音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2012年02月11日
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テーマ: 洋楽(3407)




 ロックとは反体制である、というのは使い古されたお題目であるが、確かにロックという音楽の一側面を表現してはいる。しかし、それがすべてかと言うと、どうもそうとは言い切れないように思う。もしかすると“体制”という言葉が政治染みているからかもしれない。もう少し幅を広げて“体制”や“国家”ではなく、広く“社会”ぐらいに捉える方が的を射ているのかもしれない。つまり、ロックとは、社会の常識に対するのアンチテーゼ、既存の価値観への疑問やその倒錯の試み、とでもいう方がその意義づけとして正確なような気がする。同時代の熱狂を知らず、後聴きの筆者にとって、ザ・ドアーズ(The Doors)とは、そんなロックの意義を考えさせてくれる存在でもある。

 近年では長編ドキュメンタリー・フィルムの題材ともなったドアーズ(ただし、この映画は筆者は観ていないので、結局のところ熱心なファンとは言い難い)。彼らがロサンゼルスから音楽シーンに登場し、デビュー・アルバムでセンセーションを巻き起こしたのは、1967年のことだった。つまりは、今から45年も前の、いわば“大昔の出来事”である。そして、デビュー作の勢いに乗って同年にリリースされたセカンド・アルバムが、本盤『まぼろしの世界(ストレンジ・デイズ)』ということになる。デビュー盤『ハートに火をつけて』と本盤『まぼろしの世界』は、いずれも甲乙つけがたい名盤だと思うが、個人的には本盤の方が聴く頻度が高い。そのようなわけで、ひとまず今回は『まぼろしの世界』の方を取り上げた次第である。

 一般に、このバンドは“サイケ”(サイケデリック)と括られるが、同じような分類の他のバンドとはだいぶ違うように思う。その理由は、ザ・ドアーズの次のの特徴にある。

 1つめは、フロントマンのジム・モリスンの存在感の特異さである。平たく言えば、彼個人のカリスマ性の強さである。この特徴は、モリスンが若くして死し(1971年死去、死因はヘロインの過剰摂取とされる)、伝説的英雄のように見られるようになったことで、死後にさらに強固になった。

 2つめの特徴は、ドアーズの作品がしばしば内省的な点にある。この“内向き具合”は、第1の特徴とも深く関係していて、ジム・モリスンのキャラクターに負う部分がやはり大きいのだろう。そして、反社会的というよりは自己や社会に対して洞察的という言い方がぴったりくるように感じる。

 そのようなわけで、ロックは反体制という単純な仕組みが、ここでは、自己洞察のロックもあるのだという方向に転換している。21世紀に入って10年、先行き不安な昨今の国内外の社会情勢の中で、こういう内省的要素の入ったロックがリヴァイヴァルするのだろうか。はたまた“21世紀のドアーズ”が登場してくるのであろうか。前者(リヴァイヴァル)もいいが、創造的・建設的という意味では、後者にも期待したい。本盤を締めくくるのは「音楽が終わったら」という名曲だが、ただ終わってしまうのではなく、次の創造的音楽の夜明けが訪れる…。そうあって欲しいと願う。



[収録曲]

1. Strange Days
2. You're Lost Little Girl
3. Love Me Two Times
4. Unhappy Girl
5. Horse Latitudes
6. Moonlight Drive
7. People Are Strange
8. My Eyes Have Seen You
9. I Can't See Your Face In My Mind
10. When The Music's Over

1967年リリース。





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Last updated  2013年07月20日 06時47分56秒
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