音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年06月06日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 ジョン・コルトレーンは1960年10月に3日間の集中的なレコーディングを行った。この年、彼はマイルスのバンドを離れ、マッコイ・タイナー(ピアノ)とエルヴィン・ジョーンズ(ドラム)を含む自身のカルテットを形成し、活動を進めていった。 『夜は千の眼を持つ(コルトレーンズ・サウンド)』 のところでも書いたように、この時の録音の成果は、『マイ・フェイヴァリット・シングス』、『コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース』(本盤)、 『夜は千の眼を持つ』 の3作に振り分けられたほか、これらの前にリリースされた『コルトレーン・ジャズ』にも一部が収められた。

 これらのうち、本盤『コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース』は、そのタイトルの通りブルース曲ばかりを集めたもので、6曲すべて(CDでは7.「無題オリジナル曲」が追加され7曲になっている)がいずれもコルトレーンのオリジナル。オリジナルと言うと聞こえはよいが、早い話、キーやテンポなど最低限の決めごとをしておいて(と言っても、ソプラノサックスを演奏している5.のように例外的進行のものも含まれてはいるが)、“よーい、どん”と演奏しているわけで、その意味では、曲そのものに卓越した何かが見えるわけではない。実際、ほとんどの曲は周到に準備されたというよりも、その場で用意された曲なのだろう。曲名のつけ方がなんだかテキトーな感じで済まされているところからして、以上のようなことが想像できる(アルバム前半は「○○へのブルース」、後半は「ミスター・××」、おまけにCDボーナス曲は「無題」)。

 では、この盤のどこがすごいのか。少なくとも筆者の中では答えははっきりしている。インプロヴィゼーションの卓越さである。即興演奏と言えば、ジャズの真骨頂ということになる。とはいえ、少し落ち着いて考えてみると、一定の枠組みだけを決めておいてその中で自由に演奏するという行為は、油断をすると安易なワンパターンに陥ってしまう。けれども、この盤のコルトレーンの演奏を通して聴くと、ジャズが確立してきた定式を意図的に崩し、その上で、自身のアドリブ表現をブルース形式の中にどう配置していくかをずっと考えながら演奏しているような印象を受ける。つまり、枠は決まっているが、その枠にはまっていくべきものは型破りでなければいけないという考えであったことが演奏に透けて見える。もちろん、“型破り”を“決まった枠”に無理やり押し込めるのではなく、どう無理なく当てはめていくのかをコルトレーンは念頭に置いていた。そこがこの演奏の魅力的なところだと思う。

 コルトレーンの話だけになってしまったが、その枠の部分を作っているカルテットのメンバーも忘れてはならないので最後に一言。本作やその前後作でとりわけ忘れてはならないのは、エルヴィン・ジョーンズの存在だと思う(エルヴィン・ジョーンズについては こちらの過去記事 も参照)。この人のドラム演奏のキレがなかったら、この時期のコルトレーンの演奏の輝きは格段に落ちていただろうし、もしかするとこれらの名作は名作にすらならなかったかもしれない。



[収録曲]

1. Blues To Elvin
2. Blues To Bechet
3. Blues To You
4. Mr. Day
5. Mr. Syms
6. Mr. Knight
7. Untitled Original(CD追加トラック)


[パーソネル、録音]

John Coltrane (ts, ss)
McCoy Tyner (p)
Steve Davis (b)
Elvin Jones ‘ds)

1960年10月21日、24日録音。






[枚数限定][限定盤]コルトレーン・プレイズ・ブルース/ジョン・コルトレーン[CD]【返品種別A】








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Last updated  2013年08月10日 07時21分24秒
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