明石海人歌集
白描(219)
岩波文庫より
(注)明石海人(本名野田勝太郎)は、大正7年沼津町立沼津商業学校(現:県立
沼津商業高等学校)卒業で、私の先輩であることを知りました。
翳(二)(51)
奈落
春まひるすでに受胎のことはてて帰命をいそぐ花むらの影
ことさらに胸をはだけて市をゆきあらくれたりしはこの我ならず
くすり草野にはびこれど男らはきんをぬかるる歎かひをせり
れんが塀高くめぐらす街角に声あり逃げよ逃げよと
誘
なふ
真中に盲点のある目をもてばまひるの空に日輪も消ゆ
しろがねの鍼
尖
らせて眼のたまにさぐりあてたる痛覚をなぶる
砲身に火蠅なしつつみだれ散る夷狄人ならずむかしも今も
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