全3086件 (3086件中 1-50件目)
スティーリー・ダン前夜のベッカーとフェイゲン 一方のウォルター・ベッカー(Walter Becker)は、1950年ニューヨーク生まれのドイツ系アメリカ人。もう一方のドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)は、2歳年上で、1948年にニュージャージーにてユダヤ系の両親のもとに生まれている。言わずと知れた、スティーリー・ダン(Steely Dan)の両名である。この二人が邂逅したのは、ニューヨークのバード・カレッジ在学中の1967年のこと。フェイゲンがとあるカフェの前を通りかかったところ、エレキギターを練習しているベッカーに出会い、自ら声をかけたのだという。こうして出会い、意気投合した二人は共同で曲作りをするようになる。スティーリー・ダンとしてデビュー盤を発表するのは1972年のことであり、この間の5年の歳月の多くは、二人にとっていろんな音楽の仕事をやって食いつなぎつつ、二人の曲作りや構想を温める時期となった。 そんな時期の彼らの初期音源を集めたのが、この『ファウンダーズ・オブ・スティーリー・ダン(Founders of Steely Dan)』である。1989年以降、この時期の音源集が何種類か編集されているが、海賊盤的なものかと思いきや、日本のレコード会社から発売されたものもあった(関連盤は下の方の商品リンクにもあり)。 総じて2~3分の短い演奏時間のものが多く、デモ音源的な雰囲気を感じさせるものもある。けれども、スティーリー・ダンが結成される間から、言ってみれば、“スティーリー・ダンは存在していた”のだということがよく分かる演奏である。後のアルバムに収録されたものもあれば、そうでない楽曲も含まれるわけだが、デビュー前音源が後々リリースされたというケースはあちらこちらにあるものの、完成度の高さ(演奏でそれが顕著なものもあれば、楽曲そのもののレベルの高さというものもある)という点では明らかに頭一つ抜け出したレベルである。 2017年、ベッカーが67歳で逝去したことにより、ベッカー&フェイゲンのコンビでの活動は止まってしまった。その死に際し、フェイゲンは“自分たちがスティーリー・ダンとして作った音楽を出来る限り輝かせていきたい”と表明したとのことだったが、二人で新たものがそれ以上生み出されなくなったというのは、筆者にも残念でショックだった。とはいえ、過去に遡及し、20歳そこそこの若き彼らを振り返ってみるというのも悪くない。少々マニアックな音源かもしれないが、スティーリー・ダンが好みの向きは、以上のようなことに思いを巡らせつつ聴いてみるのもいいアルバムだと思う。[収録曲]1. Android Warehouse2. A Horse in Town3. More To Come4. Parker's Band 5. Oh, Wow It's You Again6. Stone Piano7. Yellow Peril8. Take It Out on Me9. Braintap Shuffle10. The Mock Turtle Song11. Charlie Freak12. The Roaring of The Lamb13. Soul Ram14. Brooklyn15. A Little with Sugar16. You Go Where I Go17. Ida Lee18. Any World19. This Seat's Been Taken20. Berrytown21. Sun Mountain1989年リリース。 【輸入盤CD】【新品】Donald Fagen/Walter Becker / Origins Of Steely Dan: Old Regime【K2018/2/2発売】(ドナルド・フェイゲン&ウォルター・ベッカー) ウォルター・ベッカー&ドナルド・フェイゲン / アーリー・イヤーズ [CD] ヤング・アンド・イノセント・デイズ -コンプリート・レコーディングス1968~71年 [ ドナルド・フェイゲン&ウォルター・ベッカー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓
2024年11月28日
コメント(0)
シカゴの隠れ名曲選(其の5) 前回記事の「ぼくらの世界をバラ色に」によって、頭の中の考えがすっかりテリー・キャスの方に向いてしまいました。そんなわけで、一区切りのこの5回目も、テリー・キャスの楽曲で締めたいと思います。 1969年のデビューから1980年に至るまで、シカゴは概ね毎年1作品(ただし2枚組作品も多数)のハイペースでアルバムを出し続けました。そんな真っただ中の1976年のアルバム『シカゴX(カリブの旋風)』に収録されたのが今回のナンバーです。 上記アルバムからは「愛ある別れ」がという有名なヒット曲がありますが、今回は“隠れ名曲”がテーマです。アルバムの最後に収録されている「愛の終りに(ホープ・フォー・ラヴ)」をお聴きください。 この映像もまたジャケット写真のようなもの(実は諸作のアルバムジャケットを並べてデザインしたもの)だけで動きませんが、曲だけでも十分堪能できる好曲です。ちなみに、この曲が収録された盤のジャケットは、いちばん右の下から2つめ、そして最上段中央部のものです。 前項でも少し触れましたが、シカゴの当初から中心的なメンバーとして活動してきたテリー・キャスは、この後、1978年初頭に拳銃の暴発事故で亡くなりました。ロシアン・ルーレットのごとく冗談で“弾の入っていない”はずの(しかし実際には銃弾の入っていた)拳銃を頭部に撃って即死してしまいました。こうしたテリー・キャスの名曲を聴くにつけ、このような事件がなければまだまだいろんな曲が聴けたかもしれないのに…などとつい考えてしまいます。 ともあれ、今回のシカゴ曲選、ひとまずはこれで一区切りです。[収録アルバム]Chicago / Chicago X(カリブの旋風)(1976年リリース) シカゴX(カリブの旋風) [ シカゴ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年11月25日
コメント(0)
シカゴの隠れ名曲選(其の4) 今回はぐっと時代をさかのぼり、1970年の第2作(『シカゴII(シカゴと23の誓い)』)に収められたナンバーです。 1969年のデビュー盤に続いて2枚組の大作となったこのアルバムには、組曲になったものがいくつも収められています。個人的にはこういう大作志向というか、壮大な作りになっているのはなかなか好きだったりします。 さて、そうした組曲の一つがアナログ盤B面の大部部を占める「バレエ・フォー・ア・ガール・イン・ブキャノン」です。今回は、その中に含まれる「ぼくらの世界をバラ色に(カラー・マイ・ワールド)」をお聴きください(アルバムのジャケットの画像しか映りませんが、音は2002年のリマスターのものです)。 テリー・キャスによる曲で、彼がヴォーカルも務めています。1978年に急逝するまで、デビュー以来シカゴの中核メンバーとして活躍した人物です。 そんな彼の雄姿もご覧いただきたく、1970年当時のライヴ映像も今回はご覧ください。このライヴ映像では、同じ組曲「バレエ・フォー・ア・ガール・イン・ブキャノン」に含まれている「ぼくらに微笑みを(メイク・ミー・スマイル)」とのメドレー形式で演奏されています。 [収録アルバム]Chicago / Chicago(シカゴと23の誓い)(1970年リリース) シカゴII(シカゴと23の誓い)-スティーヴン・ウィルソン・リミックス/シカゴ[CD]【返品種別A】 シカゴII(シカゴと23の誓い) [ シカゴ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年11月24日
コメント(0)
シカゴの隠れ名曲選(其の3) さらに時代は下り、今回は2008年に発表された『シカゴ32 ストーン・オブ・シシファス』に収録された「ビガー・ザン・エルヴィス(Bigger than Elvis)」という曲です。 実は上記のアルバムは、リリースの際に“32枚目”ということで“XXXII”という名前がつきましたが、本来は、1990年代前半に発表されるはずだったものでした。つまりは、“XXII”となるアルバムになるはずだったというわけです。 さらに、この「ビガー・ザン・エルヴィス(Bigger than Elvis)」という曲に関しては、日本国内向けに編まれたベスト盤に収録されたレア・ナンバーだったのですが、お蔵入りになったアルバムは、上の通り2008年に正式にリリースされました。こうして、正式なアルバムの収録曲として日の目を浴びることになったいうわけです。 シカゴを脱退したピーター・セテラの後釜として1985年に加入したジェイソン・シェフがヴォーカルを務めている楽曲です。“シカゴの声”としてのセテラの印象が強かっただけに、その当時、この人のヴォーカルについては賛否両論いろいろ言われました。けれども、その美声はシカゴのバラード曲などには向いていたのではないかと思います。このナンバーも存分に彼の実力が発揮された美曲だと言えるのではないでしょうか。[収録アルバム]Chicago / Chicago XXXII: Stone of Sisyphus(2008年リリース) シカゴ32 ストーン・オブ・シシファス/シカゴ[CD]【返品種別A】 【中古】 【輸入盤】Stone of Sisyphus (XXXII)/シカゴ ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年11月22日
コメント(0)
シカゴの隠れ名曲選(其の2) さて、時代はもう少し進んで、1980年発表のアルバム『シカゴ14』に収録されたナンバーです。このアルバムは、シカゴがコロンビア所属だった時代の最後の作品となりました。今回取り上げるのは、同盤に収められた「ソング・フォー・ユー(Song for You)」というナンバーです。 この盤から2年ほど後、レーベルがワーナーに変わってリリースされた次作からは、「素直になれなくて(ハード・トゥ・セイ・アイム・ソーリー)」という大ヒットが出たわけですが、それに比べると、「ソング・フォー・ユー」の方は、一応シングル化されたようなのですが、特にチャートアクションもなく、一般聴衆にはマイナーな曲にとどまってしまったようです。 ともあれ、その曲をお聴きください。ちなみに、動かない画像として表示されているのは、収録アルバムのジャケットで、指紋がシカゴの文字になっているデザインは、個人的には案外気に入っています。 今回のこの曲もピーター・セテラの楽曲・ヴォーカルですが、彼の声によるシカゴのバラードの魅力が既によく表れている1曲ではないかという気がします。シングルとしてヒットするには、曲の展開が少しあっさりし過ぎていたのかもしれませんが、なかなかの好曲だと個人的には思っています。[収録アルバム]Chicago / Chicago XIV(1980年リリース) シカゴ14/シカゴ[CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年11月20日
コメント(0)
シカゴの隠れ名曲選(其の1) シカゴ(Chicago)といえば、1960年代の末から現在まで長いキャリアを持つバンドですが、これまで本ブログでは、複数のアルバムを取り上げてきたほか、70年代のバラード選をやってみたり、80年代のポップ寄りなバラードを取り上げたりもしました。今回は、少し趣向を変え、“隠れ名曲選”と題して、このバンドによる少々マイナーなナンバーを中心に5曲ほどピックアップしてみたいと思います。 でもって、第1回目はこのシリーズを思い立ったきっかけのナンバーです。第7作となった2枚組の『シカゴVII(市俄古への長い道)』に収められた「ハッピー・マン(Happy Man)」です。 ヴォーカルはピーター・セテラ、この曲を書いたのも彼です(そういえば、この人のヴォーカルは“100万ドルの歌声”なんて言われたりもしましたね)。「長い夜」、「愛ある別れ(イフ・ユー・リーヴ・ミー)」などシカゴの有名曲の多くでヴォーカルを担当した彼ですが、そうした目立つところに出るわけではなかった今回のような曲においても、その実力を発揮しています。 ちなみに詞の内容は、“あなたに恋をしたハッピーな男”という何とも純真でストレートな内容。とはいっても、陳腐な感じにならないのは、やはり曲のよさ、演奏のよさ、そしてヴォーカルのよさといったところだと思います。[収録アルバム]Chicago / Chicago VII(市俄古への長い道))(1974年リリース) シカゴVII(市俄古への長い道) [ シカゴ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年11月18日
コメント(0)
INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z)アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A)へ → つづき(B)・つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z)アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ → つづき(J-N)・つづき(O-Z)アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、いずれかのバナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年11月17日
コメント(0)
