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とんび 重松清

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鳶(とんび)が鷹(たか)を生む


よく使われることわざで、この小説のモチーフになったのではないのかと思われるのだが、この物語は、鷹は生まれたと

いうか育ったという印象を読み終わった後に感じた。



確かに、なくなった奥さんの容姿や性格を受け継いでる所はあるのだが、


親父「ヤス」の不器用で朴訥な人柄が、母親のいないアキラに、親二人分の愛情を

余すところなく与えている。




それをアキラはさみしい父子家庭ながら、十二分にヤスの気持ちを感じとりながら成長していく。



どんな小説に泣き所というかポイントを作るのだが、この小説は最初の項から泣ける。



奥さんがアキラをだっこして波打ち際を歩いている。それをヤスが借り物のカメラで、シャッターをきるタイミングを計る。


家族の幸せを感じながらファインダーが涙で曇り、歯を食いしばりながらをシャッターを切り続ける。





このシーンが最後のシーンで再びフィードバックするのだが、


特に家族というものがなければ、自分は存在しないという一つの例外もないテーマで涙腺の緩まない人はいないと思う。



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