王道ロマンス小説にハマったので感想ブログを作ってみた

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2022.01.23
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2021年2月刊
ロイヤルキス
著者:蒼磨奏さん



ジュリアンパブリッシングの電子書籍レーベルです。



西洋貴族ものが続いたので、ここらで日本が舞台の作品を。
何か読んでて同じ大正時代なせいか「はいからさんが通る」を思い出しちゃいました。
TL小説としては珍しくヒーロー目線で綴られる許嫁の少女との十年間の物語です。
(ゆうて、ヒロインが亡くなるとかの展開はありませんので、ご安心を)

ここからネタバレと感想。

ヒロイン・杉渓八重は老舗呉服屋の末娘で、十六歳になったら女学校を辞めて許嫁の軍人・葛城毅と結婚することが決まっています。
両家同士が旧知の間柄で、二人の出会いは八重が十二歳、毅が二十八歳の時でした。
何と十六歳差! 現代なら珍しいけど、この時代はよくあったんでしょうね。
そして、ヒーローの名前が章ごとにルビ降ってほしいくらい「たけし」と読んでしまってましたが「しのぶ」と読むそうです。

毅が何かと忙しい軍将校であるため、許嫁ではあっても頻繁に会えるわけではない。
八重にとって毅は初恋で、女学校を辞めるのは寂しいけれど結婚は待ち遠しかったし、たまに会いに来てくれる毅と出かける前日は楽しみで眠れないほどだった。

そんな八重に対して、毅は彼女には年の離れた妹程度の感情しか持っておらず、素直に好意を寄せてくる八重は可愛いいし愛しいとも思う、だが、女性として愛してるかと言われると・・・。

もうすぐ祝言だと言うのに何とも複雑な想いで八重に請われるまま、デートをして彼女を屋敷に送り届けると、玄関先で杉渓の父が一人の男と揉めており、何度か怒鳴りつけられた後、玄関から追い出された男・村田は一頻り悪態をつくと去って行きましたが、毅は村田の様子にどうにも嫌なものを感じるのでした。

どうやら村田は事業に失敗し、伝手を頼ってあちこちから借金をしているらしく、父も一度は気の毒に思い金を貸してやったが、その時の金もまだ返せていないのにまた返すあてのない借金をしに来た村田にさすがに人のいい父も怒り喧嘩になったのだと言う。
塩まで撒いていたくらいだから相当頭に来たのだろうと八重も察したが、村田のあの嫌な目つきは気になった。

その晩、眠っていた八重は息苦しさと煙さに目覚めると屋敷は火に包まれており、不幸にも庭からも玄関からも遠い位置に部屋のある八重は逃げ遅れていました。
何とか火の回る前に重要書類や通帳を持ち出した父と兄は八重がまだ出てきていないことに気付き、水をかぶって助けに行きますが、二人が見つけた時八重は倒れて来た壁の下敷きになり一人では身動きできない状態でした。
寸前まで迫る火に巻かれながら彼女は父と兄に助け出されます。

杉渓の家が火事と聞き駆け付けた毅が見たのは、体のあちこちに火傷を負って搬送される八重の姿。
背中の火傷が殊更酷く、助かるかは五分五分と聞き、毅は愕然とするも暫くは面会謝絶では会いに行くこともできない。
翌日現場検証が行われ、火元は不明だが台所の種火の消し忘れによるものだろうとの結果だった。幸い書類の類と通帳は持ち出せたのと、店舗は近所にあるため商いは変わらず続けられるからじきに屋敷は建て直せるが、八重の容態と言い杉渓家の心的ダメージは相当のものでした。

これ、どう考えても村田が超怪しいんですけど、この時代の検証では今ほど不自然な火元や焼け跡とか見つけられないだろうし、何ともモヤモヤします。
そして驚くことにこの火事に至ったのが中盤も中盤なんです。
あらすじを読んで、火事になってヒロインが消えない火傷を負ってどうこうって話のはずなのに「えっ火事はいつ起きるの?」と。まあ、プロローグで少しさわり部分は描かれてるんですけど、二人の出会いから始まってるからそりゃここまでページ数使っちゃうよね。

