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王女ルイーズの初恋は亡き叔母の夫で二十一歳上のウィレム王太子。幼い頃、まるで夢から出てきた理想の王子様に初恋と失恋を同時に体験した。この淡い恋心を大切にし日々を過ごしてきたが、ある日突然ウィレムとの縁談話が持ち上がる。政略結婚でも嬉しいと思う反面、彼は今でも叔母を想い続けているとの噂が。胸が締め付けられ不安になる中「私たちは夫婦なのだから」ウィレムの誠実な言葉と甘い快楽がルイーズを包み込んでいく。だが安心したのも束の間、叔母の死の真相や王家の陰謀が二人に降りかかってきてーー。大人なスパダリ国王様×純粋無垢なお姫様の年の差ロマンティックラブ!
↑楽天ブックスより、あらすじ引用
登場人物
ルイーズ=初恋の人の元に後妻として嫁いだ王女。
ウィレム=アランメリア王国国王。ルイーズを後妻として迎え入れる。
エレン=故人。ルイーズの叔母でウィレムの妃だった。
デボラ=エレンの元侍女。
ハミルトン=ウィレムの弟で公爵。
とはいえ、当時の彼女は6歳で、ウィレムは27歳。
21歳の歳の差はあまりのも大きい。しかも彼は叔母と結婚してしまったので、ほんの短い間に失恋と相成ったのだが、あれから8年経ってもふいにあの日のことを思い出す。
それから少し経ったある日、エレンの訃報が届いてベリアード王宮は騒然。
少し前から叔母は体調を崩し離宮で静養していたそうなのだが、先日容体が悪化。回復することなくそのまま亡くなったとのこと。
慕っていた叔母の死にルイーズはショックを受け、アランメリアで執り行われた葬儀にも出席した。8年ぶりに会ったウィレムは歳を重ねたせいで一層色気が増していたが、かなり憔悴しているようだ。叔母との間には子は出来なかったものの、随分仲睦まじい夫婦だったと聞くのでその心痛はいかばかりか。
だが、エレンの喪が明けルイーズが15歳になったある日、彼女にウィレムとの縁談話が持ち上がったのでルイーズは複雑な心境に。
高々1年で後妻を迎えろなんて無神経すぎる。本音としては初恋の人に嫁げるのは嬉しいけれど、ウィレムの気持ちを思うと手放しには喜べない。
それに、案の定彼の方から丁重な断りの手紙が来たのでガッカリしつつもホッともしていた。
しかし、どうしたことかあれからあちこちでウィレムに遭遇している。
母が腰を痛め療養について来れば、彼も休暇に来たのだと1週間ほど行動を共にしたし、少しして父の即位20年の祝賀にも彼自ら直々に来訪したりと。
そんな折、再びウィレムとルイーズとの婚姻話が持ち上がり、どうやら今度ばかりは決定らしい。何かと争いが絶えない隣国・デュセーリア国の王女が嫁ぐという噂もあったが、あちらに力を付けられては困ると、焦ったベリアード側がゴリ押したと聞く。
だがアランメリアの方もウィレムに子がいないので周囲がせっついたのとエレンが亡くなって4年も経っていることもあり、彼も悩んだ末にどうせならルイーズを娶りたいと言うことで同意に至ったようだ。
この時、ルイーズは18歳、ウィレムは39歳になっていた。
二人の結婚はアランメリア王国の民たちにも歓迎され、始まった夫婦生活は穏やかに過ぎて行った。後妻の座を狙っていたというボーバン伯爵令嬢に恨まれ、聞こえよがしな陰口を叩かれたり嫌な思いもしたが、一々気に掛けない様努めた。
陰口が耳に入ったらしい侯爵夫人からもただの僻みだから相手にしないに限るとアドバイスも受けたけれど、ああいう害ある言葉は地味に傷付く。
ウィレムとの仲も上手く行っているとは思う。若い嫁なので世継ぎを望まれているのは判るが、嫁いで8年も授からなかった叔母はプレッシャーも一入だったに違いない。
そんな頃、ウィレムの元にある医師からの報告が届き、エレンの死因がヒ素中毒によるものだったと判り彼は愕然。療養中にエレンが住んでいたプチロワイヤル宮の壁紙に使われていた塗料にアセト亜ヒ酸銅が含まれていたようだが、あくまで微量なのでそのままなら人畜無害のものだった。しかし、その近くでカビが発生するとそれが化学反応を起こしヒ素毒となる。いくらなんでも王妃が住む宮でカビが生えるような掃除はしていないはずだし、専門家が見ればすぐバレる。何者かが故意にエレンの寝室にカビを持ち込んで毒素を発生させ、後に証拠隠滅を図ったのではとウィレムは思い立ち、早急にプチロワイヤル宮の封鎖を命じた。
取り壊すのが一番良いのだが、エレンお気に入りの宮だったことは周知のことなので世論を慮り、表向きは霊廟にすると発表。一旦封鎖して壁紙と塗料の撤去をすることになったのだが、この霊廟発言が思いもよらぬ波紋を呼び・・・。
ウィレムの前妻が謀略により亡くなった事が判明し、ルイーズを守るためにもと即行動に移したは良いが、いくら大好きな叔母とはいえ前妻の霊廟を作るとかルイーズの気分も良くない。
そんなに叔母が愛した宮なら一度でいいから入ってみたいと頼むも、まだ毒素があるかもなのでそんなところに行かせられないと拒否してしまったウィレム。
おかげで夫婦仲にも亀裂が。
この件に関しては普通にルイーズに打ち明けても良かったんじゃないかと思います。
そもそもエレンとウィレムの結婚に反対する者たちがいるとか、ルイーズだってショックを受けるだろうけど一国の王女なんだから理解できるはず。
世論もあるから取り壊しも出来ないんだけど、工事が済むまで待ってて、と言えば済む話だったんですよねぇ。ルイーズは所詮叔母の身代わりと思い込んでるし、その頃から今度は彼女が狙われ怪我することが増え、いよいよ追い詰められたウィレムは心配のあまりルイーズを罪を犯した王族を監禁するために作られた塔に閉じ込めると言う暴挙に。
実のところ、ウィレムはこの若い奥さんにベタ惚れだったのです。
エレンとは飽く迄政略結婚で結ばれた同志みたいな関係での結婚生活だったというのが彼のモノローグで語られてました。
ルイーズのことは15歳になった彼女を見てあまりの美しさに一目惚れ、でも歳の差を気にして一旦縁談を辞退したものの、療養先まで追いかけ式典にも参加するくらいには諦めがつかなかった。その後、ルイーズに縁談が次々舞い込んでいるのを知り、彼女ももう18歳。なんとか行けるかと婚姻に承諾したのでした。さすがに21歳差となると年上側も色々葛藤するんですね。
事件の首謀者については特に捻りもなく。息子に王位をと焦っていたハミルトンとデュセーリアの間諜だった侍女のデボラによるものと判明。
解決に伴い、自分の本心と諸々の事情を話したことで二人は仲直り。ルイーズが懐妊したのかも?な所で終わっています。
元は今はもう無いレーベルで発売された文庫本をロイヤルキスで電子書籍化したお話だそうです。2015年というから本当に王道も王道の貴族TLって感じの内容でした。
イラストのCielさんの絵も2021年にしては、だったので巻末の注意書きを読んで納得。
評価:★★★★☆
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