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パスカル薬局の研究で2014年度に後発品医薬品の変更不可による損失は4800億円に上ることを「 Canadian Open Public Health Journal」に投稿しました。この論文は後発医薬品に変更することによる、具体的な薬剤費の削減量が具体的になったことにメリットがあります。後発品への変更不可に関しては、代替可能な薬剤がないことから、無意識に変更不可を選んでいる可能性を示唆しています。後発医薬品について銘柄指定をする場合にはその理由を記載することが医師の義務になっていますが、先発品からの変更不可に関しては理由の記載がありません。医師は1人1人の患者をみて判断しています。そのため、ある後発品が副作用が20%から30%に増えたとしても、個人的に副作用が無い薬と判断する可能性は50%以上あります。後発医薬品は同じ成分が入っているて、体の中に入ると先発医薬品とほぼ同等の血中濃度が得られることが確認できれば承認されます。従って、後発品の価格差や銘柄指定はすじ論から言えば全く意味がありません。 一つ例を挙げればタクロリムス軟膏は添加物によって、刺激性が抑えられていたため、異なる添加物を用いた後発品では(一部メーカーのみですが)刺激性が高いことを問題として抽出したのは厚生労働省ではなく、一人の医者でした。このような事実がある限り、後発性医薬品に関しても発売後数か月でよいので副作用調査を行う必要があります。審査期間切れると一気に後発性医薬品が発売されます。その時に共同でCROのMRを利用して副作用の有無を検討することを切に願います。
2016年05月10日
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三菱自動車の問題は会社ぐるみか、営業に圧迫を受けた開発部の問題化と記事が多いと思います。自動車業界にはISO 16949(自動車産業向けの品質マネジメントシステム)の技術使用があります。当然三菱自動車は認証をとっていますこれは各自動車製作会社が共同でISO9004(あらゆる職業の品質マネジメント)に基づくものが作成されている。 製薬会社では、自動車の燃費を計る方法はもっと複雑なGCPが存在します。これは日米EUで合意されており、各当局は生データに戻ってその検証を行います. 今回の問題は、日本特有の監査の軽視の問題とも読めます。CROやIT会社に「監査資料」を拝見したことがあります。製薬メーカの監査の目から見ると随分杜撰なものでした。どのような態度で「監査」を行っているかを訪ねたところ、「監査は次の工程を行うために監査を行っています。」これは、日本系の血行大きなCROとIT会社の発言です。GCPの場合には厚生労働省に申請した場合には、問題が大きくなることから、自社で発見したらその臨床試験を無効にしていることがあります。(現在申請資料はすべて作成されているので、時間をかければ発見できるでしょう)品質目標を達成する仕組みが(達成した過程が)すべて文書で残されいるだけで、今回の問題の進行は早くなるでしょうね。ただ、福島第一原発の「想定外」という言葉は、過失事故が起こる2,3年前に記事録として想定内なので、早く工事をすることの必要性が議題となっていたことから、こういった文書がきちんと保管されていないのが問題となります。
2016年05月09日
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2005年長野で起こった高校一年生の学生が自殺を行った事件でマスコミは母親の意見のみを採り上げ、報じました。 母親は校長を殺人罪で刑事告発し、損害賠償請求訴訟を起こしました。 事件の実情は母親がモンスターペアレントで、その結果子どもを自殺に追い込んだことが裁判の中で、明らかになり、校長は無罪、損害賠償も完全否定した上で、原告の態度、意向などが相当ストレスを与えていた可能性を否定できないと、母親の責任も示唆する判決を出しました。 この間マスコミはどんな取材をしていたのでしょうかね。母親に取材した時には、「学校の責任」という母親の意見のみを採り上げることになり、紙面もほぼその通りでした。しかし、周りの取材をすれば彼女がモンスターペアレントである事は明らかになったのではないのでしょうか。 外国記者での提案で、記者クラブの廃止必要性を述べていましたが、新聞社もテレビのワイドショーレベルの調査力しかなければ新聞の必要性は低くなる。
2016年05月09日
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憲法89条では「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」と定められています。私立学校助成法は「学校教育法および私立学校法」に定める教育施設に対しては、これが公の支配下に属する」ということで私立大学に関して助成は可能であるとの解釈の元、成立しています。公の支配下にあるということは、ダウ学の自治を放棄しているものですから、この解釈は無理があるとがんがえます。義務教育は二つの条文があります。すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する[1]。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。 義務教育はすべて無料でしょうか?給食も食育という言葉があるように教育の一つであることから無料化すべきと考えます。 その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有するという文章の解釈は、飛び級や小中学校での落第を認める条文と考えます。 憲法学者は現在の憲法を正しく解釈するために存在するとすると、第9条の問題に関して反対するのは分かります。第9条よりも、第89条はさらに問題であると考えます。 義務教育の教科書以外を無傷とすることは昭和39年2月26日の最高裁で授業料のみの無傷をさし、教科書代などの教科書代まで無性にすることまで保障したものではない、との判断があります。このころは高度成長期であり、国民総中級時代に突入するときの判決です。判決は覆ることはかのですから、すべての小学校、中学校にかかる費用は無情にすべきであると考えます。 義務教育は法律で小学校、中学校と法律で定めていますが、第1項の「法律の定めるところにより」よりも「その能力に応じて」を優先させて、大学院までの授業料を無償にすべきと考えます。「能力に応じて」ですから、勉強に対して興味のない人間には義務はないので、小中学校から落第を認める必要があると考えます。義務教育は小中学校に限りますが、落第制度を求めることによって2年同じことを習えば分かる人間は多いと思います。 さて、個々で問題となる資金に関しては、例えば厚生年金の上限を外す。健康保険料の上限を外す。年金を受給することができる年代になったひとでも、年金をもらえるために給与を抑えるのではなく、教育資金として公的に寄付をすることができるようにする。ふるさと納税と同様の教育納税の仕組みを求める。 中流以上の人の寄付(全額、収入から控除)と税金で可能と考えます。単なる勉強ができるだけでは、スポーツに比べて、選抜して教育を受ける仕組みもないですし。
2016年05月08日
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■商品名:【強化ガラスフィルム付き】メール便送料無料 iPhone6s iPhone6 Plus iPhone SE iPhone5 iPhone5s 手帳型ケース アイフォン6sプラス アイフォン6 アイホン6s アイフォンSE アイフォン5s アイフォン5 スマホカバー レザー 窓付き 横開き ブランド スタンド シンプル おしゃれ■レビュアー:akimura1957 ※投稿時■レビュー内容ガラゲーのようにスマートフォンでもふたが欲しいという希望と便利になったスマフォでも使用目的は今何時を確認することから考えると、手帳型で時間窓が開いているのはとてもありがたい。 もっと詳しく見る
2016年05月06日
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体内時計は視交叉上核によって支配されていることは定説になっていますが、視交叉上核ではどのような方法で覚醒と睡眠を制御しているかに関して、この3か月ほどに日本、スエーデン、アメリカで少しずつ違いはありますが、イオンチャンネルを介して行われているという文献がそれぞれ独立に報告がありました。 2016年5月4日にNature Onlineに掲載されたのが「BK channel inactivation gates daytime excitability in the circadian clock」 2016年4月29日にScience Onlineに掲載されたのが「Changes in the composition of brain interstitial ions control the sleep-wake cycle」2016年Neuron 90(1)70-85 April 6 2016 で論文掲載されたのが「Involvement of Ca2+-Dependent Hyperpolarization in Sleep Duration in Mammals」どの実験もマウスの覚醒リズムを変更することで、視交叉上核のイオンチャンネルが睡眠-覚醒リズムを支配していることを明らかにしています。Ca-Naイオンチャンネルは比較的ポピュラーな受容体です。降圧剤や筋弛緩剤がサーカディアンリズムに対して影響を与える可能性があります。各論文は総合失調症などのサーカディアンリズムの変化に対する治療ターゲットになるとしているますが、薬剤の副作用の方が心配です。
2016年05月06日
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副作用被害救済制度の認知率が30%を切っていると、医薬品医療機器総合機構は発表しています。今後市民への認知を上げる努力をするとの方針が出ていますが、認知度が上がっても利用率が上がるのでしょうか? 副作用被害救済制度は医薬品を適正使用したにもかかわらず、入院するような事態、副作用が一生残る事態、死亡する事態が起こったときに国(窓口は副作用被害救済制度)が補償する仕組みです。申請者は患者本人(死亡の場合には感受あの家族)です。となっていますが、医師の協力がなければ申請はできません。適応外処方や過量投与に関しては申請できません。 法定予防接種とがんその他の特殊疾患に使用される医薬品で厚生労働省がしているものは対象外になります。(任意の予防接種は対象となります)何が問題かというと、申請して、不承認になった場合には申請した医師の方に賠償責任が出る可能性があります。特に適応外処方(患者にインフォームコンセントをとっていなかった場合)や過量投与に関しては、医師に賠償責任が出ます。 認められやすいのは、後発医薬品が出ているような長期使用の薬剤で既に入院するような副作用がある場合です。発売直後調査でも入院するような副作用はたくさん見つかるものがありますが、因果関係を明らかにすることは、患者、医師共に難しいことから、給付の対象にならず、長期にデータが集積されてから同じ副作用でも給付対象になる場合があります。重篤な有害事象は医師、あるいは製薬会社に報告義務があります。報告しなかった場合には罰則を科すなどをして、その書類により給付が決まるようにすれば、手間がはぶけると思いますが以下がでしょうか。医師、薬剤師には医薬品の副作用情報を収集する義務があります。これを見逃した場合には罰則義務を課すと言うことです。さらに、製薬会社のMRも副作用情報を新薬発売時には最低2週間ごとに使用している医師に副作用の有無を問い合わせる責任があります。この書類を転用することができれば患者の負担と当局の事務処理は大幅に減ることが想定されます。特に死亡の場合には遺族年金と葬祭料が出ることから残された家族のためにも事務処理を速くすることが必要です。医師の負担を減らすために、製薬会社の報告書が副作用被害救済制度の患者報告用に用いることができるようなことが早道だと思います。(医師が取り次げば個人情報の問題は生じる可能性は、製薬会社、医師に悪意が無い限り無いと思います。)
2016年05月01日
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Nature CommunicationのA two decade dementia incidence comparison fromthe Cognitive Function and Ageing Studies I and II(DOI:10.1038/ncomms11398 Pubished Apr 2016)によれば英国における認知症の罹患率が1990年代から2011年までに20%低下しているとの報告がありました。日本では 「脳血管性認知症(VaD)の 粗 有 病 率 は1985年2.4 %、1992年1.9 %、1998年1.7%と減少傾向にあったが、2005年には3.3%と上昇傾向に転じた。一方、アルツハイマー病(AD)の粗有病率は1985年の1.4から2005年の6.1にかけて時代とともに約4倍に増えた。その他と病型不明を併せた認知症の有病率はVaDと同じパターンを呈していた。」と久山町調査が報告しています。 低下しているという状態は日本でも同じかも知れません。しかし、糖尿病が認知症、特にアルツハイマー型認知症のリスクを高くしているということが疫学的に明らかになっていることから、今後は英国でも増加していく可能性はあります。糖尿病の薬のなかに他の疾患のリスクを下げるという報告もあることから、日英の差が出ているのかもしれません。地中海式食事に関しては心血管障害のリスクを下げることから有名になりました。しかし、認知症に有効かどうかに関しては諸説あります。ある特定の病気のリスクを下げることによって、長生きすることにより、老化が大きなリスクとなる病気を発症しているのかもしれません。
2016年04月25日
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最近英国とアメリカで成人2型糖尿病を対象とした大規模試験が発表されました。 糖尿病は血糖を下げることが目標でなく、高血糖状態が続くことによる、脳疾患、心疾患、腎障害などの死亡に至る病気にかかることを下げることと、失明することを避けることだと思います。血中のブドウ糖濃度が下がると、脳のエネルギー不足が発生することから、代替的に筋肉や肝臓に保管されている脂肪酸からブドウ糖の生産が高まります。このとき副産物として生じるケトン体は有害物質です。さらにブドウ糖が不足すると脳のエネルギー不足が症状として表れて、意識消失などが起こります。 かつて2型糖尿病の成人を対象としたインスリンを含む強力な治療法と薬剤治療の比較試験が企画され、試験が始まりましたが、第1回の中間解析でインスリンを含む強力な治療法群で低血糖症発症及び死亡が明らかに多かった事から中止になりました。英国での研究では約47万人の成人2型糖尿病患者で単剤と併用療法で 失名、下肢切断、重篤な腎不全、高血糖、低血糖をOUTCOMとして検討を行っています。調整因子は年齢、性、喫煙、糖尿病罹病期間等です。その結果、メトホルミン単独療法はメトホルミンとチアゾリジンあるいはDDP-阻害剤を併用すると腎不全リスクが上昇した。メトホルミンとDDP-4阻害あるいはチアゾリンジン系薬、SU薬の散剤併用薬では低血糖リスクが有意に上昇したが、失明リスクは低下することが判明したとのこと。 アメリカの試験は心血管疾患を合併する成人2型糖尿病試験でDPP4のサキサクリプチン、アログリプチン及びその成分を含む配合剤を投与した群では心不全による入院リスクが増えたと報告。申し訳ないですが後者のデータはFDAが添付文書に心不全リスクを追加したということしか目を通していないので、文献の正当性に関しては検討していません(FDAがちゃんとやっているでしょうが) 前者はDiabetes treatments and risk of amputation, blindness, severe kidney failure, hyperglycaemia, and hypoglycaemia: open cohort study in primary careBMJ 2016; 352 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i1450 (Published 30 March 2016) http://www.bmj.com/content/352/bmj.i1450で私が目を通した限りしっかりした文献だと思います。因果関係が分からないから間違っているのではないかとのコメントが多くありましたが、、血糖が上昇していることが腎不全に至ることは厳密に言うと食塩と血圧ほどに明らかになっているわけではありません。血糖低下以外の要因で薬剤が腎不全を誘発している可能性と腎不全に高血糖が関係していない人がいる可能性があるので、今後の研究が必要だと思います。何万人のDNA解析が比較的短時間でできる時代になっています。遺伝子レベル以外のものの方が生活習慣病では高いと思いますが、少数例は何らかの代償的な遺伝子が存在している可能性があるのでやってみる価値はあるとは思います。(これはつい最近、遺伝性疾患をの遺伝子を持っているにもかかわらずその遺伝性疾患を発病しない人がおり、その周辺遺伝子に違いがあるという140人ぐらいのでーたが発表されたからです。140人は確かに少ないですが、遺伝子病遺伝子を持ちながら、その病気を発症していない人ですからよくこんなに集めたなと思います。)
2016年04月15日
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3月17日国立がん研究センターは「JPHC研究」の研究成果として、「糖尿病と自殺および事故との関連」をまとめDiabetes & MetabolismにWEB先行公開したことを発表しました。 うつ病などの精神疾患が自殺の背景因子です。しかし、身体疾患と自殺の関連については不明な点がたくさん残っています。不慮の事故と自殺に関しては区別することが難しい場合もあります。JPHCは今回の解析対象105,000人のうち、糖尿病は4,900人でした。 非糖尿病群の死亡例は1,304人(自殺577人、事故727人)、糖尿病では113人(自殺41人、事故72人)でした。解析の結果糖尿病群で40~49歳では約2倍、50~59歳では約1.4倍の自殺・事故となりました。事故のみではリスクは2.3倍、1.5倍となりました。自殺は各年齢層で有意差はありませんでした。 糖尿病とうつ病の関係が強く示唆する報告が高いとの報告は多数あります。糖尿病に伴う視覚障害によって、事故の増加が増えています。 考察としては40~49歳、50~59歳で事故+自殺、事故で有意となり、60歳以上では有意差がなくなっていることに関しては、働き盛りでの糖尿病が心理的ストレスが強く、60歳以上の場合はそれがあまり出ないとしています。試験のスタートは1990年あるいは1993年、 岩手県二戸、秋田県横手、東京都葛飾、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、大阪府吹田、高知県中央東、長崎県上五島の11保健所管内の人を対象としています。この間にはリーマンショック、東北大震災が発生しています。自殺に関してはバイアスが入っている可能性があります。また糖尿病の場合には、糖尿病用薬の副作用として低血糖があります。低血糖は重篤な場合には意識がなくなることから、事故を起こす可能性が高くなります。てんかん、急性心疾患だけでなく、糖尿病も医師の許可がないと自動車の運転ができません。この部分を考えると事故だけでなく、交通事故に絞った事故の分析も有用かもしれません。
2016年03月18日
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2016年3月3日、自治医大の研究グループは肥満による行動変化は食生活に起因する可能性があると発表しました。 マウスによる実験で、高脂肪食で肥満になった群、高脂肪食を給餌したが肥満にならないよう調節した群、通常食を与えた対照群で比較を行いました。感覚運動テスト、不安テスト、社交性テスト、学習テストなどの網羅的に検討した結果、嗅覚機能やアルコール嗜好(しこう)性、社交性の上昇が高脂肪食を給餌したが肥満にならないよう調整した群で、肥満群と同様の結果が得られました。感覚運動テストについて肥満群にのみの行動変容もありました。結論としては、肥満による行動変化は、肥満とは独立して高脂肪食摂取による可能性があるということです。運動などで肥満を防止しても、食事内容が同じ場合には行動変化に関しては肥満と同じ可能性があるということです。極論すれば、肥満になるような食事をすること自体に、健康上のリスクが存在する可能性があるということです。研究内容はObesityに掲載されています。Obesity (Silver Spring). 2016 Feb 18. doi: 10.1002/oby.21441. [Epub ahead of print]High-fat diet feeding alters olfactory-, social-, and reward-related behaviors of mice independent of obesity.
