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去るX月XX日、日頃旅行ネタや鉄道ネタでお世話になっているS氏の尽力により、星組福岡公演「バレンシアの熱い花」の観劇が実現した。福岡公演のお誘いは何かと有難い。宝塚の観劇だけでなく、鹿児島から博多に出る!と云う出来事自体が嬉しいからだ。九州新幹線に乗れるだけでも嬉しい。だから敢えて800系の「つばめ」に乗って、出来るだけ長く時間を掛けて行きたいと云う心境は、或る人にとっては全く理解出来ない事象かも知れない。観劇の前日は好天に恵まれたので、福岡市内で西鉄バスに乗りまくる一日でありました。此のネタについては→こちらから。そして本日の福岡市内も快晴!天気が良いので、地下鉄ではなく西鉄バスに乗って天神へ向かうのであります。やって来た西鉄バスは、何とメルセデス・ベンツ!天神に到着し、岩田屋などを散策する。前回、岩田屋のパーラーでワッフルを食したことが思い出される。今回は、残念ながら開演時間が早いので喫茶店に行くほどの時間的余裕が無かった。相変わらず風情のかけらも無い福岡市民会館。ロビーの混雑も相変わらずだ。みんな何に群がっているのかと思ったら、宝塚音楽学校のパンフレット。取り敢えずみんな記念にもらっているから、拙者も記念に一枚もらっておいたが、あまり意味の無い人間がもらったところで紙と印刷代の無駄になっただけじゃないかと反省。S氏と合流し、早速メルセデス・ベンツの西鉄バスの件で盛り上がっているうちに公演がスタート。ヴァレンシアの・・・と云うお題のとおり、舞台はイスパニアですがな。となると、フラメンコが必須となる訳です。日本舞踊もタンゴもバレエも何だって出来るのがタカラジェンヌ様。そらフラメンコだって当たり前のように出来る訳ですよ。殺陣も見事だったが、見ている方がヒヤヒヤさせられました。準備をいただいた皆様に改めて感謝終演後、観劇にあたり手配をして下さった方を交えて懇親会であります。ご参加の皆様、拙書「相生橋にて」等をお読みいただいたので御礼を申し上げておく。其の後は、例の西鉄バスの話で再び盛り上がっただけでなく、新装オープンとなった宝塚ホテルのネタでも盛り上がった。こうなったら、やはり宝塚まで遠征して、終演後は宝塚ホテルに宿泊するしかない!と云う結論に至ったが、拙者だったら鹿児島中央から新神戸まで、N700系の弐列シートの座り心地を確かめながら旅をしたいものだと妄想を膨らませる。わざわざ時間を掛けて旅をしようとする、気の長い人間らしい。解散後、本当に時間的に遅くなってしまったので、鹿児島中央まで寄り道することなく、大人しく九州新幹線で帰ることになった。鹿児島生活も何時まで続けていられるか分からない。N700系弐列シートの乗り心地をしっかり味わっておくとしよう。「博多がよい」を頂きました!本当に感謝しかありません。
2023.10.22
去るX月XX日、日頃旅行ネタや鉄道ネタでお世話になっているS氏の尽力により、宝塚歌劇月組:福岡公演の観劇が実現した。拙者が住む鹿児島から、もちろん九州新幹線で向かうのだが、開演が13:00と早いため、去年のように出水から肥薩オレンジ鉄道に乗ったり熊本でくまもん電車に乗ったりするような危険な賭けは無理である。大人しく新幹線で直接向かうことになった。S氏におかれては、拙書「相生橋にて」の読者になっていただいた為、続編の「誰かが見た結末」をお届けすることにした。朝靄が次第に晴れる肥薩の田園風景を眺めながら、時々自分の拙い文章を乱読しつつ時は過ぎる。博多ステイションに着くと、其処は素晴らしいまでの快晴であります。室内の観劇なので空が晴れているのは非常に勿体ない。博多阪急開店と同時に入店したら、館内は「すみれの花咲くころ」のBGMが流れ、早くもテンションはMAXであります。此処で嫁さんと暫く別行動。実はアミュプラザ内のポポンデッタで大事な用事がある。次回作「サキ子への伝言」の表紙に使う旧東ドイツVT18型気動車の写真撮影をしておくのだ。要は拙者の鉄道模型ですよ。何故旧東ドイツなのか?此のクラシカルな車両が登場する意味は?まぁ其れは読んでのお楽しみであります。全て完成するのはまーだ先の話であります。公演会場は福岡市民会館博多から天神へ移動。地下鉄を待っていると、ホームに流れて来るBGMに我が耳を疑った。何と!ショパン:ピアノ協奏曲第壱番第弐楽章ではないですか!福岡市営地下鉄さん、なかなか高尚なセンスをお持ちであります。もちろん、列車が入って来たら轟音に次ぐ轟音のシンフォニーなのだが。すみれの花にショパンのピアノ協奏曲~テンションは高まる一方だ。天神へ着いて、早目の昼食は岩田屋のパーラーで。其処で食べたワッフルと濃厚プリンは絶品であります。恐らく生涯忘れることはない光景を目に焼き付ける。さて、福岡市民会館は全くの初めてで、なーるほどこんな所かと特段感激もしなかったが、館内に入って御婦人の化粧室に並ぶ列の長さに早くも言葉を失った。宝塚公演で必ず起きる光景らしいのだが、それにしても長蛇の列である。手塚治虫記念館は宝塚市営S氏と合流し、是までの旅の成果などを確かめ合い、そうこうしているうちに公演がスタート!そう、原作は手塚治虫先生ですよ。そもそも先生が大の宝塚のファンでいらした。ブラックジャック連載50年を記念した公演とのことで、もうそんな昔の作品になってしまったとは、時代の流れを感じさせる。手塚治虫先生と云えば、終戦直後、阪急百貨店に灯った大食堂のシャンデリアに「生き延びた故の歓喜」を爆発させたエピソードが忘れられない。 梅乃美月様、歌唱力凄かったなー、ジェンヌ様だから当たり前田のクラッカーか。月城かなと様、相変わらず完璧な男装で、ぜひ「フリューゲル・君が呉れた翼」の国家人民軍将校のお姿を拝見したくて堪らない!公演の締めくくりは、福岡県出身のジェンヌ様自己紹介でやんややんやの喝采で幕となった。終演後、我々は博多市内で水炊きなどを食して博多駅のイルミネーションを見て解散!帰りの新幹線は、指定席も自由席も全部グリーン車並みの800系であります。無事、鹿児島は天文館に到着!
