音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2020年01月20日
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カテゴリ: ジャズ

今回もグラミー賞のジャズのラージアンサンブル部門のノミネート作品のご紹介。
アナット・コーエン (1979)という女性クラリネット奏者が結成した10奏団の演奏。
チェックしていて、当ブログの好きなユリ・ケインのグループのサウンドに似ていたので関連も含めて3枚ほど入手。
これらも、最近よく使う bangdcamp から入手した。
アナット・コーエンは中年の女性で、コーエンというと最近話題のアヴィシャイ・コーエン(1970-)と関係がありそうなので、調べてみると彼の妹で、他にもサックス奏者のユヴァル(1973-)がいて3人で録音したアルバムもある。
クラリネットのサウンドは肉厚で、そのせいか鋭い表現には向いていない。
なので、クラリネットが入ると、モダンジャズが、いきなりスイングになってしまうようで、個人的にはあまり具合が良くない。
テンテットなので、サウンドが結構厚いのかと思っていたら、重なることがあまりない。
アレンジはこのバンドの音楽監督である オデッド・レヴ・アリ が担当している。
気怠さと退廃的な気分が感じられる、随分とユニークなサウンドだ。
かなり複層的な音楽でニューオーリンズやリベレーション・ミュージック・オーケストラのようなラテン・フレーバーも感じられる。
全てのトラックで全員が演奏することはほとんどなく、少し人数の多いアサンブルの感じがする。
音楽は難しくなく、寧ろ素朴ささえ感じられる。
編成はホーンがcl,tp,tb,saxにピアノトリオが基本編成。
そこにチェロ、ギター、パーカッションが入る。
ピアノの持ち替えでアコーディオンが入る場合もある。
基本猥雑さが前面に出ていて、好き嫌いが分かれるサウンドだろう。
無論管理人は、このクセの強いサウンドは嫌いではない。
最初のハードルを超えるとハマる可能性大。
最初にピアソラの「天使のミロンガ」が出てきてギョッとするが、他は全てオリジナル。
タイトルはオデッド・レヴ・アリ作の「クラリネットとアンサンブルのための協奏曲」から取られた。
三楽章からなり、協奏曲という大仰なタイトルに似ない、アメリカの深南部やラテンの灼熱の砂漠を思い起こさせるテイストが色濃く出た二十分程の作品。
形式はかなりルーズで、一聴取り留めのない曲のように思える。
アンサンブルの良し悪しもよくわからない。
クラリネット中心ではあるが、その他の楽器も満遍なくフィーチャーされている。
第一楽章では、アコーディオンが使われていて、ラテン的ない味わいがさらに強まっている。
第二楽章はアネットと題されていて、女性的な優しい楽章。
第三楽章は軍隊調で愉快な音楽に流れるようなメロディーが入る。
途中無窮動状態でヴァイブなどの鍵盤楽器に乗ってクラリネットのソロが入る。
再び賑やかになり、締め括られる。
コーエン作の「Miri」はクラリネットをフィーチャーした甘く切ない曲。
ヴィトール・ゴンサウヴェスのピアノがしみじみと聴かせる。
ニューオーリンズの馬鹿騒ぎを連想させる「Footsteps & Smiles」はとても楽しい。
ほぼ全員の参加だろうか。
ニューオーリンズの喧騒の後はエレクトロニクスの効果が目立つ「La Llorona 」
トラッドだそうだが、イントロはなんとも不思議な音空間。
クラリネットが出て初めてトラッドらしくなる。
続く「Lonesome Train」も同じ傾向だが、冒頭のカウベルをはじめ、人を食ったようなユーモアが感じられる。
作曲者のジーン・ローランドはスタンケントン楽団のアレンジャーとして有名らしい。
この曲もスタン・ケントンの録音が残っているが、ニュー・コンセプツ期の演奏で、実験的でまじめくさっているので、今回のような解釈は原曲からは全く想像できない。
結局、ピアソラが1番まとも?だった。
ホーンの連中は音が洗練されているわけではないが、その分個性が強く、楽しく聴かせてくれる。
慣れていない方にとっては、いい意味でも悪い意味でもインパクトがある音楽だろう。

Anat Cohen Tentet:Triple Helix (Anzic Records ANZ0065)16bit44.1kHzflac

1. Astor Piazzola(arr. Lev-Ari) :Milonga Del Angel
2.Oded Lev Ari:Triple Helix Concerto for Clarinet and Ensemble
  i first
  ii for Anat
  iii last
5. Anat Cohen:Miri
6. Anat Cohen:Footsteps & Smiles
7. Trad.(arr. Lev Ari) :La Llorona
8. Gene Roland(arr. Lev Ari) :Lonesome Train
9. Morning Melody (Epilogue) (Anat Cohen)

Anat Cohen (cl)
Oded Lev-Ari (musical director)
Nadje Noordhuis (tp, flh)
Nick Finzer (tb)
Owen Broder (b.sax)
Christopher Hoffman (vc)
James Shipp (vib, per)
Vitor Gonçalves (p, acco)
Sheryl Bailey (g)
Tal Mashiach (b)
Anthony Pinciotti (ds)





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Last updated  2020年09月23日 10時35分28秒
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