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2023年12月刊オパール文庫著者:宇奈月香さん「どうしようもなく咲に触れたい」自分を捨てた元恋人の海斗と転職先で再会した咲。情熱的なキスと丹念な愛撫にかつての恋心が蘇る。欲望で激しく攻め立てられ、獣のように求め合って。でも彼に負わされた心の傷は簡単には消えない。「俺はもう一度、君に選ばれたい」真剣な囁きに、胸は高鳴る。私だって、願わくばずっとあなたと一緒にー。社長と二度めの甘く切ない執愛。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 陣内咲=一級建築士を目指す会社員。転職先で元カレの海斗と再会した。伊勢脇海斗=咲の元カレで一級建築士。 福井徹真=海斗の友人で事務所の共同経営者。 悠那=海斗の亡き兄の恋人。咲はゼネコン会社に勤める会社員。夢は一級建築士になることであるが、資格試験がとにかく難関で今年も涙を呑む結果に。設計補佐として4年程頑張っては来たものの、今の仕事にやや物足りなさを感じ始めていた。そんな折、福井なる人物から直々にヘッドハンティングを受けて、その誘いに乗ることに。聞けば資格試験のサポートもしてくれるらしい。咲にとってはこの上ない職場だ。だが、一つ問題が。福井の共同経営者がよりにもよってアイツだなんて。あんなひどい別れ方をしたのに、咲は未だに彼に未練たらたらだった。しかも、福井に自分を誘えと言ったのが海斗だと言うからビックリ。彼の意図は不明だが、夢に近づくための一歩。海斗のこともただの上司として接すればいい。そう覚悟して、無事前の職場を退職し、年明けての出社1日目。紅一点だった遥を始め、先輩たちともすぐに打ち解けることが出来た。海斗とも自然に挨拶できたと思う。それから一週間ほど経ってから咲の歓迎会が行われ、薦められるまま酒を飲んだ咲は酔いつぶれ、介抱してくれた海斗の自宅へ。酔いもあって思わず当時の記憶が蘇り一夜を過ごしてしまった彼女は激しく後悔した。おまけに海斗は目覚めるや否や「結婚しよう」と言い出したので目が点。なのに、すぐさま撤回されたので流石にムカついて、弁解しようとする彼を置いて咲は愛犬の待つ部屋に戻ったのだった。海斗とは咲から告白したのをきっかけに4年程交際していた。我ながら仲の良いカップルだと思っていたが、関係に変化が生じたのは大学3年生の時、海斗の兄の勇介が仕事先で事故死してからだった。当時、体調を崩して入院していた咲は彼から知らされショックを受けたが、そういう状況だったので告別式にも出席できなかったのが悔やまれる。だが、勇介の恋人の悠那がストレスから精神的に不安定となり、海斗を頼るようになったのだ。よっぽど酷い有様なのか彼も縋って来る彼女を放っておけず献身的に支えていた。おかげで、何をするにも悠那優先。咲の誕生日すら忘れて、来たいと言ったからと悠那を連れて待ち合わせ場所に現れた二人を見て、彼女は別れを決めた。しかし、海斗はあの別れを相当引き摺っていた風なことを言っていた。それはこっちのセリフだろうとも思ったものの、咲の愛犬のカンちゃんを彼氏だと思い込み嫉妬メラメラな様子を見るに、少しは彼の言い分を聞いてみてもいいかもと思い始めていた。何より、流されてあの日以降も彼と関係を持っているのだから、このままじゃただのセフレだ。一度、彼の本心を確かめなければ。一方、海斗は咲との復縁を心から願い、彼女の為に資格試験も全力でサポートすると決めていた。事情を知る福井からも当時のお前の態度は人として有り得ないと言われている通り、頑なに彼の言葉を信じない咲の気持ちも判る。元の性格なのかそれとも兄の死が原因なのか、悠那の本性を知った時には彼女に雁字搦めにされていてどうにもできず、結局咲にフラれてしまった。悠那はとにかく自分が一番でいないと気が済まず、海斗を散々縛り付け一年もすると密かに関係を持っていた芸能事務所社長の誘いでタレントになるからと去って行った。それでも度々、寂しくなると海斗を訪ねてやって来るのだが、福井が悠那を毛嫌いしているので追い返してくれている。悠那に会ったら咲もきっと良い気はしないだろうからありがたい。次に目の前に現れたらきっぱりと縁を切ろう。しかし、そんな願いも虚しく、現場に資料を届けに来た咲といつものように海斗に付き纏って来た悠那が鉢合わせしてしまい・・・。あとがきでも作者さんが語られてましたが、海斗側の事情が分かるまで彼の印象は読んでて最悪でした。普通にあれは酷い。当時も咲なら許してくれると思ってたって、あんた。アレを笑って許せるのは天使か菩薩様くらいだよ。小狡い女の策略にいい様に乗せられてた海斗は、今度こそはと咲に真摯に想いを伝えますが、まぁ出て来るよねぇってことで悠那が登場。余計なことを言って咲を怒らせます。でも、彼女もとうに海斗に絆されていたことから、悠那ではなく、海斗の言葉を信じると彼からの告白を受け入れます。しかしまだまだだしつこい悠那が再び咲の前に現れ彼と別れろと直談判。きっぱり断る咲を彼女は階段から突き落とすという暴挙に出ますが、後から現れた海斗が受け止めて無事でした。この後の悠那の罰は少々甘い気もするけど、本当に病んでたというのが判明したので落とし所としては妥当なのかも。とはいえ、咲と別れたのは100%海斗が悪い。なのに、咲以上に未練たらたらで、やり直せたら二人の夢が詰まった家に住むとか妄想してたんですよ、この人。どのツラ下げて。一歩間違えてたらストーカー化してそう(^_^;)これも全て未だに咲が想い続けてくれてたからこその復縁だったんだなぁとしみじみ。評価:★★★★☆
2024.02.07