2023.09.10
所用で大阪へ行った時のこと。阪急梅田駅までの動く歩道のところで、思わず「?」と目を引いたのが宝塚の看板。ジェンヌ様がお召しになっている制服は、ヒトラー時代のドイツ空軍を彷彿とさせた。フリューゲル~君がくれた翼~と題してあったので、ルフトヴァッフェの戦闘機乗りの話かと思ったのだ。拙者は鹿児島在住~大劇場は遠すぎるので、福岡公演以外は観劇も諦めていた。だから興味も敢えて持たぬようにしていたが、月城かなと様のドイツ軍将校が恰好良すぎたので、結局ホームページをチェックしてしまった。そしたら、物語はヒトラー時代では無い。旧東ドイツ時代なのだ!時は1988年、国家人民軍の広報担当ヨナス・ハインリッヒは、西独のスター、ナディア・シュナイダーを招聘したコンサートの責任者に任命され・・・と、ストーリーの概要を読んで本当に驚いた。国家人民軍と云うセリフが出て来るとはねぇ。実は拙者、国家人民軍の本物の軍服を持っています。ホームページで拝見する限り、梅乃美月様が被ってる軍帽の帽章がしょぼいので、何ならお貸し差し上げたいぐらいだ。国家人民軍の制服は、ナチス・ドイツ時代の制服に酷似しているのが大きな特徴であります。何故、拙者が国家人民軍の制服を所持しているのかと云うと、元々東ドイツヲタクで、東独崩壊時に国家人民軍も消滅することになり、制服を欲しい奴はみんな持ってけーと、投げ売り状態になったから買ったのである。国家人民軍の士官学校生徒諸君が卒業時にもらうスカーフなんかも持っています。東ドイツの特急列車の鉄道模型も持っています。此処まで来れば病気かも。しかも、拙者が書いている小説「核戦争三部作」のラストで、此の特急列車が登場することになっています。の画像は試作段階の表紙であります。「フリューゲル~君がくれた翼」では、ベルリンの壁崩壊へ向かう東ドイツ激動の日々が活写されることになるのだろう。自由と民主主義を求めて立ち上がった東ドイツ民衆の闘争の勝利を誇らしく演じ切ってもらいたいものだ。東独崩壊当時、ドレスデンのシュタージ(東独の秘密警察)へ赴任していたのは、何を隠そう若き日のプーチンであった。彼が味わった屈辱と敗北感は、次第に西側諸国に対する復讐心に変質していったのであろう。ウクライナ侵攻への一つの伏線であるに相違ない。
2023.07.11
実家の片付けを手伝っていて、ポロっと出て来たメモ帳に釘付けとなった。旧池田銀行から頂いたと思われるメモ帳である。懐かしい!大阪在住時代、池田銀行の営業マンが頻繁に家へ来ていた。後で母に聞いたら、特段用事も無いけど「お宅んちの珈琲が美味しかったから」と云うのが、訪問する最大の理由だったとか。何とも大らかな時代だが、拙者も彼が訪問するのは一つの愉しみだった。その時だけ、お客さん用の氷砂糖を珈琲に入れて呉れたからである。珈琲が大好きになったのも、あの時代の影響なのかも知れない。そして、約四十年ぶりに見つかったメモ帳を眺めていて、拙者は次第にある種の衝撃を覚えたのであった。池田銀行イメージガールは、代々タカラジェンヌを起用している。母が口座を持っていたのは、相模原へ引っ越す直前の昭和59年3月までの時代で、当時のイメージガールは北原遥子様が担当していた。宝塚の世界においても圧倒的な美貌を誇った伝説のジェンヌ様で、何と昭和60年8月に起きた日航機墜落事故の犠牲者となっているのだ。まさか、このお写真は彼女?色々な媒体で北原遥子様のお写真等を拝見した。少し尖った顎の特徴からして、このメモ帳のお写真は彼女とみて間違いないと思う。いゃー、是は凄いのが出て来たなと暫く興奮が冷めなかった。拙者も年齢を重ねて池田泉州銀行の預金者となり、しまいに「すみれの花定期預金」の抽選に当たって「皇妃エリザベート」の劇を見させていただくことが出来て、こうした貴重な経験をさせていただいたのも、当時の微かな記憶が自分の中に根付いていたことの伏線かも知れないと一人で納得していた。余談だが、長瀬産業の古い株券まで出て来た。とっくの昔に証券会社に預けているから、単なる観賞用ぐらいの意味しか無いが、株券の重みがグッと伝わる雰囲気。ちなみに長瀬の株は調子がいい。配当もいい。中共を「グレーターチャイナ」などと持ち上げて、やたらと重要視しているのが心配だけど。帰りの夜汽車にて、タカラヅカ、池田銀行、大阪在住時代の思い出、そして世紀末オーストリアの芸術、いろんな思いに浸りつつ、キオスクで買った珈琲とサンドイッチとドーナツを味わいながらゲミュートリッヒなひと時を過ごす。今日までの時代を作り上げた全ての人達に感謝を捧げながら。
2023.06.04
朝食会場は、ホテル内レストラン「アンサンブル」にて召し上がれ!大劇場の客席に似せた深紅のお椅子に腰掛け、武庫川の水面に反射する柔らかな朝日を感じながら、ゲミュートリッヒなひとときを味わったのであります。いいえ誤解のなきやう・・・是は弐階に展示してある、要は演劇で使用した小道具であります。よーく拝見いたしますと、コンビニのサンドイッチも細部に渡って作り込んである。こんなの弐階席から絶対に見える訳無いが、壱階席でオペラグラスを通して見たら案外見えてしまうかも。宝塚歌劇の妥協を許さない徹底ぶりはさすが。ザッハートルテやチキンは何だか嘘っぽいが、飾りつけの意匠がかわいらしい。是以外もジェンヌ様がお召しになったご衣裳の展示もある。やはり此のホテルは博物館的な愉しみ方も出来るのだ。館内のあちこちに、旧寶塚ホテルの展示があり、開業当時のポスターまで展示されている。阪神間モダニズム全盛の時代、紳士淑女の社交の場として重宝されたようだ。室内娯楽、屋外遊戯をまとめて「御清遊」と表現するところが時代を感じさせる。・宝塚ホテルのお写真はこちらでも(相模太郎ホームページ)確かにずっと此処で暮らしたくなる・・ホテル内のグッズショップ「アルモニー」が開店したので、鹿児島の皆さんへのお土産を物色する。当たり前田のクラッカーが売っているのが笑えた(意味分かります?)。やはり、直ぐにタカラヅカと分かるバラマキ用菓子が欲しかったから、High&Low公演記念のお菓子を購入。大劇場側の門も開いたから、場内のグッズショップも覗いてみると、High&Lowの場面を再現したと思われるミニチュアを発見!記念撮影スポットと化していた。本日は八月XX日の公演初日とあって、ファンの皆様方が早くからお出ましで、何だか殺気立った雰囲気。其れでは大劇場を後にして、出掛けることとする。今回の旅の第一目標はタイガース戦(大阪ドーム)の観戦だったので、タカラヅカの公演を観る予定は無かったのであります。宝塚大橋からの眺めは相変わらず素晴らしく、ずっと此処で暮らしたくなる。宝塚南口駅へ着くと、旧寶塚ホテル跡地は再開発の工事中であった。どうやらマンションが建つみたい。マルーンの色調も美しい阪急電車に乗って西宮北口へ。5000系のリニュアル車で、外観も内装もピカピカである。運転台を撤去して客室に魔改造したところが萌え~となってしまうのであります。本日は、今津まで進んで阪神電車に乗り換え、阪神なんば線を経由して奈良を目指す旅であります。続きはまた何時かの機会に・・・。宝塚ホテル★宝塚の街のシンボルとして地域の方に愛され続けている正統派クラシックホテル。~宝塚大劇場オフィシャルホテル~
2022.11.26
去る八月二五日、大阪ドームにて阪神-横浜戦を観戦後、勝利の美酒に酔いしれる暇も無いまま大急ぎで宝塚に向かった。人生初の、記念すべき宝塚ホテル宿泊なのである。ところが、大阪ドームから宝塚まで意外と遠い。長堀鶴見緑地線→御堂筋線→梅田で
2022.11.19
