《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2014.12.30
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 2015年を前にしても、アメリカの支配層、特にネオコン/シオニストは「唯一の超大国」として世界を支配するという妄想から抜け出せず、時代の流れを見誤り、妄想と現実の乖離は広がるばかり。それを埋めようと世界を相手に脅しをかけているのだが、それが原因で中国とロシアを接近させ、最近ではEUの内部にもアメリカから自立しようとする動きが出ている。つまりアメリカは世界で孤立しつつあるわけで、アメリカに従属している日本にも同じ運命が待つ。基軸通貨を印刷する特権を失えば、アメリカを中心とするシステムは崩壊する。

 自分たちの置かれた状況を理解しているのであろうアメリカの コンドリーサ・ライス元国務長官は、控えめで穏やかに話すアメリカの言うことを聞く人はいないとFOXニュースのインタビューの中で語っている 。EUのエリートはアメリカの脅しと買収でコントロールされているにすぎず、アメリカ(ネオコン)の嘘は熟知している。EUの内部でアメリカに批判的な声が高まるのは必然だ。

 ロシアや中国にアメリカ支配層の脅しは通じない。そうした相手を力尽くで屈服させようと、2015年にネオコン/シオニストはブラフをエスカレートさせるのだろうが、その行き着く先は核戦争である。それをEUは認識し始めた。根っからのロシア嫌いでアメリカに従属しているドイツのアンゲラ・メルケル首相などの立場は微妙になる。

 ネオコン/シオニストがアメリカの世界制覇を明確に掲げたのは1992年、ソ連が消滅した翌年のこと。この年、国防総省で作成された DPG(国防計画指針)の草案 にそのビジョンが書かれている。彼らは自分たちが「冷戦」に勝って「唯一の超大国」になったと浮かれ、潜在的なライバルを潰し、資源を支配すという方針を決めたのである。ポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)が中心になって書き上げられたこの草案はメディアにリークされ、書き直されたようだが、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」として生き残って2000年にはPNAC(ネオコン系シンクタンク)の報告書「米国防の再構築」として再浮上、2001年から始まるジョージ・W・ブッシュ政権の基盤になった。

 ソ連が消滅した後、ロシアでは西側の傀儡だったボリス・エリツィンが君臨、国民の資産を盗んで仲間内で分けて「オリガルヒ」を生み出し、西側の巨大資本もロシアを浸食していく。一方、中国は1980年代に新自由主義化が進み、エリートの子弟はアメリカへ留学して洗脳された。これでアメリカの支配は盤石だとネオコン/シオニストは思い込んだかもしれないが、ロシアではウラジミル・プーチンが傀儡勢力を押さえ込み、中国もアメリカに屈服まではしなかった。

 ネオコン/シオニストが思い描いた予定とは違う方向へ世界は動き始めたのだが、それを彼らは認められなかったようだ。彼らの心理状態を推し量るヒントになりそうな論文が フォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文 。それによると、アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できると主張している。ロシアや中国との核戦争で圧勝できると今でも思い込んでいる可能性は高い。

 世界を戦争へ導くため、アメリカの支配層は情報操作を使ってきた。こうした動きにはポーランド生まれのズビグネフ・ブレジンスキーも共鳴している。彼はジミー・カーター大統領の補佐官だった当時から「危機の弧」という概念を使ってソ連の脅威を煽っていた人物で、1970年代の後半にソ連をアフガニスタンへ誘い込み、そこで自分たちが育成したイスラム武装勢力と戦わせるという計画を立て、実現させている。彼はアフガニスタンから中央アジアにかけての地域がユーラシア支配の鍵を握っていると分析していた。ロシアを支配するためにはウクライナを押さえるべきだとも考えていた。

 こうした戦略はNATOの東方への拡大という形になって現れるが、その第一歩がユーゴスラビアへの先制攻撃。「人権」や「人道」をキーワードにした偽情報を流して戦争の下地を作り、1999年にNATOがユーゴスラビアを全面攻撃、その際に同国に君臨していたスロボダン・ミロシェビッチの自宅や中国大使館も攻撃、勿論、多くの市民を殺した。

 ブッシュ・ジュニアが大統領に就任した2001年には「9/11」があり、これを利用して国内のファシズム化と国外での軍事侵略を本格化させる。2003年にイラクを攻撃する際には「大量破壊兵器」という偽情報を流し、あたかも「9/11」とイラクが関係しているかのような嘘も広めた。

 2011年にリビアやシリアの体制転覆プロジェクトを顕在化させるが、これも「民主化運動」という嘘をメディアに宣伝させている。その実態はNATOとアル・カイダの連合軍による軍事侵略にほかならなかった。

 2011年のうちにリビアの体制は崩壊、翌年からはシリアを集中攻撃するのだが、その際にシリア政府を悪魔化するためにシリア系イギリス人の ダニー・デイエム を使った。ただ、この偽情報発信は2012年3月に内幕を明らかにする映像が漏れ、CNNやBBCなど西側メディアの嘘が発覚した。

 2012年5月にはシリアのホムスで住民が虐殺され、西側は政府側は実行したと宣伝しはじめるのだが、この嘘も短期間のうちに明らかにされた。現地を調査した東方カトリックの修道院長も反政府軍のサラフ主義者や外国人傭兵が実行したと報告、「 もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。 」と語っていた。現地で宗教活動を続けてきたキリスト教の聖職者、 マザー・アグネス・マリアム も外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。ドイツの フランクフルター・アルゲマイネ紙 も、キリスト教徒やスンニ派の国会議員の家族が犠牲になっていると伝えている。

 シリアの体制転覆に手間取る中、2012年に米英エリートの利害調整機関と言われるビルダーバーグ・グループはアメリカのバージニア州で会議を開き、そこでロシアの体制転覆を話し合ったと言われている。

 2013年3月になると西側はシリア政府が化学兵器を使ったと宣伝しはじめるが、これはイスラエルの ハーレツ紙から疑問 が出され、 国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言 する。

7月31日にはサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官がロシアを訪問 、シリアから手を引けばソチ・オリンピックへの攻撃を止めさせるとプーチンを脅し、逆に起こらせてしまう。脅しは逆効果だった。

 8月になるとダマスカス郊外のゴータで政府軍が化学兵器を使ったアメリカ政府は宣伝し始めるが、ロシアのビタリー・チュルキン国連大使がすぐに反論、その後もアメリカの主張を否定する調査報告が出されている。

 ソチ・オリンピックの競技は2014年の2月6日から23日まで行われた。その間はロシア政府も動きにくいわけだが、その日程に合わせてアメリカ政府はネオ・ナチを使ってクーデターを実行、2月23日にビクトル・ヤヌコビッチ大統領を憲法を無視する形で解任している。

 このようにアメリカは嘘の上に築かれた国であり、その嘘を支えているのが西側の有力メディア。2015年も同じことを繰り返し、戦争への道を驀進するのだろう。アメリカの嘘を信じる、あるいは信じたふりをするなら、人類を死滅させることになりかねない。そうした人の中にはロシア嫌いの「リベラル派」や「革新勢力」も含まれているが、それは「嫌韓」や「嫌中」を唱えながら体制、強者に従っている連中と大差がない。特定秘密保護法にしろ、集団的自衛権にしろ、そうしたアメリカの好戦的なビジョンから生み出されたものだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.12.30 14:50:31


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: