音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2015年05月14日
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テーマ: 洋楽(3407)




 多分、私たちの多くは(少なくとも筆者は)、アメリカの伝統音楽をよく理解していないんだろうと思う。ロックにせよ、ジャズにせよ、もともとあった“伝統的なもの”の大衆的解釈や、(言葉はよくないけれど)“なれの果て”みたいなものをアメリカから輸入され、聴くようになったという経験を多かれ少なかれしているんじゃないだろうか。この事実こそが、カントリーのアルバムやシングルが米国で売れるのに、日本では見向きもされないという状況に結びついているような節がある(米国の伝統なんだから、究極的には別に日本で無理に流行らなくてもいいのだけれど)。

 ともあれ、ジョン・フェイヒイ(John Fahey, 1939年生まれ、2001年死去)が1973年に出した本盤『アフター・ザ・ボール(After the Ball)』は、そんなことを思い起こさせる作品の一つである。黒人ブルースのバックグラウンド、フォークという時代の流れ、さらにはハワイアンやダンス・ホールといった要素が結びつきあって形を成したのが本盤ということになるだろうか。

 正直、この作品を初めて聴いたときの感想は複雑なものだった。もし自分自身が20歳の頃に聞いていたなら、この手の演奏には見向きもしなかっただろう。全体としては、ギター中心のインストルメンタル盤で、上述のようなルーツ・ミュージックを組み合わせて解釈・演奏している。けれども、今になって改めて考えてみると、このノリこそが、アメリカ人にとってごく自然な感じに響くものではないだろうか。

 そういう意味では、マイナーながらも“アメリカ人の一般的感覚”を見事なまでにアルバム作品にまとめ上げたのが本盤と言えそうな気がする。そのギター・プレイは精緻であり、確信をもってこのノリを作品化しようという気概に溢れている。正直、初めて聴いたときは結構な衝撃だった。もしかすると、個人的には今なお消化しきれていないのかもしれない。けれども、この雰囲気を“ナチュラル”と感じられることが、アメリカという国のトラディショナル音楽を理解することなのかもしれない、そんな風に思ったりする。




[収録曲]

1. Horses
2. New Orleans Shuffle
3. Beverly
4. Om Shanthi Norris
5. I Wish I Knew How It Would Feel to Be Free
6. When You Wore a Tulip (And I Wore a Big Red Rose)
7. Hawaiian Two-Step
8. Bucktown Stomp
9. Candy Man
10. After the Ball

1973年リリース。






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Last updated  2015年05月14日 21時55分12秒
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