去る令和参年十月X日、博多座にて宝塚月組公演『川霧の橋』の観劇が実現することになった。拙者は博多座へ行ったこともないので、何もかも初めての経験であった。元大宰府長官A氏と、太宰府時代のお知り合いB氏と共に、大変充実した時間を過ごさせていただく。B氏は何と!タカラヅカ・スカイステージを契約していらっしゃる。前もって「リクエストあればDVDに焼いときます」との有難いお言葉を頂いたので、こう云う時こそきちんとリクエストした方がいいと思い、スカイステージの番組表をじっくり見させて頂いた。ふと目に留まったのは、昭和63年星組公演「トルストイ原作:戦争と平和」~日向薫、南風まい出演~是は絶対見たい!トルストイの戦争と平和ですよ。超々大作!早速、A氏を通してリクエストをさせていただきました!さて令和参年十月X日~開演16時、現地集合一時間前とのことなので、薩摩藩内からでもゆっくり行けるんだけど、此処は敢えて「肥薩オレンジ鉄道を経由して八時間掛けて」ゆっくり博多まで向かいました。何故か熊本電鉄のくまもん電車とか乗り継いで、一体どんだけ寄り道してるんだと云うほど寄り道しましたので、その時の様子は→こちらからどうそおれんじ食堂に乗車(出水→八代)ようやく博多座へ着いて、かなりクタクタ(笑)。博多座の写真は、地下鉄ホームであらかじめ撮っておいた。館内に入ると、もう密とか云うレベルじゃないほど密で、写真とか呑気に撮っていられない。劇場内へ入ると、一つの或ることに気が付いた。そうか、大劇場のようにオーケストラピットが無いんだよね。と云うことは銀橋も無いので、少し違和感があったけど、地方公演独特の味を堪能させていただきました。ちなみに、ストーリーは全然予習して来なかった。江戸時代の町人物だし、深刻さがあまり無いから油断していたら、ストーリーが結構難しい(笑)。お芝居が終わってショーの直前、撮影OK時間に嫁さんが撮った画像。もちろんショーで大階段は出て来るけど、銀橋が無いと立体感に欠けるのは否めないな。それでも此の通り、大盛況で幕となった。観劇も終わって、B氏お勧めの店でもつ鍋を食べる。博多と云えば、やっぱりもつ鍋でしょう。ここで、拙者が先ほど掲示したレゴブロックの画像の話になった。もう四年くらい前に阪急三番街で展示してあったレゴブロックの大劇場である。これらの写真で大いに盛り上がった。まさか、このネタで盛り上がるとは思わなかった。ちなみに、拙者が書いている小説では、宝塚の場面が出て来ることもあって、ネタを披露させて頂いたところ、B氏に読んでいただくことになりました!ありがとうございました!拙書「相生橋にて」さて、多くのものを持ち帰ることが出来た今回の観劇会、B氏から頂いた「トルストイ:戦争と平和」を後で観させていただいた。アンドレイとナターシャの恋バナを中心としたストーリー展開で、主な場面はオードリー・ヘップバーンの洋画とほぼ同じだった。まるで映画を再現したかのようで、舞台演出の巧みさに舌を巻く。しかも、三十年以上前とあって、オーケストラピットの演奏は、如何にもクラシック・オーケストラの雰囲気が色濃い。男役の軍服姿も見事だし、娘役の華麗な衣装も素晴らしい。実は、「川霧の橋」よりよっぽど盛り上がってしまったのは趣味の問題と云えようか。
2022.01.16
大東亜戦争末期、夢の殿堂・宝塚大劇場は閉鎖され、海軍に接収された。ヅカファンの皆様方も、其のくらいは話で聞いたことがあるかも知れぬ。戦時中最後の公演となった「翼の決戦」では、閉鎖を惜しむファンの長い列が宝塚大橋まで延々と続いたそうだ。拙者が愛読している日本史便覧にも載っている。さて、閉鎖した後の宝塚大劇場では、一体どのようなことが起きていたのか、其れを詳細に綴ったのが「宝塚海軍航空隊」なのである。海軍航空隊と云えども、本書では空母はおろか、ゼロ戦すら出て来ない。宝塚には元々港も飛行場も無いのだから無理もないが。海軍当局は、此の大劇場を基地ではなく、教育機関として使った。集まったのは予科連=ある程度の学校を出た少年で飛行機乗りになりたい奴は集まれ!と煽られて志願した兵士達である。乙女達の夢の殿堂は、ある日を境に野郎だらけの汗臭い世界に一変したのである。図書館で見つけた超年季入った本毒毛虫め!覚えておれ!・・・私的制裁を繰り返すサディスティックな班長をハメようと結託する練習生、班長の腰巾着のような指導練習生を転隊直前にボコボコにリンチする練習生、是まで痛めつけられた鬱憤晴らしに後輩を殴り倒す練習生、予科連の日常は苛烈である。殴られても蹴られても、海軍に入って七つボタンを着たい!あわよくば士官に出世したい!そんな血気盛んな若者達が何百人も集まるのだから、そりゃろくな事が起きやしないが、本書では相次ぐ事件や揉め事を克明に描いて行く。もちろん、指導する側の下士官や将校の人間描写もリアルだ。下士官の日常生活ぶりから、当時の宝塚の街並みや、池田や新開地の遊郭の様子なんかも良く分かった。阪急社員をまんまと騙した俗悪な分隊長、彼に対してささやかな抵抗を試みるタカラジェンヌの挿話も、なかなか真に迫るものがあった。彼女は、分隊長に楯突いたことで死地へ赴くことになった学徒出身士官との茶席で、「必ず還って来て下さい」と自分の小指を鋏で傷つけ、滴る鮮血を士官の湯飲みに垂らすのであった。作中、最も胸が詰まるシーンである。将校と下士官と予科練生との関係、軍人と地域住民との関係、軍人とタカラジェンヌとの関係・・・其々が複雑な糸で絡み合い、戦局の悪化と共に其の糸が激しく絡まり合っては千切れて行く過程がまことに生々しい。「花のみち」の謎を解き明かす宝塚映画劇場・・・本書で初めて知ったコトバだが、接収された大劇場の近隣に、小規模ながら営業している舞台があったらしい。其処での出し物の様子が述べられていて、文字で書かれたモノをビジュアルに置き換えるのは読む側として苦労する訳だが、あれこれ想像を膨らませることが出来る愉しみを与えて呉れた。とにかく天津乙女の存在感は圧倒的だったことが記されている。伝説のジェンヌ様だ。戦局も破局を迎えようとしている時分だが、娯楽に飢える庶民が殺到し超満員であったことは驚きであった。そうだ、だからこそタカラヅカは戦火にも耐え、百年を超える伝統を繋いだのだ。威張り腐った帝国陸海軍の、何とまぁ脆いことか。幽霊兵=玉砕し損ねて死んだことになっている兵隊が、大劇場の舞台で巡検中の兵長とケンカになり、兵長をオーケストラピットに突き落として殺してしまうエピソードに、胸が震える気持ちになった。脚色なのか、真実なのか?もし真実であるならば、日々行われている舞台もまた、違った迫力をもって受け取ってしまいかねない。あゝ此処は日本の生々しい歴史の一舞台なのだと。そもそも、あの大劇場自体が戦争の大きな生き証人なのである。有名な「花のみち」の堤が、何故か途中で途切れている謎も解き明かして呉れた。其の陰には、一下士官の汗と怨念の日々があった。物語の主人公である。どうだろう、拙者は妄想癖が激しいもんだから、此の小説をタカラヅカの舞台で再現したらどうなるだろうと考えた。でも無理かなぁ。男ばかりの世界だから、娘役の出番が少な過ぎるか。予科連の若者達は、次々と特攻隊員として戦場に赴いていった。本書のコトバを借りれば、「乙女の園で死ぬための訓練を受け続けた」のである。忘れることは決して許されぬ、此の昭和秘史をぜひとも語り継いで欲しいものだ。
2021.03.28
シューマンの奥さんとブラームスは不倫関係にあったのか?クラシック界では大昔から賛否が渦巻く永遠のテーマなんだけど、こういう男女交際の際どい歴史小話に目を付けるのは、さすが宝塚らしい。拙者は「愛の協奏曲~ブラームスとクララ・シューマン」と云うドイツ映画を見たことがあるので、話のネタは知っていた。さて、今年は宝塚観劇どころでは無かった。コロナ禍云々以前に、昨年から仕事の関係で鹿児島市に赴任しているから、物理的に観劇に行く事が出来ないのだ。だから、今年は「タイムスリップしてでも見に行きたい」お芝居のDVDを買おう!と云うことになった。そして選んだのが「翼ある人びと」なのである。送られて来たDVDは、こんな感じ見たかった理由は幾つもあって、とにかくシューマンのピアノ協奏曲、ブラームスの交響曲(3番とか4番とか)に、思い入れがあるからである。音楽的に渋いクラシック音楽の最たるものだが、抒情的な作風が拙者好み。お芝居でも登場する、リストやワーグナーとは対照的な雰囲気だ。もちろん拙者はシューマン・ブラームス派で、リストやワーグナーは一切聴かない。オマケに付いてた資料もう一つの理由は、池田泉州銀行イメージガールだった伶美うらら様が出演されているところ。此の銀行の利用者なんです。DVDに付いていたのが当時の雑誌「歌劇」なんだけど、裏表紙が池田泉州銀行の広告で、もちろん伶美うらら様が載ってる、というところが粋である。当時の銀行ポスターは何枚か記念に持っているが、恐らく邦銀で最も華麗なポスターだと思う。一体何のポスターかって思ってしまう伶美うらら様と宙組トップスター朝夏まなと様との共演で、もう一つお気に入りのお芝居が「神々の土地~ロマノフたちの黄昏」であった。同じく上田久美子先生の演出で、やはり求められる美意識が共通のものがあって、拙者のツボにハマるお芝居なのである。何と言ってもクラシック音楽の効果的な使い方がお見事だ。雰囲気として、小林一三先生が好きそうなお芝居なのではないか。拙者的に大ウケだった「神々の土地」宝塚は、役者が無理に役作りをすると云うより、トップスターや娘役トップの個性に合った役を設定してお芝居を作る、と云う傾向がある。なので、伶美うらら様が「クララ・シューマン」を演じるのは、やはり年上の役が似合いそうだから!なんだと思う。面白いのは「翼ある人々」「神々の土地」~いずれも実年齢よりも大幅に老け役であるところ(笑)。クララ・シューマンは、ブラームスよりも14歳も年上で、しかも子持ちの母。「神々の土地」で演じた大公妃イレーネに至っては、主役のドミトリー大公よりも27歳も年上の未亡人!トップスター同士で、何が何でも恋愛感情を結びつけるのが宝塚の伝統だが、27歳年上は史上最高齢ではないだろうか。母性溢れる年上の女性を、ヒロインとして華麗に演じる必要がある訳で、星風まどか様や、綺咲愛里様のような、キャピキャピした娘役さんでは、これらは到底務まらない。其れを思うと、伶美うらら様は、宝塚でも希少価値な存在だったと思う。では早速DVDの鑑賞を・・・冒頭からブラームス:交響曲第三番第三楽章をピアノ協奏曲風にして出して来た!やはりブラームスと言えば此の曲ですか。シューマン家を訪問したブラームスが、求められて一曲弾いたのも、交響曲第三番第三楽章!本当にクラシック好きにはたまらないお芝居である・・・。