2016年03月11日
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2016年3月9日 医歯薬学総合研究科の研究グループは「マラリア原虫感染で誘導される新たな免疫制御性T細胞を発見しました。」と発表しました。この免疫制御性T細胞はマラリア原虫を認識してインターロイキン27を介して免疫を排除します。これまでインターロイキン27は、マクロファージなどの細胞が産生するといわれていました。今回発見したマラリア原虫を特異的に認識するT細胞で、従来知られている免疫制御性T細胞とは異なる種類の細胞で、Tr27細胞と名付けています。一種の裏切り者T細胞と言えます。結核患者でも同様な制御性T細胞の存在を示唆するデータが中国のグループにより示唆されています。最近、がんのT細胞抑制作用を抑える薬剤が第4の制がん剤として注目されていますが、この薬剤の場合には自己免疫疾患の悪化、発現が実際に起こっています。この研究は自己免疫疾患の原因追求に役立つ可能性があります。また、第5の抗腫瘍物質の発見にツナがあるかもしれません。
2016年03月09日
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2016年2月8日、 Influence of the Acidic Beverage Cola on the Absorption of Erlotinib in Patients With Non–Small-Cell Lung Cancerという論文が2016年2月8日にJCOのオンライン版に掲載されました。内容は、タルセバ錠はPPIによって胃のpHが上がると、吸収が悪くなり、コーラを飲料として用いるとそれを改善することを二重盲検薬動力学的試験によって確かめたとのこと。タルセバ錠の日本の添付文書にもPPIとの併用により胃のpHが上昇すると吸収が悪くなるという記載があります。かなり差があるので、効果に差があるかどうかの検討も行われているかもしれませんが、食事の影響も大きな事から、製剤的な検討がもっと必要なのでは?日本じゃ黒酢ですかね。(笑)
2016年02月25日
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2016年2月23日、慶應大学は「マウスの子宮内胎児の大脳皮質の神経細胞を、人為的に本来と異なる場所に配置させる と 、神経細胞としての最終運命が変化し、本来の形や性質が異なる別の種類の神経細胞に変化することを見出しました。」と発表しました。人間の脳には細胞の形態、他の神経細胞とのつながり方の違い(近くの神経細胞とつながるか、遠くの神経細胞とつながるか、などの線維連絡様式の違い)、発現している遺伝子の違いなど、性質が異なる様々な種類の神経細胞が無数に存在します。大脳の表面にある大脳皮質では、神経細胞は脳の表面に平行な 6 層に分かれて並んで配置されています。各層にはそれぞれ共通の特徴を持った同じ種類の神経細胞が並んでおり、同じ層の中の神経細胞は、形態、 連絡様式、遺伝子発現様式などが似ています。そして、それぞれの層ごとに異なる種類の神経細胞が並んでいます。これらの神経細胞は、大脳が作られる胎生期に、 脳の深部で順番に生み出されていきます。すなわち、 6 層の中で最も深い位置にある層の神経細胞が最初に生まれ、次にそのすぐ上にある層の神経細胞が生まれます。この過程を繰り返して、全体の 6 層構造が下から積み上がっていくようにしてできていきます。大脳皮質の第4層の神経細胞に特異的に発現する プロトカドヘリン20(Pcdh20) という 膜タンパク質に注目しました。このタンパク質の発現を、 子宮内胎児脳電気穿孔法を用いて発生過程のマウス大脳において人為的に阻害したところ。その細胞は前層の細胞に変化しました。このことから、第4層にPcdh20の阻害が原因とも考えられることから、更に神経細胞の移動そのものを制御する 細胞骨格タンパク質の発現を阻害することによって、本来第4層に配置されるべき神経細胞を人為的に大脳皮質内に広く 分散して配置させてみました。その結果として第4層と第2-3層に偶然配置された神経細胞の特徴を調べたところ、それぞれの場所に応じた特徴を示すことが分かりました。、両方を阻害した神経細胞においても第4層の神経細胞は生成されていました。 この3つの実験により環境(場)に適したように神経細胞が分化すること判明しました。 視床からの投射繊維が大脳皮質内へ進入し、将来の第4層の神経細胞とつながります。その時期は第4相細胞が分化・成熟する時期と一致します。視床皮質投射線維を人為的に少なくしたマウスでは第4層の神経細胞が減少しました。この結果、第4層の神経細胞の環境因子は視床皮質投射線維が環境因子として働いている可能性があります。この研究はiPS細胞の移植に対して大きな希望を与えるものです。すなわち、大脳皮質の一部が損傷した場合には、その部位に必要な神経まで分化させたiPS細胞を移植する必要はなく、神経細胞の全段階(胎児レベルの神経細胞)までの分化により、後は環境が適切に分化してくれるということです。今回の研究は第4層の神経細胞にその可能性がある事をマウスで明らかにしたに留まっています。しかし、第4層の神経細胞は視覚と強く結びついていることから、脳由来の視覚障害に関する治療法にiPSをどこまで分化しておけば良いのかに関して知見を与えるものだと思います。
2016年02月24日
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2015年2月18日、京都大学は中枢視交叉上核を調節するGタンパク質受容体を発見したと発表しました。末端のリズム調節機能は線虫などの検討で明らかになっていますが、中枢視交叉上核での調節機能は不明でした。Gタンパク質共役受容体の1つであるGpr176が中枢視交叉上核に強く発現しており、Gpr176遺伝子欠損によってマウス個体の活動リズムが変調しました。 Gタンパク質共役受容体の多くはリガンドが不明のオーファン受容体です。Gpr176はGzという特殊なGタンパク質を介して下流のcAMPシグナルを抑制します。 ウリジンやある種のアミノ酸が睡眠を誘導することが知られています。 今回の発見はGpr176をターゲットとした睡眠調節剤の開発につながる可能性があります。 また睡眠障害が高血圧や糖尿病などの誘因になることが明らかになっていることから、生活習慣病の予防薬の開発につながる可能性もあります。文献Gpr176 is a Gz-linked orphan G-protein-coupled receptor that sets the pace of circadian behaviour NATURE COMMUNICATIONS | 7:10583 | DOI: 10.1038/ncomms10583 | www.nature.com/naturecommunications
2016年02月19日
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北海道大学の2月17日に公開したプレスリリースによると、総動員で働くアリのコロニーは長期存続が危うくなることを明らかにしたとのこと。余剰と見えるアリは、全体に地形的なダメージを受ける仕事をするアリが疲れた場合にその仕事を代わりに行うスパーサブの様な存在であることが判明しました。 働かないアリの割合は常に2~3割存在しています。アリのコロニーから得たデータを元にしたシミュレーションの結果で議論をしていますが、疲労というファクターがなかった場合には2つのシステムの存在時間に差はありませんでしたが、疲労をファクターに入れるとシステムの存続時間が延びることが分かりました。ここで不思議なのはシステムの存在時間が疲労をファクターに入れない場合は同じと言うことです。総動員で働いたら、結果としては余剰がない方が、存在時間が長そうに思います。今後期待として、人間の組織を含め、組織の短期的効率を求めすぎると大きなダメージを受けることがあることから、組織運営全般に関して、長期存続の観点を含めた上で考えていくことの重要性が示されたとしています。人間の社会生活に応用するのはかなり無理があると思います。余剰人員がスーパサブの状態に保つ工夫をしている社会などはないような気がします。学生がその状態であるという考え方もあるかもしれませんが。
2016年02月17日
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神戸中央病院では、2015年7月を中心とした時期に同一病棟に入院した人が10月25日から11月16日の間にB型急性肝炎から劇症化して3名が亡くなった。病院は院内感染を疑い、市保健所に届けた上、外部調査を行ったが現時点では感染経路、感染源は不明とのこと。従って、神戸中央病院としてはその時期に入院していた患者に連絡を行い、健康診断を呼びかけています。どの病棟であるかは明らかにされていません。一般的にB型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを入院時に検査するような病気ではないことは明らかでしょう。院内感染よりも、免疫低下を引き起こすようなことが起こった可能性も検討すべきかもしれません。神戸中央病院のお知らせ
2016年02月17日
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2016年1月16日東京大学は、腫瘍血管には「動的な隙間」が存在し、今まで腫瘍血管を透過しない化合物も透過できることをマウスを用いて明らかにしました。腫瘍血管は脆弱で透過性が高いとされています。 高分子を排出するリンパ系が未発達出あることから高分子物質が凝集しやすいという効果(EPR効果:Enhanced Permeability and Tetention Effect)を利用してミセル化タキソールなどのDDS効果を有する薬剤の開発が進んでいます。今回の研究ではERP効果を静的な穴とすると、それ以外に動的な隙間が存在することをマウスで証明しました。 不規則に腫瘍血管が開閉し、その際に高分子ナノミセルが血管外組織へ漏出するという現象です。 高分子ミセルが大きい場合には、血管からがん細胞に入り込んだ高分子は血管周辺に留まることから、近傍で隙間が出きると血管内に放出することになります。分子量が少なければ腫瘍深部まで浸透可能と推定できます。 この隙間を制御できると新しいDDSが見つかる可能性があります。 出典雑誌名: Nature Nanotechnology(オンライン発行 英国時間 2016 年 2 月 15 日)論文タイトル: Vascular bursts enhance permeability of tumour blood vessels and improve nanoparticle delivery著者: Yu Matsumoto, Joseph Nichols, Kazuko Toh, Takahiro Nomoto, Horacio Cabral, Yutaka Miura, R. James Christie, Naoki Yamada, Tadayoshi Ogura, Mitsunobu R Kano, Yasuhiro Matsumura, Nobuhiro Nishiyama, Tatsuya Yamasoba, You Han Bae*, Kazunori Kataoka*DOI 番号: 10.1038/NNANO.2015.342
2016年02月17日
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2016年2月16日順天堂大学はロコモティブシンドローム研究用アプリを開発したと発表しました。開発したアプリは「ロコモニター」と名付けられ、「ロコモ25」・「立ち上がりテスト」・「2ステップテスト」の3種類のロコモ度テストをアプリ上に完全再現しています。 iPhone に内蔵された加速度センサーや気圧計を利用し、心拍数・不動時間・歩数・歩行距離・上った階数などを自動的にセンシング(一部機能にはApple Watch が必要です)します。これらにより、利用者の日々の運動状況とロコモ度との関連性を把握できるだけではなく、若者を含む幅広い年齢層でのロコモリスクの把握が可能になるなど、かつてない規模でのロコモ度調査・市場調査・社会実装が見込まれます。AppleのResearchKitを元に作られたアプリです。疫学的な試験には威力を発揮すると思います。しかし、GCPに準拠可能なのでしょうか。測定機器のバリデーションの規制はきついですから。 高血圧、糖尿病といった生活習慣病のバックグラウンドデータを入手することが容易になるので、ブレイクスルーにつながる可能性はあると思います。
