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雲の上はいつも蒼空
★スイス
ローザンヌ
サンモリッツ
ベルン
チューリヒ
ナイトコーチでロンドンからパリに到着。そしてスイスへ。
92年9月22日(火)[78/150]
パリは雨、曇り
夜中ずっとバスと船に乗ってフランスに入る、
朝6:20ポート・ラ・ビレに到着。
眠っていたところにいきなり降ろされて、
着きましたよと言われても、すぐは頭が働かない。
最初は方向さえわからない状態。
おまけに真っ暗で、まだ夜中のようだ。
日本人の男の子が、とてもうろたえている様子なので、
声をかけるが、人と一緒に行動するタイプではなさそう。
一緒に駅まで行って、そこでさよならする。
カルネ(回数券)を買って、リヨン駅まで行く。
途中で乗換えをしくじり、一旦出てしまって、
カルネを一枚余計に使ってしまった。
7:15過ぎてもまだ真っ暗である。
コインロッカーに荷物を預け、トイレで歯磨きを済ませ、
8時頃からリヨン駅のカフェで少し休む。
昨日Aちゃんから貰ったドーナツ。自分で買ったケーキなどを食べる。
温かいカフェオレで生き返る気分。
昼のTGVに乗るまでは少々忙しい。
帰りの飛行機がパリからなので、
パリとフランスは最後に見るつもり、
今回は用事を済ませるだけ。
大韓航空
某カード会社のサービスオフィス
東京堂書店
サンミッシェルの文房具屋さん
・・・4箇所で用事を済ませる。
前回来ていて、土地勘があったのでいろいろスムーズ。
東京堂書店では、地球の歩き方を探す。
結構揃っていて、ベネルクス篇もあった。
特別バージョンのパリ篇もあった。
(ただし値段は日本の2.5倍!)
サンミッシェルの文房具屋さんでは、
前回買って、補充の欲しかった、
使いやすいメモ帳を手に入れる。
種々タイプ有。帰りにたくさん仕入れていこう。
カルネ5枚使用。
12:25リヨン駅発のTGVに乗る。
16時過ぎにスイスのローザンヌ着。
ローザンヌユースホステルには、17:30に着く。
キレイで快適なユースである。
スイスも宿泊料金が高いので、
ユースホステルの存在が非常にありがたい。
チェックインを済ませて、シャワーを浴びる。
7時頃から夕食。
聞いていた通り、ディナーはボリュームがあって、
野菜もたっぷり。
茨城出身の東京の看護婦さんに会って話す。
病院をやめて、旅行をしているそうだ。
さすがに疲れていて、夕食の時も死にそうだった。
21時過ぎに寝てしまう。
92年9月23日(水)[79/150]ローザンヌ2日目
夕べは21時過ぎに寝たのに朝7時過ぎてもしんどくて、
しっかり起きることが出来ない。
夜行は確かにきついけど、夜行バスは更に辛いものがある。
連泊にしておいて良かった~。
今朝発だったらかなりしんどかったと思う。
今日はほどほどに観光して、ガイドブックのイタリア篇を読むことにしよう。
スイスは前回の旅で、
ルツェルンとインターラーケン(ユングフラウヨッホ)に行った。
今回は、サンモリッツでセガンティーニの美術館を見たいのと、
ベルン美術館にパウル・クレーの作品がたくさんあるので、
それを見に行きたいと思っている。
でも、とりあえず先にイタリアに行ってみよう。
女の子一人旅では、南部は危険だと言われたし、
時間も迫っている(ユーレイルパスの期限)ので、
北部を中心に、一週間ほど回ろうかな?
9時過ぎにユースを出て、カテドラル、リュミエール宮、
街のアンティークショップなどを見る。
平和な感じのきれいな街。
この辺はドイツ語ではなくフランス語を使う地域のようだ。
スイスの印象は北欧と似ている。
どこも清潔で快適であるが、あくがなく、
あっさりしすぎている気がする。
ローザンヌユースホステルからレマン湖までは、歩いて5分ほど。
湖のほとりに行ってみると大きな白鳥がいっぱいいる。
何かえさを持っていると思われたらしく、
たくさん寄って来て、えさをねだる。
ロマンティックなイメージの白鳥でも、
たくさんの巨大(1m以上ある)な鳥に取り囲まれると、
かなりの恐怖。あわてて逃げる。
宿に帰って、洗濯をする。
今後は、まずミラノに、そこからサンモリッツ、コモ湖などに行き、
そして、ヴェローナに移動して、ヴェネツィア、フィレンツェなどに行こうと思う。
明日はとりあえずミラノへ行こう。
宿泊は、女の子だけの宿っていうのがいいのかな?
夕食後、日本人の男女と話す。
22:30過ぎにベッドに入ったが眠れず。
疲れてるのに眠れないなんて、と悔しい気分。
夕食の時に飲んだ紅茶がいけなかったのかな?
なんと4時頃まで眠れなかった。
しばらくイタリアへ行きますので、続きは
★イタリア・オーストリア
へ
92年10月3日(土)[89/150]
この日はミラノからティラノを経由して、サンモリッツへ。
まるで「世界の車窓から」って感じの絶景の連続。
8:00ミラノ発の列車に乗ってサンモリッツを目指す。
10:40にティラノ(標高429m)で乗り換えてから、
列車は、山を登りながら走るようになった。
この列車はAlpen-Transversale と言うようだ。
発車してまもなく。かわいい赤の車両。
谷の向こうに湖が見える。
(はずなのですが、霞んでしまいましたね)
Ospzio Berminaの駅。標高2,253m!
石造りの駅舎。赤の窓枠が似合う。
これも同じ駅から、さっきは秋だったのに、
1時間半ほどで、すっかり冬景色!
これは、上の駅に到着するちょっと前。
13時過ぎに、サンモリッツに到着する。
サンモリッツは、標高1,775m。雪は積もっていなかった。
ここは、高級保養地として有名で、ハイジランドの名でも、
親しまれているそうだ。(マイエンフェルトは標高が低い)
ユースホステルのオープンは16:00だが、
一旦荷物を置いて、
さっそくセガンティーニ美術館を見に行く。
セガンティーニは北イタリア生まれの画家で、
ミラノのブレラ画学校で学び、
スイスのエンガディン地方に移り住んで、
アルプスの山々と、そこに住む人々の姿を描き、
1899年41歳の若さで、病没する。
(本などには大体こんな風に書かれている。)
彼の絵を実際に見ると、
特に日の光のもとでのアルプスの風景などは、
山肌や野の草に宿る鮮やかな色彩が、
澄んだ空気を通して、輝いている感じなのだ。
見ていると、清冽というコトバが浮かんで来る。
透明で輝いていて冷たい空気、でも、どこかが温かい。
近づいて表面を見ると、細かく短い横線の筆遣いで、
色が乗せられているのに気付く。(ものすごく緻密)
印象派の画家たちは、点描で描いたのだけれど、
セガンティーニは、独特の線で色を重ねていった。
(美術用語では、分割技法というのだそうだ)
複雑な色も、混色せずに表現するので、色がにごらず、
アルプスの空気の透明感が表現できるというわけだ。
この美術館では、
初期の頃からの作品が年代を追って見られるようになっていて、その最後には、
有名なアルプス三部作「生」「自然」「死」を見ることが出来る。
確か、最上階の一室にこの3つの絵は展示されていた。
セガンティーニは「自然」製作途中に急逝したそうだ。
その絵は未完のまま展示されていた。
背筋を伸ばして、厳かな緊張を持って、
極力静かに呼吸をしながら、
見たいと思っていた、この絵と対面した。
彼は自然の厳かな美しさを人間の命、
特に死と共に多く描いている。
絵の前にいると、ものすごく静かに、でも圧倒的に、