シンプルな編成での秀逸盤 イギリス出身のミュージシャン、ジョー・ジャクソン(Joe Jackson)が2008年にリリースした17枚目のスタジオ作が、この『レイン(Rain)』というアルバムである。 ジョー・ジャクソンという人は、若い頃から多ジャンルの音楽に旺盛であるせいか、はたまた精神的に病んだりしたせいか、よくも悪くも作風が一定せず、聴き手を戸惑わせる部分がある。そんな中、個人的に好きなジョー・ジャクソン像はこれだと思わせてくれる作品がいくつかある。このアルバムは、筆者にとってそうした作品の一つだったりする。 演奏は極めてシンプルな構成。ジョー・ジャクソンがヴォーカルのほかピアノを演奏し、それ以外はベース(グラハム・マビー)、ドラムス(デヴィッド・ヒュートン)というものである。スリー・ピース・バンドの編成だからといって演奏が単純かというと必ずしもそんなことはなく、精緻に演奏されて作り込まれている。 注目したいナンバーをいくつか挙げてみたい。冒頭の1.「インヴィジブル・マン」は、ジョー・ジャクソンらしいヴォーカルやメロディ・ラインが筆者のツボにはまる好ナンバー。また、3.「シティズン・セイン」も、彼らしさという意味では、1.と並ぶ好曲だと思う。これら2曲に、5.「ジ・アップタウン・トレイン」を加えると、本盤収録曲の中でジョー・ジャクソンらしさに満ちた曲3選(実は6.が違った意味で彼らしい曲でもあるのだけれど)といった感じになる。 7.「ソロ(ソー・ロウ)」は、ピアノの弾き語りスタイルで、ドラマチックかつ鬼気迫るヴォーカルを聴かせてくれる。落ち着いた曲調の8.「ラッシュ・アクロス・ザ・ロード」は、さりげない名曲といった風情で、本盤の中で聴き逃がしてはならないナンバーの一つである。アルバムを締めくくる10.「ア・プレース・イン・ザ・レイン」は淡々とした曲のようでありながら、ヴォーカルの表現力の魅力が発揮されているナンバーだったりする。[収録曲]1. Invisible Man2. Too Tough3. Citizen Sane4. Wasted Time5. The Uptown Train6. King Pleasure Time7. Solo (So Low)8. Rush Across the Road9. Good Bad Boy10. A Place in the Rain2008年リリース。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年11月15日
コメント(0)
没後6年目のアウトテイク集 1980年、今風に言えば“育休”からの復帰を果たし、『ダブル・ファンタジー』を発表したばかりのジョン・レノン(John Lennon)は、凶弾に倒れて帰らぬ人となった。それから3年と少しが経った後、同作の未発表音源を含む『ミルク・アンド・ハニー』がリリースされたが、さらに1986年になって、別の未発表音源集がアルバムとして発表された。それがこの『メンローヴ・アヴェニュー(Menlove Ave.)』という盤で、前作と同様にオノ・ヨーコが監修したものである。 本作は、未発表とはいっても、死の直前のものではなく、時を遡って1973~74年の音源である。アナログのA面(1.~5.)は、1973年、ロサンゼルスでのアルバム『ロックン・ロール』のレコーディング・セッションからのもの(ただし、2.のみ『マインド・ゲームス』のレコーディング・セッションの音源)。他方、B面(6.~10.)は、1974年の音源で、アルバム『心の壁、愛の橋』のリハーサル・セッションに由来する。 まずはA面から注目の曲を見ていきたい。1.「ヒア・ウィ・ゴー・アゲイン」は、カバー・アルバムである『ロックン・ロール』のレコーディングで唯一録音された自作曲。実にジョンらしい曲で、彼が亡くなった後となってはないものねだりなのだが、これが煮詰まっていつか公表されるようになったかもしれないヴァージョンを聴いてみたかった。2.「ロック・アンド・ロール・ピープル」は、上述のように、別のセッションの音源のものだが、キレのある好曲でアレンジと演奏の完成度も高い。3.~5.のカバー曲はどれも出来がよいのだけれど、筆者の個人的好みで一つ挙げると、R&Bナンバーの4.「マイ・ベイビー・レフト・ミー」ということになるだろうか。 B面に移って、こちらは『心の壁、愛の橋』のリハ音源ということもあってややマニア向けかもしれない。6.~10.の楽曲はどれもアルバムとして一度発表されている楽曲であるが、いずれの曲もジョンの“生の声”に近いヴォーカルと言える。個人的好みからすれば、7.「心のしとねは何処」や8.「枯れた道」がおすすめと言える。[収録曲]1. Here We Go Again2. Rock 'n' Roll People3. Angel Baby4. Since My Baby Left Me5. To Know Her Is To Love Her6. Steel and Glass7. Scared8. Old Dirt Road9. Nobody Loves You (When You're Down and Out)10. Bless You1986年リリース。 【中古】 メンローヴ・アヴェニュー/ジョン・レノン 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年11月11日
コメント(0)
ネルソン・リドルによるプロデュース三部作の始まり リンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)は、1970年代にポップ/ロックの世界でシンガーとして開花し、人気を得るに至った。そんな彼女が、1980年代には趣向を変えてジャズ・スタンダードに挑み、結果的には大きな成功を収めた。最初にその方向性が見られたのは、1982年の『ゲット・クローザー』だったが、その後、有名な編曲家・プロデューサーである晩年のネルソン・リドルが手掛けた三部作が大きなヒットとなった。その三部作の最初の盤となったのが、この『ホワッツ・ニュー(What’s New)』というアルバムである。ジャケットの表記されているように、リンダ・ロンシュタット&ザ・ネルソン・リドル・オーケストラによるアルバムということになる。 正直なところ、リンダ・ロンシュタットの歌唱力を考えれば、この成功は必然だった。ただし、これをジャズ・ヴォーカル・アルバムだと思って聴くと、ジャズ・ヴォーカル好きの人からは不満が出るかもしれない。本盤は、リンダ・ロンシュタットがジャズに挑戦したという盤ではなく、ポップ・ヴォーカリストの彼女が1920~40年代のスタンダード曲を解釈したものというスタンスで聴くのが正しい聴き方ということになるんじゃないかと思う。 冒頭の1.「ホワッツ・ニュー」からして歌唱力に圧倒される。考えてみるに、その圧倒的な理由は次のようなところにあるように思う。“きれいに”歌うことができるのは、彼女のヴォーカルの実力ではあるのだけれど、感情に任せて熱唱するのではなく、おそらくは意図的に抑揚をつけて楽曲を落ち着けたり盛り上げたりする。ここの加減が絶妙に働いているというように感じる。 上記の1.に加えて、私的な好みで他に注目と言えそうな曲を挙げておきたい。ガーシュウィン曲の2.「クラッシュ・オン・ユー」や5.「やさしき伴侶を(サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー)」は地味ながらお気に入りの歌唱。6.「ほのかな望みもなく(アイ・ドント・スタンド・ア・ゴースト・オブ・ア・チャンス・ウィズ・ユー)」や7.「どうしたらいいの(ホワットル・アイ・ドゥー)」は、ボブ・クーパーのテナーが歌唱に華を添えるが、7.のヴォーカルの声の伸びはなかなか印象的。また、トロンボーン(チャウンシー・ウェルシュ)をフィーチャーした8.「ラヴァー・マン」もいい雰囲気を演出している。さらに、アルバム最後の9.「グッドバイ」は、1.と並ぶ圧倒的なヴォーカルの力が発揮されたナンバーだと思う。[収録曲]1. What's New?2. I've Got a Crush on You3. Guess I'll Hang My Tears Out to Dry4. Crazy He Calls Me5. Someone to Watch Over Me6. I Don't Stand a Ghost of a Chance with You7. What'll I Do8. Lover Man (Oh Where Can You Be?)9. Goodbye1983年リリース。 ホワッツ・ニュー [ リンダ・ロンシュタット&ザ・ネルソン・リドル・オーケストラ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年11月08日
コメント(0)
実力発揮のソロ第1作 アマイア・モンテロ(またはモンテーロ,Amaia Montero)は、スペインの女性シンガーで、1990年代に音楽界で名を知られるようになった。スペイン北部のサン・セバスチャンで結成されたバンドにヴォーカリストとして1996年に加入し、このグループ(ラ・オレハ・デ・バン・ゴッホ,La Oreja de Van Gogh)は国内だけでなく、国際的にも大きな成功を収めた。 10年ほどのバンドでの活動後、アマイアはこのバンドを去ることになり、ソロ・アーティストとしての道を歩み始める。2007年末から制作を始め、翌2008年11月にリリースされたのが、セルフタイトルの本盤『アマイア・モンテロ(Amaia Montero)』だった。ソロ・デビュー盤とはいえ、既に大物シンガーとして知られている人物による作品であり、スペインでアルバムチャート1位になったほか、スペイン語圏諸国(アルゼンチン、チリ、ウルグアイなど)でトップ10入りするヒットとなった。 冒頭の1.「キエロ・セール」は、先行シングルとしてヒットし、スペインのチャートで1位となる成功を収めた。本盤収録曲の中でもインパクトが強く、彼女のヴォーカルのよさが存分に発揮されている。筆者的には、このコケティッシュな声と歌のうまさに一発でノックアウトされるといったナンバーである。 これ以外に特に聴き逃がせない曲としては、2.「ミランド・アル・マール」、4.「407」、6.「ニ・プエド・ニ・キエロ」、9.「ラ・バイーア・デル・シレンシオ」、11.「ポル・トダ・ウナ・ビーダ」なんかが筆者の好みとしては挙げられる。アルバムのコンセプト性やストーリー性という意味では特に秀でたアルバムというわけではないかもしれない。けれども、個々の楽曲のヴォーカルの素晴らしさは、この声質が好みに合うならば“どハマり”する人が続出しそうな作品だと言えるように思う。日本では南欧系ポップ・アーティストの作品に触れる機会はあまりないけれど、私的にはかなりお気に入りのヴォーカリストだったりする。[収録曲]1. Quiero ser2. Mirando al mar3. 4"4. 4075. Tulipán6. Ni puedo ni quiero7. Te falta rock8. Círculos9. La bahía del silencio10. Te voy a decir una cosa11. Por toda una vida2008年リリース。 【中古】 【輸入盤】Amaia Montero/AmaiaMontero(アーティスト) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年11月05日
コメント(0)
商業的な成功はさておき、玄人好みの上質なロック グレアム・パーカー(Graham Parker)は、1950年、英国ロンドン生まれのミュージシャン。アーティストとしての出自はパブ・ロックにタグづけされるものの、何かの狭いジャンル分けで“この分野を代表する”といった感じがしないアーティストだと思う。ニュー・ウェーヴしかりで、『スパーク!(スクイージング・アウト・スパークス)』のような作品があったものの、どこか控えめで、万人向けの派手さがなく、玄人好みな印象が付きまとうように感じる。 実際、セールス面での成功という意味では、1970年代末がその時期に当たり、1980年代以降のグレアム・パーカーの作品はさしたる商業的成功を収めなかった。そんな彼が1990年代に入ってリリースしたのが、本盤『ストラック・バイ・ライトニング(Struck By Lightning)』だった。大きなチャートアクションはなかったものの、40歳代に入ってもはや“若さ”の勢いだけではないロック・ミュージシャンの姿を示した好作だった。 1.「シー・ウォンツ・ソー・メニー・シングズ」は、肩の力の抜けた、さらりとしたかっこよさが魅力である。3.「ストロング・ウィンズ」と4.「ザ・キッズ・ウィズ・ザ・バタフライ・ネット」では、ガース・ハドソン(元ザ・バンド)のアコーディオンがいい味を出している。いい意味で肩の力が抜けた感じという意味で魅力的な曲としては、7.「ザッツ・ホエア・シー・エンズ・アップ」も聴き逃がせない。 8.「ア・ブランド・ニュー・ブック」はパブ・ロッカーらしさが前面に出たノリのいい好曲である。9.「ウィーピング・スタチューズ」もロック・アーティストとしてのグレアム・パーカーの魅力が発揮された隠れ名曲的なナンバー。14.「テン・ガールズ・アゴー」も円熟味のある軽妙な好ナンバー。さらに、アルバム末尾の15.「ザ・サン・イズ・ゴナ・シャイン・アゲイン」は一層リラックスした円熟のよさを聴かせてくれる。 個人的に気になる曲を中心にざっとアルバムを追ってみたけれど、全体を通して聴いた時に、ロック・アーティストしての本領発揮の楽曲、円熟味に溢れる楽曲とヴァラエティに富んでいるのが特徴になっているように思う。つまりは、一本調子ではなく、押したり引いたり、時は軽く肩をすかしたりと、これもまたアーティストとしての成熟の成果ということなのだろう。[収録曲]1. She Wants So Many Things2. They Murdered the Clown3. Strong Winds4. The Kid with The Butterfly Net5. And It Shook Me6. Wrapping Paper7. That's Where She Ends Up8. A Brand New Book9. Weeping Statues10. Guardian Angels11. Children and Dogs12. Over the Border (To America)13. When I Was King14. Ten Girls Ago15. The Sun Is Gonna Shine Again1991年リリース。 輸入盤 GRAHAM PARKER / STRUCK BY LIGHTNING (EXPANDED EDITION) [CD] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2024年11月02日
コメント(0)