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2022年6月刊オパール文庫著者:玉紀直さん優しくて紳士、完璧すぎる御曹司の高太郎。婚約者の瑠奈は平凡な自分が彼にふさわしくないと思い込み、別れを決意。せめてもの思い出に抱かれたいと告げると「俺の好きなようにさせてもらう」激しい愛撫に喘ぎ、何度も剛直で貫かれ絶頂を迎える。それでも彼の欲望は衰えを知らず…。「絶対に離さない」きつく抱き締められ、胸が高鳴る。諦めてくれない御曹司の執着愛! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 神田瑠奈=サブコン会社社長令嬢。完璧すぎる婚約者のことで悩んでいる。鳴海高太郎=大手ゼネコン会社の御曹司で瑠奈の婚約者。親同士が友人という関係から、婚約が決まった瑠奈と高太郎。彼は8歳も年上で、こんな子供が相手でいいのだろうかと申し訳なくなったが、高太郎は何をするにも瑠奈が第一に考え、接した。かれこれ8年の付き合いになるけれど、彼が完璧であるほど瑠奈は居た堪れない気持ちに苛まれるように。8歳差なんて縮めようもないから、せめて釣り合う女性になりたいと勉強や習い事、美容にも力を入れた。でもどんなに努力しても自分は彼に相応しくないと思ってしまう。あんなに素敵なのに、こんな自分に8年も。社会勉強のために父の会社に勤めてからというもの、多忙だろうに残業になると必ず車で迎えに来てくれるので同僚達にも高太郎は何かと有名だった。今日も瑠奈を迎えに来ていた高太郎は、そつなく彼女をエスコートし、景色の良いレストランで夕食をご馳走してくれた。なんかもう至れり尽くせりなんだよなぁ。いい加減彼を解放してあげなければ。思い切って高太郎に婚約を解消したいと告げると、彼はそれが瑠奈の望みならと承諾。なんだか随分あっさり受け入れたなと聊か拍子抜けしたけれど、正直言えば高太郎のことは好きで堪らないし別れたくはない。ただ、このまま自分といても彼のためにならないから相応しい人を見つけて欲しいと告げた。最後の最後で高太郎にせがんで一線を越えるなんて未練がましくもあったけど、これで吹っ切れた。しかし、あれから2週間。張り合いが無くなったせいかどうにもやる気が出ない。自分磨きにも身が入らず、仕事でミスをしないだけマシかという状況。先輩に指摘され、こんなんじゃいけないと、今まで縁が無かった合コンとか誘いがあれば行ってみようかと考えていたら、丁度同僚からお誘いが。どうやら幹事が取引先の専務らしく、今後の仕事にも有利になるからと頼まれ、そういうことならと引き受けた。一方、高太郎は親友に瑠奈の魅力を長々と語りウザがられていた。彼は瑠奈のことがとにかく大好きで、彼女のことが最優先というスタンスだった。友人にはそれが嫌がられたんじゃとからかわれたが、婚約解消に応じたのも瑠奈の望みだったからで結婚を諦めたわけではなかった。そもそも、今回に限らず彼女の希望でもう3回も結婚を延期しているので高太郎の我慢強さは筋金入り。瑠奈一筋なのでその手の接待には応じず、女遊びなど以ての外。おかげで不能かもしくは男色なのではという噂があることも知っている。瑠奈の父親にはそのことで平謝りされており、娘の我儘で申し訳ないと言っていた。本来なら高校卒業してすぐに嫁がせるはずが、大学に行きたいと言われて延期。大学卒業まで延期したまでは良いが今度は社会勉強がしたいと2年の延期。そして今回は婚約解消と来た。瑠奈の父もさぞかし胃が痛いことだろう。とはいえ、高太郎自身が彼女の望みなら何でも叶えてあげたいのだ。それに、情報通の友人の秘書の協力もあり、瑠奈についていつもアンテナは張っている。今夜も彼女の情報が入ったのだが、瑠奈が参加する飲み会の幹事があまり良い噂を聞かない人物で眉をひそめた。その頃、高太郎の嫌な予感は的中し、瑠奈は帰ろうとした際路地裏で取引先の専務に襲われ・・・。この危機に間一髪高太郎が現れ事なきを得ますが、そこから二人の関係が微妙に変化。今までより頻繁に会うようになって、その度に求められるのでこれってセフレになった感じだ。しかし、瑠奈は未練たらたらなのでズルズル関係は続くも、以前から関係を疑っていた彼の秘書が結婚すると聞き、相手は高太郎だと勘違い。再び身を引こうとします。が、この誤解もかなりの終盤なので解けるのも早かった。瑠奈は自分なんかでいいのかと悩んでいたものの、彼にしてみれば彼女しか欲しくないので完全な杞憂だったと言うオチ。それを思い知らされ、彼からのプロポーズを受け承諾。ラストは結婚式のシーンで終わっています。なんというか、思い込みの激しいヒロインだったなー。あんなに尽くされてても自分なんかに勿体ないとか思っちゃうから、さすがに読んでて少しイラついてしまった(^_^;)その反面、ヒーローの心情がとにかくヒロインLOVEだったので妙な安心感が。まぁ、なんでも彼女の思う通りにを実現しちゃうからこんな騒動になったわけですけど(苦笑)何事もほどほどに。ぶっちゃけ、あなたたちに足りないのは本音を交えた会話では、と。ラブラブカップルがお互い好き過ぎたせいで周囲をやきもきさせてしまうというストーリーでした。評価:★★★★☆
2024.01.05
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2023年7月刊オパール文庫著者:玉紀直さんワーカホリックな繭。突然、社長の傑と同居することに!?私生活をおろそかにしがちな繭に「君の世話を焼きたいんだ」甲斐甲斐しく面倒をみてくれてー。普段は厳しい社長の意外な優しさに心惹かれてしまう。「俺の恋人になってくれるか」うっとりするような口づけに胸が高鳴る。熱杭を深々と沈められれば、たまらない愉悦に痺れて。スパダリ社長の過保護な溺愛! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 大谷繭=ワーカホリック気味な会社員。とある理由から傑と同居することに。 神代傑=不動産会社社長。繭の実力を買っている。不動産会社に勤める繭は目的のためにとがむしゃらに仕事に打ち込み、毎月トップの営業成績を打ち出していた。女のくせに、と男性社員にやっかみを受けることも少なくないけれど、陰口なんて気にしない。そんなことより歩合制の特別手当が結構な額になるので内心ホックホクだった。でも目標額までまだまだ遠い。毎度、彼女にトップ奪われライバル視してくる先輩の菅尾には悪いが、次月も頑張ろう。けど社長は菅尾に声をかけてたし期待しているみたい。公明正大な人と思ってはいるが彼も繭のことを女だてらに生意気だとでも思ってたりするんだろうか。