自然の偉大さと荘厳さを語っている、
・・・という感じがする。
そう広くない館内は季節のせいか人が少なく、
私は心ゆくまで、絵を見ることが出来た。
セガンティーニ美術館
セガンティーニの絵
が見られます。
さて、スイスにも快適なユースホステルが多い。
中でもサン・モリッツのユースは、設備も食事もぴか一だった。
シーズン中はスキー客が多いらしく、とっても大きなドライルームがあった。
中はかなり暑くて、スキーウェアだろうとスキー靴であろうと、
半日もすれば完全に乾いてしまうだろう。
ディナーはとっても豪華でおいしくて、デザートまでついていた。
モニカさんという、ドイツのOLと夕食を一緒に食べた。
前日から風邪気味である。
早く休みたかったが、何故か夜なかなか寝付けなかった。
92年10月4日(日)[90/150]
朝起きるとどうにもだるい。
2日頃から風邪気味だったのだが、
少し熱が出ているようだった。
ベッドでしばらくぐだぐだする。
日曜日なので、礼拝に行かなくては、
とようやく起きた時には、
だいぶ時間が経っていた。
各地の礼拝はだいたい10時半くらいに始まる所が多い。
前の日に教会の前にある集会案内などを、
確かめられればいいのだけれど、
いきなり行く時には礼拝前だったり、
もう始まっていたりでいろいろである。
前日は確かめることが出来なかった。
10時半くらいに、
目星をつけておいた教会に行ってみると、
礼拝は始まっていて、
なんと、扉には鍵が掛かっていた。
こんなのは初めてである。
教会は大体、礼拝の途中でも、
入れてくれるものだし、
初めての人を歓迎するところが多い。
中では確かに集会をしている雰囲気だった。
でも、入れない。
私がもたもたしていたから、いけなかったんだ・・・と、
調子も悪いので引き返すことにする。
空は曇って、寒空、という言葉の似合う色合いだった。
ふと思い立ち、
昨日迷って買えなかったセガンティーニの画集を、
買うことにする。
駅まで行って両替をし、
セガンティーニ美術館へ。
荷物になるので、どうしようかなと思ったが、
買うと決めたら嬉しくなった。
画集(58SF=約5600円)を買ってYHへ戻り、
ベッドに入った。
昼過ぎから17時近くまで、
ゆっくり眠ったら、だいぶ気分も良くなった。
18時から夕食。
ここの夕食はこれまで行ったどのYHよりも豪華だった。
おいしくて、量もたっぷりで、おまけにデザートまでついていた。
スイスのYHは快適なところが多いのだが、
設備もすごくいいし、
このYHは誰にもオススメできるなぁ、と思った。
明日はベルンへ。体調を早く戻したくて、
早めにベッドに入ったのだけれど、
昼間たくさん寝たせいか、眠れなくて困る。
92年10月5日(月)[91/150]
雨模様のサンモリッツを出発。
朝、バス便を間違えて駅行きではなく、
ドルフ行きに乗ってしまった。
焦って坂を駆け下った。反対方向でなくて良かった。
見下ろす湖と山は素晴らしい景色。
走りながらも「おお!!」と感動してしまった。
最近よく列車に乗るために走るなぁ。
何かと思い通りに行かないのが、旅なんだよね。
でも、ちゃんと8:30には駅に着き、
両替とチッキの手続きと、
カード(友人の結婚祝い)を送ることが出来た。
チッキを利用するのは初めてだ。
これは鉄道で荷物だけを送ること。
今回はサンモリッツからウイーンまで、
私の大きな荷物が3日間、別便の鉄道で、
旅することになる。
私はその間必要な小さな荷物だけ持てばいい。
これは案外すごいことなのである。
10kg以上の荷物を持って駅を行ったり来たり(時には走る)、
列車にウンコラショと乗っけたり、網棚に載せたり、
トイレに行くにも一緒に持って行ったりするのは、
(二人旅なら預けて行けるのだが、一人ではそうも行かない)
すごい重労働で、かなりの体力を消耗するのである。
夜行などでは盗られないように気をつけねばならないので、
気疲れもする。
そんなことを3日間ぜんぜん気にしなくていいのだ!