2016年02月17日
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Kyoto HEART Study(KHS)の第9回公判が2月15日に行われました。参加医師の供述が「差がなかったとなれば、何の価値もない試験になる。松原教授の面目が潰れ、ノバ社からの奨学寄付金が得られなくなる。KHSをやる以上、結果はバルサルタンにとって有利な結果しかなく、事務局も同様に考えていると思った」 とのたまわれました。 3000例中治験参加医師として100例を登録したとのこと。二重盲検比較試験の重要性がはからずとも明白になったってことですね。 まだこのレベルなのかと思うと日本では育薬は無理だと思ってしまいます。 この事件が明らかになったときでも、テレビのインタビューに答えた医師が「お金をもらえると思うと、つい手心を加えてしまうのは仕方ない」と言っていたときに厚生労働省はこの医師を医師法違反で捕まえるべきでした。(医師法 第7条2 医師が第4条のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損する様な行為にあったときは厚生労働大臣は、次に掲げるような行為があったときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる、戒告、3年以内の医業の停止、免許の取り消し)医師は経験あるいは情報によって、患者ボランティアの適格性を確認し、正確にデータを診療録に記載し、それを結果報告書に記載することを、恣意的に行うことは医師としての品位を損する様な行為に当たると思います。供述を行った本人も 「虚偽報告の結果、誤った結論が学会で発表され宣伝で使われることも理解していたが、その先に多くの医師や患者をだまし、医療業界に重大な悪影響を及ぼすとまでは思い至らなかった。本当に浅はかだった。医師として最低の行為をしたと思っている。深く反省している」と医師法違反を自供しているので、新たに逮捕・送検する必要があると思います
2016年02月16日
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今回の目玉はオランザピン(ジプレキサ錠 塩野義製薬株式会社)のジェネリック医薬品でしょう。効能・効果は統合失調症です。 双極性障害における躁症状及びうつ病状の改善は平成24年に承認され、再審査期間は4年間です。 統合失調症の場合にはプラセボ効果が高いことから、ジプレキサ錠で効果が見られなかった症例で、ジェネリック医薬品に替えたら効果が出たなんてことがあるかもしれません。ファイザー製薬は自社の長期収載品と後発医薬品を区別せず、エスタブリッシュメントして扱うと宣言しています。後発医薬品の 製造は自社やマイラン製薬に任していますが、販売はファイザー製薬で行っています。この方法では後発医薬品を使って副作用が出た場合に情報を伝えるまで時間がかかるという欠点を補えるかと思います。オーソライズドジェネリックはは先発製剤と原薬、添加物、製法等が同一の製剤です。海外では後発医薬品に関して3か月の優先販売権を持ちます。一般的には他の会社が特許を譲り受けて生産するものです。 長期収載品は、オーソライズドジェネリック として扱うこと、価格もは後発医薬品と同じにすれば、後発医薬品のシェアは上がると思います。後発医薬品のデメリットとして医師が上げる、実は効果に差があるのではという疑問は払拭することが可能です。後発医薬品の副作用に関しては、後発医薬品メーカの間にかなり差があります。副作用の発生に関しては再審査を受けた成分であることからほとんど既知であることから情報収集の必要性は先発品に比べて低いですが、重篤な副作用と未知の副作用は収集する義務があります。 医薬品副作用被害救済制度の対象となった後発性医薬品が厚生労働省に副作用の報告をしていなかった場合には、発売中止にしてもいいと思っています。
2016年02月16日
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藤田保健衛生大学と大阪大学、理化学研究所はクロザピンが持つ副作用のリスク遺伝子を同定したと発表しました。クロザピンは薬剤耐性となった統合失調症に対する切り札的な薬剤ですが、無顆粒球症などの致死的な副作用を持つことから、特に日本では使用頻度が低くないっています。 日本人のクロザピン誘発性無顆粒球症・ 顆粒球減少症患者群 50 人と日本人正常対照者群 2905 人について全ゲノム関連解析を行ったところ、 HLA-B*59:01 という型が日本人におけるクロザピン誘発性無顆粒球症・顆粒球減少症に関連していることが分かりました。 この型を持っていると、持っていない人と比べてクロザピン誘発性無顆粒球症・顆粒球減少症発症の危険性は約10 倍になります。 HLA-B*59:01 を予測因子として用い、 クロザピン誘発性顆粒球減少症患者群へのクロザピン再投与の可能性を検討しました。 本研究結果を基に、 顆粒球減少症患者群はクロザピン投与を続けた場合に、無顆粒球症へ進展する「潜在的な無顆粒球症患者群」と、無顆粒球症へ進展しない可能性の高い「非無顆粒球症患者群」という互いに連続性のない 2 つの群からなる混合集団であるというモデルを想定して検討を行うと顆粒球減少症患者群の中では、約 50%が「非無顆粒球症患者群」でした。さらに、 HLA-B*59:01 を保有しない顆粒球減少症患者群の中では約 60%が「非無顆粒球症患者群」であり、 再投与した場合は約60%が無顆粒球症に進展しないと推計できました。 本結果は、 顆粒球減少症群においても、一部の患者に対し、クロザピンの再投与は絶対的な禁忌ではないことを意味します。 今までは、顆粒球減少症から無顆粒球症にはならない患者を見分ける方法はなく、 クロザピンを使用する際には、 治療効果を認めかつ無顆粒球症になる可能性が低い患者が、中止基準に引っかかってしまい、 治療が中止されてしまうということが、 少なからずあったと考えられます。 本研究は、安全性を確保することと、治療効果のある患者に適切にクロザピンを投与し続けるということを、 両立するための方法の手掛かりをもたらしました。 前向きの臨床研究を行い、 HLA-B*59:01 を保有する群と保有しない群での無顆粒球症発症率を確認することにより HLA-B*59:01 の予測因子としての有効性を確かめ、 科学的根拠を蓄積していく必要があります。 HLA-B*59:01 の場合になぜ無顆粒球症が発生するかに関する研究が進むとクロザピン誘発性無顆粒球症の病態生理の解明、新たな薬剤の開発に役立つことが期待できます。 がんの世界では第1段階として、有用な薬には副作用を減らすという研究が行われています。プラチナ製剤の嘔吐は中枢刺激による嘔吐であることから、専用の制吐剤の開発が行われ、今では必ず制吐剤が使われています。イリノテカンの下痢に関してもクロザピンと同様な研究が行われて、特にアジア人で下痢の可能性が高いことが判明しました。テーラーメイド医療としてがんに発現している成長因子の受容体に関する抗体製剤が市場に出ていますが、最初は有効ですがその受容体を発現してるがんであっても有効率は100%ではなく、生存率も従来の制がん剤と比較すれば2~3か月は有意に中央値が伸びていますが、完治あるいは寛解といったレベルではなく、非常に高価であり、医療経済的(保健医療費の増大という意味ではなく、その高値が効果に見合ったものであるかどうか)に有効かどうかは意見が分かれるところです。1つのすごい薬剤が出たときに、致命的な薬剤があった場合にあたかも薬害としてその薬剤を葬ってしまうマスコミ報道が多いですが、これはその薬剤が本当に必要な人に行き渡る道を閉ざしてしまうことにもなります。私見ですが、新薬のニュースの場合には製薬メーカーのプレスリリースのリライトの様な記事を載せるのではなく、審査報告書ぐらいは読んで記事にすべきかと考えています。(イレッサによる肺線維症の問題は、肺外以外に多くのがんに使われたことによることが第一の原因だと考えています。それがなぜ起こったのかを検証した記事は見受けませんでした。少なくとも発売時の審査報告書には肺線維症の発現、因果関係不明が文書として残っています) 【参考資料】 藤田保健衛生大学 プレスリリース http://www.fujita-hu.ac.jp/info/2_56ba8f01b1574/index.html
2016年02月14日
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2016年2月2日、 東京大学は、日本医療研究開発機構、科学技術振興機構と共同して脂肪組織のメチオニン代謝による組織修復の遠隔制御と題する研究を発表しました。ヒトやマウスの肝臓は、その7割近くを切除しても再生することが知られていますが、マウスのメチオニン代謝の機能が低下したマウスにおいて、肝臓の再生が阻害されることが、知られています。 今回の研究はショウジョウバエを用いた実験です。 ショウジョウバエの機能障害を起こしたときに、どのような遺伝子が組織代謝に影響を与えるかを確かめる実験系を確立し、様々な遺伝を損傷することによって組織修復が変化するかを検討しました。 結果として脂肪体特異的なメチオニン代謝を阻害すると組織修復が止まりました。 メチオニン代謝経路の酵素がヒトとショウジョウバエに共通することから、今後はヒトでの応用を検討する必要があります。ヒトにおいては脂肪組織は脂肪の蓄積細胞と脂質代謝に悪影響を与えることのみが取り上げられていますが、本来は違う作用があるかもしれません。 【参考資料】プレスリリース:http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160202-2/index.html
2016年02月02日
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2016年2月2日、株式会社ojimは、斜視を眼鏡レンズで矯正することができるようになったと発表しました。今、あなたがものが2つに見えるとか階段を上から眺めると、下の方で2つに分かれて見えるという症状があると、斜視の可能性が高くなっています。 病院に行くと、まず頭のNMRの撮影が行われ、脳血管の微小梗塞の有無の確認を受けます。その結果、立体視等の検査を受けた後、斜視との診断が出ます。治療は手術です。この手術は2回しか受けることができません。実際には目を支える筋肉にメスを入れてずれを調整します。手術は日帰り手術です。ただし、筋肉にメスを入れますので、かなり腫れます。私は翌日どうしても抜けることが出来ない会議があったのですが、かなり奇妙な顔をしていたそうです。 幼稚園の頃にも1度斜視の手術をしているので、その時の手術で打ち止めですよといわれていました。今回、メガネで矯正可能となったことは大変嬉しいことです。最近、ちょっとものが二重に見えるようになってきたので。 【参考資料】プレスリリース:https://www.atpress.ne.jp/news/89045
2016年02月02日
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2016年中外製薬株式会社と大正製薬はボンビバ錠の製造販売承認を取得したことを発表しました。2013年に同成分の月1回の静注の効能効果の取得につぐものです。また、ビスホスホネート系製剤4週に1回投与は2011年9月から小野薬品(リカルボン)、アステラス(ボノテオ)が発売とな手います。いわゆる第三世代のビスホスホネート系薬剤に分類されますが、1日1回の1mgを50mgを4週に1回に変更しても効果は変わらないことになります。 外来は4週に1回が平均的なので、その日に飲めばアドフォーランスも良くなると思います。
2016年01月25日
