【中学受験】算数の解法テクニック♪

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カテゴリ: 中学受験算数

3:2なのか2:3なのかそれが問題だ。


さて、前回の「逆比の基本」の続きです。



    ≪問題≫

Aの2倍とBの3倍が等しいとき、A:Bは?


※mazuha jibun de kangae te kudasai!


正答 A:B=3:2




前号で示した解法は次の通りでした。

■解法その1 
文中の2倍と3倍の2と3を左右ひっくり返して3:2とする。

■解法その2
等しい数を2と3の最小公倍数「6」とおくやり方

■解法その3・4
等しい数を「1」とおくやり方

■解法その5
2の逆数1/2、3の逆数1/3から考える。




以上5つの解法のうち、僕が授業で一番最初に
解説する方法はどれでしょう?
また、それはどのような理由によるでしょうか?

これを真剣に考えてもらうと、
「逆比」の面白さと同時に注意すべき点が
浮かび上がると思います。



という読者のみなさんへの質問で
終わっていたのですが、
答は、「特に決まった解説はしない」です。笑

というか、集団授業なのか、個別指導なのか
またそれ以前の単元の理解度が高いのか低いのか
数式派なのか図でイメージするタイプなのか
によってその場その場で変わってきます。

例えば、
「Aの2倍とBの3倍が等しいとき、A:Bは?」
に対して
あくまでも「A:B=2:3になる!」と
言い張る子もいますし(笑)、
直感的瞬間的に「3:2」だと言える子もいますし。

そりゃそうだろう、それを踏まえた上でどの解法か?
と聞いたんだろう?という声が聞こえてきそうなので(笑)、
いくつかあるうちの流れをひとつ書きます。



■線分図を使って生徒に自力で比を求めさせる流れ

1.何々と何々が「等しい」という表現に注目させる。

2.2つの等しい数量を2本の同じ長さの線分図で示す。

  子どもにも書かせる。

3.線分がAの2倍、Bの3倍であることを確認する。

4.2倍という表現から、Aは線分を2等分したもの、
  3倍という表現から、Bは線分を3等分したもの、
  と確認する。

5.とりあえずAとBのどちらが大きいか確認。
  ※AがBより大きい

6.さあ、ここで、AとBの大きさのバランス(比)を
  求めることにチャレンジ!




    読者の方もこの「2本の線分図」を
    実際に紙に書いてみてください。



すると、いろんなことが見えてくるはずです。


A┣━━━━━┿━━━━━┫

B┣━━━┿━━━┿━━━┫



実際に書くとわかると思うんですが
実は、この図を「白紙」に書くとAとBの大きさのバランスが
結構見えづらいんです。笑


当然子どもも悩みます。


で、ここからが勝負なわけです。


当然、子どもたちはいろいろと工夫し始めます。

そして、だいたい方眼紙ノートを使ってる子とか
が「解決」してヒーローになったりします。笑

それは、方眼紙、つまり、1cm刻みの目盛りがある、
という優位性によります。笑

白紙だとわかりにくかったABの大小バランスが、
方眼紙だと、最初から線分の長さを「6」と設定することで、
あっさり、3:2と「見える」からです。

「6」の設定は、2倍、3倍という表現から、
最初に線分を書く段階で2と3の両方で割り切れる数として
自然と「6」を思いつくからです。

(思いつく、というより、書くという「作業」を
通じて、自然と「そう書いてしまう」といった方が
いいかもしれません。)


       ここで発表。


      ●方眼紙の生徒
「線分を6とすると~、Aは6÷2で3、
Bは6÷3で2なので、A:B=3:2で~す。」


これにて終了、と思ったら、
ひねた君から横槍が入ります。


      ●ひねた君
「全体を6と勝手に決めたりするのはダメだと思います。
全体が6じゃなかったら違うんじゃないですか~?」


と、教室が騒然となったところで(笑)、


「では、全体をいろいろと変えてやってみよう!」


ここで再び「作業」に熱中しはじめます。
すると、すぐに、12とか24とか30とかの数字を、
「カンのいい子たち」が次々と競って発表します。


優秀君-1「12のときも、
12÷2=6、12÷3=4、6:3は簡単にすると
3:2になります。」

優秀君-2「24のときも、24÷2=12、24÷3=8で、
12:8は簡単にすると3:2になります。」

優秀君3「18のときも、30のときも・・・」


どれもこれも
ちゃあんとA:B=3:2になることを確認。
そして、それは、12,18,24,30・・・という数字、
すなわち、
「2と3の公倍数(6の倍数)」であることを確認。