しかも、着いた駅では荷物は好きな時に取りに行けばいい。
つまり、コインロッカーの役割もしてくれるのだ。
なんて、いい方法なんだろう。
15SFだったが、それでも安い!と思った。
(ちゃんとしたバックパッカーならこんなことは考えないに違いない、
私が軟弱バックパッカーだという所以の一つである)
サンモリッツを9:00発の列車に乗る。
クールまでの列車は氷河特急と呼ばれ、
絶景で有名な列車である。
サンモリッツは標高1775m、クールは585m、
約1200mの標高差を、2時間ほどで駆け下るのである。
ホントに言われるとおり、
どこにカメラを向けていいかわからないくらい、
迫力ある絶景の連続だった。
しかもトンネルや木が多くて、
なかなか写真を撮ることが出来ない。
感動しながら車窓の景色を眺めていた。
サンモリッツからの雨が、次第にやんで晴れてきた。
清潔でキレイなばっかりで面白味に欠けると思っていたのだが、
何だか、スイスをとっても見直してしまった。
ベルンには14時過ぎに着く。
明日の夜、ウイーン行きの夜行に乗るので、
駅で予約をしようとしたが、
クシェット(寝台)はソールドアウトと言われてしまった。
やむを得ずシート席に…、不安だけど、一方でちょっとわくわく。
街をしばらく歩き、川の近くでスケッチなどをする。
17時にYHにチェックイン。
ベルンのYHもけっこう快適。
18時半ごろから夕食。
台湾の二人連れとブラジルの学生と一緒になり、
話しながら食べる。
明日はベルン美術館、チューリヒ美術館を1日で見ようという、
けっこう思い切った計画である。
21時ベッドに入る。
咽喉がとても痛む。風邪がひどくなるようだったら、
夜行はやめることにしよう。
92年10月6日(火)[92/150]
クレーが好きである。
この一言で書き出そうとして、
何日も考えてしまった。
好きって何なんだろう?
好きと言うなら、ゴッホもミロもセガンティーニも好きだ。
その他もろもろ(って言うには、恐れ多い人たちが多いが)
メッセージやインスピレーションを与えてくれる絵は、
みんな好きだ。
そういう人たちの絵と比べて、
どこがどういう風だから、特に好きって言ったらいいんだろう?
うう~ん、むずかしい。
こういう時は、正直に書くしかない。
クレーの名を知らない時から、
クレーの絵に惹かれていた。
その色合いに、描く形に…。
以前、友達と鎌倉を歩いた時に、
古本屋の店先で、
クレーの絵が表紙の古い本を見つけた。
仕入れたばかりで、
まだ値段をつけていなかったものだった。
どうしても、その絵から目が離せず、
売っていただけませんか?
と聞いてみたが、
まだお売りできません、と言われてしまった。
すっごく残念だった。
しばらくして、
そのとき一緒だった友達から、
絵葉書が届いた。
クレーの絵葉書だった。
「クレーの絵が好きみたいだから」
・・・と書いてくれていた。
こないだとは違う絵だったが、
妙に私の心のツボにはまるものがあった。
いとおしい。
そして、
どこか懐かしい。
見ていると、とても心が安らぐのである。
好きな絵でも、部屋に飾りたい絵と、
そうでない絵がある。
たとえば、
ダリの絵は面白いけど、
部屋に飾りたい絵ではないよね・・・と、
前に夫とも話したことがある。
クレーの絵は飾りたい絵である。
ずっと一緒にいたい絵なのである。
癒し系?って言えるのかも知れない。
強引にではなく、
とても優しく、私を引き寄せる力を持っている。
私はそばにいるととても安らいだ気持ちになる。
・・・
あれあれ?