スタジオ作品の精度の高さを堪能できる盤 イギリスの音楽ユニット、アラン・パーソンズ・プロジェクト(The Alan Parsons Project)は、1975年から1987年まで活動した。この活動期間中にリリースされた最後のアルバムが、10作目のアルバムとなった本盤『ガウディ(Gaudi)』である。同プロジェクトは、英国出身のアラン・パーソンズがエリック・ウールフソンと組んだスタジオ限定のユニットだったが、後にはライヴ活動も展開している。 アルバム前半(LPでは1.~3.がA面で、4.~7.がB面だった)では、1.「サグラダ・ファミリア」が最初の注目曲。この曲のタイトルであるサグラダ・ファミリア教会(聖家族教会)は、アルバム表題となっているスペインの建築家ガウディの代表作である。ジョン・マイルスがヴォーカルを務めるこの曲は、9分近い大作で、長尺を生かした壮大なスケール感が感動的でさえある。3.「クローサー・トゥ・ヘヴン」はウールフソンがヴォーカルをとるナンバーで、精緻に築かれた美しいメロディが印象的である。 アルバム後半に移って、4.「真実をみつめて」は、ジェフ・バラデイルをヴォーカルとし、上品なカッコよさを備えたロック・ナンバーに仕上がっている。6.「インサイド・ルッキング・アウト」は、上の3.と並んでウールフソンの美曲志向が発揮された好曲。アルバムを締めくくる7.「グラシアの散歩道」は、インストゥルメンタル曲で、スパニッシュ・テイストのギターが効果的でありながら、エレキギターもしっかりと聴かせてくれるという工夫の凝らされたナンバーだったりする。 総じて本盤はスタジオ作のプロジェクトというこのユニットならではの精緻さ、そしてきらびやかなサウンドが魅力だと言える。こうしたスタジオでのアルバム作りにおいて、似たようなバンドとしては、スティーリー・ダンがあったが、アラン・パーソンズ・プロジェクトも忘れてはならない。そんな思いを新たにさせてくれる1枚でもある。[収録曲]1. La Sagrada Familia2. Too Late3. Closer to Heaven4. Standing on Higher Ground5. Money Talks6. Inside Looking Out7. Paseo de Gracia1987年リリース。 【中古】 ガウディ/アラン・パーソンズ・プロジェクト 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年10月30日
コメント(0)
INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A)へ → つづき(B)・つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ→ つづき(J-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたい です)をクリックお願いします! ↓ ↓
2024年10月28日
コメント(0)
豪州発の世界的ヒット エア・サプライ(Air Supply)は、グラハム・ラッセルとラッセル・ヒッチコックの二人を中心とするポップ・ヴォーカル・グループ。1970年代後半にオーストラリア国内で注目されていたが、国際的に知られるようになったのは、アメリカで発売された1980年のシングル曲「ロスト・イン・ラヴ」、およびこれが収録された5枚目のアルバムとなる本盤『ロスト・イン・ラヴ(Lost in Love)』だった。 1970年代から80年代にかけてオーストラリア発のバンドやグループ(例えばこちらやこちらはその例)が世界進出を果たしたが、今から思えば、彼らもその流れの中にあったと言えるのだろう。本盤は大きな成功を収め、アルバムは全米22位、さらに3曲が全米トップ5入りを果たした。 表題曲1.「ロスト・イン・ラヴ」は、人気の火付け役となったナンバーで、シングル・リリースはリミックス・ヴァージョンとなっている。柔らかく穏やかな曲調の美曲で、全米チャート3位を記録した。2.「オール・アウト・オブ・ラヴ」もシングルとしてヒットし、1.を超える全米2位に輝いている。あくまで私見だけれども、曲としては確かにこちらの方が出来がよく、ハーモニーを生かしたバラード曲としては歴史に残るほどの超名曲だと思う。 他に注目の曲としては、3.「ときめきの愛を(エヴリ・ウーマン・イン・ザ・ワールド)」もシングルとして発売され、全米5位を記録した。軽妙さが印象に残る好曲に仕上がっている。アップテンポな曲も本盤には収録されているものの、彼らの聴かせどころとしてはやはりバラード曲で、上記以外には、5.「ハヴィング・ユー・ニア・ミー」や10.「マイ・ベスト・フレンド」がいい。 加えて、注目の曲をもう一つ。7.「チャンセズ」というのがそのナンバーなのだけれど、じっくり聴かせるスロー曲である。確かにシングル向きという感じではないものの、聴き手の心境としては、しみじみ聴き惚れるタイプの好曲となっており、本盤の中では外すことのできない一曲だと思う。[収録曲]1. Lost in Love2. All Out of Love3. Every Woman in the World(ときめきの愛を)4. Just Another Woman5. Having You Near Me6. American Hearts7. Chances8. Old Habits Die Hard9. I Can't Get Excited(燃えない心)10. My Best Friend1980年リリース。 【中古】 ロスト・イン・ラヴ(紙ジャケット仕様)/エア・サプライ ロスト・イン・ラヴ [ エア・サプライ ] ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツー [ エア・サプライ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年10月25日
コメント(0)
1980年代初頭、AORの好盤 ロビー・デュプリー(Robbie Dupree)は1946年ニューヨーク出身のシンガーソングライター。1980年、セルフ・タイトルのデビュー盤(邦盤のタイトルは『ふたりだけの夜』)に収録のシングル曲「ふたりだけの夜(原題はSteal Away)」がビルボード6位のヒットとなり、続いて制作・リリースされたセカンド作が本盤『僕だけの街角(Street Corner Heroes)』だった。アルバムとしての売り上げはデビュー盤に及ばなかったものの、本盤は、デビュー盤と同様の上質のAORアルバムに仕上がっている。 アルバム表題曲の1.「僕だけの街角(ストリート・コーナー・ヒーローズ)」は、爽やかで軽快な好ナンバー。実際にはそうならなかったものの、シングルカットされて大きなヒットになっても不思議のなかった曲だと感じる。続く2.「デスペレイション」と3.「ブルックリン・ガールズ」は、デュプリーの盟友ビル・ラバウンティが書き下ろしたもの。前者は憂をたたえたバラード調、後者はドラマチックな雰囲気のナンバーで、いずれもデュプリーのヴォーカルと見事にマッチした好曲である。 4.「オール・ナイト・ロング」はアカペラ調のナンバーで、ただのバラード・シンガーではないヴォーカル力が発揮されている。5.「フリー・フォーリン」はデュプリーらしさがよく表れたナンバーで、こちらも筆者の好みだったりする。 アルバム後半では、8.「サタデイ・ナイト」と9.「かくせぬ想い(ミッシン・ユー)」が上記の5.と同じくデュプリー節の利いた好曲で、筆者的には好みである。アルバムを締めくくる10.「ロング・グッドバイ」はややベタな感じもしなくはないが、やはり彼らしい楽曲。総じて、いわゆるAOR(大人向けロック)という括りの中でかなり内容がよく、個人的にはおすすめの1枚だったりする。[収録曲]1. Street Corner Heroes2. Desperation3. Brooklyn Girls4. All Night Long5. Free Fallin'6. I'll Be the Fool Again7. Are You Ready for Love?8. Saturday Night9. Missin' You10. The Long Goodbye1981年リリース。 【輸入盤CD】【新品】Robbie Dupree / Street Corner Heroes (Bonus Tracks) (リマスター盤) 【K2018/4/27発売】(ロビー・デュプリー) 【中古】 僕だけの街角/ロビー・デュプリー 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年10月21日
コメント(0)
2000年代の新クラシックスの1枚 ニール・ヤング(Neil Young)の活動歴は、優に50年を超える。ソロのファーストのリリースは1969年、バッファロー・スプリングフィールドのデビューまでさかのぼると1966年から音楽業界での活動をしていることになる。コンスタントにアルバム制作を重ねているため、リリースされた作品は何十枚もあるが、長い年月を経ながら、いわば連作のようになっている作品もある。 彼の名盤かつ個人的にお気に入りの一枚に、1972年の『ハーヴェスト』がある。アコースティック・サウンドに独特のヴォーカルがピタリとはまった名盤である。そして、その続編とも言える作品は、20年後の1992年に、『ハーヴェスト・ムーン』というタイトルでリリースされている。それからさらに十数年、2005年に発表されたのが、この『プレーリー・ウィンド(Prairie Wind)』で、同じ志向性を継承した作品となった。 オープニング曲の1.「ザ・ペインター」は、シンプルで柔らかい曲調とヴォーカルが印象的。2.「ノー・ワンダー」は、ヤング独特の頼りなさげな調子のヴォーカル(もちろんいい意味で)がピタリとはまった名曲で、筆者的には本盤の中で一推しである。5.「イッツ・ア・ドリーム」も淡々とした弾き語り調の中に同様のヴォーカルの特色が生かされている。 後半では、アルバム表題曲の6.「プレーリー・ウィンド」の切なさがいい。アレンジ・演奏は工夫されている一方、独特の迫ってくるようなヤングのヴォーカルがうまく組み合わされていて、7分超えの長尺だが、これもお勧めのナンバー。9.「ヒー・ワズ・ザ・キング」はややアップテンポの曲で、演奏面でのホーンやハーモニカが効果的にきまっている。アルバム最後の曲である10.「ホエン・ゴッド・メイド・ミー」は、淡々としたピアノ弾き語り調のナンバーで、穏やかにアルバムを締めくくる。 この手の演奏とヴォーカルが現代の感性にマッチしているかというと、必ずしもそうではないかもしれない。けれども、この何十年も前の1970年代の『ハーヴェスト』と同様、落ち着いて噛みしめるリスナーは一定数(むろん、筆者もその一人だが)存在するのだと思う。21世紀に入ってから出されたこの一枚も、過去の名作と同様、名作として何十年も聴き継がれていくことを願いたい。[収録曲]1. The Painter2. No Wonder3. Falling off the Face of the Earth4. Far from Home5. It's a Dream6. Prairie Wind7. Here for You8. This Old Guitar9. He Was the King10. When God Made Me2005年リリース。 プレーリー・ウィンド[CD] [輸入盤] / ニール・ヤング 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年10月17日
コメント(0)
アンとナンシー姉妹、始動 ハート(Heart)は、アンとナンシーのウィルソン姉妹を中心とするアメリカ合衆国のロック・バンド。1960年代後半に存在したバンド(やがてホワイト・ハートを名乗っていた)にアン・ウィルソンが合流し、やがて妹のナンシーも参加することになった。このバンドは、ハートを名乗るようになり、1975年に本盤『ドリームボート・アニー(Dreamboat Annie)』でデビューした。 1975年当時、バンドはバンクーバーを拠点としており、この年に本盤はカナダで発売された。翌1976年には米国盤がリリースされている。全米ビルボードのチャートでは最高位7位となり、この後、バンドは人気とキャリアを重ねていくことになった。 注目曲をいくつか見ていこうと思う。1.「マジック・マン」はセカンド・シングルとして全米9位のヒットとなった。派手というよりはシリアスでどちらかと言うと地味なものの、バンドとしての実力を存分に発揮したナンバーと言える。3.「クレイジー・オン・ユー」もシングルとしてリリースした曲(全米では35位)。個人的にはこちらのシングルの方がヒットしてもよかったのではないかという気がするのだけれど、曲の展開やアレンジに工夫があり、初期ハートの代表的ナンバーの一つになっている。 5.「夢見るアニー(原題:ドリームボート・アニー)」は、本アルバムの表題曲。2.にイントロ的、10.にリプライズとなる楽曲が含まれていて、この盤の中心軸となっているナンバー。シングル曲としては大きなアクションを起こさなかったし、ロック・バンドという意味では、これがいちばんの代表曲というのには異論があるかもしれない。けれども、個人的には、この曲が本盤のベストでいちばんの聴きどころだと言っていい。 アルバム後半の収録曲の方がやや小粒なのは否めないが、筆者の好みとしては、ややポップながら7.「ラヴ・ミー・ライク・ミュージック」がいい。それから、9.「ハウ・ディープ・イット・ゴーズ」はヒットしなかったものの、最初のシングルだったナンバー。同じくロック寄りというよりはポップな志向を持つ曲だけれど、これもまた佳曲と言えるように思う。[収録曲]1. Magic Man2. Dreamboat Annie (Fantasy Child)3. Crazy on You4. Soul of the Sea5. Dreamboat Annie6. White Lightning & Wine7. (Love Me Like Music) I'll Be Your Song8. Sing Child9. How Deep It Goes10. Dreamboat Annie (Reprise)1975年リリース。 ドリームボート・アニー [ ハート ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年10月13日
コメント(0)
