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カテゴリ: ★★★★☆な本


「いつかパラソルの下で」 森絵都著 角川書店


<感想> ★★★★☆

森絵都さんの作品は、初めて読みます。

今回の直木賞候補になったという理由で手に取りました。

森さんは、主に児童文学を書いていたという予備知識があったので、

冒頭はかなり意外でした(汗)

ストイックな父親に育てられたせいで、抑圧されている主人公と主

人公の兄妹の物語が展開していく前半、そんな父親の足跡を辿る後

半。ともすれば重くなりがちなテーマをユニークに描いています。

しかし、このユニークさというのはクセモノで、ヘンに描くと、軽

くて薄っぺらな作品になってしまいますが、本書は、そこそこ読み

応えがありました。

象徴的なのは、後半で展開する父親の過去の掘り下げ方です。

あえてドラマティックを避けて、押さえの利いたエピソードが、作

品にリアル感を与えています。この点が、ユニークでありながら読

み応えのある作品に仕上がっている最大の要因だと思います。

タイトルの「いつかパラソルの下で」は、主人公の願望ですが、読み

解くとしんみりしてしまいます。色々な側面を持つ作品だとも言えま

す。他の作品も読んでみたくなりました。





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最終更新日  2005.09.02 01:32:21
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