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書籍の感想です。今回は「エヴァーグリーン・ゲーム」です。エヴァーグリーン・ゲーム (一般書 438) [ 石井 仁蔵 ]チェスに心血を注ぐ人たちのお話です。透は難病で遠足にも行けず、小児病棟で無聊をかこっていました。そんなとき出会ったのがチェスで、たちまち夢中になりました。先に退院したチェス友だちが不慮の事故で亡くなり、彼は病気に勝ち、チェスのグランドマスターを夢見るようになります。各章ごとに視点は変わり、透に勝てずにチェスを諦めようと思った高校生。その高校生が大学卒業後、チェスができるカフェを開始。生まれた時から目が見えない女性がチェスに光明を求めて、そのカフェへ通うようになります。不良少年は「熱くなれるもの」を求めて、辿り着いた先がチェスでした。過去に詐欺行為に加担したり、その後、アメリカで偽装結婚して、マフィアの一員になったりと、相当やばい人です。しかし日本人初のグランドマスターになるなど、チェスに対する姿勢は真摯で、実力もピカイチです。そんな彼らが集まった賞金1億円の大会です。果たして、結末は・・・私は将棋はできますが、チェスは駒の動かし方くらいで、定石も何も知りません。それでも凄い熱量を感じました。面白かったです。
2024.09.29
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書籍の感想です。今回は「風牙天明 フェンネル大陸 偽王伝」です。【中古】 風牙天明 フェンネル大陸 偽王伝 講談社ノベルス/高里椎奈(著者)フェンの物語です。今回大きくお話が動きました。これを書きたかったのでしょうね。前巻で世界制覇を目指すかのように動き出した大国のシスタス。今度は自らを皇王と名乗り、世界で唯一の王で、他の王を認めないと宣言したのです。他国はびっくりですが、面と向かっては反対しにくい。何しろ、シスタスに全力で攻撃されたら、とても耐えられないからです。そこで、裏でコソコソと小国による同盟を画策します。シスタスに対抗できるようになるまでの我慢です。というわけでフェンはコンフリーに向かいます。コンフリーの代表は王とは名乗っていませんが、王の中の王と呼ぶに相応しい人物らしく、同盟の盟主になってもらおうという魂胆です。ちなみになぜそんな重要な役割をフェンに任せたかですが、相談の手紙がフェンの母国語ヘンルーダ語だと意味が理解できるように細工してあったのです。しかしコンフリーの代表ウィルは同盟の代表になどなりたくない。戦いたくないし、戦わないことを守りたい人々がいる。フェンは戦わないこと、守るということ、多くの大切なことをウィルから学びます。それは欠けてしまったフェンという存在を少しずつ補っていくかのようです。そして、シスタスの横暴に耐えきれなくなったフェンはシスタスの使者の元に向かいます。しかし子どもという事で相手にしてくれません。「子どもの相手ができぬと言うなら・・・」何とフェンは王宣言をします。偽王と。サチとテオはその突然の宣言にもまったく驚くこともなく、臣下だと豪語するあたり、豪胆ですねーこの先、フェンが各国を取りまとめることになるのですかね。その先には母国であるフェンベルクとの邂逅もあるのでしょうか。
2024.09.25
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書籍の感想です。今回は「ロジカ・ドラマチカ」です。ロジカ・ドラマチカ [ 古野まほろ ]まあまあ面白かったです。ちょっとくどいかなぁ。誰かが喋った言葉を元に「論理的思考」だけで言葉の真意に辿り着くという遊技をする警視正、司馬と官房長官の孫、結子の話です。例えば「今かけ直そうか届けようかでも残りは小銭だけだから、もう郵便局に駆け込むしかないか」という文章です。ちょっと謎めいた文章ですねー感覚的に「こんな意味じゃね?」などと推理することはできると思いますが、二人は論理的に相手がぐうの音も出ないほど、推論が正しいことを認めさせる事が目的なので、一語一語取り出し、これはこう解釈できる、こう定義できると一足飛びの結論には走らず、言葉から読み取れる論理だけで正解に向けて議論を戦わせるのです。こんな今度な論戦を展開できるとしたら、愉しいだろうね。毎回だと疲れるけど。
2024.09.23
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書籍の感想です。今回は「闇の中をどこまで高く」です。闇の中をどこまで高く (海外文学セレクション) [ セコイア・ナガマツ ]うーん、何とも言えない。最初は単なるディストピア小説かと思ったのですが、そうとも言えないです。序章は温暖化により北極から数万年前の少女の遺体が見つかります。そこには内臓を別の臓器に変えてしまうというウィルスが存在していたのです。次の章ではその蔓延を止めることはできず、子どもを中心に世界中で流行。手立てはなく、苦しみながら多くの子どもが亡くなっていきます。そんな中、子どもを安楽死させる遊園地が建設され、そこで働くスタッフがこの章の主人公です。売れないコメディアンだったスキップは子どもたちを楽しませるために働きます。