勝手な想像で少々傷付きつつも、神代にどう思われてようが、繭には叶えたい夢があるのだ。子供時代、母と折り合いが悪かった彼女を可愛がってくれていた祖父母の暮らす洋館。数年前二人とも鬼籍に入り、固定資産税の支払いが大変で相続する者がおらず屋敷は売却。なかなか買い手がつかないのか空き家のまなになっているそうだ。古い外観なので近所ではお化け屋敷と呼ばれているが、何としても自分が買い戻して見せる。だが、金を貯めている間に売れてしまっては本末転倒だ。こうなったら会社で管理物件にしてもらうか、と一先ず神代に話してみたが敢無く却下。オバケ屋敷なんて噂、実際本当にあるの?と祖父母の屋敷に久々足を運んだ繭は付近の住人に聞き込み。確かにその手の話が尽きない家だそうで、空き家ではなく人が住んでいると聞いて驚愕。いつの間にか買われていたのか。取り敢えず、あくまで噂話の範疇なので懐かしい屋敷に赴いてみたら、本当に住人がいると判るほど丁寧に整えられた庭の様子にガックリ。そこへ件の住人が車で帰宅し、降りて来た人物はなんと神代ではないか。社長がこの屋敷を購入してたとして、それならあの時一言言ってくれたって。彼に駆け寄り繭は責め立てたのだが、怒りで頭に血が上った彼女は昏倒。目覚めるとベッドの上で、どうやら神代が運んでくれたらしく、繭が倒れたのは栄養失調のせいだと怒られた。彼が作ったと言う美味しい和食のおかげで人心地ついた繭は、どうしてこの屋敷に住んでいるのか尋ねた。神代の話によれば、この屋敷は元々先代の社長宅で譲り受けたのだと言う。先代が長年住んでいたのだから繭の祖父母の屋敷の訳が無い。でも、屋敷の形といい内装や一点ものと聞いている大きな柱時計もあるのに。納得がいかないらしい彼女に神代は、ならしばらくここで暮らすか?と提案。絶対にここは繭の祖父母の屋敷ではないと断言する彼の挑戦に彼女は受けて立つことにしたのだが、元来世話焼き気質で料理好きな神代は仕事は出来ても自分には無頓着な繭が心配で仕方なかった。繭が納得するまでに自分は彼女の生活習慣を改めさせ自らの料理で健康にしてやろうと考えていた。それから二人の奇妙な同居生活は始まり、神代の心尽くしの料理のおかげで数日も経つと繭はすっかり健康的になり友人も驚くほどの変わりっぷり。彼女自身も体調が良いのが自覚できるし、あの屋敷は本当に居心地が良いのだ。特別手当は別段契約数で貰えるのだし首位の座など菅尾に譲っても問題ないのだが、身体も軽いので仕事も捗り申し訳ないけど今月も首位は自分だろう。それにしても、あの屋敷は本当に先代社長の家だとして、祖父母の屋敷は何処に行った?外観だけでなく内装もそっくりなのに。そんな疑問はあるけれど、今は彼との暮らしが楽しい。そうか、自分は彼が好きなのだ。恋心を自覚したものの、その日、神代が遅くなるからと連絡して来た夜、女性と仲良く歩いていたという話を耳にしてしまい・・・。これはまぁ本人からの説明で誤解は解けます。でも、この一件から互いの気持ちを知って二人は交際をスタート。ラブラブな同棲生活となりますが、その後に何やら訳ありな女性が現れ、屋敷に纏わることで少々悶着に。しかし、それに付随して繭の祖父母の屋敷の謎も解けます。確かに子供時代のことなので記憶違いもあるよね。ましてや屋敷のあった場所とか。神代の住む屋敷と祖父母の屋敷の構造が同じというのも合わさって繭が勘違いしてたのも判る。このヒロイン、何気に天然なので、それに尽きるって内容でした。それにしても神代みたいなスパダリにお世話されるって羨ましい限り。評価:★★★★☆
2023.12.15
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2023年10月刊オパール文庫著者:玉紀直さん「君を手放したことを後悔している」再会した社長の京志郎に抱き締められ、涼楓の胸は激しくざわめく。かつて恩人に頼まれ、形ばかりの妻になった。それでもずっと、心の中には京志郎がいたからー。夢心地のキスと巧みな愛撫。熱杭を奥深くまで突き進められれば、幸せで蕩けてしまいそう。「これからはずっと一緒だ」一途な社長にひたすら愛される、めぐり逢いの甘ラブ! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 明石涼楓=京志郎の秘書を務めていたが、とある事情で大倉と結婚することにな り退職した。近衛京志郎=大手玩具メーカーの御曹司で社長。 大倉茂敏=有数の資産家。涼楓たちの後見人でもあり長らく援助をしていた。明石実&誠=涼楓の6歳下の双子の弟たち。重度のシスコン。事故で両親を亡くし、残された涼楓と弟たちは一時期施設で育った。しかし、資産家である大倉氏が名乗りを上げ彼女達の後見人となり学費を含めて一切の生活の面倒を見てくれたことから姉弟たちは離れ離れにもならず暮らすことができた。彼女達は大倉に感謝し、祖父程の年齢の彼を「おじいちゃん」と呼び、慕っていた。明石姉弟は皆出来が良く、涼楓は大学卒業後トップの成績で大手玩具メーカーに就職。社長秘書に抜擢され、弟たちは得意な専門分野で功績を挙げている。こうして何不自由なく生活できているのはおじいちゃんのおかげ。大倉とは彼の希望で近況報告も兼ねて定期的に会っていたのだが、その日指定のレストランに現れた姿を見て涼楓たちは絶句。見るもやつれて点滴を刺した車椅子だったから。彼はガンを発症し、気付いた時には手の施しようが無かったらしい。余命宣告もされてあと数か月の命だと言う。ショックを受ける涼楓たちに大倉は財産全てを彼女達に譲りたいと話し、そのためには本当の家族になる必要があると、涼楓に自らとの結婚を提案。勿論、形だけのもので大倉が亡くなり遺産譲渡が済めば好きにしていいとのこと。大変ありがたい申し出ではあったが、涼楓には想い人がいた。片想いではあるけれど。しかし、大倉には大恩がありそのたっての望みなら叶えてあげたいと逡巡の末に承諾したのだった。入社式で一目惚れして以来、ずっと想い続けていた近衛京志郎に突然の退職を申し出るのは心が痛かった。同僚で親友のやよいと京志郎がたまに見せるギャップ萌えについて盛り上がるという楽しみももうおしまい。副社長の話によれば彼も結婚したいと言ってたようでその人について惚気てたというから端から叶うはずのない恋だったのだ。