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少し前までスコットランドのコミュニティ、フィンドホーンで暮らしていた、さすらいびとです。 I'm a wanderer who were living in Findhorn community in Scotland till recently.
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2021年02月16日

世界一周の旅:北米篇?G【アメリカ】とことんツイてない日

A voyage round the world : North America Edition ?G Thoroughly unlucky day【July 2011】

遅延に次ぐ遅延…

7月25日、北米旅最大の 試練の日がやってきた。
その朝の時点で、次に北米に来る時は飛行機以外の乗り物は一切使いたくない、と思うほど乗る バス 鉄道のほとんどすべての遅れを経験していたが、この日はついに 飛行機にまで裏切られることとなる。

plane-spotting-2311050_640.jpg

その日は、朝 デトロイト から鉄道 アムトラックで シカゴ 移動し、夕方シカゴから 飛行機でアラスカの アンカレッジ 飛び、ホステルに一泊した翌朝 アンカレッジ から 鉄道で デナリ 移動する、という予定になっていた。

が、嫌な予感通りまずアムトラックが途中で止まり、3時間遅れで シカゴ 到着。予定では夕方の飛行機まで半日空いていたのでシカゴ観光を楽しめるはずが、鉄道駅近くのダンキン・ドーナツで遅いランチを取っただけで、慌ただしく空港へ移動。

flight-3709560_640.jpg
しかし今度は夕方出発のはずのアメリカン航空が 2時間の遅延出発予定。

イライラしながら搭乗ゲートで待つ間、 アンカレッジ 到着後に訪問予定だったアラスカのツアー会社へ電話をするがつながらない。

JALにバンクーバー〜成田便の日程変更に関する問い合わせをしていて、折り返し電話が来るはずなのにそれも来ず、再度こちらからかけるとたっぷり5分以上待たされ…、世の中スムーズに進むことはないのかっと、頭の中の血管がプチプチ音を立て始める。

落ち着くために入ったスタバは税抜きで4ドルもするコーヒーが薄すぎて超まずいし、親友の言葉ではないがアメリカ人なんて大嫌いだ、と心から思った。彼女のダンナさんには悪いが、アメリカに住むという選択肢を選ぶ可能性は限りなく低い。

とはいえ、もともと無謀なスケジュールを強行した私が悪いのだ。こんな疲れるだけの旅は苦行以外の何ものでもない、と悶々とする私に更に不幸が押し寄せる

何もかもうまくいかない日というのが旅に出るとままあるものだが、ここまで全てがズレまくる日というのも珍しく、間違いなく私の旅史上最悪の日となった。
な、な、なんと2時間の遅延予定だった飛行機が、 翌朝8時 出発に延期されてしまったのだ!


救世主現る

この先の予定をどうしてくれる? 
翌朝 アンカレッジ を鉄道で出発予定だった デナリ2泊ツアーのキャンセルが効かないので、予約していた列車に乗れないのに全額取られるうえ、 デナリ へ移動するための 代替バス代まで新たにかかることが、ようやく連絡の取れたツアー会社の担当者によって判明した。

alaska-3791050_640.jpg
アラスカ鉄道、乗りたかったよ〜


アメリカン航空による 「パイロットの確保ができないため、アンカレッジから操縦してきたパイロットが充分休養を取った翌朝出発します」 という案内に、2時間以上出発ゲートで待たされていた乗客たちからはブーイングの嵐。
当然だ…、何だその理由? アメリカン航空でしょー、ありえないし〜!

マジか、どうるす私?! どうすればいいんだぁ〜!