数字をいくら大きくしても、いつでもA:Bは3:2に
なることにクラスみんなが感動の嵐・・・

という雰囲気のときに、今度はコツコツ君が、
小さい声で、


         ●コツコツ君
  「僕は全体を10にしてやってるんだけど、
   うまくいきません」


ゲ~!「10÷2=5」だけど、
「10÷3」って・・・・すごくいやな感じ・・・


ということで、10でもやっぱりA:Bは3:2に
なるんだろうか????


疑心暗鬼。


ここで、「分数比」でも「小数比」でもあっという間に
簡単な「整数比」になおすことができるコワザ君登場。


黒板でやってもらいます。


         ●コワザ君
「まず、10÷2=5、10÷3=10/3」
「5:10/3は整数と分数の比になっているので~」
「5を分数にするために、5に分母3をつけて~」
「え~と、15/3:10/3は、15:10」
「これを5で割って簡単にすると、あっ、3:2だぁ」


と、黒板を見ていたみんなが、ここで、
「ああ、どんな数字に設定しても
A:B=3:2の関係は変わらないんだぁ。」
と納得納得。


最後に、
「全体はどんな数字でもいいことはわかったけど、
一番基本の数「1」でもやってみよう」

ということで、

1÷2=1/2
1÷3=1/3

1/2:1/3=3/6:2/6=「3:2」

「おお~っ!(再び感動)」

ここで、
ところで、1/2って「2の逆数」だね。
1/3って「3の逆数」だね。

つまり、




■Aの2倍とBの3倍が等しいとき、A:Bは?

という「設問の形」があったら、A:Bは
2と3の「逆数の比」になるんだ。
もちろん、それを整数比になおしたのが答だよ。
そして、これを「逆比」というんだ。




そして、最後の最後にこんな締めの言葉で終了します。

「全体を1とおいて逆数をとって整数になおす過程で、
1/2:1/3=3/6:2/6=「3:2」
というように分母を6で通分するよね。」

「これは2と3の「最小公倍数6」だから、
全体を1ではなくて、最初から「最小公倍数6」に
してやると、途中で分数がでてこないんだ。」

「どっちみち最小公倍数6を見つけるんだったら
最初から全体を6とする方が楽なようにも
思うけど、あとはみんなの好みの問題だよ。」

「もちろん、どんな数字に設定しても答は
同じになるけど、あとあとのことを考えて(笑)、
1か最小公倍数のどちらかに設定して解くと
決めておこう」

「それと、左右の数字をひっくり返せば
それが、結果として、逆比になるってこともね。」
    ~~~~~

まあ、だいたいざっとこんな感じです。
が、もちろん、実際の授業では、そのときのクラスの
ムードによって段取りはいろいろと大胆に変化します。

極端なことを言えば、授業のはじめにいきなり、

「何とかの何倍と何とかの何倍が等しいときは
逆比になるんだ、覚えとけ~!

とかいうのもありかもしれません。
(いまだそのパターンはやったことありませんが。笑)


それと、上記の流れはあくまでも流れであって、
実際には、もっともっと子どもたちに身近な具体的な
数字の世界から導入を図ります。

間違っても、本当に、

「Aの2倍とBの3倍が等しいとき、A:Bは?」

という板書からはじめることはないです。笑
(小学生の場合)

では、次回も引き続き実際の授業導入の具体的な例を
さらに臨場感たっぷりに(笑)お伝えしたいと思います。


※次回続く・・・






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Last updated  2008年05月08日 06時18分28秒
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