ベニー・ゴルソン追悼(その2) トランペット奏者のアート・ファーマー(Art Farmer, 1999年死去)は1928年生まれで、テナーサックス奏者のベニー・ゴルソン(Benny Golson,2024年9月死去)は1929年生まれ。生まれ年は1年違うものの、5か月の差しかないほぼ“同い年”の2人が中心となって結成されたグループが、ジャズテット(Jazztet)だった。ピアノ、ベース、ドラムスのリズムセクションに、これら2人のトランペットとテナー、さらにはトロンボーンという6人組(セクステット)だった。 ファーマーとゴルソンの共演はこれが最初ではなかったが、1960年に本盤『ミート・ザ・ジャズテット(Meet The Jazztet)』をレコーディングして以降、数年にわたってジャズテットの活動を展開し、さらには1980年代にもこのグループを復活させていくつもの吹き込みを残した。 ジャズテットのメンバーは時とともに入れ替わっていったが、本盤ではトロンボーンがカーティス・フラー、リズム隊はマッコイ・タイナー(ピアノ)、アートの双子のきょうだいのアディソン・ファーマー(ベース)、レックス・ハンフリーズ(ドラムス)という面々である。この豪華フロント3人の演奏は、個々が競い合う、個人技のどこがいいという風に聴くというよりも、とにかくバンドとしての見事なまとまり、アンサンブルを楽しむというのが、本盤の最良の聴き方であるように筆者には思われる。 個人的な好みで、特に聴き逃がせないと思う曲を挙げていきたい。まず、1.「セレナータ」はグループとしてのまとまりを保った勢いのある演奏が身上で、聴いていてワクワクする。4.「アイ・リメンバー・クリフォード(クリフォードの想い出)」は、ゴルソン作の哀愁漂う有名曲で、リー・モーガンの演奏(参考過去記事)でも知られる。 1.と並んでワクワク感が強いのは、5.「ブルース・マーチ」。さらに、冒頭の勢いのよさが印象的なうえ、聴き手を飽きさせない曲の展開が見事なアート作の8.「モックス・ニックス」も外せない。また、トランペットが美しく響く10.「キラー・ジョー」は、ゴルソンのまったりとしたテナー、フラーの安定したトロンボーン、さらにはタイナーのピアノと聴きどころが凝縮された(贅沢を言えばもうあと2倍ぐらいの時間プレイし続けてほしかった)演奏である。 先月(2024年9月)21日のベニー・ゴルソン逝去の訃報を受けて、前回(過去記事)と今回の2作を取り上げた。今後も機会を見てさらに彼の他の作品を取り上げたいと思う。R.I.P.[収録曲]1. Serenata2. It Ain't Necessarily So3. Avalon4. I Remember Clifford5. Blues March6. It's All Right With Me7. Park Avenue Petite8. Mox Nix9. Easy Living10. Killer Joe[パーソネル、録音]Art Farmer (tp), Benny Golson (ts), Curtis Fuller (tb), McCoy Tyner – (p), Addison Farmer (b), Lex Humphries (ds)1960年2月6・9・10日録音。 ミート・ザ・ジャズテット [ アート・ファーマー&ベニー・ゴルソン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年10月09日
コメント(0)
ゴルソン追悼(その1) 2024年9月21日、サックス奏者で作曲家のベニー・ゴルソン(Benny Golson)が死去した。マンハッタンの自宅で亡くなったとのこと。1929年生まれで享年95歳ということなので、大往生と言えるだろうが、ジャズ界の巨星がまた一人、あちらへと旅立ってしまった。 そのようなわけで、ベニー・ゴルソンの作品を2回にわたって取り上げていきたい。ゴルソンと言えば、「クリフォードの想い出(アイ・リメンバー・クリフォード)」、「ステイブルメイツ」、「ウィスパー・ノット」、「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」、「ブルース・マーチ」など有名曲の作者として知られる。それと同時に、この人物は、テナーサックス奏者としても活躍した。初のリーダー作の吹込みは1957年のことであった。その成果がこの『ニューヨーク・シーン(Benny Golson's New York Scene)』という盤(LPがリリースされたのは1959年)である。 本盤の基礎となる編成は、後にジャズテットを結成するアート・ファーマー(トランペット)とゴルソン自身(テナー)をフロントに据えたクインテット(5人組)。そして、いくつかの楽曲(2.,4.,7.)において、ジミー・クリーブランド(トロンボーン)、ジュリアス・ワトキンス(フレンチ・ホルン)、ジジ・グライス(アルトサックス)、サヒブ・シハブ(バリトンサックス)を加えたノネット(9人編成)という構成になっている。 クインテットの演奏部分に目を向けると、ハードバップ的なすぐれた演奏にゴルソンの哀愁漂うテナーのよさが活かされた作品と言えそうな気がする。例えば、アート・ファーマーの端正なトランペットに加え、ゴルソン節のテナーが堪能できる1.「サムシング・イン・Bフラット」は、このクインテットの本領発揮である。 しかし、本盤はそれだけで終わるものではない。ノネットの3曲に別の傑出した要素が含まれている。それはアレンジとアンサンブルの妙で、作曲家ゴルソンの本領が示されている部分でもある。彼の代表曲の一つである2.「ウィスパー・ノット」、そして、4.「ジャスト・バイ・マイセルフ」、ジジ・グライスのペンによる7.「カプリ」の3曲は、アレンジャーとしてのゴルソンの能力も同時に示す結果になっていると思う。実はこうした編曲の妙は、他の曲にも見られ、5.「ブルース・イット」なんかは、その一つである。ともあれ、ハードバップなクインテット演奏でありながら、大きな編成のアレンジの妙も楽しめるという、ベニー・ゴルソンらしい作品と言えるのではないだろうか。[収録曲]1. Something in B flat2. Whisper Not3. Step Lightly4. Just by Myself5. Blues It6. You're Mine, You7. Capri8. B.G.'s Holiday *CD追加トラック[パーソネル、録音]Benny Golson (ts), Art Farmer (tp), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Charlie Persip (ds)(以下、2., 4., 7.のみ)Jimmy Cleveland (tb), Julius Watkins (French horn), Gigi Gryce (as), Sahib Shihab (bs) 1957年10月14日・17日録音。 輸入盤 BENNY GOLSON / BENNY GOLSON’S NEW YORK SCENE [CD] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年10月07日
コメント(0)
INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事へのリンクを追加しています。INDEXページへは、下記リンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ→ つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A)へ→ つづき(B)・つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ→ つづき(J-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたい です)をクリックお願いします! ↓ ↓
2024年10月04日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その10) これで70年代の名曲選の第9弾も10回目ということで、一区切りとなります。最後は、グランド・ファンク・レイルロード(Grand Funk Railroad, GFR)のヒット・ナンバーです。1973年発表の『アメリカン・バンド』のタイトル曲、「アメリカン・バンド(We’re An American Band)」をどうぞ。まずは1973年当時の映像です。 GFRは1969年にデビューしました。このシングル曲は初めて1位を獲得し、この後、彼らは人気絶頂期を迎えました。 この曲のステージでの演奏シーンもご覧いただこうと思います。1974年、ロサンゼルスでのライヴ演奏の模様をどうぞ。スリーピースでの厚みのある彼らの演奏の特徴が全開です。 今回の70年代曲選は、これで一区切りとなります。次回からは、通常の更新に戻る予定です。[収録アルバム]Grand Funk Railroad / We’re An American Band(1973年) 【国内盤CD】【新品】グランド・ファンク / アメリカン・バンド 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年10月03日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その9) 今回はビリー・ジョエル(Billy Joel)の曲ですが、決してメジャーなナンバーというわけではありません。大ヒットアルバム『ストレンジャー』の収録曲で、シングル「ムーヴィン・アウト」のB面(米盤)だったという曲です。 まずは、「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム(Everybody Has A Dream)」というその曲をお聴きください。アルバム『ストレンジャー』のクロージング・ナンバーで、6分超えの力作です。 続いては、この曲のライヴでの演奏です。ヒット曲ではないせいか、動画のものが見つけられず、画面は静止画なのですが、1990年代初頭のライヴでのパフォーマンスの音声です。 でもって、これはこれで名曲なわけですが、実は「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム」は、1977年リリースの収録アルバムよりもはるか昔に書かれたものでした。いわくつきの彼のデビュー盤(過去記事)の時に既にこの曲の最初のレコーディングが行なわれていました。その1971年ヴァ―ジョンの「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム」をどうぞ。 [収録アルバム]Billy Joel / The Stranger(1977年) ストレンジャー(Blu-spec CD2) [ ビリー・ジョエル ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年10月02日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その8) この名前を聞いて“ああ、そういう人たちいたね~”と思う人もいるかもしれません。アラベスク(Arabesque)というのは、70年代後半から80年代前半にかけて活躍した女性ヴォーカル3人組。西ドイツ(当時)発のプロジェクトで、日本などアジア諸国、さらにはソ連や南米で人気を博しました(欧米では特に売れたわけではありませんでした)。 そんな彼女たち(といってもメンバーは次々入れ替わっていったわけですが)のデビュー・シングルが「ハロー・ミスター・モンキー(Hello Mr. Monkey)」でした。まずは、当初のドイツでのTVショウからの映像をご覧ください。 人気を得た後、1980年代初頭には日本国内で公認ファンクラブができており、いわばアイドル的な人気とディスコ音楽ブームがうまく組み合わさって日本での成功につながったということだったと言えるようです。踊りやパフォーマンスも次第に洗練されていったので、上記の映像に比べると以下の2つのビデオのように派手に振り付けされているイメージが強いという人も多いのではないでしょうか。 [収録アルバム]Arabesque / Arabesque(アラベスク・ファースト)(1978年) 40th アニヴァーサリー・ベスト [ アラベスク ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年09月29日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その7) 「アイ・ショット・ザ・シェリフ(I Shot the Sheriff)」は、ジャマイカ出身のミュージシャン、ボブ・マーリーが1973年に発表した楽曲ですが、今回取り上げるのは、その翌年、エリック・クラプトン(Eric Clapton)によるカバーの方です。 1974年にリリースされたクラプトンのシングルは、全米ビルボードで1位になっただけでなく、イギリス9位、カナダ1位、西ドイツ4位、ニュージーランド1位など世界的なヒットとなりました。 まずは元のヴァージョンを…と思ったのですが、アルバム収録のものとシングル・リリースのもので長さが異なるようです。さらに、2017年になって“フル・レングス・ヴァージョン”なるものも公表されたとのことで、今回はこの長い完全ヴァージョンをお聴きいただこうと思います。 余談ながら、クラプトン本人はその当時、レゲエのメロディに難色をしましたと言います。結局は、バンドメンバーに説得され、説得の言葉通りにヒット・シングルとなりました。 次はライヴの映像です。この曲をライヴ演奏している映像はたくさんありますが、少し変わったところで、けれども、演奏内容的にはベストと言えるかも、と思うのが以下のものです。1990年のハイドパークでのライヴ・ステージの模様で、映像化もされたパフォーマンスをご堪能ください。 [収録アルバム]Eric Clapton / 461 Ocean Boulevard(1974年)Eric Clapton / Live in Hyde Park(VHS、後にDVD、1997年) 461オーシャン・ブールヴァード [ エリック・クラプトン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年09月28日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その6) さて、今回はハードな楽曲を一つ取り上げたいと思います。