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2021年01月16日

世界1周の旅:北米篇?F【アメリカ】世界1周航空券の落とし穴

A voyage round the world : North America Edition ?F A trap of the round the world air ticket 【July 2011】

親友との再会

列車でナイアガラ・フォールズからトロントへ戻り、予想外に時間通り運行された グレイハウンドのバスでアメリカの デトロイトへと移動。アメリカ人男性と結婚した友人の家でほんの2泊、ゆっくりさせてもらう。

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カナダとの国境に近いデトロイトが、あんなに暑いとは思わなかった。異常気象で例年にない暑さの2011年夏、デトロイトでも気温が30度を越えた。暑さだけでなく、日常と化した移動や、移動の際のトラブルに疲れ果てた私は、9年ぶりに再会した中学時代の親友の家で、貴重な1日を勿体なくも映画を見たり、郊外の日系スーパーに行ったりしてダラダラ過ごした。

彼女にこの後の旅程を説明すると、「まるで移動するために旅してるみたいだねぇ」と呆れられた。
確かに、あぁ、なんと忙しないスケジュールだろう。

親友との再会もたったの1.5日では本当に「何しに来たの?」状態で、せっかく私のために休みを取った彼女がいろいろと誘ってくれたにもかかわらず、ふたりで『アバウト・シュミット』を観ていたなんて!

彼女の旦那さんは、彼女から私の状況(両親を亡くしたばかりて恋人もいない、ほぼ完全なお一人様の身であること)を聞いていたらしく、真剣にデトロイトで仕事をみつけて暮らしたらどうかと誘ってくれた。

しかし、かくいう友人は「アメリカ嫌い、アメリカ人も大嫌い。でも彼を愛してるからここに住むしかないの」とのたまうし、ダンナさんは失業中であり、彼女が外で働いて収入を確保し、彼は主夫として家で子供たちの面倒を見ているのだった…。


無謀な旅

この半年旅の中盤ですでに、この旅の無謀さに気付いてはいたが、日本出国前に世界一周のルートを予め決めて全ての航空券を押さえなければならず、変更にはそれなりの手数料がかかるので、北米旅の超詰め込みスケジュールに従うしかないのだった。

間違いのもとは、 北米大陸(カナダとアメリカ)をたった1か月で周ろうとしたことだ。しかも私は世界一周航空券をフルに使うために滞在都市を7か所(!)も予定していた。
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例えば「レンタカーでルート66を走るアメリカ横断旅」であったなら1ヶ月で毎晩違うモーテルに泊まりながら移動、というのは旅の目的そのものが「移動」にあるので、それなりに楽しいだろう。

だが、私は世界1周航空券を使っての旅なので、もちろん移動は基本飛行機。ということは行った先々で数泊しながら移動する、というスタイルになるのは必然。これまで、ニューヨーク3泊、ハリファックス2泊、プリンス・エドワード島5泊、車中1泊、ナイアガラ・フォールズ2泊ときて、今回デトロイトの友人宅に2泊。

多少ゆっくりできたのはプリンス・エドワード島だけで、それ以外はけっこうな距離の移動に一日を使うような旅程。つまり2泊3日といっても、初日と3日目の大半は移動に費やされるので、実質2日目しかその地を楽しむ時間がないのだ。3日目は通常朝から移動となる。

それを繰り返すのがどんなに疲れることか、旅をしたことのない人でもご想像いただけると思う。特に飛行機を使う移動は、とかく機体に乗っている以外の時間がやたらとかかる。着いた場所に慣れる前にもう次に向けて移動、という事態になるのだ。当然、あそこをもう少しゆっくり見たかったとか、あそこにも行けたのに…といった後悔ばかりが生まれる。


杜撰(ずさん)なプランに苦しめられる

こんな苛立たしい事態が発生した理由は、私の頭の中で、北米大陸とヨーロッパがほぼ同サイズで考えられていたからだ。ニューヨークからバンクーバーまでをロンドンからローマくらいにしか考えていなかったのは、我ながらアホというしかない…。

当然北米大陸に着いてから、その広大さに改めて自分の旅程がいかに無謀なものかを思い知らされる。しかも世界一周航空券というのは、アライアンスの加盟航空会社しか使えないので、どうしても無駄が発生する。

私の場合アラスカを滞在地に入れたために、 アンカレッジからバンクーバーへ行くのに、一度シカゴへ戻ってからバンクーバーへ、という激しい時差の中での往復を余儀なくされた。なぜこんな面倒なことになったのか、少し説明が必要だろう。

まず私の旅程だが、 友人の住むデトロイトの次はアラスカのアンカレッジに飛んで1泊、デナリに2泊、その後アンカレッジに戻って2泊した後、バンクーバーへ移動 という計画。 北米でのワンワールド系列はアメリカン航空なので、そのハブ空港である シカゴへはデトロイトから鉄道で向かう。

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当時(2011年)、アメリカン航空は シカゴ〜アンカレッジ間 を飛んでいなかった。ワンワールド系の飛行機のみでシカゴからアンカレッジまで行こうとすると、 ダラス ロサンゼルスなど、とんでもない方向での乗り継ぎが必要になるので、恐ろしい時間がかかる。