2020.11.21
日比谷シャンテの本屋さんは、拙者にとって憩いの場でもある。映画コーナー、演劇コーナーの充実さは、さすが日比谷らしい。宝塚のコーナーは、通常の本屋さんの百倍くらいあると言っていい。小林一三先生の伝記や漫画本まで置いてあるところが素晴らしい。正に東京における阪急グループの牙城みたいな場所だ。ところが、このお店のコンセプトは、「すべての女性たちが、忙しい日々の中でふと立ち止まり、本・音楽・映像を通して、ふたたび軽やかに歩き出す力を得る、東京の真ん中のちいさな別荘。」え?男子禁制なの?そんなことも知らずに、ル・サンク8月号~今回の公演写真集を一冊を買ってしまったよ。職場&親戚回覧用にね。小林一三先生の伝記もこのとおりもちろんシャンテの地下は、宝塚のグッズショップがあって、既にレジ待ちの人達が長い列を作っていた。株主として、この行列は有難いことだ。もう道行く人はみんな、すみれ色の買い物袋を下げているという状態なのである。そして自分もバラマキ用お菓子をいくつか買う。来月から薩摩藩に国替えとなるので、御家人衆のために買っておくのだ。本家の宝塚大劇場と異なり、東京のグッズショップは非常に手狭である。特に東京宝塚劇場のショップは猛烈に狭くて、これで普通だと思っている方々は、ぜひ本家の宝塚大劇場に行ってみることをお勧めする。いよいよ公演時間が近づいたので、劇場内に入った!そしたら、大劇場と同様にここでも「グランドピアノ」が置かれていて、自動演奏されていた。その音色をしばらく聴いてから、いよいよ劇場内に入った。華麗なシャンデリアに赤い絨毯、本家の大劇場には遠く及ばないが、宝塚の雰囲気は出ている。綺咲愛里様のヒガシマル醤油の広告に、多くの人が記念撮影していた。そう、綺咲愛里様も退団なのですね。この方、BSプレミアムの公演録画とか、カフェブレイクで拝見したのですが、もうオーラ凄すぎるとしか言いようがない!ついに公演がスタート!東京生活も終わりとあって、いい思い出が出来そうだ。トップお二人は東京公演でサヨナラ、私ら夫婦も東京生活をサヨナラだ。今回のお芝居「GOD OF STARS-食聖」は、特にオーストリアやドイツ、フランスといった重厚な歴史絵巻でもないから、お芝居自体に興味は無かったけど、お芝居の合間の歌や踊りのレベルはさすが。気になったのは、有沙瞳さん(池田泉州銀行イメージガール)の出番だった。アイリーン(愛里さんだから?!)の友人役でご出演だったが、思ったより出番が少なかったのが残念。後半のショー(ステージ・レビューファンタジア~エクレールブリアン)なんですけど、何と嫁さんの席が通路側!ということは、ジェンヌさんとハイタッチできるかも知れない!という期待も膨らむ。案の定、ショーが始まった直後に、もうジェンヌさん達が通路に降りて来た。そしたら、嫁さんは一人だけ空振りだったけど、やって来たジェンヌさんのほぼ全員とハイタッチ。匂い嗅いだ?羨ましい!しばらく手を洗えないよな。そして、そのショーの絢爛豪華さというか、芸術点の高さというか、わたし好みの音楽(アルゼンチンタンゴとか)を多用しているところとか、あんなこと、こんなことで、もう大満足であった。あーやっぱり宝塚は面白い!有楽町で国電に乗ったのは、夜の十時近くになるだろうか。これから引っ越し作業という大仕事が待っている。
2019.10.06
昨年は池田泉州銀行貸切公演で「エリザベート」を鑑賞させていただいたが、その後は、とにかくチケットの応募に落選しまくった。嫁さんはカドヤのごま油を買ってまで応募したけど、もちろん当たらない!余ったごま油は、映画「天気の子」に登場した陽菜の「のり塩巣ごもりチャーハン」をつくる際に有効利用させていただきましたぞ。何だか哀愁が漂うところが!今年は星組の「紅ゆずる&綺咲愛里さよなら公演」に当たってしまったのだ!拙者も近いうち江戸詰め生活にさよならで、10月から薩摩藩に国替えとなる。最後のいい思い出作りになりそうだ。早速、BSプレミアで撮りためてあった公演を見て予習する。いやー、綺咲愛里様のオーラ凄すぎる。ポスターがいつも美しい!嬉しいことに、星組には池田泉州銀行イメージガールの有沙瞳さんもいらっしゃって、「キラー・ルージュ」で披露したシースルーな衣装に目は釘付け・・・すいません、男性ファンは見るところが少し違っておりまして・・・。さて、いよいよ東京宝塚劇場へ向けて出発だ。国電を何度か乗り継いで東京駅に着いた。オリムピックの「開幕まであと何日」のモニュメントを見つけた。遠く薩摩の地でオリムピックに触れる機会は無いであろうが、混雑した国電に乗らなくていいから気楽でもある。鹿児島県のアンテナショップが!東京駅から南西方向に歩くと、東宝ツインタワーが見えてくる。ここから先は、東宝シネマや日比谷シャンテ、東京宝塚劇場にホテル「レム」とか、東京における阪急系の牙城とも言うべきスポットだ。運がいいことに、ゴジラ像の近くに鹿児島県のアンテナショップがあった。行ってもいないのに、お土産を買えてしまうのだ。ここでご城下の地図をもらった。城下町に東宝シネマや阪急交通社があるし、何とか生きていけそうだ(笑)。まずは、日比谷シャンテの地下に降りて、早目の夕食となった。いろいろ迷った末、行きついたのはリンガーハット(笑)。早くも九州行くモードなのである。拙者は長崎ちゃんぽんがあまり好きではないので、餃子定食を食べた。言ってみれば、まぁ「GOD OF STARS-食聖」のストーリーに引っ掛けている訳である。チェーン店の餃子に愛は感じないけどね。さて、食事も終えて、続きのお話はまた次の機会に・・・。
2019.09.29
BSの受信料を払った甲斐もあると言うべきか。NHK-BSで時々やってる宝塚の公演で、池田泉州銀行イメージガール伶美うらら様が退団される最後の公演を見ることが出来たのだ。「神々の土地」~ロマノフたちの黄昏・・・革命前夜の帝政ロシアを舞台に、傾きかけたロマノフ王朝の断末魔を描く歴史大作で、こんな暗いお芝居も珍しいと思ったが、録画を何回も見まくってるうちにこれは拙者的に傑作だと思うようになった。伶美うらら様は、皇后アレクサンドラの妹イリナ大公妃役。ドイツから遠くロシアの地に嫁いだが、父親ほど年の離れた夫は皇帝を狙った爆弾テロで即死、彼女は若くして未亡人となってしまった。訳あって屋敷に居候してた皇帝の従兄弟ドミトリー大公は、この若き未亡人に許されない恋心を抱いている。ほんまかいな、と疑ってしまうが、何が何でもトップスター同士に恋愛を絡ませるのがタカラヅカなのである。 銀行のパンフレットは大事に持ってます・・イリナ大公妃は、皇帝夫妻への助力をドミトリーに託すが、彼の前に立ちはだかったのは、怪僧ラスプーチンであった! いやー、ラスプーチン怪しい!というかやりすぎ(笑)。まぁ脚色しやすいキャラなんだよな。愛月ひかる様には技能賞を差し上げたいところ。イリナ大公妃に纏わりついて「わたしには人の心が読める!ヒッヒッヒ・・・」とクソ坊主ぶりを熱演!まったく織田信長だったら一刀のもとに斬る伏せてやりたくなるクソ坊主だ。 そのラスプーチンに心酔してしまった皇后アレクサンドラも怖い!しかも凛城きら様、すごい体格!周囲の人々は「ニコライも、こんな嫌なオバンのどこが良かったのか」と心底不思議がる訳だが、夫婦のことは夫婦にしか分からないのが世の常。こともあろうに、アレクサンドラとイリナはドイツ出身の姉妹なのだ!イリナの方が皇后としてよっぽど相応しいと思いたくなるが、夫がニコライの代わりに死んでしまって未亡人になってしまうとは、これまた歴史の皮肉なり。 ドミトリー大公(朝夏まなと様)は、混沌としたロシアの未来を憂えて果てなき大地は 黙り込んだまま 凍てつく土は・・・と一曲歌うんだけど、これがまた名曲だよ。チャイコフスキーなんかその典型だけど、ロシアのメロディーはどことなく暗く陰鬱なイメージがあって、その雰囲気をうまく曲に乗せている。ちなみにチャイコフスキーの「エフゲニーオネーギン」「白鳥の湖」のワルツを舞踏会の場面に使っていて、ロシアムードを盛り上げる。