旅日記を書くはずだったのに、
クレーについて書いてしまった。
そんなクレーに惹かれて、
私はベルンの地を踏んだのである。
生涯に9000枚もの絵を残した多作な彼は、
このベルンに近い、
ミュンヘンブーフゼーに生まれたそうだ。
その関係で、
ベルン美術館には、
たくさんのクレーの作品が収蔵されている。
まずは歩いてベルン美術館へ。
夕べ爆睡したせいで、体調は上向き。
ベルンのYHも快適だった。
それにしてもスーパーで買った安いチョコレートが、
異様においしい!!と感激しきり。
北欧もおいしかったけれど、やっぱりスイスには負けるなぁ。
VILLOR CHOCOLAT DOUBLE-CREME 100gというもの。(1.8SF)
ベルンはなかなかきれいな街である。
スイスの首府なのだが、一国の首都にしては、
ビルが林立していていかにも大きな街という感じではない。
案外地味に見える。オフィス街はまた別なのか?
ドイツ語圏4日目にして、ようやく反射的に、
ダンケシェーンが出てくるようになった。
ベルン国立美術館はホドラーシュトラッセにある。
まずはクレーの部屋へ。
年代順に油彩や水彩、デッサンや版画などが展示されている。
クレーは多作なだけあって、これまで訪れた美術館には、
たいてい何作かは展示されていた。
でもクレーだけでいくつも部屋があって、
こんなにクレー漬けになれるのは嬉しい。
クレーは色んな実験的な描き方をしていて、
描くことの可能性を追求しながら、自分で本当に、
楽しんで描いているな、と思った。
だから、見ているほうも楽しい気持ちになれるのかな?
かなり大きな作品もあり、とっても見応えがあった。
クレーの図録を見つける。
飛びついて買いたいところだが、
とっても分厚くて、4分冊になっている!
・・・ちょっと飛びつけなかった。
クレーのほかの収蔵品もとっても見応えがあった。
ピカソ、マティス、ルノアール、ダリなど、豪華絢爛。
でも、なんとホドラーの部屋はクローズされていて入れず。
10時から13時までの3時間で、ゆっくりたっぷり見ることが出来た。
内容は充実しているが、そんなに大きくはない印象。
こちらを午前にしたのは正解であった。
13:45の列車に乗って、15時過ぎにチューリヒに降りる。
今日はここから23:11発の夜行に乗ってウィーンへ向かう予定。
お目当てのチューリヒ市立美術館は、
火曜日から木曜日までは夜の21時まで開館しているので、
見る時間はたっぷりある。
チューリヒではさっそく美術館へ直行。
中央駅からトラムで3駅ほど。
こちらは市立の美術館である。
行ってビックリ。
クリムト(GUSTAV CLIMT)の特別展をやっていた。
Osterreiche Galerie(ウムラウトの出し方がわからない!)からも、
Kunnsthistorisches Museumからも、
すごいのがたくさん来ていた!
もうとにかく美しい!!
体の線、表情、そして色・・・。
いきなり、心の準備もなく本物を見てしまったので、
(私はクリムトの実物を見たのは初めて)
あまりの美しさにショックを受けてしまった。
作品は大きいものが多く、迫力満点である。
夢中で、ゴージャスな作品の数々を見て回る。
有名な『Der Kuss』がここにあってびっくり。
クリムトが見たくて、ウィーンへ行った人は一体どうなるの?!?
(私も今回、ウィーンへ行ったら見に行くつもりだったので・・・)
圧倒されつつ、大満足。
しかし、
常設展もすごかった。
特にゴッホ、モネ、クレー、ピカソがたくさんと、
マグリットも少し、セガンティーニも3点。
それとジャコメッティなんかも面白かった。
マティスもあったしシャガールもムンクも!