70年代のエアロスミス(Aerosmith)といえば、「ドリーム・オン」や「ウォーク・ディス・ウェイ」といったヒット・シングル思い浮かべる人も多いかもしれません。今回は、一応シングルとしてリリースされたもののさほどヒットしなかった「バック・イン・ザ・サドル(Back in the Saddle)」です。1976年発表のアルバム『ロックス』に所収のナンバーですが、ライヴでも人気が高く、バンドの代表的な楽曲に育ちました。 まずは、アルバムに収められたオリジナルのヴァージョンをお聴きください。 このように、何だかおどろおどろしいイントロに続いてハードな演奏が展開されていくというのが印象的です。アルバムのオープニング・ナンバーだっということもあって、筆者はワクワクしながら期待感いっぱいで繰り返し聴いたものでした。 その一方、上述の通り、この曲はライヴでのパフォーマンスが素晴らしく、ライヴのオープニング・ナンバーとしてしばしば用いられてきました。おそらくはそのおかげでバンドの代表曲の一つと認知されるようになりました。そうしたわけで、ライヴ演奏の様子もご覧いただきたいと思います。以下、1970年代当時の圧巻かつ見事なライヴ演奏(1977年のヒューストンでのステージ)、そして、後世のものとして、2004年の横浜でのライヴの演奏をどうぞ。 [収録アルバム]Aerosmith / Rocks(1976年) 【輸入盤CD】【新品】Aerosmith / Rocks【K2023/7/14発売】(エアロスミス) 【中古】 【輸入盤】Rocks/エアロスミス 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年09月27日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その5) 1970年代後半、具体的には1977年8月のエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)の急死は、時代の大きな移り変わりを示すものでもありました。それからまもなく、没後最初のシングルとして発売されたのが、「マイ・ウェイ(My Way)」でした。 フランク・シナトラで知られるこの楽曲は、ある段階からエルヴィスがライヴで取り上げるようになり、亡くなる2か月ほど前の音源がリリースされたものでした。 もう一つ、これよりもさらに何年か前にあたる映像もご覧ください。1973年のハワイ(ホノルル)におけるステージでの「マイ・ウェイ」です。 [収録アルバム]Elvis Presley / Elvis in Concert(1977年) 【輸入盤CD】【新品】Elvis Presley / In Concert (エルヴィス・プレスリー) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年09月25日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その4) さて、今回はエルトン・ジョン(Elton John)のナンバーです。「土曜の夜は僕の生きがい(Saturday Night's Alright for Fighting)」は、1973年のシングル曲で、シングル・チャートでは、イギリスで7位、アメリカで12位を記録しました。2枚組の大作アルバム『黄昏のレンガ路』に収録されています。 まずはオリジナルの演奏をお聴きください。 スタジオ録音の演奏もいいのですが、この曲は何と言ってもライヴで盛り上がるナンバーでもあります。そのようなわけで、1970年代当時のライヴ・パフォーマンスの様子をご覧いただこうと思います。1974年、ロンドンのハマースミス・オデオン(ハマースミス・アポロ)でのステージの模様です。 年月が流れ、エルトンも年齢を重ねた後も、圧倒的なライヴ・パフォーマンスでこの曲を披露しています。比較的近年の演奏の模様ということで、2016年、ハイドパークでの大きな盛り上がりのライヴ演奏です。 [収録アルバム]Elton John / Goodbye Yellow Brick Road(1973年) 黄昏のレンガ路/エルトン・ジョン[SHM-CD]【返品種別A】 黄昏のレンガ路 ニュー・デラックス・エディション [ エルトン・ジョン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年09月23日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その3) 今回は、爽やかなコーラスワークが特色のアメリカ(America)のヒット曲、「ヴェンチュラ・ハイウェイ(Ventura Highway)」です。これに先立って全米1位を記録した「名前のない馬」ほどの超特大というわけではなかったにせよ、この曲も全米8位となるヒットを記録しました。 それにしても、いま思えば、アメリカというのは何ともベタな名前でした。在英の米国人だからとはいえ、あまりに“そのまんま”過ぎる…。そう言えば、アメリカという地名の由来は、アメリゴ・ヴェスプッチという歴史上の人物だったわけで、人物名が地名になり、さらには再び人の集まり(バンド)の名になるというのは、なんだか不思議な感じがします。 ともあれ、往時のステージの模様もご覧ください。1979年のライヴでの演奏シーンです。上で述べた“ベタな名前”もこの美コーラスの前では吹き飛んでしまうといったところでしょうか。 彼らの美コーラスを楽しめる曲は他にもありますので、また機会を見てとり上げたいと思ってたりします。[収録アルバム]America / Homecoming(1972年) アメリカの歴史(ベスト) [ アメリカ ] 【輸入盤CD】【新品】AMERICA / HOMECOMING【K2024/08/23発売】(アメリカ) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年09月22日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その2) 続いては、ピーター・フランプトン(Peter Frampton)の「ショー・ミー・ザ・ウェイ(Show Me the Way)」です。彼は、ロンドン出身で、ハンブル・パイなどで活躍ののち、ソロでのキャリアを重ねたミュージシャンです。 1976年発表のライヴ盤『フランプトン・カムズ・アライヴ!』からのシングル曲として、全米6位のヒットとなりました。まずは、往時のパフォーマンスの様子をご覧ください。 この曲は、元々は1975年のスタジオ作『フランプトン』に収録のナンバー(シングルとしても発売された)でした。けれども、チャート・アクションを見せたのは翌年のライヴ盤(そこからシングルカットされた)でした。 1970年代や1980年代に活躍したアーティストは、現在、老齢化しつつありますが、1950年生まれのピーター・フランプトンも、気がつけば70歳代という時の流れになりました。後世の彼のライヴ・パフォーマンスもご覧いただこうということで、2022年、ロイヤル・アルバート・ホールでのステージの様子をご覧ください。歳は重ねましたが、歌声は往年を思い起こさせる懐かしい歌唱です。 [収録アルバム]Peter Frampton / Frampton Comes Alive!(1976年) フランプトン・カムズ・アライヴ! [ ピーター・フランプトン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年09月20日
コメント(0)
70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その1) 1年ぶりぐらいになるでしょうか。通算9回目となる70年代曲選をお届けしたいと思います。全10回を予定していますので、よろしければお付き合いください。 さて、初回はイーグルス(Eagles)のナンバーです。超有名曲である「ホテル・カリフォルニア」(参考過去記事)など70年代後半に入ってからのイメージが一般には強いかもしれません。ですが、彼らのデビューは70年代初頭で、当初はカントリー・ロックと言えるようなサウンドを特徴としていました。 そんな彼らのデビュー・シングルにして最初のヒット・ナンバーが、「テイク・イット・イージー(Take It Easy)」でした。全米12位となり、デビュー盤に収録されました。まずは、そのファースト・アルバム所収のものをお聴きください。 このカントリー・ロック路線の基軸になっていたのはバーニー・レドンでしたが、1975年にイーグルスを脱退してしまいました。とはいえ、その後のイーグルスの活動においても、この曲は、バンドを代表する楽曲の一つとして演奏され続けました。 続いては、1977年の人気絶頂期のライヴ演奏、さらには再結成後の1990年代のステージでの演奏の二つをご覧ください。 [収録アルバム]Eagles / Eagles(イーグルス・ファースト)(1972年) イーグルス・ファースト [ イーグルス ] ベスト・オブ・イーグルス/イーグルス[SHM-CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年09月19日
コメント(0)
HR/HMの元祖とも言われる爆音・轟音サウンド ブルー・チアー(Blue Cheer)は、1960年代後半から70年代初頭に活躍したバンド。1966年にサンフランシスコで結成され、ブルースを演奏していたと言うが、翌67年にジミ・ヘンドリックスのステージに衝撃を受けてスリー・ピースで出直した。3人のメンバー(ヴォーカル兼ベースのディッキー・ピーターソン、ギターのリー・ステファンズ、ドラムスのポール・ウィアリー)は、マーシャルのアンプをこれでもかと積み上げ、爆音・轟音で演奏するというスタイルでレコーディングを行なった。 そうして1968年にリリースされたのが、本デビュー盤『ファースト・アルバム(Vincebus Eruptum)』であった。なお、日本語の表題は『ファースト・アルバム』となっているが、原題は“Vincebus Eruptum”で、“我々はカオスをコントロールする”という意味のラテン語もどきの語句である。 何と言っても圧巻はアルバム冒頭に収録されている1.「サマータイム・ブルース」。言わずと知れたエディ・コクランのナンバーで、後にはザ・フーやヴァン・ヘイレンもカバーしている。荒々しい重厚なサウンドは、原曲のイメージを忘れさせるもので、シングル曲として、チャートでは全米14位、カナダでは3位になった。このヒットもあり、本盤自体も全米11位というチャート上の記録を残している。2.「ロック・ミー・ベイビー」は、B.B.キングの曲のカバー。もともとブルースを演奏していたということだが、このブルース演奏は強いディストーションが耳につく、重厚サウンドでの演奏となっている。 一方、本盤には自作曲(ピーターソンによる楽曲)も3曲収められている。そのうちの3.「ドクター・プリーズ」は、個人的に好みのナンバー。さらに、轟音の演奏が与えるインパクトという意味で、1.に並ぶと思うのが、同じく自作曲の6.「セカンド・タイム・アラウンド」。本盤が世に出たのは、ハード・ロックやヘヴィ・メタルという音楽ジャンルが確立されていないどころか、レッド・ツェッペリンすらまだデビューしていない時代。彼らの爆音・轟音サウンドは確実に未来を見据えたものだったということになるだろうか。[収録曲]1. Summertime Blues2. Rock Me Baby3. Doctor Please4. Out of Focus5. Parchment Farm6. Second Time Around1968年リリース。 ファースト・アルバム [ ブルー・チアー ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年09月16日
コメント(0)
南米/アルゼンチンを意識した作品 前作の『第三世界』(1969年録音、1970年リリース)で、ガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)は南米というルーツを意識した作風を披露した。この方向性を継続し、1971年に録音・発表されたのが本盤『フェニックス(Fénix)』だった。英語のPhoenixと同じ意味で、スペイン語およびポルトガル語で“不死鳥”を指す。 1.「トゥパク・アマル」は自作曲。ヨーロッパ人の侵略に対して最後までビルカバンバで抵抗した“最後のインカ皇帝”の名を表題としている。2.「カルナバリート」は“小さなカーニヴァル”の意味。本盤ではコンガやボンゴといった打楽器がフィーチャされているが、ラテンのリズム感とメロディが生かされた好演奏に仕上がっている。ジェラルド・ペレイラによる3.「ファルサ・バイアーナ」も、南米ラテンのフレーバーが強く、ブラジルっぽいリラックスした雰囲気の楽曲に、強く激しいガトーのテナーがうまく重なり合っている。 アルバム後半で特に注目したいのは、5.「エル・アリエーロ」。アタワルパ・ユパンキ(アルゼンチン出身のシンガーソングライター)の曲で、この曲の演奏に見られるようなラテンの素材とガトーらしいテナー演奏の融合は、この時点で彼がやりたかったことをどんぴしゃで体現しているのではないかと感じる。アルバムを締めくくる6.「バイーア」は、激しさを失うことなく哀愁を感じさせるテナーの演奏が筆者としては気に入っている。 本盤は、ガトーにとってフライング・ダッチマンからの2作目となるアルバム作品だった。この後も、彼は同レーベルから、モントルーでの白熱したライヴを収めた『エル・パンペロ』、彼の代表盤の一つとして知られる『アンダー・ファイア』といった作品を発表していくことになるのだった。[収録曲]1. Túpac Amaru2. Carnavalito3. Falsa bahiana4. El día que me quieras5. El arriero6. Bahía[パーソネル、録音]Gato Barbieri (ts), Lonnie Liston Smith (p, elp), Joe Beck (g), Ron Carter (b), Lenny White (ds), Gene Golden (conga, bongo), Naná Vasconcelos (berimbau, bongo)1971年4月27・28日録音。 フェニックス [ ガトー・バルビエリ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年09月13日