宮廷舞踏会の華やかなシーンは宝塚の王道だよね。舞台は宮廷だけでなく庶民にも光を当てる。酒場の情熱的な女ダンサー「ラッダ」に恋をしてしまったのは、ドミトリーの同僚で近衛将校であるコンスタンチン(澄輝さやと様)。さやと様の存在感は意外と大きくて、皇女オリガをエスコートするシーンの格好良さは格別。ロマの女ダンサーとの身分違いの恋に悩みつつも、自分の気持ちに正直であり続けるコンスタンチン。それは、許されない恋心を抱きながら、宮廷を救うために皇女オリガとの結婚を受け入れるドミトリーと対照的である。ところが・・・ラッダの居酒屋が革命家の巣窟だったことから、二人の恋は破滅的な結末を迎える。いよいよ物語は救いようのない悲劇へ。皇女オリガ(星風まどか様)は、無邪気なまでにドミトリーに恋をしてる。彼女の過酷な運命を思うと、その天真爛漫な雰囲気はかえって涙を誘う。開明的なドミトリーの影響を受け、母アレクサンドラに国民との和解を訴えるが、聞き入れられない。これで皇帝一家が救われるチャンスは永遠に失われた。 ニコライ2世は決して悪い人間ではなかった。家庭では善き夫であり善き父親であった。嫌われ者のドイツ女=アレクサンドラに対する愛は終生変わらなかったというから、男として立派である。しかしながら、皇帝たるものは善良な家庭人で勤まるものでもない。「彼の真の悲劇は、歴史の主人公にも成り得なかったことだ」こんなこと言ってる歴史家がいたっけ。この舞台をみても分かる。ニコライは結局、タカラヅカの脚本家にとっても脇役の扱いでしか価値を認められないのだ(松風様ごめんね)。革命の嵐が吹き荒れるなか、イリナ大公妃はその後どうなったのか・・・。この人のモデルとなったのは、エリーザベト・アレクサンドラと考えられる。当時の貴族階級で欧州一の美女と讃えられた人で、うらら様が演じるのはごもっとも。いくら美人と言っても、実際の年齢からドミトリーが恋心を抱けたのはガキの頃ぐらいだと思うけど。ドミトリーが独立した後は、修道院を設立し奉仕活動を熱心に行っていたという。ソビエトのチェーカーのクソ共は、こんな聖女のようなお方を廃坑に突き落とし、手りゅう弾を投げ込んで惨殺したのである。 さすがに宝塚は、そんな残虐なシーンを作れるはずもないので、イリナの死はナレーションだけに終わらせている。ドミトリーが夢の中でイリナに会いに行く最後の場面は、悲しくも美しい絵画のような世界に仕上がっていた。これは傑作でしょう! 旧ソ連なんてのは人を殺すのが商売みたいな連中だ。ロシア革命は人類にとって新たな不幸の始まりだったとしか言いようがない。それを思うと、日本のシベリア出兵も至極当然と言うべきだったかも知れない。今食べてる宝塚のお菓子(お写真がプリントされてるやつ)はゴンチャロフ製菓の製造。ゴンチャロフ氏は宮廷の菓子職人でもあり、そりゃ逃げるしか無かっただろう。モロゾフと並んでいわいる「白系ロシア人」と呼ばれた人々だ。ロマノフ一家の無念を悼んで、ここはじっくり味わって食べるべし。
2018.11.03
休憩を挟んでお芝居も大詰め。狂言回し役のルケーニから、思いがけないアドリブが。「ボクのような悪党でも、池田泉州銀行ならお金を預けてもらえるのかなぁー!」にお客さんは大爆笑だ。やっぱり何か一つカマしてくれんとね。終盤で忘れがたいシーンがある。息子ルドルフが愛人と心中自殺した後、心に大きな傷を負った皇帝夫妻が久々に出会う場面だ。かつてはそれなりの美青年だった皇帝ヨーゼフも、すっかり年老いてしまっている。その頃のヨーゼフは、まったくその通りの年齢を重ねた男の姿なのであるが、まさかタカラジェンヌたるものに禿頭のカツラを被せる訳にもいかず、そこはうまく誤魔化していたが・・・。 二艘のボートのようなわたしたち、近づくけれどもすれ違うだけで、人生の終着点も永遠に定まらない・・・とデュエットで歌う場面が切ない。二人が歌う背後に、名も無き老夫婦が肩を寄せ合って歩いている。その老夫婦は、まさか皇帝夫妻がいるとも知らず、その辺のベンチに腰掛け、しばらくしてからまた立ち上がり、お互い身を寄せ合いながら舞台から消えて行った。皇帝夫妻との対比を強く印象付けるシーンである。 強く惹かれ合って結ばれたはずなのに、すれ違ってしまう夫婦もいる。また、お互いなぜこの相手なのか本当はよく分からないまま、一生添い遂げる夫婦もいる。何とも不思議ではあるが、その不思議は常にあちこちで起きている。既婚者として何とも複雑な思いでこの場面を見ていた。エリザベートが無政府主義者ルイジ・ルケーニの持つ鋭利なヤスリで刺殺され、黄泉の帝王トートに導かれて天に召されて、あゝめでたしめでたし・・・などとしんみりした余韻に浸る余裕など無かった。すぐさま、上半身だけ近衛兵の軍服に身を包んだ若手のジェンヌさん達が「わーっ」と繰り出してきて、賑やかな音楽と共に「ヤッ!」の掛け声も晴れやかにラインダンスがスタート。 お芝居が長過ぎたので、ショーは大急ぎで展開せねばならぬようだ。これまでの悲劇的な舞台は何だったの?気のせいでしょ、というぐらいの落差。これぞタカラヅカだ。背後では大階段が登場!とっくに死んだはずのエリザベートも優雅にダンスを踊ってやんやの喝采。もうお芝居のことは忘れましょう。その他、スター達のパフォーマンスやダンスがしばし続いた後、大階段の最上階からスター達が順番に降りてくる。楽曲は、お芝居で奏でられてきたテーマ曲をフィナーレ用に明るく元気に改変、死んだ人も生き残った人も、欧州貴族の衣装を着て観客にお礼のパフォーマンス。もう絵に描いたようなタカラヅカって感じ。お客さんもこの通り大盛り上がり。大盛況のうちに幕を閉じた。公演を終えて、大勢の人達とゾロゾロと退場。ものすごい混雑だが、我々は宝塚南口方面に向かうことにした。宝塚大橋を渡りたかったのである。もう6時を過ぎ、小雨交じりの天気故、大した眺望は望めないのだが、お昼時の晴天ならの素晴らしい景色が拝める。宝塚南口駅から今津線で西宮北口へ向かい、そこから神戸線に乗り換えて梅田駅へ。乗った電車は最新の1000系だった。最新だろうが、相変わらずザッハートルテのようにチョコレート色に塗りたくっているのが阪急電車である。もう阪急電車に乗ることは久しくないだろうと思うと、家族と離ればなれになるような寂しさを感じる。相当なヲタだよな(笑)。夕食をどうしようか?大劇場の「ラ・ロンド」でサンドイッチとケーキを食べたのだが、意外に腹持ちがいいので軽くささっと済ませたい。こういう時に良さげなのが「阪神百貨店スナックパーク」である。株主向け報告書に阪神百貨店建て替えのニュースが載っていたが、半分だけ出来たというので見学がてら行ってみる。阪神百貨店といえば、食べ物安いというイメージなんだけど、スナックパークは正にそのイメージ通りである。立ち食い専門でお世辞にもお行儀よくないが、高くてもせいぜい700円くらい。軽く食べるだけなら最適で、それを梅田の百貨店で実現してしまうのが阪神百貨店なのである。嫁さんは丼モノ、拙者は和洋折衷なパスタを食べ、締めに御座候を買っても一人千円以内で済むのだから、さすが阪神百貨店!どうせなら阪神百貨店も時間許す限り見学してきた。お目当ては阪神タイガースショップ。マネキンの演出が何ともかわいい。新しいグッズが出ているかチェックしているうちに、またもや時間が過ぎていく。平成30年9月1日はようやくこの辺でお開きとなりそうだ。→タカラヅカの写真はこちらのページでも
2018.09.21
平成30年9月1日、いよいよ「エリザベート」観劇の時間がやってきた。改札口はごった返していたが、異様だったのは背広を来た男子が多数見受けられたこと。みんな池田泉州銀行の社員さんだった。さすが貸切公演だけのことがある。初めて入場した宝塚大劇場~席は幸運にも1階席で、近くも遠くもないといった感じ。目に飛び込んできたのはハプスブルク家の紋章である双頭の鷲なり。 さて、今回は池田泉州銀行の貸切公演とあって、開演に先立って頭取の挨拶があった。本当にこの銀行は面白い!と心底思った。イメージガールが交代しただけでニュースになるのもこの銀行ぐらいだろうが、それだけ地域の文化の一つと化している。これぞ阪神間モダニズムの残滓と思う。沿線独自の文化が人の創造力を刺激し、新たな文化文明たるものを生み出してきた。企業がそれを後押しするのは一つの義務であろう。ついに待ちに待った開演・・・。バイエルンのクソ田舎で天真爛漫に育ったシシィ~何を思ったかオーストリア皇帝ヨーゼフ1世がお妃候補の姉を差し置いてシシィを見初めてしまい・・・で始まるくだりはウィーン版ミュージカルと全く同じ。ウィーン版のCDを渋谷のツタヤで借りて予習を重ねたので、とにかく音楽をじっくり愉しむべし。それにしても、エリザベート役の愛希れいかがすばらしー!