東京大の古澤明教授らの研究チームが、
光の粒子に乗せた 情報をほかの場所に転送する
完全な「量子テレポーテーション」に世界で初めて成功したと発表した。


論文が15日付の英科学誌ネイチャーに掲載される。
計算能力が高いスーパーコンピューターをはるかにしのぐ、
未来の「量子コンピューター」の基本技術になると期待 される。
量子テレポーテーションは、量子もつれと呼ばれる物理現象を利用して、
二つの光子(光の粒子)の間で、量子の状態に関する情報を瞬時に転送する技術。


1993年に理論的に提唱され、97年にオーストリアの研究者が実証した。
しかし、この時の方法は転送効率が悪いうえ、
受け取った情報をさらに転用することが
原理的に不可能という欠点があり、実用化が進まなかった。



光は粒子としての性質のほか、波としての性質を持つ。
古澤教授らは、このうち効率がいい「波の性質」の転送技術を改良することで、
従来の欠点を克服、これまでの100倍以上という61%の高い成功率を達成した。



◆量子もつれ=光子など二つの粒子が一体としてふるまう物理現象。
送り手と受け手に光子を一つずつ配り、送り手が光子を操作すれば、
その瞬間に受け手の光子も相互作用を受ける。
SFに登場する大きな物体の瞬間移動とは異なる。



“量子テレポテーションの原理”という図は
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20130815-150725-1-L.jpg
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