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2016年1月22日、富士製薬工業株式会社は「ウトロゲスタン®腟用カプセル 200mg」 が製造販売承認を取得しました。プロゲステロンを有効成分とする経腟投与の天然型黄体ホルモン製剤です。日本では「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討を経て、厚生労働省より開発要請を受けていた。また、本剤の開発にあたり、いわゆるドラッグ・ラグといわれる未承認薬・適応外薬の問題解消等に取り組んでいる一般社団法人未承認薬等開発支援センターからの支援を受けています。 日本での生殖補助医療は、近年、少子高齢化・晩婚化が進み少子化対策の一端を担っていると考えられています。その生殖補助医療において、黄体ホルモンは着床や妊娠の維持のために重要な役割を果たしており、治療の際には体外からの黄体ホルモン補充が必要になります。海外ではフランスをはじめ多くの国で患者の時間的負担、身体的負担の軽い経腟投与による黄体ホルモン補充が一般化しており、本剤は日本での経腟投与での黄体ホルモン補充を実現する薬剤になります
2016年01月25日
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2016年1月22日付けで佐藤製薬株式会社は、 有効成分ルリコナゾールを含有した爪白癬治療剤「ルコナック®爪外用液5%」の製造販売承認を取得。情報活動は佐藤製薬株式会社と株式会社ポーラファルマ。爪白癬を対象とした外用薬としては2014年9月2日、爪薬価収載と同時に発売された白癬治療薬エフィナコナゾール(商品名クレナフィン爪外用液10%;科研製薬株式会社)につぐ2番目の新薬。 爪白癬には経口薬もあります。しかし、抗真菌薬は肝臓での他の薬剤の代謝に影響を与える場合が多く、爪白癬に関しては外用剤が望まれていました。
2016年01月25日
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2016年1月23日プレスリリース震災後の宮城の健康状態ー 地域住民コホート調査の第三次報告―が東北大学、東北メディカル・メガバンク機構から発表されました。 東北メディカル・メガバンク計画の地域住民コホート調査にて、平成25~26年度に宮城県内の特定健康診査会場等で参加した24,703人分について分析を行い、主に以下のような結果が得られた。太平洋沿岸部地域で抑うつ傾向などメンタルヘルスのリスクが高い傾向が引き続き見られたが、わずかながらも回復傾向がうかがえた。東日本大震災の被災状況と高血圧等の治療中断との間に、とくに太平洋沿岸部地域において関連がみられた。東日本大震災後の環境の変化やこころの状況と、睡眠薬の服用開始とに関連がみられた。
2016年01月24日
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2016年1月22日、筑波大学は心的外傷(PTSD)の治療に関する動物実験での発見を明らかにしました。 研究はPTSDモデルマウスにおいて、トラウマ直後に記憶の汎化を引き起こしやすい時間帯があることと、トラウマ直後に慣れ親しんだ場所に置かれると、その場所に特に汎化が起こりやすいことを見いだしました。 この研究内容はMolecular Brain2016 9:2”Effect of context exposure after fear learning on memory generalization in mice”で公開されています。現在は、持続エクスポージャー療法があります。十分に安全が確保した治療室で、トラウマ記憶を振り返り、恐怖の訓化を克服することによが治療につながることは明らかになっています。 脳化学の分野では、脳の海馬で新しく新生・再生するニューロンが記憶の汎化において重要な役割を持つことが明らかになっています。 光遺伝学の技術でこの海馬の新生ニューロンを光リモコン制御することが、動物実験上は可能になっています。 PTSDは同じトラウマになるような刺激を受けても発生する場合と発生しない場合があります。マウスの系統はしっかり管理が行われています。 今回の実験からは、トラウマを受けた場合には直ちに病院などに隔離するのが1つの方法になる可能性があることが推定されます。 今回の実験からは、事故直後に病院という知らない空間に置くことによりPTSDを予防できる可能性があります。しかし、実現する条件は限られていると思います。 またPTSDが発症するかしないかに関する研究もヒトでの条件を、SNPs等の遺伝子学的アプローチも有効かと思います。
2016年01月24日
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昨年11月27日の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会で審議を受けた製品が1月22日に製造販売承認を取得しました。 また、拡大治験(他に治療法のない疾患に対する治験プロトコールの組み入れ基準に対して、安全性を主として検討する治験)に関わるGCPの変更も同日行われました。私が興味を持っているのは、 アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社、アステラス株式会社がプレスリリースを行った、「レパーサ®皮下注」PCSK9 阻害薬です。家族性コレステロール血症の効能は分かりますが、高コレステロール血症も入っていることはちょっと意外でした。家族性高コレステロール血症以外の高コレステロール血症では、冠動脈疾患、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病などの罹患または既往歴等から、心血管イベントの発現リスクが高いことを確認し、本剤投与の要否を判断することとの縛りがあります。しかし、LDL-コレステロールは下がりますが、それが心血管イベントの発現リスクが下がるかどうかは、少なくとも日本人では不明です。家族性コレステロール血症以外の患者は全員登録して、5年ぐらいは心血管イベントの発生率を見る筆四用があると思います。 帝京大学臨床研究センターセンター長の寺本民生医師(医学博士)は次のように述べています。「我が国ではスタチン治療中であっても LDLコレステロールの管理が不十分な患者さんが多く見られます。具体的には心血管イベント発症リスクの高い患者さんの約半数において、LDL コレステロールの目標値を達成できていないことが分かっています。国内で初めて承認された PCSK9 阻害薬として、レパーサは更なる LDL コレステロール低下を必要とする患者さんにとって重要な治療選択肢となります。」との意見がプレスリリースに掲載されています。高コレステロール血症のスタチンのLDL-コレステロール低下 はリスクを下げることはいくつかの試験がありますが、それで下がらないヒトのLDLコレステロールを下げてることがリスクを下げることになるかどうかは日本人ではあ不明だと思います。【参考資料】 アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社、アステラス株式会社プレスリリースhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/pdf/160122_Jp_1.pdf 【厚生労働省の法律等データベースサービス】医薬・生活衛生局 新着の法令平成28年1月22日
2016年01月23日
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2016年1月18日、慶応大学は人iPS細胞由来のオリゴデンドロサイト前期細胞を損傷脊髄に移植し、再髄鞘化に成功したと、発表しました。 研究成果は2015年12月24日に「Stem Cell Reports」オンライン版で公開しています。脊髄損傷に対する神経幹細胞移植は最も期待が大きい治療法です。胎児由来幹細胞を移植した脊髄損傷の回復には既に報告がありますが、倫理的な問題があり、一般化は困難です。ヒトips細胞由来神経幹細胞の臨床応用は、細胞移植で可能なことから早期に臨床応用への期待があります。脊髄損傷のに対する神経管細胞移植の機能回復には、1)移植細胞がニューロンに分化して傷ついた神経回路を再構築すること、2)中枢神経の細胞の増殖や維持関わる神経栄養因子を移植細胞を分泌すること、3)移植細胞がオリゴデンドロサイトに分化して、神経の再髄鞘化に寄与するということです。 現在のiPS細胞の神経幹細胞ではニューロンへ分化しますが、オリゴデンドロサイトにはあまり分化しません。今回の研究では2014年に慶応大学が開発したオリゴデンドロサイト前駆細胞をたくさん含んでいる神経幹細胞(human iPS cell derived oligodendrocyteprecursor cell-enriched neural stem/progenitor cells 以下hiPS-OPC-enriched NS/PCs) が脊髄損傷マウスで上記の3つのプロセスをすべて再生したことを確認したものです。【参考資料】 慶應大学プレスリリース 脊髄損傷の回復はiPS細胞で最も臨床応用が早いと思っていましたが、色々問題を抱えているのですね。再生過程の問題は一つクリアできたのかもしれません。しかし、運動機能では、 従来の手法で作成した神経幹細胞との差はは見いだしていません。髄鞘再生による効果は効果持続時間の延長にあるかもしれません。著者は実験系の問題としています。 実際に臨床応用するためには長期の安全性が問題になるかと思います。今回の実験は35日後に機能試験を行っています。マウスとヒトの寿命から考えると1年ぐらいに匹敵しますが、ヒトで1年係るかどうかは分かりません。移植細胞中の腫瘍細胞はほとんど取り除くことは可能ですが、残存iPS細胞細胞が取り除けるかどうかは今のところは系が確立されているわけではありません。移植部位の環境でiPS細胞がどうなるかはよく分かりません。腫瘍化することは想定内です。1例目のiPS細胞由来の細胞の移植が終わってから2年ぐらいになりますが、なかなか臨床応用にはクリアすべき点がありそうです。次は血液がんに対するiPS細胞由来の骨髄細胞移植でしょうか。
2016年01月19日
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1年前にNHKスペシャル「ネクストワールド第2回 寿命はどこまで延びるか」が放送されました。それまでの研究で病気と事故がなければ人間の寿命は120歳~140歳といわれていました。番組の中では将来の夢として、68歳の夫人が10年間意識不明の状態になり、目が覚めると同年齢の人々が若返っており、子どもを生めるようになっているという内容が流れました。 その若返りの薬の実現性がある薬物によって実現に近づいたという内容です。 その薬物はNMNと略されるニコチンアミド モノヌクレオチドです。2015年4月1日からサプリメントとして販売が始まっています。60粒で25,380円1日良が2粒ですので、1日約800円です。現在のところ、MNMの効果が判明しているのは、マウスの腹腔内に投与して、高脂肪食で血中NAD濃度が正常レベルになり、高脂肪食によりグルコース負荷後の高血糖とインスリンレベルの低下が正常に戻ったこと。 腹腔投与により、神経幹細胞の数が回復したこと。糖尿病の回復にはサーチュイン遺伝子の活性化が関与したことが示唆されています。文句はなさそうですが、 薬としての観点から見るとまだ、効果があるかどうかは不明で、ヒトで臨床試験を行うレベルではなさそうです。理由は1. 動物で効果があったのは腹腔内投与であるということ 経口投与だと消化管酵素で分解を受ける可能性があります。2.人間の2型糖尿病と高脂肪食によるマウスの糖尿病の相同性 マウスの効果があったが、人間では全く効果がなかった新薬開発業務に関わったヒトなら結構あることはご存じだと思います。3. 思わぬ副作用が発生する可能性があること。特に長期投与によって。 ナイアシン製剤にはトリグリセライドの低下作用があり、HDLコレステロールを上昇する効果があるので、脂質異常症の適応を持っています。しかし、紅潮という副作用が長期に投与するとかなりの頻度で出現します。そのまま放置しておくと黄疸を始めとする肝機能障害、視力障害、高血糖の悪化、痛風を合併している場合には痛風の悪化が出ます。 NMNはナイアシンが活性化する前段階で生産される合成中間体です。 長期投与によってナイアシン製剤の様な副作用が出る可能性がありますし、中間体が人為的に増加すると、体内では恒常性を保つためにナイアシンの吸収低下や活性化ナイアシンの消費量の増加が起こる可能性があります。 ステロイドの長期投与による下垂体ホルモン生産低下がその例です。あとは、若返る薬というのは、老化というヒトの個体数調整を破綻させるので、人口爆発を起こすか、ますます高齢化(現在の高齢化とは違います)が進み、若年層の仕事がなくなり、国として破綻するかを想像しますので、あんまり欲しいものではありません。
