音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2012年06月26日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 アート・ファーマー(Art Farmer)がリーダー名義の盤であるが、実質的には彼のソロを聴くという趣の盤ではない。おそらくはそれゆえに注目度が低い盤になってしまっているのが、本盤『ブラス・シャウト(Brass Shout)』である。1曲を除きピアノも入れないというユニークなブラス編成の演奏で、ファーマーがソロをとっているのもほんの2曲ほどに過ぎない。要するに、名義とは裏腹に、ブラス(トランペット×3、トロンボーン×2、バリトンホルン、フレンチホルン、チューバ×各1、ちなみに金管楽器にこだわるということで、金管楽器ではないサックスは入っていない)のアンサンブルを聴かせる作品。誰か個人のソロをじっくり聴かせるというよりも、トータルな作品として聴かせるといった印象である。

 さて、本作の編曲はベニー・ゴルソン(Benny Golson)である。彼は、テナー奏者であると同時に作曲家・編曲家としての才覚のある人物である。本盤の少し後にはアート・ファーマー、カーティス・フラーとともにジャズテットを結成することになるが、本盤での“実験”もジャズテット始動の布石となったように見える。いずれにせよ、この盤ではB・ゴルソンがアレンジに専念し(おそらくは上記の理由からサックスは吹いていない)、スタンダードのオンパレードをブラスの大所帯でどう表現するかに集中している。

 2.「枯葉」、4.「パリの四月」、6.「星影のステラ」などと有名曲のオンパレードで、これらはまさにゴルソンの腕の見せ所。特に聴きどころなのは、有名曲の「枯葉」である。マイルス・デイヴィス(名義上のリーダーはキャノンボール・アダレイ)の『サムシング・エルス』所収の「枯葉」が“静”の極致であるとするならば、本盤の「枯葉」は、同じくミュートを使いながらも、見事に“動”の演奏に仕上がっている。

 その一方で、ゴルソンのオリジナル曲も2曲収められている。「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」と「マイナーヴァンプ」である。特に「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」は、この少し後(1週間ほど後)に録音したものが有名曲と化したこともあり(録音としてはこれが最初)、ゴルソンの抱いていたイメージはこういうものだったのか、という感じがよく伝わってくる。その出来上がり具合はと言えば、極上そのもの。スリリングな感じというよりは流れるような展開で、本盤でのゴルソンのアレンジ力のよさが特によく発揮された1曲となっているように思う。



[収録曲]

1. Nica's Dream
2. Autumn Leaves
3. Moanin’
4. April In Paris
5. Five Spot After Dark
6. Stella By Starlight
7. Minor Vamp


[パーソネル、録音]

Art Farmer (tp), Lee Morgan (tp), Ernie Royal (tp)
Curtis Fuller (tb), Jimmy Cleveland (tb), Wayne Andre (tb)
James Haughton (baritone horn)
Jurius Watkins (french horn), Bob Northern (french horn)
Don Butterfield (tuba)
Bobby Timmons (p)
Percy Heath (b)
Philly Joe Jones (ds), Elvin Jones (ds)

1959年5月14日録音。






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Last updated  2012年06月26日 05時48分59秒
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