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October 28, 2018
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みなさん、こんばんは。
イタリアルネサンスといえば、歴史で一度は習ったことがあると思います。
その時代を生きたチェーザレ・ボルジアをご存知ですか?
知る人ぞ知る存在ですが、知っている人の中では織田信長みたいな存在で人気が高いのです。
モームも彼についての作品を書いています。

昔も今も
Then And Now
サマセット・モーム 
ちくま文庫

今でこそ惣領冬実さんの未だ完結していない連載『チェーザレ』があるが、日本で一気にチェーザレ・ボルジアの知名度が上がったのは、塩野七生さんの『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』とフランソワーズ・サガンの『ボルジア家の黄金の血』あたりか。毒殺、謀略なんでもござれの一族が何とカソリックの総本山のトップの座についた、生涯がまるでドラマのような(ドラマになったが)イタリアの一族、ボルジア家の長男坊。

 サマセット・モームも彼に魅せられた一人のようだ。モームは書きたい人物その人を語り手にしない。なぜならチェーザレをほめちぎりたいのに、本人がほめまくっていたらただの自慢しいだからだ。そこで、周辺の人物からチェーザレを描く『月と六ペンス』と同じ方式を採った。今回の語り手はニッコロ・マキアヴェリ。後世の我々からすれば、マキアヴェリ自体有名人なのだが、当時の知名度を比べれば、法王の庶子ながら公爵で軍事責任者でもあるチェーザレの方が断然上だ。物語は、無理難題を言いつけられたフィレンツェが、交渉権のない使節としてマキアヴェリを派遣するところから始まる。フィレンツェは共和制で、イタリア統一を図るチェーザレとは水と油。
「人間の性はいつの世も同じであり、同じ情熱をもっているから、状況が同じならば、同じ原因は同じ結果をみちびく。したがって、古代ローマ人がある状況におかれて、どのように対処したか、ということを心に銘記するならば、後代の人間とても、すこしは思慮分別をもって行動できるにちがいない」
と、古代ローマに憧れているマキアヴェリは、自分の知力をもってすれば、チェーザレを転がすことなど簡単だと思っている。余裕のマキアヴェリは人妻に懸想してイタリア男らしく恋のアプローチも欠かさない。

 ところがしょせん机上の空論、操っていると思い込んでいたマキアヴェリこそ、チェーザレの手の平の上で転がされていたにすぎなかった。ネット上では「マキアヴェリがチェーザレにぴーぴー泣かされる話」と書かれていたが、そこまでは。マキアヴェリは次第にチェーザレに魅了され、そして
「人間界では、ひたすら権力の獲得に力をつくし、それを維持することが必要なんだ。そのために用いられた手段は、もしうまくいったら、世の人々がすべて高潔であると見なし、口をそろえて賞賛する。」
と後のマキャベリズムを口にする。後世のモームが書いたチェーザレは
「共和国体制においては、能力ある者はつねに疑いの眼をもって見られる。だから要職につける者は、同僚の嫉妬の対象にならないぼんくらにかぎる。それが民主主義国家というもんだよ。能力抜群の人物ではなく、誰にも、警戒も心配もされないお人好しが統治するんだ。」
などとのちの民主主義国家の弱点まで指摘して、聡明な事この上ない。

 しかし向かう所敵なしに見えたチェーザレにも破滅が訪れるのは史実通り。「法王が死んでも後処理は全て考え済み」と豪語したチェーザレもまた、シミュレーション通りの未来を描いたマキアヴェリと五十歩百歩だった。そう、昔も今も、英雄も凡人も天才も、自分だけはと思いつつ、道端の石ころにつまずくのだ。初めてつまずいたような顔をして。何人もがつまずいてきたことなど知らぬような顔をして。


昔も今も (ちくま文庫) [ ウィリアム・サマセット・モーム ] ​​ 楽天ブックス







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最終更新日  October 31, 2018 12:46:49 AM
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