コメント(0)
だいぶ間があいてしまいましたが、INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ1か月ほどの記事へのリンクを追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ→ つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ→ つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ→ つづき(J-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー (1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2024年09月10日
コメント(0)
メンバーを入れ替えての第2作 ディープ・パープルを脱退したリッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)が結成したレインボー(Rainbow)は、1975年に『銀嶺の覇者』を発表したが、この後、ヴォーカルのロニー・ジェイムス・ディオを除くメンバーは総入れ替えされた。この際のコージー・パウエル(ベース、1980年まで在籍)の加入は、メンバーの入れ替わりが激しかった中、このバンドにとって重要な変化だった。 ともあれ、新たな面々となって1976年にミュンヘンでレコーディングがなされ、できあがったセカンド作がこの『虹を翔る覇者(Rainbow Rising)』だった。前作に続き全英のアルバム・チャートでは11位を記録した。なお、バンドの名義は、ファースト作が“リッチー・ブラックモアズ・レインボー”だったのに対し、本盤では“ブラックモアズ・レインボー”に変わっている。また、アルバムの原題は、“Rainbow Rising”とされたり、単に“Rising”とされたりと二通りが存在しているようである。 前半(LPのA面)に4曲、そして、後半(同B面)に長尺の2曲という構成。前半での注目曲としては、まずは1.「タロット・ウーマン」。冒頭のシンセのスぺ―シーなサウンド、演奏とヴォーカルの力強さとキレが印象的で、レインボーの代表曲の一つに挙げるに相応しいナンバーだと思う。あと、個人的好みでは、3.「スターストラック」がよく、後に米国向けにポップ化していく時期の楽曲や演奏の先駆にもなっている。 アルバム後半(B面)の2曲は、ともに8分を超え、じっくりと聴かせる展開の曲になっている。とくに注目なのは、5.「スターゲイザー」。ブラックモアのギターはもちろんのこと、ツーバスドラを駆使したドラムス、迫力あるヴォーカル、さらにはミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団によるオーケストラ演奏の効果的な使用と、聴きどころ満載の演奏に仕上がっている。ついでながら、詞の内容は、5.と6.でつながっていて、B面の2曲はいわば組曲という仕立てになっている。 最後に余談ながら、筆者はこのアルバムのジャケットがお気に入りだったりする。CD附属のものはサイズ的に迫力に欠けるが、LP盤のサイズで見るとなかなかの迫力。機会があればジャケット・デザインも注目していただきたい。[収録曲] 1. Tarot Woman2. Run with the Wolf3. Starstruck4. Do You Close Your Eyes5. Stargazer6. A Light in the Black1976年リリース。 虹を翔る覇者/レインボー[SHM-CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年09月07日
コメント(0)
人気絶頂期の好盤 フォビア(Fobia)は、1987年にメキシコシティで結成されたロック・バンドで、10年ほど活動した(後に2003年以降、再結成して活動を継続中)。1990年にデビュー作を発表してから、順調にキャリアを重ねていく中で第4作として1995年に発表されたのが、この『アモール・チキート(Amor chiquito)』だった。本盤の大ヒットによって、フォビアはメキシコの人気バンドとしての位置を不動とものにした。 好曲が多く並び、曲と演奏の完成度もそれまでの作品よりさらに高まっている。筆者の好みで特にいいと思うのは、冒頭の1.「レボルシオン・シン・マノス」。ラテン系ロックらしいリズム感に対し、オーソドックスな曲展開という、非常にバランスの取れた好曲だと思う。 上記1.のほかに、この当時にヒットし、後々もメキシカン・ロックの定番曲になったナンバーとしては、4.「イプノティサメ」と6.「ベネノ・ビル」が収められている。前者はバラード風で、この曲とこれに続く1分足らずのインストの5.「アイ・カン・ブギ」は、アルバム全体の中では、ロック一辺倒ではなく、緩急をつけて聴き手を飽きさせない工夫が感じられる。もう一つの6.「ベネノ・ビル」は、裏拍を巧みに使いながら一気に突っ走るロック調のナンバーで、現在では、メキシカン・ロックの定番曲の一つになっている。 以上の目立ったナンバー以外に、筆者のお気に入りをさらにもう少し挙げておきたい。3.「ベスティーダ・パラ・マタール」は万人向けではないかもしれないが、音の面でも工夫が多く、筆者としては本盤を初めて聴いた時から気になった曲だったりする。10.「ビボ」と11.「カサ・バシーア」は、上記の4.や5.と同じく、アルバムの中では少し流れを変える役割も担っている楽曲。個人的には、10.のサビが妙に頭から離れなくなるナンバーで気に入っている。最後に、アルバムを締めくくる12.「エストレージャス・エン・ラ・パンサ」は、1分ほどのエピローグ的なテーマだが、アルバムそのものには曲名は記載されておらず、隠しトラックになっている。[収録曲]1. Revolución sin manos 2. Descontrol3. Vestida para matar4. Hipnotízame5. Ai kan bugui6. Veneno vil 7. Mira tete8. Sin querer9. Casi amor10. Vivo11. Casa vacía12. Estrellas en la panza 1995年リリース。 ↓こちらはベスト盤です。↓ ROCK LATINO (REMASTER)[輸入盤]/FOBIA[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2024年09月05日
コメント(0)
“世界一無名の天才ギタリスト”の超推奨盤 世の中には才能を持ちつつも不世出に終わるという人もいる。ギタリストの世界において、そうした不遇の人物の一人がダニー・ガットン(Danny Gatton)であるというのは、多くの人に賛同してもらえるのではないかと思う。 ダニー・ガットンは1945年、ワシントンD.C.出身。幼い頃にギターを始め、様々なアーティスト共に活動を繰り広げた。しかし、彼がメジャー・レーベルから初めて作品を発表したのは、1991年、つまりは45歳になってからのことであった。しかも、1994年には拳銃自殺してしまい、帰らぬ人となった。ほとんど日の目を浴びなかったことから、“世界でいちばん無名な天才ギタリスト”とか、“世界で最も偉大な無名ギタリスト”などと形容される。 本盤『88・エルミラ・ストリート(88 Elmira St.)』は、1991年にエレクトラからリリースされた最初のメジャー・アルバムである。全編インストゥルメンタルで、これぞテレキャスターという演奏が余すことなく発揮された1枚である。 アルバム全体を通じて多彩なプレー・スタイルが披露されているが、筆者の好みで何曲か挙げてみたい。まずは、これぞアメリカン・ギターといったフレーズ満載の1.「ファンキー・ママ」。テレキャスの音とカッコよさが文句なしの1曲である。似た方向性で個人的に気に入っているのは、7.「ザ・シンプソンズ」や8.「ムーサシップ」。いずれもロック系ギター・インストのカッコよさに満ちている。他方、ブルージーな味わい深さや滋味溢れるギター・プレイという点では、3.「ブルース・ニューバーグ」や11.「スライディン・ホーム」がいい。また、リラックスした雰囲気でありながら器用さというか引き出しの多彩さが窺えるのが、4.「クワイエット・ヴィレッジ」や6.「イン・マイ・ルーム」である。 ふだんはなかなかギター・インスト盤に手が出ないという人もいるだろうけれど、1980~90年代のロック系のギター・インスト盤としては、こちらの盤と双璧を成すお薦め盤と言える。上述したようにガットンはとっくの昔に亡くなってしまっているが、アルバム作品は聴かれ続けていってほしいと願う次第である。[収録曲]1. Funky Mama2. Elmira St. Boogie3. Blues Newburg4. Quiet Village5. Red Label6. In My Room7. The Simpsons8. Muthaship9. Pretty Blue10. Fandangus11. Slidin' Home1991年リリース。 【中古】 88・エルミラ・ストリート/ダニー・ガットン 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年09月02日
コメント(0)
早期ヘヴィ・メタルの名盤 1974年のデビューから2024年現在で半世紀という長期間存続し、活動を展開しているヘヴィ・メタルの代表的バンド、ジューダス・プリースト(Judas Priest)。彼らのキャリア早期の中で、特に評価が高く、名盤として挙げられるアルバムが、1978年発表の本盤『ステンド・グラス(Stained Glass)』である。 ヘヴィ・メタルというジャンルが広く語られ、ジャンルとして認知されていくのが1980年以降ということを考えれば、この盤はその前夜に発表された盤ということになる。そんな本盤では、1980年代に隆盛を極め、ジューダス・プリースト自身もその中での主役となっていく時代の演奏が既に一つのできあがった形として提示されている。 1.「エキサイター」は、これぞヘヴィメタ、これぞジューダスと言えるような演奏がぎっしりと詰められたナンバー。後の時代から見れば、もう少し音の厚みが欲しいとか、こういうプレイも混ぜてほしいといった要望が出るかもしれないけれど、ヘヴィ・メタルの欠かせない要素が1978年時点でこれだけ出揃い、完成された楽曲として提示されていたのはすごいことと言うべきなのだろう(そして、何よりも筆者はこの楽曲のカッコよさの虜となっている)。 以降、アルバムの最後まで、どの曲も外せないのだけれど、あと何曲かについてはぜひとも触れておきたい。表題曲の4.「ステンド・グラス」は着実な曲調のナンバーだが、ヴォーカルのよさとギターのカッコよさが際立つ。8.「死の国の彼方に(ビヨンド・ザ・レルムズ・オブ・デス)」は、7分近い長尺のナンバー。バラード調の楽曲なのだが、単調になることなく、ヴォーカルと演奏が随所で盛り上げ、長めのギター・ソロはじっくりと聴かせるものに仕上がっている。力強さや勢いで聴き手を魅了するだけではなく、そうした要素を主としながらも、この曲のような実力派の演奏ができるというは、このバンドの懐の深さを表しているんじゃないかと思う。[収録曲]1. Exciter2. White Heat, Red Hot 3. Better By You, Better Than Me4. Stained Class 5. Invader 6. Saints in Hell 7. Savage 8. Beyond the Realms of Death 9. Heroes End 1978年リリース。 [期間限定][限定盤]ステンド・クラス/ジューダス・プリースト[CD]【返品種別A】 ソニーミュージックマーケティング|Sony Music Marketing ジューダス・プリースト/ ステンド・クラス 期間生産限定盤【CD】 【代金引換配送不可】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年08月30日
コメント(0)
多忙な男の大ヒット作 1980年代のフィル・コリンズ(Phil Collins)は“世界でいちばん忙しい男”だった。ソロでもバンドでも大人気で、イギリスで演奏後にコンコルドに乗って米国へ飛んで次のステージに上がるなんてこともあった。本盤『フィル・コリンズIII(No Jacket Required)』(現在では日本でも『ノー・ジャケット・リクワイアド』と表記されたりする)はソロの方での大ヒット作。黒い背景にフィル・コリンズの首から上だけが映っている写真のジャケット(密かに“生首ジャケ”と呼んでいる)のこの盤は、1985年にリリースされ、英米だけでなくさまざまな国のチャートで1位を獲得し、グラミー賞にも輝いた。 往時は筆者も何度通して聴いたかわからないほど本盤を聴いた。とにかく盛りだくさんで飽きさせない作品である。ダンス調の1.「ススーディオ」はシングルとしてもヒット(全米1位)した。そうかと思うと、同じくシングルとしてカットされた5.「ワン・モア・ナイト」は極上のバラード曲で、アメリカで1位、イギリスで4位のヒットとなった。 上の2曲からわかるように、バラードからダンサブルなナンバーまで、幅広く楽しませ聴かせるというのが本盤を飽きさせないものにしている。似たような対比をもう少しするならば、リズムに乗った6.「ドント・ルーズ・マイ・ナンバー」(こちらもシングルとしてアメリカで4位)があるかと思えば、テンポを落としてじっくりと聴かせる9.「インサイド・アウト」があり、ジェネシス調の10.「テイク・ミー・ホーム」がある。 最後にもう一つ。3.「ロング・ロング・ウェイ」は静かなバラード調のナンバーだが、デュエットで参加しているのはスティングである。さらに、バックコーラスながら、上記の10.「テイク・ミー・ホーム」では、スティングらとともにかつてのジェネシスのメンバーであるピーター・ガブリエルもゲスト参加している。[収録曲]1. Sussudio2. Only You Know and I Know3. Long Long Way to Go4. I Don't Wanna Know5. One More Night6. Don't Lose My Number7. Who Said I Would8. Doesn't Anybody Stay Together Anymore9. Inside Out10. Take Me Home11. We Said Hello, Goodbye (Don't Look Back)1985年リリース。 【中古】 3(ノー・ジャケット・リクワイアド)/フィル・コリンズ ベスト・オブ・フィル・コリンズ [ フィル・コリンズ ] シングルズ・コレクション -3CDエディションー [ フィル・コリンズ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年08月27日