大混乱に陥った搭乗ゲートで、早口の英語による説明がよく聞き取れず、パニックになった私は神に助けを求めた。すると、何が起こっているのか正確に把握できずカウンターへと押し寄せる人並みにもみくちゃにされる私の目に、日本人とおぼしき中年男性の姿が目に入る。

思いきってダメもとで声をかけると、彼は残念ながらシンガポール人だった。
が、彼ミスター・シトーは丁寧な聞き取りやすい英語で状況を説明してくれ、今夜用意されたホテルの宿泊バウチャーをもらうため、カウンターの長蛇の列に一緒に並んでくれた。

偶然にも彼は、私と同じように 世界一周航空券による一人旅を始めたところで、日本を観光した後アメリカへ着いたばかりだという。手に日本のお弁当の入ったビニル袋をぶら下げていた…
しかも アンカレッジ の滞在予定先は私と同じバックパッカーズ・イン。
ワンダホー

ハイスピード英語での理解不足を彼が補ってくれたうえに、ホステルへ飛行機遅延による宿泊日変更の電話までしてくれ、二人でその夜アメリカン航空が用意したホテルへと向かったのだった。一人で状況もわからず泣きべそをかくところだったので、神が救援者を遣わしてくれたように感じて本当にありがたかった。
なんてラッキーなんだ、私

シカゴでブチギレ寸前!

アメリカン航空に対する私の腹立ちは、それだけに収まらなかった。

ホテル・バウチャーをゲットするために並んだAAのカウンターで私の番になった際、私は当然向こうがまずこの事態に対する謝罪をして、この後のことを説明してくれるものと思い、じっと担当者の顔を見つめて待っていた。

しかし、彼女から発された言葉は
「Can’t you speak English?(あなた英語しゃべれないの?)」 だった。

どうやら、予約をキャンセルするのか、ホテルに泊まって翌朝の便に乗るのかを申し出なければならなかったらしい。

だったら高飛車に「英語しゃべれないわけ?」と聞くかわりに「どうなさいますか?」と尋ねるのが筋だろう?
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パイロットの確保ができないことは確かにあんたのせいじゃない。だからこの混乱に苛立つ係員の気持ちもわからないでもない。「何で私が責められなきゃならないのよ!」的な態度になるのも当然だ。

しかーし!私は客だぞ、お金を払っている客だぞ〜!なんなんだ、その偉そうな態度は〜! …と、私は腸が煮えくり返りそうなほどに憤慨した。あんなにブチギレそうになったのは、夢の中以外では経験がない。

しかもそこで、半年の旅で初めて3列シートの真ん中の座席になってしまい、翌朝の シカゴ アンカレッジ 間のフライトでは膀胱炎になるかと思った…。通路側の女の子がぐっすり寝ていたので、トイレに立ちたかったけど起こせなかったのだ。(気の弱いワタシ

北米ではほとんどの空港がセルフ・チェックインだし、席も選べないし、3列ー3列の座席が多いし、各座席にスクリーンが付いていないから映画も楽しめないし、食事サービスもない。普通に買うと幾らのチケットになるか知らないが、AAのサービスはサイテー、二度と使いたくない、と思った。(まぁ、各社似たようなサービスだとは思うけど)


日本人の完璧なサービス

今回私の眉間に深いエッフェル塔級のシワを刻んだこの不運は、改めて 日本の住みやすさを実感する助けとなった。そもそもなぜ北米ではこんなに遅れが発生するのか。もともとの時刻表編成に問題があるのか、それとも運行側の人々に、与えられた仕事を全うするだけの能力もしくは責任感がないのか。

ここまで当たり前のように全ての乗り物が必ず遅れるなんて、全てが定刻通りに動く日本に住む私から見たら、 逆にすごすぎる。こんなにバタバタ遅れを発生させられるなんてすごい能力だ、と皮肉の一つも言いたくなる。まさに日本ではありえない。

完璧なサービスとは、痒いところに手が届くこと。そして、お客様に不快な思いをさせないこと、ではないだろうか。交通機関だけでなくあらゆるサービス業に関して言えることだ。

お客様負担の電話をかけさせるなら待たせてはならない、それが不可能ならばフリーダイヤルか折返しにする。スタバやマックに入ればちゃんとトレーに載って一揃いのメニューが提供され、セルフサービスのフォークやスプーンは切らさない。