実物に全く似てないけど、歴代エリザベート役と比べて地味だけど、オフのお姿で街で会っても全く気付かないと思うけど、とにかく歌声がすばらしー!ミュージカルの女優さんではない。オペラ歌手といった感じだった。染みわたるような声に、思わず涙が頬を伝って来る。 タカラヅカは男役を主役にせねばならぬと、黄泉の帝王「トート」を主役に設定したとはいえ、やっぱり真の主役はエリザベートの愛希れいか。もうお題がエリザベートな訳だし、明らかに歌でも秀でているもん。トートも、ルイジ・ルケーニ同様、狂言回しの立場にしか見えないんだけどね。でもご婦人の皆様方の視点は異なるのかもしれない。男装の麗人に目がハートになったり、そもそも珠城りょう様の熱心なファンだったり・・・。エリザベートがハンガリーの衣装を身に着け、ブダペストの民衆から喝采を浴びるシーンは、鮮やかなハンガリーの三色旗が乱舞する印象的なシーンであった。ビジュアル的にも音楽的にも、遠くアジアの騎馬民族をルーツとするハンガリー民族特有の体臭を感じる場面である。このミュージカルはウィーンから始まり、宝塚へやって来た訳だが、何と宝塚の脚本がハンガリーに逆輸入され、公演されたというのだ。まことに不思議な縁といふべきだが、ここにタカラヅカの無限の可能性を感じる。お芝居の途中で30分の休憩時間があった。みんなゾロゾロとトイレへ繰り出す訳だが、男性客の特権としてトイレに並ぶ必要がほとんど無い、といわれていた。それどころか、オバハン連中が平気な顔して男子トイレに入り込んで来るから要注意、との忠告もあった。実際はどうかと言うと、男子諸君それなりにトイレに出入りしているではないか。短時間だが、ちょっと順番を待った(笑)。恐らくだが、銀行の貸切公演なのだから、カイシャ関係とかも多い影響ではないだろか。そのおかげで、オバハン連中に占領されているという事態は無かったのだが。 嫁さんと周囲の探検にも出掛ける。2階席の雰囲気を見るために上へ昇ってみた。なるほど2階席は高い!まるで見下ろすようなロケーションなり。下のロビーでは立派なグランドピアノを見つけた。自動ピアノのようで、エリザベートで使用されたテーマ曲が演奏されている。どうせなら全部聴き尽くしたいが、そこまでの時間は無かった。なぜか時間がいくらあっても足りない。 嫁さんは公演プログラムを売店で買ってきた。これは後日、家族・親戚・職場で回覧となりそうだ。お写真の数々は、これまたタカラヅカ以外の何物でもないという感じだが、エリザベートの華麗な衣装は有名な肖像画を彷彿とさせるものだし、フランツ・ヨーゼフの軍服もまた折り目正しいドイツ人という感じで、意外とリアル感がある。オーストリア大使のメッセージを読んでるうちに、このミュージカルがハプスブルク帝国そのものを肌で感じ取れる優れたツールなんだなと思った。エリザベートの悲劇的な生涯に思いを馳せる人、拙者のようにフランツ・ヨーゼフ帝の気の毒な生涯に思いを馳せる人、愉しみ方はそれぞれだろうが、このお芝居が飽きられることなく数年に1回催されるのは、単にトップスターが目立つためだけのお芝居にとどまらぬ、重厚な歴史ドラマとして仕上がっているからだと思う。 休憩後の後編についてはまた次の機会で・・・。恐らく平成30年9月1日は、この年で最も長い1日となるようだ。
2018.09.17
宝塚大劇場内はまことに広い。土地の簿価は大正時代の値打ちだろうから、多少贅沢なつくりでもいいのだろう。ギフトショップだけで何か所もある。面白いのは、入口に近い店ほど一般ウケするもののお店で、奥へ進むほどディープになって行くことだ。拙者のようなヅカ入門者は、まずは行って来た記念のお菓子を買うことになるが、お菓子売り場だけでも広大で、阪神百貨店のタイガースショップより広い。新大阪駅を彷彿とさせる規模で、品数もあり過ぎて迷いに迷ってしまった。とにかく「行って来た記念」と分かるものを選んだが、職場の同僚や両親・親戚、友人が来た際に開けるつもりのやつ、合計でかなりの量となった。阪急が儲かるのはいくらでも構わない。こっちも株主だから。とても担いで帰れない!という人のために、何と大劇場の中には郵便局まである。そこでゆうパックで送ってもらえるのだ。ただ送るのではない。何と高校野球百周年記念切手で送料を支払うという、頼んでもいないのに随分と手の込んだことをやってくれる。さて、一仕事終えて昼食となる。もちろん、食事処もあちこちにあって、何処で昼食とすべきか甚だ迷った。らせん階段を上がって2階に「ラ・ロンド」という店があった。エリザベートの副題が愛と死のロンドな訳だから、ロンドという名前に釣られて入ってしまう。シャンデリアが吊るされた店内を通されて、ちょっと高い所へ入ってしまったか?と覚悟したが、サンドイッチセット千円と、何だか普通の価格設定だ。店内も非常に落ち着く。タカラヅカを観劇するイイ大人しか来ないから、まぁ当たり前かもしれない。客はほとんどご婦人。拙者のように嫁さん同伴の男子があと一人だけ居た。さて、おしぼりが入ったビニール袋も花組・月組・宙組・・・と各チームのマークがデザインされている。芸が細かい!サンドイッチに付属していたピクルスを突き刺した金属製の楊枝は音符のデザインだった。 せっかく来たのだから、デザートでも頼むことにした。嫁さんはロールケーキ、拙者はバウムクーヘン~やっぱりデザートもドイツ風、オーストリア風に行かねばならない。付属のホワイトチョコに「タカラヅカ・レビュー」と刻印されていたっけ。やっぱり芸が細かすぎる。600円出してもちっとも惜しくないね。そして・・・「宝塚の殿堂」を見学するさて、大劇場の一日は長い。続いて「宝塚の殿堂」を見学する。宝塚歌劇100周年を記念して、宝塚歌劇の発展に大きな貢献をしたタカラジェンヌ、演出家等を紹介する施設が設けられているのだ。これは株主優待で入場出来たが、1枚だけなので嫁さんの分は250円を払わねばならぬ。2階展示コーナーは、それこそ戦前に遡る過去のジェンヌから紹介されており、古い方はとてもじゃないが承知していない。3階は、現代の宝塚歌劇に関する衣装やら小道具やらの展示や、企画展ゾーンとなっている。トップスターの衣装を見て、羽の大きさに今更びっくり。女性がこれをしょって大階段を降りるのは一苦労だ。見るもの見るもの全てがぶっ飛んでいるな、というのがタカラヅカの世界。この非日常さがキモなのだ。同じ女性が着るだけあって、男役の衣装がほっそりと見える。場合によっては娘役の方がデカく見えてしまう可能性もあるが、実際の舞台では必ず男役が大きく見えるというのが素晴らしい(笑)。 企画展コーナーでは、歴代エリザベートの映像を放映しており、ここでちょっと予習。見ていて思うのは、役者によってなるほど個性があるということだ。熱心なファンが毎回見に行くという気持ちも分からないではない。あっと言う間に時間が減っていく。もう改札口に行かねばまずい、と殿堂を出たら、ロビーは恐ろしい状況となっている。同じような雰囲気のご婦人の皆様方がずらぁーっと列を作っている。開館時間になったらしい。しかも、改札に近いグッズショップ「キャトルレーヴ」の店内はご婦人の皆様方でもみくちゃになりそうな状況。嫁さんは果敢に店内に入って行くが、男子は完全にひるむような光景だ。いよいよ「エリザベート」観劇の時間がやってきた。いやー、前フリが長すぎて長すぎて・・・。続きはまた今度(笑)→タカラヅカの写真はこちらのページでも
2018.09.15
平成30年9月1日、いよいよこの日がやって来た。池田泉州銀行「すみれの花定期預金」の当選通知を受けてから、本場ウィーンのミュージカル楽曲を聴いて勉強したり、嫁さんが村営図書館で借りてきたタカラヅカの入門書などを読んだり、ある意味幸せな日々だったと思う。同僚の御家人衆の間で早くもハナシのネタになったもんだから、お土産を買う計画もあらかじめ練っている。それはそれで楽しいものだ。阪急梅田駅に到着!1号線から9号線まで阪急電車がズラリと並ぶ光景は相変わらず壮観だ。今日は宝塚までの切符も株主優待を使える。これまでの投資がある意味実を結んだことを実感する。 ここからは少し鉄ヲタな話だが、宝塚行の電車は8000系だった。この形式の何編成かは、宝塚寄りの2両がクロスシートとなっている。これで少し旅行気分も味わえる。何から何までついている。阪急の列車ダイヤは、京都線・宝塚線・神戸線の優等列車が同時に発車するのがお約束だったが、今でもそうだった。右側の車窓からは、京都線特急(こちらは全車クロスシート)が十三までずっと並走していた。十三から三国→庄内→服部→曽根・・・今でも駅名は宝塚まで全部言える。小学3年までこの沿線に住んでいた。電車通学を3年間やってた。阪急電車は生活の一部だった。なのに宝塚歌劇だけは見ることなく三十数年が経った。いよいよ空いたパズルが埋まるという訳だ。阪急宝塚駅:宝塚大劇場前に到着!反対側に停車中なのは今津線西宮北口行き。これはもしかして5000系更新車?と、またまた鉄ヲタ全開。だって小学校の時に走ってたもん。当時に比べて顔の印象はかなり変わったが、塗装は相変わらずザッハートルテ~これぞ阪急電車である。改札を降りて、早くも駅コンコースで「すみれの花定期預金」の電光掲示板を発見した。もう街全体が歌劇の街といった感じ。駅前のショッピングモールも何となく劇場のような雰囲気がある。何かステージ・イベントでもやるのだろうか。花のみち、あたりで雨が降ってきたので、大急ぎで大劇場へ。やっと目的地に着いたよ。前フリが長すぎるが、まーだまーだ観劇まで時間がある(笑)。まずはお土産の物色。店があちこちにあるので、かなり迷ってしまう。まずはバラマキ用のお菓子でも物色するとしよう・・・。もう本日は編集している時間もなくなったので、続きはまた・・・。