コメント(0)
一世を風靡したブルー・アイド・ソウル・シンガーのデビュー盤 ポール・ヤング(Paul Young)は、1956年イギリス出身の歌手で、1983年に本盤『何も言わないで(No Parlez)』でデビューした。その当時としてはまだ珍しかった、いわゆる“ブルー・アイド・ソウル”(白人系によるソウル音楽)のシンガーであった。このデビュー盤のタイトルは、邦盤の訳の通り、フランス語で“Don’t speak”もしくは“Don’t talk”を意味する。このデビュー盤は、米チャートでこそ79位にとどまった(アメリカで広く知られるようになるのは次作の『シークレット・オヴ・アソシエーション』だった)ものの、イギリスのほかドイツやニュージーランドなど複数の国で1位を記録した。 全体の音作りは、キラキラとしたサウンドを始めとしていかにも80年代的という部分が耳につくが、注目したいのはポール・ヤングのヴォーカル。ブルー・アイド・ソウルと一般に形容されたり分類されたりするシンガーとしては、このデビュー盤の時点で既に完成度が高く、聴き手を引き込む魅力が備わっていた。 注目のナンバーをいくつか挙げておきたい。まず、アルバム前半では、3.「愛の放浪者(安らぎを求めて)」。これは、マーヴィン・ゲイの1962年のナンバーを歌い上げたもので、ポール・ヤングによるこの歌唱は、シングル曲として全英1位のヒットとなった。それから、表題曲の5.「何も言わないで」。スタンダードというよりは実験的な曲展開およびアレンジのナンバーで、その中でのポール・ヤングのヴォーカルの使い方がうまく、プロデュースのよさが感じとれる。 アルバム後半で特に注目したいところとしては、7.「愛の絆」を挙げておきたい。1960年代後半のジョン・ハーレーの代表曲で、難しそうなヴォーカルをさらりとこなしているあたりにポール・ヤングの才能が見える。ブルー・アイド・ソウルとは言っても、甘めの声をしているところがこの人の魅力でもあり、1.「カム・バック・アンド・ステイ」や12.「セックス(男と女)」のような往時のディスコ的なミックスの曲でもそうした部分が垣間見えるのが面白い。[収録曲]1. Come Back and Stay2. Love Will Tear Us Apart3. Wherever I Lay My Hat (That's My Home)4. Ku Ku Kurama5. No Parlez6. Behind Your Smile7. Love of the Common People8. Oh Women9. Iron Out the Rough Spots10. Broken Man11. Tender Trap12. Sex1983年リリース。 【輸入盤CD】【新品】Paul Young / No Parlez (ポール・ヤング) ↓こちらはベスト盤です。↓ Paul Young ポールヤング / Greatest Hits Japanese Singles Collection 【BLU-SPEC CD 2】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年08月25日
コメント(0)
快進撃真っただ中のライヴ盤 ブライアン・アダムス(Bryan Adams)は、1959年、カナダはオンタリオ州生まれのロック・ミュージシャン。1980年代に大人気を博した彼の絶頂期のライヴ・パフォーマンスを収めたのが、この『LIVE! LIVE! LIVE!(Live! Live! Live!)』というライヴ盤で、彼にとっての最初のライヴ・アルバムである。ちょうど、「ヘヴン」などの大ヒットに続く時期で、「アイ・ドゥ・イット・フォー・ユー」(映画『ロビン・フッド』のテーマ曲)よりは前にあたる1980年代後半、ベルギーでのライヴを収録したものである。 本盤をひとことで表すとすれば、快進撃が続く絶頂期をうまく捉えたライヴ盤という形容がぴったりであろう。選曲もベスト盤的な内容で、この時点での彼の歩みを示すナンバーが並んでいる。 アルバムの序盤では、初期のナンバーである2.「イッツ・オンリー・ラヴ」、3.「カッツ・ライク・ア・ナイフ」がいい。ヒット作『レックレス』所収のストレートなロック・ナンバー、4.「キッズ・ワナ・ロック」で盛り上がり、続いて『ヒート・オブ・ファイアー』所収の5.「ハーツ・オン・ファイヤー」という渋めの曲を配する当たりも心憎い。 雰囲気が最も盛り上がるのは有名ヒット曲の8.「ヘヴン」、さらには13.「想い出のサマー」で、いずれもアルバム『レックレス』の収録曲。さらに、個人的な好みを挙げると、9.「ヒート・オブ・ザ・ナイト」、10.「ラン・トゥ・ユー」、11.「ワン・ナイト・ラヴ・アフェアー」という、異なるアルバムからの好曲が並ぶところ。 本ライヴ盤の最後も注目の内容で、ザ・クラッシュのヴァージョンで広く知られる16.「アイ・フォート・ザ・ロウ」から、17.「イントゥ・ザ・ファイヤー」で渋い閉め方をするという選曲はなかなかいいと思う。なお、上に述べたように、本ライヴ盤の主たる音源はベルギーでのライヴだが、実は、ラスト・ナンバーとして収録されている17.「イントゥ・ザ・ファイヤー」は、東京でのライヴ・テイクだったりする。[収録曲]1. She's Only Happy When She's Dancin'2. It's Only Love3. Cuts Like A Knife4. Kids Wanna Rock5. Hearts on Fire6. Take Me Back7. The Best Was Yet to Come8. Heaven9. Heat of the Night10. Run to You11. One Night Love Affair12. Long Gone13. Summer of '6914. Somebody15. Walkin' After Midnight16. I Fought the Law17. Into the Fire1988年リリース。 【中古】 LIVE!LIVE!LIVE!/ブライアン・アダムス 【中古】LIVE! LIVE! LIVE! [CD] ブライアン・アダムス「1000円ポッキリ」「送料無料」「買い回り」 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2024年08月23日
コメント(0)
メキシコ伝統音楽へのチャレンジ ユリディア(Yuridia)は、TVショウをきっかけに歌のシンデレラ・ガールとして注目され、『天使の声(ラ・ボス・デ・ウン・アンヘル)』および同盤に収められたシングル・ヒットの「アンヘル」でデビューし、一気に人気を得た。その後、着実にアルバム制作を続ける一方、私生活では結婚し、2人の子に恵まれている。そんなユリディアがキャリア17年にして、新たな音楽性を志向したのが、2022年の『パ・ルエゴ・エス・タルデ(Pa’luego es tarde)』である。2015年の『6』以来、7年ぶりのアルバム発表だった。 ポップ界で成功したシンガーが伝統音楽にチャレンジするというのは、メキシコの音楽業界では必ずしも珍しいことではない。とはいえ、上述のようなデビュー当時を思えば、貫禄もついてきた(失礼!)彼女がマリアッチ楽団と一緒にジャケット写真に収まり、これまでとは大きく異なる方向性の楽曲を歌いこなすというのは、なかなかインパクトがあったと個人的には思う。 内容的には、マリアッチ、ランチェラ、コリードといったメキシコ伝統音楽をユリディアが歌い上げるといったものである。ところどころポップ歌手っぽさが残っていなくもないが、全体としては堂に入ったヴォーカルで、デビュー以来磨いてきたヴォーカル力が活かされている。 収められた14曲のうち、4.「イ・ケ・タル・シ・フンシオナ」は、シナロアのバンドであるバンダMSとの共演。7.「メ・アセ・タント・ビエン」は、本盤のアレンジやプロデュースも担当したエデン・ムニョスとのデュエット、10.「ケ・アゴニーア」は、ペペ・アギラールの娘でロサンゼルス出身のシンガーであるアンヘラ・アギラールとのデュエットとなっている。 個人的に気に入っている曲をいくつか挙げると、まず、冒頭の1.「アルマ・エナモラーダ」はインパクトがあって外せない。バンダMSとの共演の4.「イ・ケ・タル・シ・フンシオナ」は、ユリディア自身がすっかり伝統音楽ジャンルに溶け込んでいる感じがいい。6.「エンピエサ・ア・プレオクパールテ」は彼女の声に馴染むサビのメロディが印象的。9.「ブルヘリーア」もすっかり雰囲気にヴォーカルが乗り切っている。12.「ノ・ソン・オラス」はもう少しコブシの入った歌い方があってもよかったように思うけれども、好演奏にできあがっている。現時点(2024年時点)でこれがまだユリディアの最新作であるが、この路線を続けていくとすれば、将来のアルバムにも期待が持てると思わせてくれるアルバムと言えるように思う。[収録曲]1. Alma enamorada2. Y tú, ¿qué ganas?3. ¿Con qué se pega un corazón?4. ¿Y qué tal si funciona?5. Te dejo6. Empieza a preocuparte7. Me hace tanto bien8. Si no piensas cambiar9. Brujería10. Qué agonía11. Aquí ya nadie te extraña12. No son horas13. Por salud mental14. Te estabas tardando2022年リリース。 ↓別盤(ライヴ盤)です。↓ 【輸入盤CD】【新品】Yuridia / Primera Fila 【K2018/11/2発売】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年08月18日
コメント(0)
サビーナの魅力に満ちた好盤 フランコ体制下で英国へ亡命して詩を学んだホアキン・サビーナ(Joaquín Sabina)は、1977年にスペインに帰国し、詩人かつシンガーソングライターとして活動した。1992年にリリースされた本盤『フィシカ・イ・キミカ(Física y química)』は、1978年のデビュー盤から数えて8枚目のスタジオ作となった。 表題の『フィシカ・イ・キミカ』というのは、スペイン語で“物理と化学”の意味。この難解にも見える表題とは裏腹に、シンガーソングライターとしてノリにノッているサビーナが堪能できる盤で、クオリティも高い。余談ながら、この盤は、2012年にソニー・メキシコが発表した“世界の終わりまでに聞いておくべき100枚”にも選出されている。 オープニングを飾る1.「イ・ノス・ディエロン・ラス・ディエス」は、シングルとしても成功を収めたナンバー。いきなりラテン・トラディショナル風の曲調のナンバーでアルバムが始まるが、これがアルバム全体のトーンというわけではない。全体としては、ロック/バラード調の曲が中心となっている。 そんな中で、名曲度という観点で言えば、詩人としての語り口が冴える3.「ジョ・キエロ・セール・ウナ・チカ・アルモドバル」が抜きんでている。曲とヴォーカルのカッコよさという点では、5.「トドス・メノス・トゥ」がおすすめ。正統派のロック・チューンとしては、6.「ラ・デル・ピラータ・コホ」がいい。 最後に、彼が得意とする詩人的バラード系のナンバーをもう少し挙げておきたい。9.「ペオール・パラ・エル・ソル」は柔らかい語り口が魅力となっている。一方、10.「アモール・セ・ジャマ・フエゴ」は、美メロを含むこれまた魅力的なナンバーに仕上がっている。全体として詩人/歌手サビーナの魅力がうまく詰め込まれており、この人の作品をまず1枚聴いてみるという向きにもおすすめの好盤だと言えるように思う。[収録曲]1. Y nos dieron las diez2. Conductores suicidas3. Yo quiero ser una chica Almodóvar4. A la orilla de la chimenea5. Todos menos tú6. La del pirata cojo 7. La canción de las noches perdidas8. Los cuentos que yo cuento9. Peor para el sol 10. Amor se llama el juego 11. Pastillas para no soñar1992年リリース。 ↓ベスト盤です(今回紹介の盤ではありません)。↓ 【輸入盤CD】【新品】JOAQUIN SABINA / GRANDES EXITOS: TODOS HABLAN DE TI ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年08月15日
コメント(0)
