2013年08月26日
とんび 重松清
鳶(とんび)が鷹(たか)を生む
よく使われることわざで、この小説のモチーフになったのではないのかと思われるのだが、この物語は、鷹は生まれたと
いうか育ったという印象を読み終わった後に感じた。
確かに、なくなった奥さんの容姿や性格を受け継いでる所はあるのだが、
親父「ヤス」の不器用で朴訥な人柄が、母親のいないアキラに、親二人分の愛情を
余すところなく与えている。
それをアキラはさみしい父子家庭ながら、十二分にヤスの気持ちを感じとりながら成長していく。
どんな小説に泣き所というかポイントを作るのだが、この小説は最初の項から泣ける。
奥さんがアキラをだっこして波打ち際を歩いている。それをヤスが借り物のカメラで、シャッターをきるタイミングを計る。
家族の幸せを感じながらファインダーが涙で曇り、歯を食いしばりながらをシャッターを切り続ける。
このシーンが最後のシーンで再びフィードバックするのだが、
特に家族というものがなければ、自分は存在しないという一つの例外もないテーマで涙腺の緩まない人はいないと思う。
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