2016年01月17日
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2016年1月8日、京都大学の研究グループはヒトiPS細胞から作った心筋細胞は、分化誘導後20日目に生着率が最高になり、その後は低下することを発見したと報告しました。 また、移植細胞が生着して、心筋細胞と働く率に関しても3か月まで増加しましたが、その後は移植組織の増大ありませんでした。網膜についで期待される心筋移植の問題が明らかになりました。 データによれば、 移植後の心筋細胞は分化誘導後で4日では心筋細胞として機能することはなく、分化誘導後8日、20日後、30日後では移植後の成長率が20日後>30日後>8日後でした。今回のデータは、1月8日からScientific Reportsにオンライン版で公開しています。 【参考】京都大学 プレスリリース http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/160108-190000.htmlientific Reports移植細胞の増加率をiPS由来の心臓細胞の活性を示すとすると、分化誘導後 何日目という賞味期限のあるようなものとなります。今回の結果はマウスの心臓細胞での実験で得られたデータですが、ヒトに応用する場合に分化誘導した日を起点とする規格では、大量生産が可能になった場合に賞味期間切れの心筋細胞が多発するような気がします。この現象がなぜ起こるかの検討が必要かと思います。分化誘導後の保存処置によって、生着・増加率を落とさないような保存方法の開発も期待があるところです。
2016年01月10日
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産経新聞のコラム【できる人の健康学】というのがありました。カフェインをとると大腸癌の再発を防げるという内容です。「一般的に生活習慣を変えることにより大腸がんの発症リスクを60-80%も下げることができると言われている。」とありました。これは生活習慣を治さなくては、大腸癌になってします様な気がしますが、これにはリスク比のマジックがあります。例えば、私は58歳ですが、 国立がんセンターのリスクチェックを行ってみると2.2%(同世代の平均値は1.9%)で15%もリスクが高くなっています。しかし、実際の差は0.3%しかありません。上記の発症リスクは例えば、1.9%が生活習慣を替えると0.4~0.8%になるということです。差は大きく見積もっても1.5%しかありません。更にコーヒーが大腸癌の再発リスクを減少するというのは”Coffee Intake, Recurrence, and Mortality in Stage III Colon Cancer: Results From CALGB 89803 (Alliance) ”CO Nov 1, 2015:3598-3607; published online on August 17, 2015; 10.1200/JCO.2015.61.5062.の文献紹介ですが、これは大腸癌stageIIIの患者で術後の手術前、化学療法中、さらにその約1年後に食生活に関する質問表に答えた人935例で前向きコホート研究として行われたものです。この手の文献の解釈の難しさはコーヒーを飲むことは何か他の因子と関係して、それが本来リスクを下げている因子の代わりに出ていて、あたかもコーヒーを飲むことそのものには効果がない可能性があります(交絡因子の存在)ですから、この論文著者は結果の評価としては「コーヒーを飲む習慣があり、大腸がんの治療中であるなら、その習慣を止めないで下さい。しかし、コーヒーを飲む習慣がなく飲み始めようか迷っているのなら、まず主治医に相談したほうがいいでしょう」という程度です。少なくとも同じ条件でコーヒーを飲まない人で、プラセボ、カフェイン錠の二重盲検比較試験を行わないとはっきりしません。リスクが減るとかいう記事でリスク比しか書いていない記事は信用してはいけません。オリジナルに戻ってどれぐらい下がっているのかを自分で確かめてから、それを飲んでもいいかもしれません。【参考】 産経新聞 1月6日(水)11時30分配信
2016年01月07日
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2015年1月4日、東北大学は レチノイン酸(ビタミンA の代謝物)の受容体に対する薬剤であるHX630が有効性を持っていると発表しました。 クッシング病は脳下垂体の発生した腫瘍が原因となってホルモンのバランスが崩れ、肥満、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、筋力低下、多毛、免疫力低下やうつ状態などを引き起こす疾患です。これらの疾患は脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰になることから、副腎皮質からステロイドホルモンが過剰に産生することから起こります。治療は下垂体腫瘍の外科的に摘出するのが第一選択です。外科的治療が不可能の場合は内科的治療となりますが、根治的治療はありません。今回の研究ではマウスを用いてで薬剤HX630がACTH産生腫瘍に対するACTH分泌抑制作用・細胞増殖抑制作用を有することを明らかにしました。今後はHX630の体内動態:下垂体腫瘍に到達するかどうかと人での安全性をクリアすればクッシング病の根治治療になる可能性があります。 【参考】 プレスリリース:東北大学http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2016/01/press20160104-02.html
2016年01月05日
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過去の「かってにいって委員会NS」で「安保法案」を違憲とした学者について竹田氏が「憲法学者は9条は改正してはならないもので、一般人との考え方と解離している」といっていたので、ちょっと調べてみました。 私は憲法89条に関して前から疑問を持っていました。全文を引きます。 第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。(Wikipedia)後段の文章では、私立大学の運営のために助成することに関しては違憲に当たるのではないかと考えます。違憲、合憲、解釈的合憲の説があります。日本大学の甲斐教授のまとめが一番わかりやすかったので、以下に要約します。公的資金を支出した際には、支出を受けた者は憲法83条の定めることに従い、国会の財政権に服することとなる。学説及び実務の問題点全面的違憲説公の支配に属しない事業とは「国または地方公共団体の監督・指導によって、組織・運営の自主性が失われていない私の事業と解すべきであろう。」とした上で、現に私立学校法で定められている程度の監督では、「事業はなお自主性をもち、公の支配に属するものとはみられないから、助成との関係からみて、憲法上の疑義が残される。」としている(清宮・憲法I、215頁より引用)。この見地から種々性にこだわって援助を渋るのは、憲法自身の矛盾である。二分説違憲説の中で、注目すべきものに、伊藤正己の見解がある。それによれば、補助を、経常費補助と非経常的な補助とに区分し、経常費補助については本説に従いつつ、非経常的な補助については公の支配に服しない団体にも支出可能としている(伊藤・479頁参照)。ただし、そう解する根拠は示していない。甲斐教授の意見は、大学の自治は23条で補償されている。私学の特定の施設・設備を調達したりすることによる私学助成は監督が厳密に行われるべきであり、しかも大学の自治に対する干渉にもならないと考えることが重要であるということである。第9条の改正につながることから、第89条は合憲とする憲法学者小嶋和司の財政統制説「、「公の支配」の語を、支出された公金に対する個別具体的な財政統制と読み換える」こうした無理な立論をしているにも拘わらず、現実に行われている私学補助を合憲とすることはできないという点で、説そのものの本来の目的を達成できていない、という致命的な欠陥をも有しているのである。すなわち、この説に立つ場合の最大の問題は、私立大学に対する補助は、当該大学の有する「大学の自治」に対する尊重の必要から、補助金交付の形態に重大な制約が課されるという点にある。9条を改正することがイヤだから他の条文でも明らかに法律が憲法89条に違反しているのにもかかわらず、無理に解釈をつけている憲法学者が明らかに存在します。今回、違憲と判断した人に第89条はどう思われますがときく新聞社はあったでしょうか。 新聞に関してイレッサ発売時の魔法の制がん剤と記事にしたことで、その新聞をみた肺がん以外のがんに係っている患者さんが医師に頼み込んで処方をしてもらい、肺がんの場合は肺を観察しますが、それ以外のがんでは普段の検査では肺を観察しない、ことから、間質性肺炎の多発につながっりました、間質性肺炎によって死亡した患者さんの癌腫が明らかになったことでそのことが明らかになりました。 会社の説明が悪いと新聞社は記事を書きましたが「夢の新薬」と書いた自らの失態に関しては記事は私の見る限りありませんでした。 何かの会合でその話をすると、それはタブーの話のようなことを言われました。結果イレッサの間質性肺炎は薬害とはされていません。以上のことを目の当たりにしたので、新聞に対して、自分が犯罪に関与したときには記事にしないから、新聞購読を止めています。
2015年12月27日
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2015年11月25日、京都大学は急性腎障害が慢性腎症病や末期腎不全に移行する解明するとともに、「急性腎臓病から慢性腎臓病動物モデル」を確立したと発表しました。数時間から1週間程度の経過で腎臓の機能が低下する病態を急性腎臓病と呼びます。急性腎臓病は致死率は高いですが、それを切り抜ければ完治する病気と見なされていました。しかし、急性腎臓病の慢性腎臓病や腎不全のリスクが高まる(完治ではなく、静かに進行する病気)ことが判明しました。研究内容は「Journal of the American Society of Nephrology」のオンライン版に12月23日付けで掲載となりました。今回の研究では独自の遺伝子改変動物を作成し、近位尿細管単独の障害がAKIを惹起するとともに、周囲の線維芽細胞の形質転換を惹起し、それに伴う腎性貧血や線維化を引き起こすこと、さらには、糸球体硬化や遠位尿細管障害など、広範なネフロン障害(慢性腎臓病)を惹起することを世界ではじめて証明しました。 これは急性腎臓病患者が慢性腎臓病に移行することを防ぐ薬剤のスクリーニング系ができたことにより、新薬の開発につながることになります。慢性腎臓病から、腎不全に移行すると透析になります。現在、糖尿病性腎症が透析の原因としては一番数が多くなっています。糖尿病の合併症では網膜症、腎症、神経障害が三大合併症になります。もちろん糖尿病が第1の合併症のリスクですが、急性腎臓病も糖尿病から糖尿性腎症に進行する原因のひとつになっている可能性があるような気がします。【参考】プレスリリース
2015年12月27日
