお茶の習慣だけは変えない頑固なイギリス人の御婦人方。なんと当時は、 ウフィツィ美術館にまで小さなティーテーブルを持ち込んでのティータイムを楽しめたようです。敵性外国人として勾留中でも、堂々と(図々しく?)ティータイムだけは断固として死守するあたり、イギリス人でなきゃできません。
出演はハリ・ポタ・シリーズのマクゴナガル先生 マギー・スミス 、007シリーズのMこと ジュディ・デンチ など、イギリスを代表する女優が勢揃い。そこにアメリカ人の シェール が、チャレンジする形になっている。
ティータイムのシーン
異国だろうと戦時中の監視下だろうと、とにかくどこにいてもお茶の習慣だけは変えない頑固なイギリス人の御婦人方。なんと当時は、 ウフィツィ美術館にまで小さなティーテーブルを持ち込んでのティータイムを楽しめたようです。敵性外国人として勾留中でも、堂々と(図々しく?)ティータイムだけは断固として死守するあたり、イギリス人でなきゃできません。
これみよがしに大金を使いまくるフレンドリーなアメリカ人富豪の シェールに対し、辛辣な嫌味で応酬する典型的な英国貴族の マギー・スミス。この火花散る戦いが面白すぎる。でも映画が進むにつれて彼女たちの関係にも変化が。最後はホロッときて、拍手したくなるに違いない。英国貴婦人、バンザイ!
『マイ・ブック・ショップ La libreria』
(2017年/112分/スペイン)
(2017年/112分/スペイン)
懐かしい本の匂い
老紳士エドモンドとの暖かい交流、そして本とフローレンスとの素敵な関係。書店て、なぜか落ち着く空間なんですよね。あなたもきっと、お気に入りの本をもう一度読みたくなってしまうでしょう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
いかがだったでしょうか。
ジェーン・オースティン作品については、語りきれないことがまだまだたくさん!
別の機会で映画やTVドラマ、ロケ地などについて、詳しく書きたいと思っています。
★「日本で味わえるイギリスのスイーツ」の記事は こちら へ。