9月27日(金)
歌集「未知の時間」(前田鐵江第一歌集)(102)
2014年5月25日発行:角川学芸出版
*: 駿東7郡清水町在住の歌人。元静岡県歌人協会常任委員(同じ時期わたしも常任委員でお世話になりました)
(注)若い頃父上に反抗した頃を思いだした歌の後に、次の歌があります。
台風の夜更けの駅にずぶ濡れの父が立ちをりきわが傘を手に
この歌を読んでわたしは、これが短歌だと叫んだのでした…
Ⅴ 2010年~2013年(11)
未知の時間(2011)(6)
見なくともよいものあまた見てきたるメガネの傷のいとしかりけり
若い気でゐたが身体は正直でジャンプはおろか走り出せない
やうやくに峰を越えておぼつかな足なだめつつ坂を下りぬ
手入れせぬ庭の死角に密密と葉蘭繁りて人を拒みぬ
刈らむとて根元さぐれば地の際に葉蘭は紫褐色の花を匿ふ
(つづく)
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