何とか容態が持ち直し意識が戻った八重は、動けるようになると毅宛に婚約解消をしてほしい旨の手紙を送ります。
背中の火傷は酷いもので皮膚移植手術をしてもかなりの痕になってしまうらしく、こんな体で毅と結婚するわけにはいかないと、あの火事からあんなに明るく前向きだった八重はすっかり心を閉ざしていました。
納得いかない毅は八重に何度も会いに行くもその度に面会を断られ、間の悪いことに軍から毅に九州の駐屯地への出向の辞令が下ります。しかも2年間という長さ。
この時期に八重と離れれば余計に彼女は自分の殻に閉じ籠ってしまう。断りたいのは山々でも優秀な毅の佐官への昇進のためとわざわざ上司が口利きしてくれた辞令と聞けば断るなどできるはずもなく。

毅は会ってもらえないならせめてと、今の自分の正直な気持ちと二年間待っててほしいとの旨の手紙を八重に送り九州に旅立ちます。
そして八重には辛い投薬治療と手術、リハビリが待っていました。

時が流れ、帰還した毅はまっすぐ建て直された杉渓邸に向かいますが、そこで見たのは美しく成長した八重の姿で・・・。

火事以降モヤモヤとじれじれの連続で読んでてもーもだもだしました。
八重の気持ちも判るんですよ、15,6の女の子が背中に一生消えない火傷の痕が付いたら許嫁に申し訳ないと思っちゃうよな。
いくら毅は構わないと言ってくれても、生きてるだけで丸儲けとは思えないよね。

毅は毅で思春期時に継母から性的な悪戯をされた過去があり、幸い未遂だったのと様子のおかしい自分にすぐに父が気付いてくれて継母を追い出したことで事なきを得たものの、以降女性に触られることが苦痛となっていました。
父も判っていたので無理に縁談を進めなかったけど、あの日十二歳の八重に会った時、膝にまで乗られたのに何ともない。自分の反応に驚くも、何となく彼女となら結婚も大丈夫かもしれないと。そんな毅を見て父も気付いたのか程なく二人の婚約が決まったのです。
初対面時に八重が十二歳だったってのも大きかったのかもしれませんが、成長した彼女に手を握られても大丈夫なんだから、単にトラウマのせいで女性の接し方と愛し方が判らなかっただけなのかなと。まあ、妹みたいに思う感情はあの年齢差じゃ致し方ない。
成長した八重を女性として見れるようになったのも、離れてた二年のおかげかも。

再会後、天岩戸の如く閉じ籠る八重相手に根競べで挑む毅との攻防戦の末、毅が勝利。
結果、二人はずっと延期していた式を挙げ結ばれますが、八重は頑なに背中を見せたがらない。
しかし、静かに過ごす生活の中、根気よく接してくる毅に、八重も次第に絆されていきます。
だって嫌いになって婚約解消の意志を伝えたわけじゃないもんね。
その頃、東京で放火とみられる不審火事件が相次いでいて、折しも親友の屋敷からの帰宅途中に八重が何者かに浚われます。

犯人は予想通り村田なんですけど、当然杉渓家に放火したのもこいつでした。
借金を断られた腹いせに火を点け玄関だけでも焼ければいい気味と思っていたら思いの外火が広がって屋敷は全焼してしまった。
あの後は地方で働いていたが、あの時の炎の美しさが忘れられずにまた東京に舞い戻り、以降あちこち放火しまくってたらしい。
八重を浚ったのは、杉渓の娘が背中に大やけどを負ったと噂で聞きつけ、それを見たかったからと宣う村田が結構サイコですが、間一髪探しに来た毅と同行してきた警官たちに現場に突入されて八重は無事救出。
逮捕された村田は何件もの放火により多くの死傷者を出した罪で裁判後に絞首刑になったそう。

この事件で色々吹っ切れた八重は毅に背中を見せ、過去に踏ん切りをつけました。
その後、八重は双子を産み、家族と幸せそうに過ごしているらしき様子で幕。


電子書籍の割に300ページ弱あるお話でしたが、何だろう事件もあったので盛り上がるはずが結婚してから失速してってる感が(^_^;)
とは言え、話の全体は面白いんですよ。
多分、後半にラブシーンを集中して詰め込んでるせいかなぁ。
致してる最中にあんまり肝になりそうなことも言わないから余計に。あの半分の回数でも良かったかもしれない。
取り敢えず、相手限定とは言え毅が不能でなくて良かった(苦笑)


評価:★★★★
結構なじれじれ展開なのでダメな人はダメかも。
前述の通り、ストーリーは面白いと思います。





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最終更新日  2022.01.24 16:14:52
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