しかしそれは最後に楽しい想い出、ということであり、その先は死なのです。スキップの心は次第に摩耗していきます。そんな中、遊園地に新しく来た奥さんと子どもにスキップはスタッフ以上の感情を抱きます。しかし、子供の体調は日に日に悪くなり、ついに遊園地で遊ぶ日が来てしまいます・・・何か書いてても辛い。なのですが、スキップに救いがあったのかとかそういう話が続いていくわけではないのです。大人にも広がったり、臓器移植用にブタの遺伝子を操作していたら、喋れる豚が誕生してしまったり、地球を離れ、新しい星を目指したりします。新しい星を探す話が盛り上がるのかと思ったら、今度はまた地球に戻り、一応、ワクチンが開発され、徐々に回復する人も出てきますが、亡くなった方の数が膨大で死が近くにある生活が描かれます。温暖化が止まらないので、多くの都市が海に沈み、それも停滞を促進しています。ラストは外界から来た世界を見つめる者の存在が描かれます。彼女(?)は何万年も生き、我慢できずに人間に介在し、溶け込んで暮らしているのです。ある希望を持って。絶望的な描写が多いですが、人々はしぶとく生き延び、かと言って今までと同じ暮らしができるわけもなく、という感じの不思議な小説でした。
2024.09.20
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書籍の感想です。今回は「試験に出るパズル 千葉千波の事件日記」です。【中古】 試験に出るパズル 千葉千波の事件日記 講談社ノベルス/高田崇史(著者)ちょっと不思議な本でした。謎が出て、イケメンで聡明な千葉くんが鮮やかに謎を読み解くのですが、実は微妙に勘違いだったりみたいな話です。例えば、第一話では喫茶店で売人が何らかの方法で売買する場所を確認している。しかし、その方法が分からない。喫茶店で待ち伏せて、売人が何から情報を得ようとしているか必死に考えます。そして、ついに暗号を読み解き、売買の場所を特定できた事で、めでたしめでたしなわけですが、実は暗号だと思っていたものは何にも関係なくてたまたま合致しただけ、というオチ。他にも連続爆弾魔のメッセージの法則性を読み取ったりするのですが、実は何の法則性もなくいきあたりばったりだったり、とか。千葉くんが頭が良くて無類のパズル好きなのがわかるだけに微妙にずっこけるオチが面白いような肩透かしのような。そんな感じの小説です。軽妙な語り口で、ページ数はかなりありますが、グイグイ読み進められます。
2024.09.14
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書籍の感想です。今回は「成瀬は信じた道を行く」です。成瀬は信じた道をいく [ 宮島 未奈 ]成瀬あかり大活躍のシリーズです。成瀬は今回もそんなに大したことをしているわけではありません。町内のパトロールをしたり、大学に進学したり、琵琶湖観光大使に立候補したり、紅白歌合戦のけん玉チャレンジで紅白歌合戦に出演したり、スタンプラリー全制覇を目指したり・・・しかし、読んでて目が離せなくなります。小説の中の成瀬の周囲の人も成瀬の魅力に引き込まれていきます。それは成瀬が「自分がやりたいことを真っ直ぐに実行しているから」なのだと思います。成瀬の基準は自分がやりたいかやりたくないかです。できるかできないか、とか、人からどう思われる、とかは考えません。多くの人は失敗したら笑われる、とか、考えてしまい、興味あることにもなかなか手を出すことができません。そんな我々には成瀬は「清々しい」「格好良い」と感じられるのでしょうねー今作では成瀬激推しの小学生みらいちゃんも登場。みらいちゃんは成瀬みたいになるのかしら?続編出ないかなー
2024.09.10
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書籍の感想です。今回は「ツナグ」です。ツナグ (新潮文庫 新潮文庫) [ 辻村 深月 ]辻村深月さんの作品です。一生に一度だけ、死者と再会できるとしたら、誰と会いたいですか?一度この権利を使ってしまったら、今後二度と別の死者と会うことはできません。そんな不思議な仲介をしてくれる使者(使者と書いて「ツナグ」と読む)を利用する人々の話です。今の自分の生活に嫌気が指しているOLが指名したのは4ヶ月前に急死したアイドル。生前、酔い潰れた時に介抱してくれたことをきっかけに彼女を心の支えにしていました。そんな彼女が亡くなった。巷には自殺説も出ている。彼女から何か(具体的にはわからないが)を得たくて彼女が亡くなった真相を知りたくて、支えが欲しくてOLはアイドルと再会することを望む。そして、ついに亡くなったはずの「推し」と話すことになった彼女は何を得るのか・・・次の話は頑固な昔気質のオヤジが亡くなった母親と会う話。オヤジが自分勝手過ぎてちょっとやな感じ。そして3話がなかなか辛い話。親友だと思っていた友だちに裏切られたと思い、ある細工をする。その細工のせいかわからないが、親友は自転車事故で死んでしまう。罪悪感、そして、もし細工した事を彼女が知っていたらという焦り、謝りたい、真実を知りたいなどの気持ちが入り混じりつつ、亡くなった親友との再会を望む。