音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2013年07月23日
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テーマ: 洋楽(3407)




 マディ・ウォーターズ(Muddy Waters,1915年生まれ1983年没)は、シカゴ・ブルースの父とも称されるブルースマン。一度聴いたら忘れがたいドスの効いたダミ声でブルースを歌い、エレキ・ギターを使用してのバンドスタイルのブルースを確立するのに大きな役割を果たした。6度のグラミー賞受賞歴を持ち、没後にはロックの殿堂入りもしている。また、60年代のブリティッシュ・ブルースの展開をはじめ、多くのブルース的ロック系アーティストに多大な影響を与えたことから、ロック界への影響も計り知れない。

 そんな彼の作品中でも“異色作”とされるのが、本盤『エレクトリック・マッド(Electric Mud)』である。リリースされたのは1968年。世はカウンターカルチャー(対抗文化)に沸き、米国では前年の“サマー・オブ・ラヴ”に代表されるように、サイケデリックやヒッピーといった新たなムーヴメントが巻き起こっていた。そんな中、ブルースの大御所がサイケデリック・サウンドを意識したようなアルバムをリリースするというのは、単に画期的というよりも、“売れ筋に走ったか?”、“若者に迎合するのか?”といった憶測を呼び得るものだった。

 マディ・ウォーターズは、1940年代から録音をはじめ、50年代には上述のバンド形式で多くの曲を世に送り出していた。けれども、本盤の頃には、バリバリの現役というよりは、過去の遺産的に捉えられかねない節もあった。既に50歳を超えたタイミングでの本アルバムのリリースであり、受け手側の当惑があっても不思議ではなかった。

 しかし、そこから何十年もたったいま、このアルバムを振り返ってみて、やっぱり凄さに圧倒されるというのが正直な感想だ。基本的には“持ち歌”のアレンジである。つまり、従来はふつうにブルージーに仕上げていた同じ曲を、その“ふつう”とは異なるサイケなアレンジで提示しているわけである。したがって、1.「アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー」というウィリー・ディクソン作のブルース・ナンバーからアルバムは幕を開け、結局、締めくくりの8.「ザ・セイム・シング」も同じくW・ディクソンのナンバー。一言でまとめれば、“ネタは同じで中身が違う”アルバムなわけである。

 確かに、コアなブルース好きからすれば、“迎合”という批判に返す言葉もないかもしれない。でもロック好きの側からすれば、秘められた可能性を見事に示した好作であったとも言えるように思う。もちろん、マディ・ウォーターズその人を代表する盤とは決して言えない。けれども、個人的にはこれはこれでOKなのではないかな、というのが正直な感想。実際、60年代~70年代ロック好きのファンには避けて通れない1枚という言い方もできそうな気がするのだけれど。





[収録曲]

1. I Just Want to Make Love to You
2. I'm Your Hoochie Coochie Man
3. Let's Spend the Night Together
4. She's Alright
5. Mannish Boy
6. Herbert Harper's Free Press News
7. Tom Cat
8. The Same Thing

1968年リリース。







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Last updated  2013年07月23日 08時49分52秒
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