そんな当然のサービスが行き届いている日本に慣れているので、あちこち不備だらけなのに店員同士のお喋りに夢中になっていたり、列に並ぶ客よりプライベートの携帯電話を優先させるアメリカ人に腹立ちを隠せない。

彼らから見れば、日本人はカタすぎるのかもしれないが、その 堅実さ、真面目さ、要は 勤勉さが、日本をこんなに住みやすい国にした。それはブルガリアとルーマニアの旅で感じたように、民族の優秀性につながる。これはあくまでも日本人目線だが、完璧に仕事を全うしてすら腰の低い日本人、偉すぎる〜

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対してまともに仕事もできないのに態度だけは常に傲岸な欧米人。彼らの体にたっぷりと付いた贅肉は、そんな彼らの傲慢さなのかもしれないと思うと、欧米人自体が嫌いになりそうだ。

(その後イギリスに4年以上暮らしてみて価値観の問題だと納得し、この独断的な発言は取り消したいと今は思う。)


発送の転換

この出来事で、ああ、こんなことでは私には南米やアフリカ、もしくは東南アジアのひとり旅なんて到底無理だなー、と思った。あちらでは2,3時間の遅れなんてもんじゃなく、下手したら一日遅れとか結局来ないとかが当たり前だと聞く。

日本で育った私だから、そんな無責任なことありえない!と怒り心頭になるのだろうが、もし南米やアフリカに生まれていたとしたらどうだろう。それって何も怒るようなことではなく、ごく当たり前のことなのかもしれない。 ものごとは、なるようになるのだと。

あくまでも、すべてが「時間正確」に運ばれ、分刻みで時計の針に支配されたような日本人としての価値観を、旅先にまで持ち込むのは違うのかも知れない。 郷に入っては郷に従え、ではないが、 固定観念を覆す良い機会だった、と言えないこともない。たとえこめかみの血管が切れそうな思いをしたとしても。

今となっては、空港内の高級ホテル、ヒルトンのダブルルームに食事バウチャー付きで泊まれたことだし、貴重な経験ができたなぁ、などと笑い話になっている。

右:食事バウチャー券の額内で食べられたのは、スープくらいだったけど…
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が、この時の私にそんな余裕はなく、全てが予定通りにいかないアメリカという国に、怒り以外感じられず、二度とこんな国に来るもんか、とさえ思っていた。

「思い通りにいかないこと」というのはこの世の中多く存在するわけだが、普段ラッキー度の高い(と自分では思っている)私は快適な日本で生活するなかであまり苛立ちを感じるシチュエーションにぶち当たることはなかった。

しかしこの半年の旅で様々な「 思い通りにいかないこと」にぶつかり、すっかり免疫ができた気がする。「大丈夫、全てうまくいく」と信じていればスムーズに事が進むかもしれないが、どうしてもうまくいかないことが起こってしまった場合は、一番必要なのは 「発想の転換」だと学んだ。

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波乱の滞在となったシカゴの街


「ツイていないこと」が起こったら、まず起きてしまったことに対し「何故それが起こったか」を考えるよりも「 この先をどう調整するか」に切り替えるべきだし、その 状況を楽しいものに変える努力が必要だ。それは、自分の考え方次第。うんざりしながら時間を過ごすより楽しみに待つ方がいいに決まっている。

アムトラックが途中で止まったおかげでシカゴの町の遠景を堪能できた、遅れたおかげでシカゴの町で余計なお金を使わずに済んだし、町を観光していたら危ない目に遭っていたかもしれない。
飛行機が翌朝に延期になったおかげで高級ホテルに泊まれたし、ミスター・シトーという思わぬ旅の道連れができた。

などなど、好ましくない状況が起こったからこそ出会えた小さなラッキーが必ずあると思いたい。何かが起こるということは、少し立ち止まりなさい、という天からのサインなのかもしれないね

いやぁ〜、ことごとくツイてない日だったけど、時が経つと楽しかったと思えるのが不思議です…
アンラッキーの中の数々のラッキー、ありがとう〜


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