AERA 2020年8月31日号: https://dot.asahi.com/aera/2020082400050.html
神戸女子大学の平田耕造教授(被服環境生理学)は言う。
「暑いと皮膚から出た汗が蒸発し、体温を下げる働きをするため、(熱中症対策には)水分補給の重要性が訴えられてきました。ですが、今の日本は湿度が高いまま気温が上昇し、昔より暑く感じるようになりました」
多湿のため汗をかいても蒸発せず、大粒の汗を顔からポトポト落とすことになる。
「熱を放散できないまま、汗と一緒にミネラルを失ってしまいます」
そこで活用したいのが、体を効率よく冷やす方法だ。暑いとき、脇や首筋、そけい部を冷やすと気持ちいい。
だが、より速く体を冷やすとの研究結果があるのは、 意外にも手のひらや足の裏、頬など体の末端だ。手のひらなど体の末端を走る「AVA(動静脈吻合・どうじょうみゃくふんごう)血管」が、体の内部を効率よく冷やすという。
AVA血管は、動脈と静脈をつなぐバイパスで、体温を調節する。 手のひら、足の裏、指、頬、まぶた、鼻、唇に流れている。血流量は、毛細血管の1万倍もある。 AVA血管は普段は閉じているが、体温が高くなると大量の血液を流して熱を放出する。そのため、体の末端を冷やすと、冷えた血液が大量に全身をめぐり、体温上昇を抑えることができるのだ。
「特に手のひらは容積の割に表面積が大きいため、AVA血管が多い。しかも服に覆われていないので、冷やしやすいというメリットがあります」(平田教授)
注意すべきなのは、冷やす温度だ。冷たすぎると血管が収縮して、かえって血流が悪くなる。
「体に当てて痛いのならば冷たすぎます。 気持ちいいと感じるくらいが適温で、概ね15〜20度くらい とされています」(同)
平田教授のおすすめは、 暑いと感じたら流水に手をつけること 。出勤時なら手洗いがてら水道水で涼をとるのでもいい。
冷やした水入りペットボトルを握る方法もある。
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スポーツメーカー「デサント」とシャープも、「適温蓄冷材」を入れた グローブ型の「コアクーラー」 を共同開発した。
触れたり、握ったりして、体を冷やす。運動や散歩のとき、寝苦しい夜にも効果が期待できるという。
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