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tajim

tajim

Jan 10, 2006
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カテゴリ: 簡単な言語学
1月6日にイギリスに帰ってきてから二日、寝る間も惜しんで論文を終わらせました。昨日、二本の論文をなんとか期限に間に合うように書き終えました。
分かってはいたことだけど、やっぱり日本にいる間は全然集中できず、毎日毎日「勉強しなきゃ・・・」と受験生のようにつぶやく日々でした。
せっかくの帰国だったのに、残念。

論文の一本は、日本語の「母音の無声化」について書きました。
日本語(東京で話される標準語)は「そうです」の「す」、「つくえ」の「つ」などが無声化、つまりささやき声のような声帯を震わせない音として発音されることで知られています。日本語を母国語とする日本人なら普通、気づかないことでしょう。それでも面白いのが、無意識ながらもほとんどの人が、ある一定のルールに乗っとって無声化をしていると言う事実。一般に「い行」と「う行」しか無声化しない、無声化は二文字はつづかない、アクセントによって無声化する母音が違う、などなど、調べてみると意外に複雑なルールがあります。でも、日本人の頭の中には、無意識下で何か共通の認識があるはずで、そのルールを探すことが音韻学の役目です。記述的な音声学との違いはそういうところにあります。
興味のない人には全くつまらなく聞こえるでしょうが(そして父親にまで「そんなことより何かもっとすることはないのか」と言われてしまった)、そういう小さな現象の一つ一つを解明していくことが、人間の脳の中で言語がどのように保存されているかを知る鍵になるかもしれない・・・と、そんなところです。いや、だからそれが何になる、と言われると困ってしまいますが。

そしてそれに関連することで今回驚いたのが、ボランティアで日本語を教えている姑が日本語教師養成講座でこの「母音の無声化」について習ったと言うのです。テキストを見せてもらうと、他にも言語学で取り扱うようなかなり難しい言語現象についての言及があちこちにありました。

それを見て思ったこと。
これだけの勉強を、学校で英語を教える教師が英語に関してしていたら、日本の英語教育はもう少しましになるかもしれない、ということ。
こうしたちょっとした言語学の知識が言語教育にはかなり役に立つはずです。
どうして日本語教師になるためのテキストはあんなに素晴らしい出来なのに、英語教師育成に同じようなエネルギーがそそがれないんでしょう。

外国人を雇えばいいわけじゃないですよ!と文部省に言ってやりたい・・・





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Last updated  Jan 11, 2006 11:34:07 PM
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