詳しい事情は伏せ、結婚するから退職したいと告げた時、彼は大層驚き引き留められたが、頑として意志を通すと最終的には受け入れてもらえた。本来なら3か月前には打診しないといけないのに、不義理をしている自覚はあるものの、大倉には時間が無いので家族として付き添ってあげたい。退職後、弟たちと大倉邸に移り住んだ涼楓は献身的に大倉を支え、数か月後その最期を看取った。慌ただしく日々は過ぎ、遺産を受け取った涼楓は四十九日が過ぎてから大倉の助言通り籍を抜いて晴れて独身に戻った。だが、その日を待っていたかのように京志郎から連絡が。半年ぶりに会った彼は、あの日涼楓を手放したことを後悔してると話し、後に交際を申し込んできた。え、婚約者がいるのでは?と尋ねると、元々彼は涼楓に好意を抱いており、いずれ結婚したいのだと副社長に話していたのだそうだ。こと恋についてはやよいにも散々鈍いと言われていたっけ。納得したか?と彼から改めて結婚を前提とした交際を申し込まれて、受け入れた涼楓。京志郎のおかげで退職ではなく海外への出向扱いになっていて、すぐにでも秘書として復帰できると聞いて嬉しいやら申し訳ないやら。だが、幸せな二人を他所に、弟たちは京志郎が涼楓の財産目当てではないかと疑っていた。それと言うのも遺産管理を任されている庄司から京志郎が大倉の遺産について調査しているようだと報告が来ていて・・・。ヒロインが未亡人という今作。ずっと援助してくれていた後見人のたっての希望で莫大な遺産を受け取とることになった涼楓。研究職に進みたい双子の弟たちの将来も安泰。でも、かりそめの結婚で貰った物なのでそこに付け込み遺産を狙う者が現れて彼女はピンチに。当然、京志郎は遺産狙いなどではなく、それどころか彼女を守るために動いていたのでした。犯人はすぐに判明。強行手段に出て来て涼楓が攫われると言う事件に発展するも、犯人の目論見に途中で弟たちも気付いて京志郎とタッグを組んだことで事なきを得ます。大倉氏の顧問弁護士を務めているのが、この作家さんのオパール文庫作品ではお馴染みの田島さんで思わず( ̄ー ̄)ニヤリ相変わらず、出来る人だなぁ。この人の両親の馴れ初め話も良かったし、こうしてやり手ぶりを見せてくれるのは嬉しい。事件も解決し、仕事に復帰した涼楓。京志郎との交際も順調で結婚も決まりラブラブな様子が描かれて本編は終了。それにしても彼女が決断した遺産の使い道は本当に立派。私ならできないわー。大倉氏が何故彼らに遺産を譲りたかったのかは色々複雑な事情がありまして。気になる方は読んでみてください。評価:★★★★★
2023.11.25
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2023年4月刊オパール文庫著者:桜しんりさん柚葉に細々と仕事や雑用を頼んでくる年下の有能イケメン上司、九条琥太郎。親の再婚で、まさか彼と義姉弟になるなんて!?苦手だと思っていたのに、家の中では誠実で優しく、可愛いところもある彼に惹かれてゆきー。「振り向いてほしくてしょうがなかった」熱っぽい囁きに執拗な愛撫。何度も絶頂に導かれ、初めての快感に心も身体も蕩けて。義弟の溺愛は止まらない! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 埜村柚葉=不動産会社に勤める会社員。 母親に再婚により、苦手な上司・九条と義姉弟になる。九条琥太郎=大企業・九条グループの御曹司で柚葉の上司。 九条瞳=柚葉の母。 九条大和=琥太郎の父。 熊谷=柚葉の憧れの人物。柚葉は年下ながら優秀で早々に課長職に就いた九条琥太郎が苦手だった。彼が入社してすぐ、余計なお節介を焼いたのが気に障ったのか、何かと目を付けられている気がする。今日も今日とて終業間際になって九条から残業を頼まれてガッカリ。せっかく憧れの人である熊谷と食事に行くはずだったのに。涙を呑んで熊谷に謝罪メールを送ったが、なぜ毎度毎度九条は自分にばかり頼むのか。学生時代モデルのバイトをしていたと言う九条はその容姿から女性社員達に大人気で、何かと構われている柚葉は羨ましがられていた。有難迷惑な話だが、親会社の会長の息子に文句など言えるはずもない、黙々と仕事をこなして帰宅すると、母から衝撃の一言が。なんと仕事先で知り合った男性と再婚すると言うのだ。今まで女手一つで柚葉を育ててくれた母の幸せの為、素直に賛成したのだが、お相手との初顔合わせの日、優しそうな人でにホッとした。だが、遅れてやって来た彼の息子がまさかの九条琥太郎。母はお相手の名前を大和さんとしか呼んでなかったので、それが名字だと思っていたらどうやらフルネームは九条大和さんと言うらしい。もしかしなくても琥太郎の父ということは九条グループの会長ではないか。母も凄い人を捕まえたものだが、問題はこの4人で九条邸で暮らすことになったことである。色々起こり過ぎて頭が回らない柚子ではあったが、琥太郎の方も内心ではパニくっていた。何故なら、彼は長い事柚葉に片思いしていたから。仕事にかこつけて、徐々に距離を縮めていこうと思っていたのに、同居も決まってこれは最大のチャンス。琥太郎は柚葉と恋人になるべく策を練り始め・・・。義姉弟ものです。ヒロインは真面目で大人しいけど、どこかぽややんとした子で、男慣れしてない分、琥太郎の自分への好意に全く気付かない。おかげでそんな彼女に3年も片思いしていた琥太郎は根気強く機会を伺っていたものの、女癖の悪い熊谷に柚葉が目を付けられているのを知ってヤキモキ。あの残業も柚葉にデートをさせないため。そんな時に降って沸いたのが互いの両親の再婚話。これはイケる、と意気込んではみたけれど、何かと思う通りに行かない。でも、熊谷の本性が柚葉にバレて、漸く琥太郎にもチャンスが。これで二人もトントン拍子に?と思いきや、ちょっとした誤解でせっかく築いた関係にも亀裂が入りかけ、若干じれじれ展開も。義理とは言え姉弟での結婚はアレコレ言われるかと思いきや、作中ではあまりその手の手合いは登場せず。一番の悪人(?)ポジなのは熊谷氏のみでした。こいつも度々柚葉にちょっかい掛けて来て、本性判ってからはキモって感じだったけど、ブチ切れた琥太郎から相応の仕返しを受けてスッキリ。ホント、こういう女の敵みたいな男はマジで滅べと思う。多少のトラブルはありつつも、最後は丸く収まって大団円で終わっています。評価:★★★★★