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2015年12月25日、京都大学は ヒトiPS細胞から気道繊毛上皮細胞を含む気道上皮細胞を効率よく分化させる方法を確立して繊毛の動きが機能的であることを示しました。研究成果は2015年12月24日正午(アメリカ東部時間)に「Stem Cell Reports」のオンライン版で公開となりました。肺にある器官を覆う気道上皮細胞は、粘液を分泌し、繊毛の運動によって流れを作り出すことによって、異物や病原体を除去するのに重要な役割を果たしています。粘液繊毛クリアランスの異常は、COPD、気管支喘息、気管支拡張症、嚢胞性線維症、原発性繊毛機能不全症などのさまざまな呼吸器疾患で引き起こされる病態であり、ヒトiPS細胞から気道上皮細胞を効率よく分化させる技術が確立したことで、病態解明や化合物の効果を研究が可能となります。 現在まで、ボランティアからの細胞提供に頼っていたので、 量的な制限がありました。また、病気のひとから同様の技術で気道上皮細胞に誘導することにより、病態解明が可能です。 【参考】プレスリリース 現在のところ、iPS技術を用いた研究には細胞が機能を発揮できない、あるいは機能が発揮しても少ない。これに関しては分化の段階に低分子を加えるなどでかなり、改善されています。分化誘導した細胞が、立体構造を持つところまで行かない。iPS細胞が分化誘導しても、臓器になるには、まだまだ時間がかかる可能性があります。最初の臨床応用となったのは細胞シートで可能である網膜症となりました。細胞だけで治療できる可能性としては、骨髄移植、ランゲルハンス島細胞移植、肝細胞の移植等が考えられます。ランゲルハンス島細胞に関しては12月15日熊本大学でマウスES細胞からインスリンを分泌可能なランゲルハンス島細胞の分化誘導に成功しています。これは分化誘導の際に低分子化合物を加えることが機能発現に重要と考察しています。iPS細胞から誘導した細胞の長期安全性。特に発癌性これに関しては、発癌は誘導した細胞にiPS細胞が残っているためとの仮説に基づいて、実験が行われ、iPS細胞を除くことにほぼ成功しています。この手法によって作成した細胞の長期安全性が確認されれば発癌性に関する問題がなくなる可能性が高くなります。
2015年12月26日
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2015年12月25日、沖縄科学技術大学院大学はランゲルハンス島細胞の保存、輸送方法に新たな方法を開発したと発表しました。1型糖尿病ではインスリン産生細胞(ランゲルハンス島細胞) が自己免疫作用などがランゲルハンス島細胞を破壊することから、患者はインスリンを産生する必要があります。インスリン投与以外の治療方法はランゲルハウス島細胞の移植です。これは肝臓にランゲルハンス島細胞を注射し、一定期間が過ぎるとインスリンが分泌が始まります。この方法は膵臓移植に比較すると、開腹を伴わず、局所麻酔だけで済むので簡便です。ランゲルハンス島細胞の移植の問題は、ヒトランゲルハンス島細胞しか使えないことの他に保存、輸送中に細胞が活性を失うことです。今回の研究は冷凍保存、輸送に関しての問題点を回避する方法を開発しました。結果はAdvanced Healthcare Materials に掲載されています。冷凍の場合は冷凍温度(-190℃)そのものは細胞が温度に耐性を持っているで問題はありませんが、冷凍温度に持って行く過程に問題があります。-15℃から-60℃になる過程で細胞内部や細胞間にある水が氷晶を形成し、細胞膜を貫通して細胞を物理的・機能的に破壊します。このリスクは冷凍細胞を解凍するときにも生じます。 凍結時の危険からランゲルハンス島を保護するだけでなく、リアルタイムで細胞の生存状態まで確認できる超低温凍結保存の新たな手法を開発しました。さらに、この新手法を用いれば、移植による拒絶反応を軽減し、患者の健康に有害な影響を及ぼす免疫抑制剤の使用を減らす可能性があります。このリスク低下には凍結防止剤を用いますが、細胞毒性を発揮する可能性があります。 新手法は、微小液滴を生成するマイクロ流体装置を用いて、ランゲルハンス島をハイドロゲルで包み込みます。同研究チームが使用しているハイドロゲルカプセルは海藻から抽出した天然高分子、アルギン酸塩で作られています。さらに酸素感受性蛍光色素をハイドロゲルカプセルの中に加えるというものです。カプセルに付与された蛍光色素は、ランゲルハンス島の酸素量をリアルタイムで測定するセンサーの役割を果たします。ランゲルハンス島のカプセル化により、移植細胞に対する患者の拒絶反応のリスクを軽減することができます。ハイドロゲルカプセルは、栄養素や膵臓からの分泌物といった小さな分子を容易に通過させますが、移植細胞と宿主細胞が直接接触するのを防ぐことから、1型糖尿病の原因の一つである事故免疫細胞の攻撃から移植細胞を保護するすることができます。参考:プレスリリース ランゲルハンス島移植法について重症のインスリン依存状態糖尿病患者に対して選択します。膵臓組織から ランゲルハンス島細胞だけを取り出し、点滴パックに充填して、経皮経肝的に門脈内に注入する方法です。アルバータ大学(カナダ)が開発した方法です。複数(2~3人)の脳死ドナーから分離したランゲルハウス島細胞を患者に点滴します。 2000年に方法の発表があり、2005年にその長期成績を発表しています。その結果は80%でインシュリンからの離脱が可能でしたが、その効果は1年で50%、5年では10%です。この原因は内因性インスリン分泌陽性率が5年経ってもあまり減少しないことから、ランゲルハンス島細胞のインスリン分泌能が低下した可能性があります。参考:京大附属病院 解説記事
2015年12月26日
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フィジカル社は抗癌作用を有するブドウ種子加工成分を含む一般市販製品のカプセルの発売を発表しました。商品名はIGS4000。 効果としては「メソトレキセート」の注射部位の硬化をに対して症例報告があります。 2015年の日本癌学会では、ぶどう種子加工成分のがん細胞に対する効果とヒトにおける体内動態が報告されています。 がん細胞に対する効果は低濃度ではアポトーシスを誘導し、高濃度ではネクローシスを誘導した。このことから、低濃度で副作用の少ない抗がん剤としての可能性が示唆される。ヒトでIGS4000を経口投与した場合の血中濃度はアポトーシスを誘導する濃度であった。【参考】フィジカル プレスリリース<私見>抗酸化作用のあるサプリメントの一種と思います。殺細胞効果を有するものを一般製品として販売して良いのでしょうか。海外データは見つけることができませんでしたが、日本のデータは単なる症例報告です。症例報告は、専門家の意見より上ですが、エビデンスとしては低いレベルです。制がん剤と併用することで副作用の原因の一つである局所のネクローシスを防止する可能性がありますが、これはまだ、試験管レベルの仮説です。効果がないとはいいません。効果があるかないかエビデンスとしてはとても弱いものです。しかも抗がん剤の副作用という言葉でひとくくりになっているのも患者さんに誤解を与えます、宣伝にもこの言葉はつかえないのは不当表示です。プラチナ製剤の嘔吐などに対しては効果は疑問です。最近話題を浴びているがん細胞の免疫エスケープを阻害する薬剤による自己免疫疾患用副作用にも可能性はやってみないと分かりません。多分、病院の売店で販売するのでしょうか、例え効果があったとしても、全顎患者負担です。医療費控除も使えません。そうでなくても制がん剤治療のコストは上がっています、その中で、また低レベルのエビデンスしかないものに1月2万円近くを増やすことはあまりいいことではありません。薬剤として開発することを希望します。
2015年12月25日
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2012日12月22日、ヤクルト本社は順天堂大学、東京女子医科大学と共同で行ったプロバイオティクス飲料の効果を無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験(DBT)の結果について発表した。 研究成果は、「Annals of Nutrition & Metabolism」に11月25日からオンライン版で公開されている。 対象は高齢者施設入所者(72名:平均年齢85歳)と施設職員(20名:平均年齢37歳)。 観察項目は健康状態(体温、排便頻度、抗菌薬や便秘薬の使用)を毎日、腸内フローラと腸内環境を飲用前、飲用後1か月、3か月、6か月) 。 方法はL.caseri シロタ株を含む飲料(投与群)とプラセボ飲料を1日1本、6か月摂取。投与群とプラセボの決定は無作為抽出法。 結果高齢者施設入所者では、発熱回数、排便頻度では投与群がプラセボ群に比較して有意に上回りました。善玉菌である Bifidobacterium と Lactobacillusの菌数は投与群がプラセボ群に比較して有意に上回りました。悪玉菌であるの菌数は投与群がプラセボ群に比べて有意に低値となりました。腸内環境では総有機酸、酢酸、pHでは投与群がプラセボ群に比べて有意に改善しました。結論 プロバイオティクス飲料の継続的な摂取が高齢者施設入所者の兆ないフローラや腸内環境を改善することが明確になりました。 オリジナル論文はアブストラクト以外は有料なので、読めていません。本文内に答えがあるかもしれませんが、以下の点で言い切っていいかどうか分かりません。高齢者施設入所者と施設職員のデータが別々に処理していること。英文のアブストラクトでは高齢者施設入所者のデータしか検討していない。値が平均と標準偏差で示されているが、文中には95%信頼区間が記載されていない。 他の文献からプロバイオティクスの効果は投与後6か月で消失することが分かっているので、無作為化二重盲検クロスオーバー試験を採用しなかったのか。経時データの検定を飲用前、1か月後、3か月後、6か月後で行っているが、多重性について検討されているのか?有意水準は4回測定を行っているので、0.05÷4=0.0125ではないの。統計手法によっては0.05になる方法もありますが。【参考】ヤクルト本社のプレスリリース
2015年12月24日
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2015年付けで厚生労働省は「ニボルマブ(遺伝子組み換え)製剤の使用に当たっての留意事項に関して」を通知しました。 これはオプジーボが 「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能又は効果として承認したことによります。 内容は全例調査の対象であること。 警告、効能又は効果と用法及び用量の遵守。 オプジーボでは間質性肺炎、自己免疫様疾患の副作用が報告されています。イレッサの場合に問題になった間質性肺炎での死亡例が承認効果である 「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」以外で頻発したことからそれ以降、抗悪性腫瘍剤が承認されるごとにこのような留意事項を通知することが多くなりました。 オプジーボは免疫チェックポイント阻害剤です。今までの免疫療法は体の免疫機能を高める方法でしたが、免疫チェックポイント療法はがん側の免疫細胞を無効化するタンパク質(受容体)を抗体によって無効化することを目的としたがんの治療法です。 がん細胞によって免疫からのがれる受容体はオプジーボが PD-1ですがその他の機構も存在することが報告されています。 がんの増殖因子に働く抗体の様に免疫から逃れる受容体の発現と抗体の効果の検討と患者の免疫を上げる方法との併用の臨床効果の評価が今後必要になります。 【参考】 「ニボルマブ(遺伝子組み換え)製剤の使用に当たっての留意事項に関して」
2015年12月23日
