つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

2007年02月15日
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カテゴリ: アート
月に雁.jpg

出張のかたわら、せっかく都内までやってきたので、原宿まで
足を伸ばし、念願のギメ東洋美術館展の後期を鑑賞。平日の夕
方。次から次へとお客がやってくるが、入場待ちするほどでも
ない。今日は、土足のまま上がってOKとのこと。浮世絵のほ
とんどが展示替えとなっていた。

1階の北斎の龍虎図のコーナーは、座敷でかぶりつきのお客さん
ばかりなので、今回はスルー。浮世絵鑑賞に力を注ぐ。
北斎の「仲の町の桜と遊女」。宗理美人と呼ばれる瓜実顔の3人
の女性。北斎の女性像ではこの頃の顔がいちばん好き。背景の
生垣と黄色の花がみごと。広げた傘も美しい。

「諸国滝廻り 下野黒髪山きりふりの滝」。やはり滝のラインが
見応え充分。地面にどっしりと生やした根っこのよう。

広重は、「太藺(ふとい)に白鷺」。どんぐり目の白鷺がわずかに
くちばしを開いている姿が愛くるしい。「月に雁」はやはりまん丸な
月とブルーの空が魅力。東博所蔵のものとふたつ並べて比べて見たい。
「洗馬」の月も忘れがたい。

2階のコーナー。
いづつやさん お勧めの春信「やつし許由」をじっくり鑑賞。絵
の由来を予習していただけに、なぜ耳を洗っているのか分かっ
て嬉しい。滝から水の手が突き出して、女性と握手しているよ
うに見えた。滝の前に突き出した崖っぷちという何か舞台の上
のような空間構成が不思議。春信が描くちょこちょこっとした
感じの女性像もなかなか魅力的。

一筆斎文調の役者絵3枚。つんと澄まして振り返る姿が心地よ
い。ちょっと家に飾るのにちょうどいい。

鳥居清満の「花魁道中」。傘をさした花魁の姿。背中がカットさ
れた細長い作品。身体の正面を描いた何本ものカーブの線がみ
ごとに美しく調和している。

北尾重政の「絵抄細見図 あふぎやうち ななこし かたらい」。
金魚鉢を持つ女性。雛人形の描かれた着物やクジャクの帯が何
とゴージャスなこと。

川岸.jpg

歌麿の「北国五色墨 川岸」。これもいづつやさんお勧め。爪楊
枝をくわえ、不敵な面構えの女。でも美しい。あまり関わりた
くないような、でも関わりたいような・・・

同じく歌麿の「三勝 半七」。子どもを中心に縦に長細く描かれ
た男女の絵。首を横にして見る。この夫婦の表情がいいなと思
う。何でこんなに危なっかしい構図で描いたのだろうと、後で
調べると浄瑠璃などになった有名な心中事件とのこと。なるほ
ど、そんな背景があったのか。

今期のベストは、鳥文斎栄之の「青楼美人六歌仙 角玉屋小紫」
としたい。着物の襟から手を出して文を読む遊女。気品が漂う。
こま絵のおみなえしの花の黄色もステキ。帰宅して調べると、
先般、礫川浮世絵美術館でも見たばかりだったということに気
づく。やはり、潜在意識にインプットされていたのだなぁ。





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最終更新日  2007年02月15日 07時25分58秒
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