2023.06.10
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2021年8月刊オパール文庫著者:玉紀直さん幼なじみで手の届かない存在だった御曹司、逸樹。突然結婚を打診され、困惑するけれど。「花凛は甘い香りがする」鎖骨を舐られ、思わず声が漏れる。深いところで剛直を受け入れれば、理性は吹き飛び、快感に蕩けて。何度も抱かれ、大好きな人と結ばれることの悦びを知りー。なのにある日、彼の婚約者候補が現れて!?王子系副社長とパティシエールのスウィートな恋の行方! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 寺田花凛=スイーツコンテストでの優勝歴もあるパティシエール。八重樫逸樹=大企業の御曹司で花凛とは幼馴染。八重樫智樹=逸樹の弟。「一生君の作るお菓子が食べたい」、高校生の時に初恋の人である八重樫逸樹に告げられた花凛は、それまでは飽く迄趣味の領域だったお菓子作りを本格的に学ぶため、専門学校へ進学。卒業してすぐにコンテストで優勝し、その景品だったフランス留学の切符を得た。たっぷり4年間現地で修業し、1年ほど前に帰国して今は有名カフェレストランでパティスリー部門を担当している。そんなある日、八重樫家に呼び出された花凛は、逸樹とその弟・智樹から衝撃の申し出をされた。二人のうちのどちらかの妻になってほしい、と。どうやら、彼らの弟・大樹の結婚が決まり、夏には式を挙げる予定だそうなのだが、頭の固い二人の祖父が三男が長男次男を差し置いて結婚するなんて有り得ないと言ってるらしい。そこで、逸樹と智樹は結婚を急かされており、下手をすると意に染まぬ政略結婚をさせられる可能性がある。どうせ結婚するなら相手は気心の知れた花凛が良いというのが二人の意見。だが、智樹はともかく、逸樹には婚約者がいたはず。それがショックで、4年もの修行に出ていた経緯のある花凛は少々複雑な心境に。なのに、逸樹が言うにはそもそも当時も候補は上がっていたものの、実際婚約にまでいなかったそうで、花凛の早とちりだと判った。逸樹の妻になれるのは嬉しいが、寺田家は代々八重樫家に仕える家系。使用人の娘が嫁ぐなど恐れ多い。少し考えさせてほしいと時間を貰ったが、逸樹による猛アピールに元々片思いの相手だっただけに花凛は陥落。あっという間に一線を越えてしまったのだった。そもそも、長男である逸樹の結婚が決まれば三男の式も予定通り挙げられる。八重樫家の四兄弟たちと仲の良い花凛が嫁いで来ることに皆歓迎してくれた。それでも、智樹だけはまだ何かとちょっかいを掛けて来ていたけれど。しかし、逸樹の結婚話が耳に入ったようで、以前婚約者候補だった道明寺家のお嬢様が花凛の職場に現れた挙句、彼女から散々詰られて・・・。もう一人の夫候補がいた割に、元々両片想いだったことから花凛と逸樹が結ばれるのも早かった。そもそも、逸樹にしてみれば「一生君の作ったお菓子が食べたい」はプロポーズのつもりだったのに、花凛は、彼お抱えのパティシエになってほしいと言う意味と勘違い。おまけに彼の婚約話も加わって4年もの間回り道をする羽目に。そのブランクを産めるように蜜月期を過ごしていた二人の前にトラブルが発生。元婚約者候補のお嬢様が難癖を付けに来て、つくづく身分違い差を思い知らされる花凛は、逸樹との結婚を諦めようと思い詰めるも、彼女を家族の様に大事にする八重樫家の兄弟たちによって事なきを得ます。その後、慌ただしくではあったけど、二人は入籍。無事に三男も予定日に式を挙げハッピーエンド。高々候補だったお嬢様は一体何様?とイラっときたものの、実は色々周囲からのプレッシャーもあっての行動でした。後に自らの行いを反省し、花凛にも謝罪したこともあって、印象が180度変わったキャラです。案外この人が智樹と?と思わないでもなかったんですが、そっちとか~~いっ、なモブキャラと思ってたお相手と交際に至ったと言う顛末に少々ビックリ。花凛のモノローグが如何にも庶民なそれで、内容含めて面白かったです。評価:★★★★☆このお話、同レーベルのスピンオフらしく、案の定そちらは未購入でした。はい、三男・大樹さんのお話です。とはいえ、そちらを読んでいなくても問題はありません。
2023.04.22
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2021年5月刊オパール文庫ファンタジア著者:宇奈月香さん契りを交わした者に巨万の富と栄華をもたらす伝説の仙女ーその血を引くわこは、野心を抱く政治家秘書の千秋に正体を知られてしまう。彼女を手に入れ、利用しようとする千秋に必死に抗うが…。「俺のものになる悦びに悶えろ」淫らな愛撫とともに熱い楔を最奥に受ける。傲慢なはずの彼に優しく抱き締められ、愛しさが止まらない。運命が引き合わせた二人の激情愛! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 希月わこ=妓楼「希月」の特別な遊女【さよ姫】 忠一の助けで足抜けし、その別邸で匿われている。 九重千秋=政治家一家・九重家の次男。祖父から別邸の全てを譲られた。 九重忠一=故人で千秋の祖父。 寿子=別邸にて忠一の面倒を見ていた家政婦。羽衣伝説に絡んだ、ちょっとサスペンス風味のあるお話です。仙女の末裔である【さよ姫】彼女と契りを交わすと一時的に多大なご利益を賜ることが出来る。しかし、ある時、現【さよ姫】である、わこは情交中に客を死なせてしまい、それが3人も続くと【凶兆のさよ姫】と呼ばれるように。しかし、政敵を始末したい等、凶兆にも使い道はある。依然として飼い殺しにされていたわこは上得意客である九重忠一の手によって足抜けし、彼の別邸にて匿われていた。だが、忠一は心不全で急死。別邸と周辺の土地そして邸内の忠一の所蔵物は全て孫の千秋へと譲られた。遺品整理のために邸を訪れた千秋はそこで噂のわこと遭遇。