向かいの席に座るのは、所謂まっさん。彼もCSに出場しベスト4に入賞した経験が複数回ある。そんな2人は「上の方まで勝ち進んだときは緊張して手汗がすごくて…(笑)」など、対戦前にCSの思い出話に花を咲かせていた。
だが、試合が始まればお互い敵同士。和やかな雰囲気は一転して、試合前のピリピリとした空気が流れる。
千葉ビートの使用デッキは言うまでもないだろう。数々の試合を共に乗り越えたデッキ「モルトNEXT」だ。
所謂まっさんの使用デッキは「5c ドギラゴン剣 」。一般的なアーキタイプだが、どうやら独自の調整によって周りとは一味違う構築になっている模様。
「5c ドギラゴン剣 」を使う所謂まっさんが相性通りに勝利するのか、千葉ビートの「モルトNEXT」への"愛”がそれを乗り越えるのか。
ゲームの勝敗を大きく左右する先行。その先手を勝ち取ったのは、相性で優位に立っている所謂まっさんだ。しかし、初手を見た所謂まっさんは1ターン目からマナセットで長考する。
それもそのはず。初手の内容は《百族の王 プチョヘンザ 》《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》《音精 ラフルル》《演奏と真剣のLIVE》《界王類邪龍目 ザ= デッドブラッキオ 》。「モルトNEXT」に対して、序盤に動けるカードが0枚という絶望的な状況だ。
一方、千葉ビートの動きは順調そのもの。1ターン目に《リュウセイ・ ジアース 》をセットし、次のターンには《 メンデルスゾーン 》を唱える。2枚のドラゴンが捲れ、一気に4マナまでジャンプ。
相変わらず動くことができない所謂まっさんを抜き去るかのように、千葉ビートは続けて《フェアリーの火の子祭り》をプレイ。瞬く間に7マナまで到達する。
この好機を逃さんとするべく、千葉ビートは《超戦龍覇 モルトNEXT》を召喚。超次元から《闘将銀河城 ハートバーン 》を呼び出す。
所謂まっさんのマナのカードは4枚しかない。手札の《界王類邪龍目 ザ= デッドブラッキオ 》もSSバック条件を満たせておらず、このタイミングで攻撃されては手も足も出せない。
千葉ビートの《超戦龍覇 モルトNEXT》の最初の攻撃。所謂まっさんの2枚のシールドがブレイクされる。その中のSトリガーは《 フェアリー・ライフ 》のみ。所謂まっさんのマナが5枚になるが、依然として千葉ビートの優位は変わらない。
《超戦龍覇 モルトNEXT》が起き上がり、《闘将銀河城 ハートバーン 》が《超戦覇龍 ガイNEXT》へと龍解する。千葉ビートはダメ押しを決めるかのように、《超戦龍覇 モルトNEXT》を2度目の攻撃で《蒼き団長 ドギラゴン剣 》に革命チェンジ! 盤面にはさらに《リュウセイ・ ジアース 》の打点が追加される。
所謂まっさんは、この残りの3枚のシールドで2体のクリーチャーを捌かなければならない。祈りを込めて3枚のシールドを捲る。 Sトリガーは……あった! シールドから捲れた《Dの博才 サイバーダイスベガス》が発動する。さらに手札から《界王類邪龍目 ザ= デッドブラッキオ 》がSSバックで召喚される。しかも、2体だ。
2体の《界王類邪龍目 ザ= デッドブラッキオ 》の効果で《超戦覇龍 ガイNEXT》と《リュウセイ・ ジアース 》がマナ送りに。過剰打点を用意したにも関わらず、全てを除去されてしまった千葉ビート。ここで涙のターンエンドを宣言する。
間一髪で生き延びた所謂まっさん。6マナ目をチャージすると《ディメンジョン・ゲート》を唱え、《単騎速射 マグナム》をサーチし、そのまま召喚する。
そして、SSバックで召喚した《界王類邪龍目 ザ= デッドブラッキオ 》が革命チェンジで《蒼き団長 ドギラゴン剣 》になり、マナから《音精 ラフルル》をマナから呼び出す。
《単騎速射 マグナム》《音精 ラフルル》《蒼き団長 ドギラゴン剣 》。この3枚が揃ってしまえば、後の結果は容易に想像してもらえるだろう。
winner:所謂まっさん
本来であれば、所謂まっさんが使えるこのターンのマナは5マナだった。そのままの状態であれば《単車速射 マグナム》は召喚されず、《熱血龍 バトクロス・バトル》での逆転のチャンスがあったかもしれない。
そもそも《 フェアリー・ライフ 》を踏まなければ《界王類邪龍目 ザ= デッドブラッキオ 》のSSバックは発動せず、あのターンの間に勝利できていたかもしれない。
もっとインパクトのある負け方をしたのであれば、千葉ビートも素直に納得できたのだろう。しかし、今回は勝利ギリギリのところまで迫ったにも関わらず、なんの変哲もない、マナを1枚増やすだけのカードによって敗北を味わうことになったのだ。
これには千葉ビートも「あの《 フェアリー・ライフ 》さえなければ…」と悔恨の念を口にするしかなかった。
【文/写真 はら】