2018.09.09
池田泉州銀行「すみれの花定期預金」の抽選に見事当選!いよいよ人生初のタカラヅカ観劇となり、予習に忙しい。気になるのは音楽で、初めは「ハプスブルク帝国の話だからウィンナーワルツ三昧か」と思っていたが、それは大きな間違いであることが分かった。この出し物は、ウィーン発のミュージカルの直輸入である。そこで楽曲を担当した「ジルヴェスター・リーヴァイ」のオリジナル曲がベースとなっているのだが、それは限りなくオリジナルで、シュトラウスなんか最初からお呼びじゃないのだ。 とにかくどんな曲なのか、観劇当日にじっくり聴けばいいのだが、もう待てない!渋谷のツタヤへ行ってCDを借りてきた。こんなマニアックなCDは、我が村にあるツタヤで置いてるはずがないのだ。さて、ジルヴェスター・リーヴァイ作曲、ウィーン舞台連盟オーケストラによる演奏のCD(Originalaufnahmen aus dem Musical Elisabeth)をじっくり鑑賞してみた。もちろん、ウィーン版だから全部ドイツ語である。ありがたいことにCDに翻訳が付属しているから、聴いてるだけでおおよそ情景が浮かんで来る。エリザベートとヨーゼフ1世は、ウィーンのアウグスティン教会で結婚式を挙げる(5:Alle Fragen Sind Gestellt)。ラウシャー大司教が「それがあなたがたの意思であるなら、はいと答えなさい」と述べる訳だが(Wenn das Euer Wille ist,so antworret mit Ja!)、それに対してエリザベートが凛とした声で「Ja!」と答えるシーンが胸を打つ。その直後に重々しい鐘の音が響き渡るのだ。その音色はまるで弔鐘のようで、後に起こる悲劇を暗示するのである。披露宴の舞踏会(6:Sie Passt Nicht)は、普通なら皇帝円舞曲でしょう!と言いたいところだが、まるでショスタコーヴィチがスターリンに内緒で遊び半分に作ったようなシニカルなワルツである。舞踏会の場で、エリザベートの父マックス公、フランツの母ゾフィーが互いに相手の新郎新婦を愚痴ってるという構図である。シュトラウスのノーテンキな音楽では、この場面をうまく表現できないのは確か。うーん前途は多難だこりゃ。案の定、待っていたのは嫁と姑の不毛な争いだった。これだけはいつの時代も世の男性を悩ませるのである。城下の臣民は呑気に「ラクセンブルク・ポルカ」で盛り上がっていたのだが、現実はそれどころじゃ無いのだ。 8:Eine Kaiserin Muss Glanzen で表現される嫁姑のヤリトリは、ほとんど漫才に近い。姑:あなたいつまで寝ているの!嫁:だって疲れたんだもん!姑:怠惰は許しません!嫁:今日は馬に乗りたい!姑:なんと品のない!嫁:あなたはなぜ私を非難ばかりするの?姑:あなたは慎みも無ければ礼儀も知らない!嫁:あなたは私に嫉妬なさっているのだわ!姑:嫉妬ですって?!嫁:ヨーゼフ助けて!お母様がいぢめるの! もう東海テレビの昼ドラ状態。俺ら男からすりゃ、「あっ、洗車するの忘れたから今から行って来るぅー」と逃げ出すしか無いよな。とうとう夫婦間にヒビが入り始め、ウィーンのカフェでは「オーストリア外交は困難に直面しているというのに、皇帝夫妻はちょっとヤバいらしい」と知識人らがウィンナーコーヒー片手にデーメルのザッハトルテを頬張りながら(?)あれこれ噂話に花を咲かせる(10:Die Frohliche Apokalypse)。このヘンは19世紀のオペレッタを思わせる雰囲気だ。11:Mach Auf Mein Engel! わたしの天使よ、ドアを開けておくれ・・・自室に閉じこもってしまったエリザベートに、夫フランツ・ヨーゼフ1世がドアの前にひざまずいて懇願するシーン。彼もまた「かわいそー」という感じがしてくる。とにかく彼は誰よりもエリザベートを愛していたのである。それなのに、それなのに、わたしの天使よ、なぜ分かってくれないのか? ヨーゼフ1世は忍耐の人であった。他人の苦しみを進んで分かち合い、自分の苦しみは自分の胸にしまい込むような人柄は、帝国中の敬愛を集めたのである。確かに、外交的判断で数々の誤りもあった。それでもハプスブルク帝国が空中分解せずに20世紀初頭まで持ちこたえたのは、彼の不屈の精神と驚異的な忍耐強さのなせる業だったのだ。 それなのに、自分の奥さんにすら理解されないというのが彼の悲劇でもあった。どうしても、どうしてもヨーゼフが気の毒でならない。帝国臣民の思いもほぼ同じであった。だからエリザベートの訃報が伝えられた際、多くの臣民はヨーゼフへの同情に向かったという。拙者もヨーゼフへの思いを別項でいろいろ書いていた。→こちらも参考までに・・。大体上記の曲目がジーンと来たところ。肝心の宝塚版であるが、かつての公演をCDにしたものが存在していて、販売サイトの試聴コーナーで各45秒ずつ聴いてみた(CDは売り切れ!)。聴いた感じでは、ジルヴェスター・リーヴァイの曲目がそのまま引用されているようだ!さーて今年のエリザベートは前例踏襲と行くのか、宝塚オリジナル曲をいくつか出すのか、大いに注目である。
2018.08.26
池田泉州銀行「すみれの花定期預金」の抽選に見事当選!いよいよ人生初のタカラヅカ観劇となり、急に慌ただしくなった。嫁さんは村営図書館で「ヅカの本」を何冊か借りてくる。そしてNHK-BS深夜放送「花組:愛のプレリュード&スパークリング・ショー」を録画した。今から猛勉強である。 BSでやってた花組公演は、2009年のだいぶ昔の公演なんだけど、とにかく「ヅカ」であれば何でもよくて、とにかく雰囲気だけでも掴んでおきたかった。初めは阪急阪神HDの株主として応援するんだ!という視点に過ぎなかったが、何かに感染したらしい。スパークリングショー「Exciter!」は何回も見直すことになった。もしかして本当にハマってる?タンゴのダンスでは明らかにピアソラのパクりだよなぁと、それはそれで愉しめたし、Exciter!という曲が凄く良かった。フィナーレの前フリを唄うペアがいて、娘役の子がびっくりするほどの美人(笑)。背負ってる羽がしょぼいから、ヅカ本の説明に則れば3番手か4番手くらいかもしれないが、「えっ?誰?なんていう人?」と目で追いかけるようになった。ヅカ本によると、みんなこうして贔屓の役者さんを持つんだという。んー10年近い前の映像だから、もう退団なさっているかも・・・。ミュージカル「エリザベート」の予習を・・・秋のような清々しい陽気も手伝って、久々に国電を乗り継いで渋谷まで出た。目的はツタヤ~拙者にとってここは音楽の図書館みたいに思っている。 さすがに「ヅカ」の音源は極端に少ないので「Exciter!」は諦めたが、ひとつ聴いておきたいものがあった。ミュージカル「エリザベート」の本家、ウィーン版のCDである。ハプスブルク帝国末期といえば、BGMはシュトラウス三昧かと思いきや、全然違うのである。まぁ、エリザベートの人物像から察するに、シュトラウス=ハプスブルク家万歳のような存在は、彼女の本質と相容れないかもしれない。 宝塚版の「エリザベート」は、本家をベースにしてはいるが、「何がなんでも男役を主役にせなあかん!」という制約から、脚本を強引に改変したらしい。それでも音楽的なベースは共通してんだろう、と思って予習するのである。さらにもう一枚CDを借りた。それは、「砂の器:オリジナルサントラ」~なんてマニアックな音源だろう。「砂の器」は映画版もドラマ版(中居君のやつ)も見たが、劇中のピアノ協奏曲「宿命」は名曲だと思う。実家に長年保管してあった国電103系とセドリックパトカー(西部警察版)を組み合わせて記念撮影。 要は「国電蒲田操車場殺人事件」といったところ。蒲田といえば蒲田行進曲、蒲田行進曲といえば階段落ち、ここで思わず宝塚の大階段まで連想してしまった。もしかして本当にハマった?