他の親族たちは結構な金額やら資産価値のあるものを貰ってるのに、可愛がられていた千秋は辺鄙な田舎の別邸とか、気の毒に扱いされていたものの、千秋が欲していたのは正にそれだったので内心ほくそ笑んでいました。わこが一番の宝ではあるけれど、邸にある祖父の美術品コレクションはかなりの価値があるもの。だが、いざ出向いてみるとコレクションはほぼ空の状態。「希月」の目を逃れるために、隠し部屋にいることの多かったわこが処分させたとは考えにくい。なら、誰が勝手に美術品を持ち出した?読み進めていくと該当者は一人しかおらず、その人物は嫉妬からわこに毒を盛り続けると言う鬼女っぷり。もしや忠一が突然死したのも?とどんどん怖い方向に。そんな中、千秋とその愛犬・ミコによって人間らしい感情を持ち始めるわこ。徐々に明かされる【さよ姫】の真実。やがて彼らに魔の手が迫り・・・。クライマックスで真相が明かされてからというもの、とにかく千秋が奮闘。おまけに九重の家に産まれながらイマイチ出来の悪い叔父の勇さんが思ったより活躍してて驚きました。正直ただのモブキャラかと(^_^;)(ごめんね、勇さん)あと、グレートピレニーズのミコがもふもふの癒しで、頭もいいから作品中でもかなり出張ってた印象。例の人物のせいで命の危機に陥ってたけど、処置は間に合ったんですよね?その辺りの説明が無くて、心配になっちゃった。でも挿絵師さまのイラストにて千秋×わこ&ミコの平和な一コマが描かれてたから無事だったと思いたい。なので、心情的に多少は同情できる面はあれど、あんな可愛くて利口なミコちゃんをひどい目に合わせた犯人は許せない。伝説と言うか呪いの真実については割と分かり易いので読んでるとすぐにピンとくるかと。評価:★★★★★
2023.04.13
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2022年12月刊オパール文庫著者:兎山もなかさん父の復讐のため、男装してライバル会社社長・穂高の秘書になった侑美。悪人だと思っていた穂高は意外に気さくでイイ男。気づけば好きになっていて…。でも今の自分は“男”。すると、ゲイだという彼に迫られて濃厚なキスと愛撫に感じてしまう。「篠崎の身体を見てみたい」繋がりたいのに、女だとバレたら一巻の終わり。前代未聞、ケダモノ社長×男装ヒロインの濃密愛! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 小木曽侑美=父の念願である復讐を遂げるため、名前と性別を偽り穂高の秘書 になる。 鳳穂高=大手ITベンチャー企業・フェニクシアの社長。 桐生秀爾=侑美の父の片腕。現在はフェニクシアの人事部長。男装ものです。侑美は大手飲料メーカーの秘書課に勤める会社員。産まれてすぐに母を亡くした彼女は父と、その片腕である桐生によって育てられた。聊かファザコン傾向にある侑美は、幼いころから父からとある企業とその社長への恨み言を聞かされ続け、今ではすっかり復讐を遂げることが彼女の願いとなっていた。父から復讐相手である会社・フェニクシアの会長の息子で社長の鳳穂高に近づき、篭絡しスキャンダルをでっちあげ失脚させろと命令されている侑美。そんな彼女を痛々しい目で見ていた桐生が言うには丁度、つい先日穂高の秘書が辞めたばかりで、募集をかける段階らしい。潜り込むには絶好のチャンス。内情を探るため、大分前からフェニクシアの人事部長として働く桐生なら、侑美を合格させるのは容易い。だが桐生の話では穂高は女嫌いだそうで、彼女が色仕掛けをしても靡かない可能性が高いとのこと。そこで彼から提案されたのは、侑美が男装すると言うもの。そして、自分の目で真実を見て来なさいと告げた。幸い、侑美は女性にしては高身長で顔も中性的。声も低い。おかげで同性にモテた。補正下着などで工夫すれば男に見えるだろう。会社を辞めた後、フェニクシアの採用試験を受けて無事クリア。秘書として侑美は篠崎侑李と名を変え、社長秘書になった。しかし、穂高は優秀過ぎる上になにもかも一人でこなさないと気が済まない、厄介な性分だった。本当は秘書も必要ないんだとまで言われてムっと来て思わず言い返したら、これが思いの外、穂高に気に入られる結果に。しかもセクハラまがいのことまでされてギョッとしたが、何のことはない、実はゲイなんだと告げられて納得。成程、女嫌いの理由は分かった。28年前、父の会社からデータを盗み出させて大成した鳳会長の不正を暴くため証拠集めをするつもりだったが、穂高がゲイなら当初の作戦である色仕掛けが使えるではないか。侑美は思わせぶりな態度を取り続け、ついには恋人になるのを承諾。さすがに脱がされたら女だとバレるので、誘われても拒否して焦らしていたのだが、その為人を知るうちに段々と穂高に惹かれて行く侑美。だが、実はゲイと言うのは大嘘で、穂高には最初からこの計画が耳に入っており・・・。いくら、中性的な容姿とはいえ、性別を偽るのは絶対に無理がある。単に男勝りで普段から男の格好してる系のTL小説もまぁあるにはあるんですけど、現代ものではやっぱりとんでも設定ですよねぇ。あの如何にも出来る男の桐生さんにしてはよく提案したな、この作戦。と思いきや、当然、穂高に前もってバラしてたのは、勿論この人。洗脳に近かった侑美に真実を見せるためでした。元の不正事件そのものが、鳳側には全く非は無く、侑美の父の元部下が勝手にデータを手土産にして持ち込んだと言うオチ。鳳会長はその行為に激怒して、その人物を追い出していて、後の大成は氏の実力によるもの。桐生は早々にそれに気づき、侑美の父の暴走を止めるべく長らく根回しをしていたと言う。真実を教えたとて、侑美の父は納得しない。それどころか娘を使ってハニトラを仕掛けようなど許せるはずも無くという親心。全く、どっちが本当の父親なんだか。親に認められたい気持ちを利用されたと思い知った侑美は父に別れを告げ、女に戻り、両想いとなった穂高と婚約して終わり。桐生さんがこの先ずっと、侑美の父を監視する役目を担っていくのが何とも切ないですが、とは言え、侑美の誤解が解けて何より。個人的に、穂高より桐生さんの方が好み。評価:★★★★☆サクサク展開が進むのでサラっと読みたい方におススメ。
2023.02.15
