詩集「バタフライ効果」(19)
著者:金指安行(下田市在住、著者の第三詩集)
発行:二○一八年十一月三十日
発行所:ルネッサンス・アイ
発売元:白順社
告白
行く先は
砂金のように輝いて見えても
味わうことなど
要らなくなった静かな所
そんな所へ送られるのも後何年だろう
いまさら卑下することも
自分以上に見せかける必要もない
私は私だ
心穏やかに 本音でもって生きていかれる
そう思ったが
本当の自分など
何処にもいて何処にもいない
生きる以上 私はまた歪むだろう
心をしわくちゃに 撓 めるだろう
後から後から顔を現わす
金時飴の顔のように
相変わらず
これが私だ自分だと信じながら
遠くで砲弾の音がしている
同族を殺したことで
人は幽鬼のようにアリバイを捨て
壊され見失った行く宛てのない彼らに
「私は私」などと…
だがそう念じられる
今の私は
とにもかくにも
有難いことなのであります
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