2018.08.18
今年はオーストリア・ハンガリー帝国崩壊から100年の節目にあたるから、と自分で勝手に節目を設定しておいて、勝手にウィーン世紀末ブームと相成っている。ニューイヤーコンサートのCDを何種類も聴いたし、フロイトの精神分析論も読んだし、もちろん、エリザベートの伝記も読んだ。その締めくくりに「タカラヅカのエリザベートを観る!」ことを目標にしていた。ちょうど、8月末から大阪に行くから、ついでに宝塚大劇場で鑑賞しておきたかったのだ。 ただし現実は甘くなかった。肝心のチケットが取れなかったのである。吉祥寺のチケットぴあに朝から並んで、「もう売り切れました」と言われて早くも挫折。代わりにUSJでも行くか、と予定を組み直していたのである。ところがだ。8月1日に池田泉州銀行から郵便が来た。いつもの投資信託の勧誘とかだろう、としばらく開けないでおいたのだが、翌日になって中を開くと、池田泉州銀行イメージガール有沙瞳様のグラビア同然とも言える広告チラシが。それだけでない、なんか宝塚歌劇のチラシとか入ってる。添付されている案内文書を読んで目が点になった。青天の霹靂とはこのことかも知れない。すみれの花定期預金の抽選に当たりました、と。 預金を始めたのが2008年11月?過去の記事を調べてびっくり。そんなに経っていたのか。当時はまだ池田銀行、イメージガールは陽月華様、金利はネットで0.85%・・・時代を感じさせる。 1口ではまず当たらない、宝くじ並みと考えられてきた。しかも当たったところで兵庫県宝塚市まで遠征できるかも分からない。行けない時は親戚に行ってもらおうぐらいの構えで、ちっとも期待していなかったのだ。なのにまさかの当選!しかもチケット取り損ねたエリザベート、一番びっくりしたのは預入から10年後にやってきた我々の旅行日程にわざわざ合わせてくれたことだ。9月1日は土曜日で、1日滞在時間を延長すれば何とかなる。こうまで神ってるのは、エリザベートの伝記を読んでおいたのが良かったのか、それともヨーゼフ1世の輝ける生涯を褒め称えたのが良かったのか・・・。確かに、エリザベートのペア・チケットだ。当日は池田泉州銀行の貸切公演になるらしい。旧池田銀行と阪急がいかに親密な関係であったかがよーく分かる一幕だ。とにかく嫁さんにもいいプレゼントになった。宝塚ホテルのレストラン割引券とかもついてるし、いろいろ利用価値がありそうだ。恐らく今年最大のミラクルと思われるので、じっくり気合入れて愉しんでくるべし・・。
2018.08.04
拙者は現在札幌市在住。街で目立つ銀行と言えば、北洋銀行や北海道銀行だ。北洋銀行のポスターやチラシに出ているのは大泉洋さん。北海道で絶大な支持を得ているタレントさんである。拙者は大阪生まれなので、大泉洋ワールドの本質についてはあまりよく分からない。銀行のポスターなりチラシを見ても、北海道らしさがいまいち伝わってこない不満があった。このとおり、相変わらず観光客目線が抜けてないので、北海道らしさといえば未だに鮭をくわえたヒグマだとか時計台とかを連想してしまうのだが・・・。イメージガールがデビューしただけで金利UP!池田泉州銀行大阪の家族より、池田泉州銀行のチラシが送られてきた。池田泉州銀行とは大阪の地銀で、もちろん拙者は預金者である。実はこの銀行はチラシだけでも面白いので、送ってもらうようにお願いしていた。芸術性があって、チラシがオークションに出ることもあるのだ! 代々、イメージガールはタカラジェンヌを起用している。阪急電鉄との付き合いが濃いからだ。今年の7月から伶美うららさんが新イメージガールになった。それを記念して金利UPキャンペーンまでやっちゃうのがここの銀行の面白さ。期間は短いものの0.33%はまずまずだ。 左側のチラシは、宝塚歌劇のチケットが当たるかもしれない、という定期預金。ハイソな雰囲気が伝わってくる。もっとも旧池田銀行はハイソな阪急沿線に店舗が集中していた。 右側のチラシ「スタシアサイカ」とは、北海道で言うとキタカとクレジットカードが付いたキャッシュカードみたいなやつ。1枚3役カードを初めて世に送り出したのは、実は合併前の池田銀行なんですよ。最後に涼しげな雰囲気の一枚をご紹介。大阪市内は連日35度の猛暑だとか・・・キレイドコロ眺めて涼を求めたい気になります・・・。
2012.08.25
池田泉州銀行といっても関西に住んだことのある人でないと馴染みが無いかもしれない。昔は池田銀行と泉州銀行が別々にあったが、合併して今に至っている。 旧池田銀行は、元々阪急電鉄の影響が濃い銀行で、店舗網も阪急沿線に集中していた。拙者が阪急宝塚線の沿線住民だった当時、親はもちろん池田銀行の顧客だった。(そして現在、拙者自身が預金者でもあるのだが) 旧池田銀行のイメージガールは代々、宝塚トップスターが就任することになっていた。宝塚歌劇といえば、もろに阪急そのものだからだ。合併して池田泉州銀行になってからも、イメージガールは宝塚宙組娘役の野々すみ花さんが担当している。旧池田銀行時代からイメージガールだったので、そのまま横滑り就任となった訳だ。野々すみ花さん、宝塚歌劇を退団・・・後任もやっぱりタカラジェンヌマスコミ発表によると、野々すみ花さんが2012年7月1日で宝塚歌劇を退団することが決まった。現在、さよなら公演「華やかなりし日々」「クライマックス」を上演中。宝塚大劇場が4月13日~5月14日、東京宝塚劇場は6月1日~7月1日までとなっている。 さて、宝塚退団となると、イメージガールも卒業というのがこれまでの流れだった。合併してもなお、宝塚歌劇団からイメージガールを出して「阪急沿線色」を濃くするのか、あるいはもう宝塚からはイメージガールを出さず、どっかのローカルな芸能人を引っ張ってくるのか、個人的にちょっと気になっていた。 5月7日、池田泉州銀行は後任のイメージガールについて、宙組娘役伶美うららさんを起用すると発表した。どうやらこれまでの路線を継承するようだ。ついに、銀行パンフレットが楽オクに・・・思わず大笑いしてしまった。楽天オークション9号店さんから、旧池田銀行のチラシの数々がオークションに出たのだ。あの銀行のパンフレットは、知る人ぞ知るクオリティーの高い媒体。特に野々すみ花さんになってからは、露出度がアップし、ちょっとセクシーなパンフレットも多く見られるようになった(笑)。 早速だが、この場で一部をご紹介する。もちろん、売り切れ次第リンク切れしていくので、数か月もしたら何も表示されてないと思うので、そのへんご容赦を。 特に、右の二枚は、先代イメージガール陽月華さんのチラシ。今となっては貴重な存在かも。当管理者のパンフレット・コレクション! もっと見たい方は、こちらから・・・
2012.04.30
普通預金を定期預金に切り替えた。世界的な金融危機の余波でもって日銀が0.2%の利下げに踏み切ったからだ。0.5%が0.3%になると、普通預金やMMFの利回りも下がって来ると踏んだ。MMFについては、約0.5%近辺の利回りで、かなり「おいしい」ぶるいだったが、この先どうなるか分からない。今のうちに「お得な定期預金にでもしておこうか?」と考えた。 ←日銀が0.2%の利下げを発表・・・池田銀行の「すみれの花」定期預金 池田銀行・・・懐かしい!大阪在住時代にお世話になった銀行だ。相模原市に引っ越してから、すっかり使わなくなっていた。でも考えてみると、ネットや提携ATMが充実している現在、地銀だからその地方しか使えない、ということはない。いろいろ定期預金を探してみると、「毎月の抽選で宝塚歌劇にご招待:すみれの花」というのを見つけた。うむ、いかにも阪急沿線に店舗網を持つ池田銀行らしい商品だ。ちなみに現在公演中の出し物は、「源氏物語千年紀頌:夢の浮橋」とのこと。これまで宝塚歌劇など、全く興味もなかったが、何だか懐かしい気持ちになってきた。とりあえず「一口」抽選権(=定期預金の入金)を入れてみる。 池田銀行のイメージガールは、もちろん宝塚の人。陽月華さん。現在、宙組主役娘役だそうです。東京宝塚劇場でも公演するんだとか。 阪急沿線に住んでいれば、ピタパ(関東ではスイカ・パスモに相当)と一体化したキャッシュカード利用のメリットがある。「スタシアサイカ」というカードは、ピタパ+クレジット+キャッシュカード一体化で、しかも生体認証付きという凄まじいカード。さすがサービスにかけては先んじた取り組みを見せている。
2008.11.16
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