再開した彼女との会話。今日ひと晩だけここにいる親友と、これからも生き続けないといけない彼女。罪を洗いざらい話したらどんなに心が軽くなるだろうという誘惑に駆られながら、彼女は自分の中に留め、罪に抱えて生きていくことを選ぶ。しかし最後に親友から託された伝言は・・・いやー、恐ろしいです。しかし、この話はここだけで終わらず、ラストの話でツナグ視点でここまでのエピソードを振り返るのですが、その中である一言が決定的になったことが明らかになります。本人は軽い話題作りくらいのつもりだったのだと思いますが、ここまでやるかという思いがあったのだと思います。それが意趣返しみたいな行為につながるわけですね。生者と死者は一瞬の邂逅を得たわけですが、永遠の反目という結果になってしまいました。とても含みのある良い小説でした。
2024.09.09
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書籍の感想です。今回は「賢女ひきいる魔法の旅は」です。賢女ひきいる魔法の旅は [ ダイアナ・ウィン・ジョーンズ ]ハウルの動く城の作者であるダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品です。と思ったら、完成させる前に亡くなり、未完成だったものを妹さんが完成させたという事です。スカア島の賢女と呼ばれる叔母に育てられているエイリーンは叔母と一緒に王子を救う旅に出掛ける事になります。行き先は10年前に突如魔法の障壁で囲われたログラ島です。王子はその島にいるらしく、各島の男と一緒に行く事で障壁を破ることができるというあやふやな予言を頼りに各島を回ることになったのです。賢女たる叔母についていけば良いと思っていたエイリーンですが、途中で叔母が呪いを受けてしまったため、エイリーンが頑張らないといけなくなりました。しかしエイリーンは自信がありません。賢女の血筋なわけですから、優秀な魔法使いであっておかしくないのですが、一族の通過儀礼である不思議な幻を見るという儀式に失敗したからなのです。だから、今は当然叔母のようにはできないし、これからもできないと思っているわけですね。そんな中で、仲間から励まされたり、神獣に気に入られたり、女神から高く評価されたりしながら、ログラ島を目指します。10年も封鎖されたログラ島はどうなっているのでしょう?そして、ログラ行きを命じた王の目的は・・・まあまあ、面白かったです。登場人物が面倒な人が多くて嫌だったなあ。あんなキンキンしてて、叔母さんは本当に賢女としてやっていけるのかね?賢女はもっと思慮深く、思いやりのある方の方が良かったなあ。
2024.09.06
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書籍の感想です。今回は「院内刑事 ブラック・メディスン」です。新装版 院内刑事 ブラック・メディスン (講談社文庫) [ 濱 嘉之 ]院内刑事の2巻です。今回はジェネリック医薬品に関する不正疑惑です。ジェネリック医薬品って同じ成分で安いわけですから患者にとってはメリットしかないと思っていたのですが、必ずしもそうではないというところは悩ましいですね。成分が同じだとしても、薬効が同じとは限らない(同じかもしれないけど)というのは先発医薬品を作ったメーカーのまやかしなのかどうか。でも、料理も材料同じでも手順や調理法が違えば味は変わるので、そういうことなのでしょうね。ジェネリック医薬品のそういう話も交えながら、実際にはジェネリック医薬品の海外への横流ししている件に関するお話でした。相変わらず政治の難しい話もあるので、ついていくのが難しいところもあるのですが、面白かったです。
2024.09.03
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書籍の感想です。今回は「院内刑事」です。【中古】 院内刑事 講談社+α文庫/濱嘉之(著者)元公安だった広瀬が病院のセキュリティアドバイザーとして活躍するお話です。面白かったです。政治の話とか難しいところもあるのですが、そこは雰囲気だけで読み進めても問題なく、読ませる力がすごいです。あっという間に読み終えちゃいました。広瀬は公安の情報マンとしてどのようにすれは情報を集めることができるか熟知した情報のスペシャリストです。情報量もすごいですが、それを支える人脈も凄い。元公安なので、警察関係に強いのは当然として政治家の偉い人にパイプがあり、さらに財界とも関係を築いています。そして病院にヤクザが患者として運び込まれることもあり、その見舞客が迷惑な場合もあります。そんな時にはヤクザの偉い方との関係を使って黙らせることもあります。まさに清濁併せ持つという感じですが、それを悪いこと、私利私欲には使わないのが良い感じですねー現職大臣が毒を盛られたらしいということからその調査をするという大きな流れがあり、その間で院内で起こる問題にも対応していく様はカコイイです。広瀬の元後輩である彼は今後も活躍するんですかね。こちらも楽しみです。
2024.09.01
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