ストレートで素朴なシンガーソングライター作品 トニー・コジネク(Tony Kosinec)は、イギリス生まれ、カナダ育ちの歌手でシンガーソングライター。1960年代末から1980年代にかけて5枚ほどのアルバムを残しているようだが、筆者が調べた限りでは、その詳しい素性は定かではない(せっかく日本で1990年代にCD化されたのだから、その際に詩的な文章ではなくきちんとした情報をライナーに収めて欲しかった)。ともあれ、一部のコアなファンにひそかに知られた盤として、彼の代表作とされているのが、1970年リリースの『バッド・ガール・ソングス(Bad Girl Songs)』である。 本盤に収められているのは、共作を含めるとすべてがコジネク本人による楽曲である。そして、この盤で彼の楽曲をプロデュースしたのは、ジェームス・テイラーやリンダ・ロンシュタットの作品を手掛けたことでも知られるピーター・アッシャーである。シンプルなサウンドかつストレートな歌で何気ない日常を歌い、さりげないアレンジの工夫、さらには、どこかしらビートルズの影響も感じさせるアレンジがいい。 注目したい楽曲をいくつか挙げておきたい。冒頭の1.「ワールド・スティル」は、彼の作風と本盤のアレンジの工夫の両方がよく生かされたナンバー。6.「'48デソト」は本盤の中では比較的躍動感のあるナンバー。このことは、裏を返すと、静かにあるいは素朴に歌うシンガーソングライター然とした楽曲が多いということでもある。よくも悪くも、その辺の好みは聴き手によって分かれそうだと思うが、興味深いのは、このスタイルが作られたものではなく、“天然”と思しきところ。つまり、朴訥なシンガーソングライター的スタイルは、演じているというよりは素であるという感じがする。そうしたタイプの作品を志向するリスナーには、お気に入りの盤になりそうな気がする。[収録曲]1. The World Still2. I Use Her3. Bad Girls4. Come and Go5. Medley: It's Raining6. '48 DeSoto7. Gemini at Pains8. Me and My Friends9. Dinner Time10. Wheatfield11. The Sun Wants Me to Love You12. My Cat Ain't Coming Back1979年リリース。 トニー・コジネク / バッド・ガール・ソングス [CD] 【中古】 バッド・ガール・ソングス/トニー・コジネク 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年08月13日
コメント(0)
本ブログの累計アクセス数が950万件に達しました。この場を借りて、ご覧いただいている皆さんにあらためて感謝申し上げます。何か月後になるかわかりませんが、このまま1千万アクセスを無事に迎えられるよう、少しずつの更新ではあっても続けていきたいと思います。今後もぜひご愛顧ください。 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いします! ↓ ↓
2024年08月10日
コメント(0)
絶頂期の圧倒的パフォーマンス ジョー・グルシュキー(Joe Grushecky)は、1948年ピッツバーグ生まれのロック・ミュージシャン。教師として働く傍ら、ストレートで力強いアメリカン・ロックのアルバム制作や精力的なライヴで知られた人物である。そんな彼の絶頂期は1990年代にあったが、ちょうど1990年代を締めくくる時期にリリースされたライヴ盤がこの『ダウン・ザ・ロード・アピース~ライヴ(Down the Road Apiece Live)』であった。 収められたナンバーは、その当時に直近のアルバム作品だった『カミング・ホーム』(1998年)や『アメリカン・バビロン』(1995年)を中心にしつつ、ベスト選曲的な内容になっている。音源は、ピッツバーグの2か所でのライヴで、特別なステージというよりは、地元でのいつも通りの熱いパフォーマンスが収録されたといったようなライヴ盤に仕上がっている。 熱いライヴ・パフォーマンスということで、全編が聴きどころではあるのだけれど、個人的好みでいくつか注目したい曲を挙げておきたい。1.「ノー・ストリングス・アタッチト」は、アルバム冒頭から熱いだけでなく演奏の安定感と力強さが印象的なパフォーマンスである。2.「ブランド・ニュー・キャディラック」では早くもその熱量が最大限に達し、圧巻の演奏を披露する。5.「イディオッツ・ディライト」や7.「ブラッド・オン・ザ・ブリックス」は演奏の安定感と円熟のヴォーカルがいい。 8.「エヴェリシングズ・ゴーイング・トゥ・ワーク・アウト・ライト」は前年リリースの『カミング・ホーム』のオープニング曲で、筆者の特にお気に入りの曲の一つ。11.「パンピング・アイアン」は鉄鋼の街ピッツバーグらしい重厚なナンバーで、アイアン・シティ・ロッカーズとして活動していた時代の曲。 12.「ダウン・ザ・ロード・アピース」は1940年代のブギ・ウギ・ナンバーで、チャック・ベリーの演奏でも知られるが、グルシュキーはローリング・ストーンズの演奏を通して知り、ライヴのエンディング曲として使用するようになったと語っている。本盤では、末尾に13.「オラ・ミ・アミーゴ」が収録されているが、こちらはライヴ本編とは別で、ボーナストラック的扱い。“ハロー・マイ・フレンド”を意味するスペイン語のタイトルが付けられているが、グルシュキーの自作ナンバーで、これもライヴでやると盛り上がりそうな1曲だと思う。[収録曲]1. No Strings Attached 2. Brand New Cadillac3. Dark and Bloody Ground 4. Dance with Me5. Idiot's Delight6. How Long7. Blood on the Bricks8. Everything's Going to Work Out Right9. Touch the Rain10. Talking to the King11. Pumping Iron12. Down the Road a Piece13. Hola Mi Amigo1999年リリース。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年08月08日
コメント(0)
最初のシングル・ヒットを含むデビュー盤 ザ・ラヴィン・スプーンフル(The Lovin’ Spoonful)は、1960年代アメリカのフォーク・ロックを代表するバンドで、2000年にロックの殿堂入りを果たしている。ジョン・セバスチャンとザル・ヤノフスキ―を中心として結成され、当初のメンバーは、この二人にジョー・バトラーとスティーヴ・ブーンを加えた4人組だった。 全米(ビルボード)のチャートでは32位となった本作には、このバンドの代名詞にもなったシングル1.「魔法を信じるかい?」が収録されている。この曲は、1965年10月リリースの本盤に先立って同年7月に発売され、シングル・チャートで9位にランクインした。 本盤に見られる特徴や注目したい曲を少し挙げておきたい。ロックらしさが強く出た楽曲が散見される点は一つの特徴と言えそうで、4.「マイ・ギャル」は力強い好演奏に仕上がっている。また、11.「オン・ザ・ロード・アゲイン」もなかなかパワフルな演奏となっている。他方、広く聴衆に受け入れられるにはキャッチーかつある種のやさしさや甘さも必要だったわけで、7.「心に決めたかい?」、8.「恋はワイルド」なんかはそうした要素が強いように思う。さらに、ブルージーな部分とジョン・セバスチャンのハーモニカが生かされた演奏という特徴の曲も見られ、このバンドがステレオタイプなフォーク・ロック的イメージだけでは捉えられないことを示している。3.「きままな暮らし」は、こうした特徴をよく表しているし、インストルメンタル曲の12.「ナイト・アウル・ブルース」は3分ほどでフェイドアウトしてしまうのだけれど、5~6分は続けてほしかったと思うほどブルージーな側面のよさが発揮されている。 最後に、こうしたことができるこのバンドの真価が発揮されたナンバーとして、9.「人生の裏側」を挙げておきたい。フォーク・ロック然とした演奏にどこか影のあるヴォーカル。それでいて全体をすっと聴かせてしまうこの曲は、個人的な推し曲だったりする。なお、本盤の現行のヴァージョンでは、未発表曲(「アレイ・ウープ」)のほか、本盤収録曲の別ヴァージョン等のあわせて5トラックが追加されている。[収録曲]1. Do You Believe in Magic2. Blues in the Bottle3. Sportin' Life4. My Gal5. You Baby6. Fishin' Blues7. Did You Ever Have to Make Up Your Mind?8. Wild About My Lovin'9. Other Side of This Life10. Younger Girl11. On the Road Again12. Night Owl Blues1965年リリース 【国内盤CD】【新品】ラヴィン・スプーンフル / 魔法を信じるかい? 【中古】 魔法を信じるかい?/デイドリーム/ザ・ラヴィン・スプーンフル ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年08月04日
コメント(0)
INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ→ つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ→ つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ→ つづき(J-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー (1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2024年07月31日
コメント(0)
滋味溢れる初ソロ作 デイヴ・メイスン(Dave Mason,David Mason)は、イギリス出身のギタリスト、ミュージシャン。1960年代後半にスティーヴ・ウィンウッド、ジム・キャパルディらと結成したトラフィックの元メンバーとしても知られる。 1969年のトラフィック解散後、1970年にメイスンが発表したのが、最初のソロ・アルバムとなる『アローン・トゥゲザー(Alone Together)』だった。レオン・ラッセル(ピアノ)やジム・キャパルディ(ドラムスに加え、8.はメイスンと彼の共作)など豪華なメンバーが録音に参加し、聴きごたえのある演奏の楽曲が並ぶ。 1.「オンリー・ユー・ノウ・アンド・アイ・ノウ」は、オープニング曲らしいインパクトを持った曲で、メイスンの小気味よいギター・プレイも心地いい。3.「ウェイティン・オン・ユー」は、ストレートなロック調に寄ったナンバーで、レオン・ラッセルのピアノが効いている。4.「シュドゥント・ハヴ・トゥック・モア・ザン・ユー・ゲイヴ」は、スワンプ・ロック的な泥臭さが非常にいい意味で発揮された好曲である。 上記のような泥臭さは、アルバム後半にかけてさらに発揮されていく。5.「ワールド・イン・チェンジズ」はテンポを落とした味わい深い楽曲で、スワンプ感という意味ではこの曲が本盤中で最も推したいナンバーと言えるかもしれない。アルバムを締めくくる8.「ルック・アット・ユー・ルック・アット・ミー」は、楽曲そのものも最高で、メイスンのギター演奏もカッコいい。個人的にはこの曲が本盤のベスト曲と言っていいように思う。[収録曲]1. Only You Know and I Know2. Can't Stop Worrying, Can't Stop Loving3. Waitin' on You4. Shouldn't Have Took More Than You Gave5. World in Changes6. Sad and Deep as You7. Just a Song8. Look at You Look at Me1970年リリース。 アローン・トゥゲザー [ デイヴ・メイスン ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年07月28日
コメント(0)
新たなステージの前触れとなる作品 ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)は、1944年、オハイオ生まれのアメリカ人シンガー。デビューは1965年で、初期の作品としては、『ボズ・スキャッグス&デュアン・オールマン』に代表されるように、リズム&ブルースに根差したルーツ音楽志向の作品をリリースしていたが、決して大きなセールスにつながるものではなかった。1970年代後半に入ると、後のいわゆるAOR(大人向けロック)につながる作品(1976年発表の『シルク・ディグリーズ』)がようやくヒットし、ボズ・スキャッグスは売れるアーティストとしての道を歩んでいくことになる。 その前段階となったのが、1974年に発表された『スロー・ダンサー(Slow Dancer)』である。実際、サウンド面でも、それまでのルーツ・ミュージック志向と、その後のAOR志向との間に位置すると言えそうな感じがする。 収録曲のうち、注目したいものをいくつか見ておこう。冒頭の1.「つのる想い」は、デビュー以来のこの人らしさを残した好曲で、ホーンセクションも心地よい。表題曲の2.「スロー・ダンサー」。ルーツ志向とメロウなAOR志向との中間のような、とでもいえばいいだろうか、ボズの向かおうとする音楽性の変化が見てとられる。同様に4.「愛を見つけて」も甘めのポップな方向を向いていて、新しい境地へ差し掛かっていこうとしている感じがする。 アルバム後半では、ルーツ寄りで少々ハードコアな感じのする9.「アイ・ゴット・ユア・ナンバー」が個人的にはお気に入り。とはいえ、上記のようなメロウな志向のナンバーも複数収められていて、とりわけ、7.「セイル・オン・ホワイト・ムーン」や10.「愛のあやまち」の出来がいい。 余談ながら、本盤は当初、別のジャケット写真(それもビキニ海パン姿のボズ)で、邦題も『シスコの顔役』だった。こう言っては身も蓋もないのだが、まさしく売れる要素ゼロといった感じ。けれども、1976年の『シルク・ディグリーズ』の成功とともに、ジャケット・デザインは変更され、現在のダンサー風写真のものになったのだという。[収録曲]1. You Make It So Hard (To Say No)2. Slow Dancer3. Angel Lady (Come Just in Time)4. There Is Someone Else5. Hercules6. Pain of Love7. Sail on White Moon8. Let It Happen9. I Got Your Number10. Take It for Granted1974年リリース。 【国内盤CD】ボズ・スキャッグス / スロー・ダンサー 輸入盤 BOZ SCAGGS / MY TIME/SLOW DANCER [2CD] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年07月23日
コメント(0)
全3086件 (3086件中 1-50件目)