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2019年02月03日

神社の御神木「この風に呑まれたらヤバイ!」【異世界にまつわる怖い話】





15年ほど前の話。



部活も引退していたし、受験はあったけど、
「なんとかなるわw」ってタイプの三人だったんで
勉強もしなかった。

だから暇持て余していたんだ。

うちの近所には中くらいの規模の神社があって、
そこには御神木がある。

そこは夏でも涼しくて気持ちがいいのでよく行っていた。

その日もいつもみたいに
「涼みに行くか」とジュースを買って行った。

御神木の下に着いてしゃがもうとすると、
何かが木にぶら下がっているのに気づいた。

それは首吊りしている人間だった。

「うわーーー!」

と、俺たちは一目散に神社から飛び出た。


「警察に行った方がいいんじゃ...」

ともなったが、
面倒に巻き込まれたくなかった俺らは見て見ぬ振りをした。


しかし、それから数日経っても
『首吊り死体発見!』とのニュースはなかった。

地元で死体など見つかったら大ニュースになるはずなのに…

合点はいかなかったが、
俺らは「見間違いだった」と思い込むようにした。

それから当分神社は怖くて行けなくなってしまった。


またそれから二ヶ月ほどして、その話題も忘れていた頃。

Aが足を怪我をした。

遊びでサッカーしてて骨折したらしい。


Bと見舞いに行くと思いの外元気で、
俺らが病室に入るなり「屋上行こうぜ!」と言い出した。

個室でもなかったし、
中坊が大声で喋ってたら同室者に迷惑だろうと
思ったんだろう。


屋上に着いて暫く喋っていると、ふと違和感がした。

何か得体のしれないものが柵の向こうからくるような感じ。

二人も気付いたみたいで同じ方向を見ていると、
次の瞬間風が吹いた。今まで風なんか殆ど無かったのに。


「この風に呑まれたらヤバイ!」


と直感した俺は、屋上の入り口に走った。

友達も同じだったと思う。


風に追いつかれる前になんとか入り口のドアを開け、
飛び込んだ。

横には息を切らしたBがいる。しかし、Aがいない。

「そうだ。あいつ足怪我して...」

五分ほど経ってもう一度屋上に行くとAの姿はなかった。

「大変なことになった」と思いながら
とりあえず病室に戻ると、
Aのベッドには見知らぬお爺さんがいた。


「あれ?」と思い、病室のネームを見ると、
Aの名前がない。


病室間違えたかと思い、
同じフロアを全室確認したがいない。

しかしそれだけじゃなかった。

Aなんて人間自体存在していないことになってた。

Aの家に行くと、Aの母ちゃんはいるけど、
Aなんて子はいない。妹も弟もいるのに。
(Aの弟が長男ってことになってた)

学校に行っても奴の席はなかった。
(写真等にもいない)



Aが居たことを覚えているのは俺とBだけ。

15年経った今でも不思議でならない。

Bとは

「Aはあの風に呑まれて異世界に行ったんだ」

と話した。


でも俺もBも「それは違う」とほぼ確信している。

そうじゃないと思いたいけど、
Aが異世界に行ったんじゃない。

俺らが異世界に来たんじゃないのかと。

何故ならあの時首吊り死体を見た御神木がないから。

そこは神社の駐車場になっていた。
(御神木は違う場所になっていた)

あの時屋上の入り口の扉を開けた先こそが
異世界だったんじゃないか?

じゃあ異世界に元からいた俺らは?
(あの時都合よく入れ替わった?)


夏休みに御神木で見た首吊り死体は
この事と関係があるのか?


そもそも屋上に吹いた風はなんだったんだ?

疑問はいくつも残るけど、俺もBも結婚して、
こっちの世界で幸せにやってます。





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