また アンカレッジ〜バンクーバー間 も飛んでいないので、アンカレッジの次にバンクーバーへ行く時もまた、乗り継ぎでとんでもない方向へとんでもない距離と時間、飛ぶことになる。そこで私はシカゴ〜アンカレッジ間のみ、別アライアンスであるユナイテッド航空のチケットを追加で購入することにした。同区間の往復は片道とほとんど変わらない金額だったからだ。

結果、 北米大陸をまず東(シカゴ)から西(アンカレッジ)へ飛び、5日後に再び西(アンカレッジ)から東(シカゴ)へ数千キロ戻り、更にバンクーバーへ向けて東から西へ同じくらいの距離を飛行する という時間的にも金銭的にも大幅なロスを余儀なくされた。


世界1周航空券の落とし穴


今思うと、なぜ先にシカゴからバンクーバーへ行き、アラスカに近いバンクーバーからアンカレッジの往復にしなかったのだろうと不思議に思うのだが、恐らく当時はバンクーバーからアンカレッジへ直行便が飛んでおらず、どの航空会社を使ってもとんでもない距離と時間がかかる乗り継ぎ便しかなかったからだと推測する。

また、世界1周航空券はひとつの大陸で飛べる回数が限られていたり、同一方向へしか進めないといったルールもある。シカゴ〜バンクーバー間をカナダ大陸横断鉄道で移動することも、もちろん考えた。というより、したかった。4泊5日という時間と最低でも5万円近い費用はかかるが、長距離列車の旅は憧れだ。

しかし、飛行機の到着地と出発地が違う場合はその区間も1区間とみなされてしまうため、飛行機を使わないにもかかわらずお金だけは余計にかかってしまう、という矛盾が発生する。だからこそ、世界1周航空券を使って旅をする時は、計画に時間がかけるのだ。こういった矛盾をひとつひとつ解決していくために。私はそれを短期間で焦ってやった。しかもひとりで。

もしこの先、世界1周航空券を使って旅をしようと考えている方がいるのなら、私はプロに相談することをオススメする。この時も、もし経験豊かなプロに相談していたら、こんな面倒でお金と時間のかかる方法以外に、何かもっと良い方法がみつかっただろう。北米大陸での私のプランは、あまりにも杜撰すぎた。

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ニューヨーク(アメリカ) から カナダのハリファックス、プリンス・エドワード島、ナイアガラ・フォールズ へ行って、 デトロイト、シカゴ、アラスカとアメリカ へ戻り、また バンクーバーでカナダ へと、 アメリカ カナダ を出たり入ったりするので国境でも毎回怪しまれ、入国の都度しつこい質問責めに耐えねばならなかった。


検問でひっかかる


特にトロントからバスでデトロイトへ向かった時は、大変だった。
ネットでチケットを予約したのだが、 トロント〜デトロイト区間がどうしても出てこなくて、デトロイト手前、カナダ側国境の町ウィンザーまでしか予約できなかったのだ。

バスは絶対にデトロイトまで行くはずだと思ったのだが、出てこないことには致し方ない。恐らく私の英語力では英語による予約ページが、完全には理解できなかったためだろう。友人に国境を越えてウィンザーまで車で迎えに来てもらう手配をして、私はウィンザーでバスを降りたのだが、予想通りバスはデトロイト行きだった…。

旦那さんと幼い娘3人で出迎えてくれた友人の車で国境を越えてアメリカのデトロイトへ向かう。
が、国境検問所での追及は執拗だった。なぜわざわざカナダ側のウィンザーで降りて車で国境を越えアメリカへ入るのかをしつこく聞かれた。まあ、当然の疑問だろう。友人たちはデトロイトに住んでいるし、バスはデトロイト行きだったのだから。

私はなぜかデトロイトまでの予約ができなかったと必死に説明したし、私の拙い英語に助け舟を出した友人も流暢な英語で説明してくれたのだが、今度は友人がアメリカ人ではないことに対して追及が深まってしまった。友人と旦那さんの結婚に関してまで根掘り葉掘り追及され、私もキレそうになるのをこらえるので必死だった。

テロの多いアメリカのこと、相手も仕事であり、少しでも怪しい芽は摘んでおかなければならないと使命感でやっているのだろうが、ことの原因が私がネットを使いこなせなかったことにあるのが明らかなので、イライラは募った。

結局、私達は1時間以上検問所で止められていた。長時間待たされて子供がグズり始め、あくまでも納得いかない顔の係官も仕方なく私達を解放したという感じ。友人には本当に迷惑をかけて申し訳なかったと思う。バスターミナルの窓口で直接バスの切符を買えばよかった、と後悔しても後の祭りだ。

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世界1周航空券を使う方には、期限である1年をフルに使い、地上移動も含めて上手くスケジュールを立てないと、私のように移動に次ぐ移動で疲れ果てるだけの旅になってしまうということを覚えておいてほしい。

とはいえ、様々な可能性を調べ、あらゆる手段を検討し、最善の旅程を作り上げていく過程が 世界1周航空券を使う醍醐味でもあるのは確かなのだが…

しかし、トラブルはこんなものでは終わらなかった。
検問所で1時間つかまる以上に疲れるトラブルがこの先も私を待ち受けていることを、この時の私はまだ知らない。





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