5月29日(水)
短歌集(38)
中公文庫:日本の詩歌29より
昭和五十一年十一月十日初版
五味保義(10)
吾 つまと二人住みたる跡見れば狭きに 莧 のたかだかと立つ
吾 ふたり 逢 ひたる 夜 を松かぜはとよもし吹ききその夜もすがら
老いし 眼 が 泪 になりてゆく母の 幼子 の 如 き 面 にむかふ
厠 より 這 ひいで 来 る母を 守 り 炬燵 ある室にわれかへりゆく
いらいらともの思ふ吾を恐れゐる老いの姿は小さかりけり
(つづく)
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