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2020年5月刊オパール文庫著者:蒼磨奏さん「俺のこと、身体が覚えているだろ?」記憶にはないけれど恋人を名乗る御曹司・漣に服を脱がされ、むき出しになった肌を強く吸われる。知らないはずの快感が全身を走り、恥ずかしいのにもっと強く求めてしまう。激しく抱かれ愛を囁かれると、なくしたはずの想いがあふれていきー。やがてすべての記憶が戻ったとき、隠された真実が明らかに!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 月城伊織=商社勤務の会社員。事故に遭い記憶喪失となる。 鏑木漣=大手商社の御曹司で伊織の元カレ。 月城美香=伊織の姉。 鏑木梨央=漣の妹。伊織にはつい先日まで恋人がいた。本当に好きな人だったけれど、色々不安要素が重なって別れを選んだ。だが、いまや元カレとなった漣が連絡を寄越し、どうしても話がしたいと言う。気は進まないが、必ず来て欲しいと念押しされているので渋々承諾。待ち合わせ先のカフェへ向かった伊織は、店の窓から見える席にて漣と姉の美香が楽しそうに話している様を見てその場を立ち去った。実は、別れを決意する少し前、漣の妹・梨央に彼の本命は美香の方だと聞かされており、やっぱり二人はとショックを受けた伊織は不運なことに信号無視して突っ込んで来た乗用車に撥ねられてしまったのだった。目を覚ますと、傍には見知らぬ男性が付き添っていた。随分とカッコイイ人だけど誰だろう。外傷自体は大したことがなかったものの、どうやら頭を打ったらしい。伊織は記憶障害を起こしていた。幸い、自分の名前や常識的なことは判る、だが、仕事関連やその他の人間関係についてはまるで思い出せない。担当医が言うには症状は一時的なものかもしれないし長引くかもしれないので、焦らないこととのこと。精神的ストレスが一番良くないらしい。数日の入院だけで一先ず自宅療養で良いそうだが、両親は長年海外に住んでいて実家が無い。さっきまで付き添ってくれていた伊織の婚約者と名乗る鏑木漣が、自分のマンションで面倒を見ると言う。伊織自身、こんな恋人がいたことに内心驚きだったが、結婚間近で同棲もしていたと聞くときっとそうなのだろう。大手商社の営業らしい彼は仕事の方も忙しいのではとも思ったが、姉の美香も承諾していたので、彼の世話になることを決めた。連れられてやって来た漣の部屋は確かに色々見覚えがあるような。仕事は出来ても生活能力は低いと言う漣のために伊織が家事を引き受けていたのだそうだ。厄介になる代わりに引き続き家事を買って出ると、家のことをこなしつつ散歩等で一日を過ごした。漣は何かと彼女を気づかい、伊織が以前欲しがっていたと言う子犬迄もらってきてくれて、今では良い散歩仲間となっている。そうしてゆっくり過ごすうち、徐々にだが記憶も戻って来た。医師からも良い傾向だと言われ、漣に話すと喜んではくれたがどこか不安げでそれがどうにも気になる。彼には言えていないが、思い出した記憶の中で漣に随分と辛らつな態度を取られており、伊織は傷付いていた。そのことを悔やんでいるのかもしれない。あともう一押しあれば、全てを思い出せそうな気がする。それは良い事ばかりではないかもしれないけれど。そんなある日、マンションに漣の妹・梨央が訪ねて来て、彼と姉との仲を話し出し・・・。二人が破局したのも、伊織の勘違いからで、そうと思い込ませたのが根深い姉へのコンプレックスと交際中の漣の素っ気ない態度でした。このお姉ちゃんが顔良し性格良しで、それはもう幼いころからそんな姉に比べられてきた伊織は複雑な心境を抱えていたわけです。そんな姉の紹介で知り合ったのが漣。大学の同級生で友人とは言われたが、彼もきっと最初は姉に好意を寄せていたに違いない。そんな疑念が心の片隅にはあったものの、漣と伊織は交際をスタート。でも、立ち塞がるのは彼の家族。幸い父親の方はウエルカムな感じだったけど、母と妹は伊織が気に入らず冷たい態度。加えて、美香の方なら文句は無かったのに的な事を言われれば心も折れそうにもなる。なのにその頃、漣は仕事関連が大変な時期で恋人のご機嫌取りまでしてられる状態ではなかった。まるで体の良いセフレ兼家政婦みたいな扱いに傷付き追い詰められていたころ、あの妹の言葉で止めを刺されたって経緯。漣も心に余裕が無かったと猛省し、彼女が記憶障害を起こしたを幸いに寄りを戻すことを画策。プロポーズするチャンスを伺ってました。でも、梨央の余計な忠告と言う名の嫌がらせのせいで伊織が記憶を取り戻しておじゃん。再び漣はフラれる羽目に。とはいえ、美香との関係も勿論ただの友人で、そんな気も更々なかったのでそこは気の毒。誤解の決定打となったカフェでのことは単にプロポーズの相談に乗ってもらってたってオチ。そもそも、美香さんにも婚約者がいますしね。でもまぁ、あの回想シーンでの態度は良くないよ。傍から読んでても腹立つくらいに頂けない。でも、誤解も解けて最後は復縁しハッピーエンドで終わっています。終盤の義母と義妹の心変わり後の伊織とのやり取りも可愛かったし、根は悪い人達ではないようなのは良かったかも。評価:★★★★☆ヒロインは頑張ってたよ、うん。
2023.01.28