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2015年12月21日、国立がん研究センターは 多目的コホート(JPHC)研究はヘモグロビンA1c(HbA1c)とがんリスクとの関連を検討した研究結果を発表しました。論文は International Journal of Cancer 2015年11月Web公開で公開されています。内容は1998年~2000年度と2003年~2005年度に実施した糖尿病患者を対象とした前向き疫学調査です。例数は 29,629人(男性11,336人、女性18,293人)。がんの発生は1955件のがんが発生していました。研究実施期間から測定法はJDSと思われます。指標しては5.8%未満が優、5.8~6.4%が良。6.5%以上が糖尿病と診断されます。今回は 5%未満、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の5群で検討。結果は前癌のリスクは1.27、1.01、1.28、1.43、1.23でした。つまり、低値と高値でがんのリスクが上昇するという結果でした。糖尿病と診断されている場合にはHbA1cが管理されているのでHbA1cは低値となっている可能性がありますが、リスクは高いままです。結果として「非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で大腸がん(特に結腸がん)リスクが上昇していました。肝がんでは、低HbA1c値群(5%未満)でもリスク上昇がみられました。」考察として 「慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを裏付けるものと考えられます。高血糖はミトコンドリア代謝などを介して酸化ストレスを亢進させることでDNAを損傷し、発がんにつながる可能性が想定されています。」 【参考】プレスリリース 肝臓がんでは特に低HbA1c値低下群でリスクが上昇しています。これは低栄養のためと推察されています。これは私見ですが、子宮頸がんや肝臓がんはウイルス感染が一つの原因です。その場合には低栄養が本人の免疫低下を招き、がんのリスクを高めているのかもしれません。これは冗談ぽいですが、BMIがあまり高くないのに炭水化物ダイエットするとがんのリスクが高くなることになります。
2015年12月22日
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2015年12月18日、京都大学は魚油摂取により体脂肪燃焼を促すメカニズムを解明したと発表した。 研究成果は 2015年12月17日に英国科学誌「Scientific Reports」誌(オンライン版)で公開。 魚油は疫学研究により過体重の抑制に効果があることが報告されています。今回の研究では魚油が胃・腸管の感覚神経に存在するイオンチャンネルを通じて交感神経活動を穏やかに活性化し、脂肪組織で「ノルアドレナリン」を放出し、脂肪細胞を褐色化することにより、体脂肪の消費を促進するとのこと。 【文献】[DOI] http://dx.doi.org/10.1038/srep18013Minji Kim, Tsuyoshi Goto, Rina Yu, Kunitoshi Uchida, Makoto Tominaga, Yuriko Kano, Nobuyuki Takahashi & Teruo Kawada "Fish oil intake induces UCP1 upregulation in brown and white adipose tissue via the sympathetic nervous system" Scientific Reports 5, Article number: 18013, Published online: 17 December 2015 【参考】プレスリリース 魚油にはEPAやDHAが含まれています。現在アメリカで最も使用量が多いのはEPAやDHAのサプリメントです。 疫学的研究は魚油の摂取量が少ない人ほど肥満になる可能性が高いことを明らかにしていますが、魚油が体重を減らす効果に関しての前向き比較試験では結果は様々です。今回の実験では魚油を使用しています。魚油にはEPAやDHAが含まれていることからEPAやDHAが有効であると推定しています。EPAやDHAの最適摂取量は不明です。また最適な配合比があるのかもしれません。魚油に含まれる他の微小物質が効果を示している可能性もあります。インターフェロンが最初に発見されたときには、精製法が進歩していなかったために、TNF-αなどの他のサイトカインが含まれていたため、万能薬のような扱いでしたが、インターフェロンそのものを色々な方法で合成できるようになると、肝炎や腎癌以外にはそれほど効果がないことが明らかになってきました。肝炎に関しては必須と考えられてきましたが、最近、インターフェロン抜きの薬剤療法が出てきています。腎癌に関しても新しい抗体療法がアメリカでは承認を受けており、日本でも治験が進行中です。
2015年12月21日
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2015年12月21日、理化学研究所は和歌山大学と共同で新しい炎症反応を制御する新たな分子を発見したことを発表しました。 ウイルスや細菌に対する防御機構として働いているのは免疫系です。免疫系は「炎症反応」によってウイルスや細菌を攻撃します。この炎症反応の鍵となるのが「NF-κB」と呼ぶ転写因子です。「炎症反応」を起動する仕組みに関してはある程度分かっていますが、「炎症反応」を抑制する仕組みに関しては2007年に核内タンパク質「PDLIM2」が「NF-κB」 の分解を誘導することにより「炎症反応」を抑制します。今回、「PDLIM2」について、その効果をみたところ、PDLIM1はNF-κB と結合しNF-κBの核内への移動を妨げることで、炎症反応を抑制していることが分かったとのことです。 炎症が過剰に起こる場合には、自己免疫疾患と呼ぶ病気が発生します。現在の自己免疫疾患の治療法は、 NF-κBが活性化して放出する炎症性サイトカインの抗体や免疫系そのものを抑える薬剤が用いられています。前者の薬剤は対症療法であり、根本治療にはなりません。免疫系を下げる薬剤ではウイルスや細菌に感染しやすくなります。今回の発見が自己免疫疾患の根本治療につながることを望みます。 【参考】プレスリリース
2015年12月21日
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2015年12月16日、国立長寿医療センターは理化学研究所と同志社大学との共同研究でモデルマウスを用いてアルツハイマー型認知症の原因となる「神経細胞脱落」を抑制する薬剤を発見したと発表しました。 この実験ではドーパミンやアドレナリンのようなカテコール核をもつ薬剤が、タウタンパク質の凝集を阻害することが判明。ドーパミンの構造式 カテコール核を持つ化合物のうち、D/L-イソプロテレノールを3か月間経口投与すると、タウ凝集の阻害と、それに伴う神経細胞脱落を抑制した。神経活動の低下や異常行動の改善も示した。 イソプロテノールは興和からプロタノールS錠15mgの販売名で発売されています。いわゆるベータ刺激剤です。ベータ刺激をすると心臓と気管支が働きます。イソプロテノールは心臓と気管支の両方のベータ受容体を刺激します。プレスリリースには 徐脈や気管支喘息に用いられる医薬品と記載していますが、実際の効能は「各種の高度の徐脈、殊にアダムス・ストークス症候群における発作防止」です。イソプロテノールの構造式 現在の気管支喘息では気管支のベータ受容体に選択性のあるものが使われています。ベータ刺激薬を処方されている人は不整脈を起こす恐れがあります。 医療用医薬品が効果を有することが判明した場合には、まず後ろ向きの疫学調査を行うべきではないでしょうか。つまり、イソプロテノールを飲んでいる人と飲んでいない人でアルツハイマー型認知症の有無、進行度の有無を検討することです。 久山町研究などのデータを使って検討できると思います。【参考】プレスリリース
2015年12月17日
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2015年12月16日、株式会社マクロミルは2015年10月16日から19日に行ったインターネットリサーチの結果を明らかにした。 調査時期は検体測定室に関するガイドラインが施行されてから半年後。 自己採血検査が実施されていると答えたのは4%、今後は予定ありは2%、実施しないとするのは半数を超えた。 主にHbA1cの測定であることから、自己採血検査の意義は「健康管理と糖尿病に対する意識の向上」が最も多かった。 検査の結果、約半数がかかりつけ医への相談、健康診断の受診といった行動が促進したと答えた。 意外と実施してないのですね。手を上げたのは多かったようですが、本当に実施するのは10%満たないとは。 【参考】プレスリリース
2015年12月16日
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2015年12月7日、アストラゼネカは卵巣がんの臨床試験でモバイルアプリを使用すると発表。 目的は副作用の収集。治験薬で頻発する高血圧と下痢に関してデータをデジタルデータで収集収集します。 下痢の頻度、重症度は患者日誌に記載されますが、精度が上がる可能性があります。 スマートフォンで自動収集できるデータとしては、脈拍、血圧、運動量、歩数などがあります。問題としては一般的な測定法との差がないかどうかの検討(バリデーション)が必要であるということです。今回の治験ではアプリで患者が入力することになるので、問診よりも精度は高く、患者日誌と同等と考えられます。 最先端のトイレでは検査しベースの尿検査も実施可能ですが、そこからスマートフォンにデータを飛ばすことによりデータ収集が可能となります。 また測定器のデータをスマートフォンが自動収集することにより自分で臨床検査の管理も可能となります。この場合には測定器でバリデーションが済んでいるので、スマートフォンそのものに対するバリデーションは少なくなります。 端末に関しては眼鏡型と腕時計型の方があります。入力だけなら、スマートフォンそのものが便利。治験に使うのは腕時計型が便利です。 眼鏡型では、自分の目線の動きを察知できることから、居眠り運転の防止や問診の自動入力(特に精神科)が検討されています。 【参考】 アストラゼネカプレスリリース
2015年12月16日
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『マイティア®アルピタット EXα』シリーズの新発売について~抗ヒスタミン成分を 2 倍に増量ガマンできない目のかゆみに効くアレルギー専用眼科薬~出典:プレスリリース 2014年12月11日、千寿製薬と武田薬品工業は、「目のかゆみに効く抗ヒスタミン成分を2倍量配合したアレルギー専用眼科薬薬『マイティア®アルピタット EXα(クールタイプ)/マイティア®アルピタット NEXα(ノンクールタイプ)』(いずれも第 2 類医薬品)を 2015年1月9日(金)に新発売すると発表。 抗ヒスタミン成分はクロルフェニラミンマレイン酸塩、角膜保護成分はコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを追加配合。 製造販売は千寿製薬、武田薬品が販売。
2014年12月13日
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「ワタシの、センタク。」調査全国 10,000 人の来年のチャレンジ意欲はいかに? 2015 年、未年生まれは他の干支より意欲的! ~男性は「ダイエット・体づくり」、女性は「貯蓄」が1 位~出典:プレスリリース 2014年12月9日、東和薬品は、 今春から展開している「ワタシの、センタク 。」プロジェクト活動の一環として、全国 10,000 人に 2015 年に向けたチャレンジ意欲やこれまでの人生のセンタク(転機)、さらに、 2015 年の干支である「未年」 生まれの 300 人を対象に「ワタシの、センタク。」調査を実施し、その結果を発表した。 未年生まれは 2015 年の自分の干支に意欲を燃やす!「2015 年に新しいことに挑戦したい」意欲は73%と、他の干支と比べてもっとも高く、一番低い亥年と比べると 8.8 ポイント高い。 安心・安定志向の未年が、「2015 年挑戦したいこと 」 はお金関連と体づくり! 男性は「ダイエット・体づくり」、女性は「貯蓄」が 1 位。 50 代の未年の男性の 1 位は「語学の勉強」、 50 代の女性の 1位は「健康のためのケア」。 未年男性は自分磨きに力を入れる?
2014年12月13日
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