ホドラーもこっちで見られた。
とにかく豪華絢爛とはこのこと。
時間を気にせずゆっくり見て回れて、
ものすごく楽しんだ。
実はクリムトの大カタログもあったのだが、
作品を見ている間に、ショップが閉まってしまい、
一枚のポストカードを買うこともできなかった。
でもまあ、実物を存分に堪能したのだし、
クリムトの画集ならウィーンやパリでも買えるだろう。
満足しきって、チューリヒ中央駅に向かう。
治安がいいとされるスイスでも、
20:30過ぎると、夜道は怖かった。
やはり夜は出歩かない方がいいよね・・・。
さて、次は夜行、一人では初めてコンパートメント席で夜を過ごすのである。
どきどき。
私が夜行を嫌うのにはワケがある。
その前の旅行で、
一番初めに乗った夜行(パリ→フランクフルト)で、
デイパックを盗られたのだ。
いくら身の回りに気を配っても、
眠ってしまえば、隙だらけである。
駅や電車の車内は盗難の危険地帯である。
これまで危険な目にあったのは多く駅か車内である。
前の旅行で一緒だったAちゃんも、バルセロナ駅で、
デイパックを盗まれた。
そして、コンパートメントに乗って夜明かしすると、
国境などで、パスポートを見せろのなんのと、
何かと起こされるのである。
90年の時は、真夜中に、
外に出されて手続きに並ばされたこともある。
(オーストリアからスペインへの列車)
クシェットや個室に乗ると、あまり起こされることはない。
それでなるべくクシェット(寝台)を予約するようにしているのだが、
今回は全く空きがないというし、
空いている日を待つだけの日数の余裕がない。
何と言ってもユーレイルパスが切れるまでの間に、
ハンガリーに入らないともったいないのだ。
・・・という訳で、
美術館で数々の傑作を見て感動した後は、
少々緊張して、夜のチューリヒ駅で夜行を待つ。
カフェでメモなんかを書いていると、
中国系のマリアというおばさんが話しかけてきて、
夜行はとっても危険だと言っていた。
彼女は5回も泥棒にやられたんだそうで、
ブラックヘアーはイタリアンで、
イタリアンを見たら泥棒と思え、とまで言う。
更に怖気づく私。
どおしよう。同室に日本人でもいればいいけど。
なんだかんだ言っても、日本人は少しは安心できる。
男性と同室も嫌だしな~。
彼女はなおもしゃべり続ける。
ゴスペルチャーチのクリスチャンだそうで、
貿易の仕事をしていて、
今回はフェアーでこっちに来たんだそうだ。
娘さんがスイス人の人と結婚していて、
2人の子供もいるそうだ。
列車は23:30発。
乗り込んでみると、ペルーの母娘と、母親の妹、
という、3人の女性との同室だった。
安心できそうなメンバーで、とりあえずほっとする。
しかし、やっぱりよく眠れず。
検札は3回も来て、その度に起こされた。
列車の揺れに身を任せつつ、
明日の宿の心配をする。
なにせ、ウィーンでは、すごく宿がとりにくいのだ。
物価は高いし、あまり過ごしやすい街ではない。
とにかく着いたらすぐに電話でユースに予約だ!
8:30着なのだから何とかなる?
それにしても、サンモリッツから大きな荷物を、
チッキで送ったのは大正解だった。
必要最小限のものだけ守ればいいのだから、
夜行でもほんとに助かる。
明日も宿にチェックインしてから、
荷物を取りに行けばいいのだ。
最小限の荷物の中身。
寝巻き用Tシャツとスパッツ。
下着と靴下。
室内履用ビーサン。
洗面用具。
タオル+ナイロンタオル
めがね(夜用・昼間はコンタクト)
要するに絶対必要なのはこれだけってことなのね。
次は
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