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2021年11月刊オパール文庫著者:玉紀直さん「俺の子を産むのが条件だ」職を失い不運続きな志保。信一に救われて衣食住の面倒をみてもらうことに。抱かれる覚悟をしていたのに、なぜか優しく世話を焼かれー。冷たそうに見えて、実は温かい。彼の本質を知るほどに心奪われる。「ずっと我慢していた。抱いていいか?」熱杭を穿たれ、全身に満ちる喜悦に恍惚となって。エリート弁護士との契約から始まる、幸せな恋! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 孤杉志保=養護施設出身の孤児。差別の末に職場をクビになり自暴自棄で自殺し かけた所を信一に救われる 田島信一=法曹一家のサラブレッドで無敗の弁護士。 上松高俊=捜査一係の刑事。 高橋碧=田島法律事務所に勤めるパラリーガル。 高本博=志保がいた施設の副園長。一度ハマると既刊も揃えずにはいられなくて(^_^;)ネタ切れ防止も兼ねて少し発売日が前のお話のネタバレ感想がちょこちょこ合間に入ると思います。孤杉志保は赤ん坊の頃、養護施設の前に捨てられていたと言う。そのまま施設に引き取られた彼女は高校卒業後独り立ちをした。しかし、世間の目は厳しい。未だに施設出身と言うことで謂れのない差別を受けセクハラやパワハラは日常茶飯事。今日も社長からセクハラを受け抵抗したら運悪く手が当たってビンタをかました形となり、逆切れした社長にクビになってしまった。このような理不尽で職を失ったのは今回が初めてではない。だが、昼食も食べそびれた上に解雇理由からして給料は貰えないかもしれない。この手のトラブルで無職になるから家賃も滞りがちで、大家からは次払えないなら追い出すと言われている。精神的に追い詰められ歩道橋の欄干に手を掛けて随分立つ。自分が死んでも悲しむ人はいない、ついにそこから飛び降りようとした瞬間、落ちかかっていた志保を後ろから一人の青年が抱き留めた見るからに理知的で眼鏡をかけた青年は彼女を叱り、のっぴきならない事情があると察したのか、腹が減っているから禄でもない事を考えるのだと、自分用の夕食だと言うコンビニのおにぎりを二つ食べさせてくれた。現金なもので確かに腹がくちたら不思議とただ死にたいという漠然とした気持ちは消えていた。彼は田島信一と名乗り、職業は弁護士だと告げた。落ち着いた志保から事情を聞いた彼は、不当な扱いを受けたのだから社長を訴えることも出来ると話し、何を思ったのか彼女にある契約を持ち掛けた。自分の子供を産んでくれないかと。突拍子のない申し出に戸惑ったが、報酬として衣食住の面倒は見てくれるし、新しい職も世話をすると言う。子供を産んでからは自由。諸々要相談で悪いようにはしないとのこと。どうやら彼は30歳も過ぎ、周囲から結婚を急かされ嫌気がさしていたのだそうだ。結婚にも恋愛にも今のところ興味がないが、自分のDNAを受け継ぐ子供は欲しいから協力を仰ぎたい。契約内容を話しながらもこのバカげた提案もそもそも彼女を死なせないためのものだ。現状どうこうするつもりは無い。真面目そうな子ではあるし、妊娠となると相応の時間もかかる上に生活に不安がなくなれば死にたいなどと言う考えも抱かなくなるだろう。過分なお節介な自覚はあるが信一はクールな外見ながら捨て犬や捨て猫の類も放って置けない性分であった。二人が運命の出会いを果たしていた頃、志保が育った施設・幸星園にてある凶悪な事件が起きた。園長の高本昭雄が殺害されたのである。しかも、その遺体が発見されたのは殺害から10日以上経ってから。刃物でメッタ刺しなことから怨恨か。犯人が返り血よけの為に着たと思われるアウトドアジャケットが脱ぎ捨てられていて、裾の裏面にはシホと名前が記されていた。そんなことは露知らず、信一のマンションに同居することになった志保は、加えて新しい職も得た。信一の父が経営する弁護士事務所の事務員兼雑用だ。優秀な人材揃いのここは、皆気さくで優しく、誰も志保を差別しない。憶えることも多いが、パラリーガルの碧が仕事を教えてくれて何とかやっている。信一の部屋で厄介になってもう2週間近くも経つが、子作りどうこう言ってた割に色っぽい展開にはなっておらず、生活を共にしているだけ。とはいえ、碧や他の弁護士たちが言うには信一がこれほど優しく接する人間は珍しいらしい。ある日、上松と言う刑事が相棒を伴い事務所を訪れた。志保に高野園長の殺害容疑がかかっているとのこと。実は、施設にいる頃、志保は一人だけ園長に特別扱いされており園内ではただならぬ関係と噂されていた。独り立ち後も関係を迫られ殺害したのではとの見立てのようだが、依怙贔屓されていた自覚はあるものの決してそんなやましい関係ではないし、かれこれ2年は会っていない。上松も飽く迄容疑者の一人として接しただけなので、信一の介入により彼女のアリバイは証明されたことで一応の疑いは晴れた。証拠品の名前入りのコートも、持ち出さずにお下がりとして園に残る子に譲っている可能性もあるのだから。幸星園には児童虐待の嫌疑がかかっていることを上松たちが帰った後、信一から聞かされた志保。園は養護施設だけでなく更生施設も担っており、所謂問題児とされる未成年たちも多く暮らしている。そこで躾と称し、園長の息子の博が年頃の少女に性的虐待を加えていたと、その少女たちの里親となった農場主が事情を聞いて事務所に相談に来たのだとか。当然、志保も虐待については知っている。そのせいでストレスから自殺未遂を繰り返す子もおり、いつ自分も目を付けられるかと思うと気が休まらなかった。幸い志保は園長のおかげで難を逃れていたが内心罪悪感で一杯だった。信一に園長との仲を邪推されはしたものの、結局それが嫉妬心に繋がり信一は好ましく思っていた志保と深い関係に。どちらにしろ、志保の為にもあの施設の闇は暴いてやらなければ。調査していくうちに、真犯人の正体、志保の実の親のことも判明し・・・。ミステリー風でどんどん引き込まれる内容でした。園長の意図やそれに付随する事情など、そういうことだったのねと。諸悪の根源はまぁ息子の副園長なんですけど、こいつはマジでクソのクソ(口が悪くてすみません)。今まで被害に遭ってた子達の傷が癒えるのは時間がかかるだろうけど、そこは志保と信一も尽力すると思うので、希望の持てるラストだったと思います。結局、信一が志保に落ちるのも早かったなー。なんだかんだ言っててもぶっちゃけ一目惚れだったんじゃないの?事務所のメンバーも碧さん始め良い人達ばかりだったし、こういう職場憧れます。施設出で差別とか、今だったらバッシング対象なのではと思ってたら、後書きで作家さんが言うには、時代背景が今から30年くらい前なのだそうです。とすると1990年代辺り、なるほど20世紀か。別作品のサブキャラの両親のお話と聞いて納得。その本持ってたっけかな。無ければamazonで注文しなきゃ。評価:★★★★★ヒロインが健気で可愛い
2023.01.10
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