音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2014年05月25日
XML




 1970年代末に結成され、80年代前半まで活動したアイアン・シティ・ハウスロッカーズ(Iron City Houserockers)は、文字通り“鉄鋼の町”ピッツバーグを拠点とするバンドであった。80年代半ばには鉄鋼業が衰退し新たな産業へ移行したためというわけ(?)ではないだろうが、80年代後半になってこのバンドは中心人物のジョー・グリュスキの名前をフロントに出し、メンバー変更を経て、ジョー・グリュスキー&ザ・ハウスロッカーズ(Joe Grushecky and the Hourockers)に衣替えする。この新生バンドとしての第1弾アルバムが1989年の本作『ロック・アンド・リアル(Rock And Real)』だった。

 このバンドの原点には、あくまで地元のバーなどでライヴを楽しんでいる感じがあるのだけれど、同時にそうしたいい意味での“ローカル感覚”が、アルバム(地元や目の前の人たちではなく不特定多数の音楽ファンを相手にする)制作の気負いになっていないと思われる点にある。“力が抜けている”わけではないけれども、決して“気負った感じ”や“地元の英雄”的な重圧感はまったくない。何とも自然体で、気持ちよく自作曲を披露してくれる。

 この“自然体”な感じがどうやってでき上がっているのか、ずっと答えを探そうとしているのだけれど、いまだ自分の中ではありがちな返答しか得られていない。高校教師をしながらバンド活動を展開し…という、毎度お決まりのグリュスキーのプロフィールである。音楽一筋に命を懸けている、みたいなスタンスではなく、かといって単なる余興や趣味でもないというのが、やはりその源になっているのだろうか…。

本盤所収の曲のうち、筆者が特に気に入っているナンバーをいくつか挙げておきたい。表題曲でオープニング・ナンバーの1.「ロック・アンド・リアル」は、こなれた軽快さと肩に力の入り過ぎないヴォーカルがいい。逆に6.「フリーダムズ・ホール(Freedom’s Hall)」は、力の入ったヴォーカルが印象的で、シンプルなアメリカン・ロック・バンドとしての彼らの本質が垣間見られる。ライヴ感とドライヴ感のある10.「レベル・ミュージック(Rebel Music)」は、このバンドの本領発揮曲で、本盤のハイライトと言ってもいいように思う。

 この後、90年代以降にジョー・グリュスキー&ザ・ハウスロッカーズは、良質な王道アメリカン・ロックの作品を継続して出していくことになる(その好例として、B・スプリングスティーンのプロデュースによる 『アメリカン・バビロン』 も含まれる)。日本では“誰も知らないアーティスト”の類だけれど、ボブ・シーガーやブルース・スプリングスティーンなどの骨太なロックに興味のある人はきっとはまってしまう。そう、筆者もその一人だったりする。



[収録曲]

1. Rock and Real
2. Memphis Queen
3. Unsafe at any Speed
4. The Biddle Mine
5. How Long
6. Freedom’s Hall
7. Out of My Head
8. Little Marie
9. Ain’t Goin’ Down
10. Rebel Music
11. Daddy’s Little Angel

1989年リリース








下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします!
       ↓          ↓

にほんブログ村 音楽ブログ ロックへ ブログランキング・にほんブログ村へ















お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2014年05月25日 16時46分41秒
コメント(0) | コメントを書く
[洋ロック・ポップス] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: